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第124号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2021年4月1日)

組織労働者、自動車部門に関するILO技術会合で成果を達成

2021-03-11

<JCM記事要約>

  • 2021年2月15〜19日に、自動車産業の仕事の未来に関するILO技術会合がオンライン及び対面にて開催され、政府・使用者・労働者代表が参加し部門計画の立案を行った。
  • 自動車産業ではカーボンニュートラル経済への移行や電気自動車の開発といった転換に見舞われており、会合では、複雑な製造能力と労働者の技能を維持しながら、誰一人として取り残されずに転換を乗り切れるよう、議論がなされた。
  • 最終文書では、産業転換の基本的概念として公正な移行とディーセント・ワークが掲げられ、雇用創出と同時に、環境への影響やサプライチェーン上の労働条件にも目を向けなければならないとされている。

 

2021年3月11日:ILO技術会合で労働組合員チームは、公正な移行とディーセント・ワークを産業転換の基本的概念とすることによって、目覚ましい成果を達成した。
                                                      

2021年2月15〜19日、自動車産業の仕事の未来技術会合が開催された。すべてのILO会合と同様に、政労使委員会に部門計画の立案が委ねられ、政府、使用者および労働者の代表が対面会合とバーチャル会合を開き、1週間にわたって交渉した。

カーボンニュートラル経済への移行の必要性、電気自動車の開発、新しい輸送形態、その他いくつかの要因に迫られて、自動車産業は非常に大きな転換に見舞われている。労働者に対する影響として、多くの自動車工場が閉鎖され、企業が規模を縮小し、ブルーカラー労働からホワイトカラー労働へのシフトが起こっている。電気自動車に使われる部品はガソリン車やディーゼル車のほんの一部なので、部品メーカーも大きな影響を受けている。

会合では、自動車産業が複雑な製造能力と労働者の技能を維持しつつ、できるだけ混乱を抑えてこの転換を乗り切れるよう導くためのマップを練り上げた。労働者代表団は、公正な移行やディーセント・ワーク、ジェンダー平等、生涯学習といった主要な概念を最終文書に反映させようと懸命に努力した。結語でグローバル・サプライチェーンと関連デューデリジェンス手順に言及させることもできた。同僚たちの献身が実を結び、転換の社会的側面と、1人も置き去りにしないという関連する中心的要求に重点が置かれた。

COVID-19パンデミックがもたらした新しい作業慣行を反映して、政府代表と労働者代表はジュネーブのILOビルに集まりはしたが、別々の部屋で議論した。労働者グループのスポークスパーソンを務めたユナイトのベン・ノーマンは、この会合を「廃虚のようなビルでのシュールな体験」と表現した。

バーチャルで会合に加わった参加者もいる。労働者代表には、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、韓国、フィリピン、スペイン、トルコ、英国、アメリカの労働組合活動家が含まれていた。インダストリオールを代表して参加したのは、アトレ・ホイエ書記次長とゲオルグ・ロイテルト自動車担当部長である。

労働者グループはZoomで交渉に参加

 

「労働者グループは十分に準備して臨んだ」とノーマンは述べた。

「使用者と政府に、デューデリジェンスの重要性、サプライチェーンの労働条件をめぐる懸念に対応することの必要性、団体交渉と社会的対話の中心的役割を何とか納得させることができた。生涯学習の重要性については最初から合意しており、これは最終文書の中核を成している」

「私たちはうまく組織されていた。組織化は労働組合員としての日常的な仕事だからだ」とユニフォーのアンジェロ・ディカロは述べた。

世界労働大学卒業生のイザベル・ガゲルが、参加者が準備するのに役立つ一連のビデオを作成した。すなわち、中心的議題に関する動画、変化する仕事の世界のジェンダー側面に関する動画、ILOの会合手順と技術的詳細に関する動画である。

議論が対立することもあり、ある参加者は、使用者は「現実を見まいと必死になって」おり、「労働者を使い捨ての道具とみなし、人間として扱っていない」と主張した。内密の話をする休憩時間が設けられなかったことも、対決的な空気を助長する一因になった。

ホイエは、この会合に注ぎ込まれた作業量と最終成果とのバランスを次のように振り返った。

「数週間に及ぶ作業の結果が6ページの文書というのは、奇妙に思えるかもしれない。私たちの見解を表現するのに適したILO用語を探すために対立することがたびたびあったが、最終的に折り合いがついた。私たちは準備万端整え、何とか好ましい結語を取り決めることができた」

最終文書はILOに、社会的対話の促進に向けた活動を実施するための権限と予算を与えている。この文書は、世界経済とディーセント・ワークにとっての自動車部門の価値を認めている。自動車産業は雇用を創出すると同時に、環境フットプリントとサプライチェーン上の労働条件にも取り組む必要がある。

自動車部門の転換は不均等であり、参加者は、南側諸国がこのプロセスから最も大きな利益を得る必要があると考えていた。最も重要な結語のいくつかは、これらの国々に特に言及している。加盟組織は、すでにフォローアップの計画を立てている。例えば、トルコでは自動車労組トルコ・メタルが、移行管理アプローチを立案するために使用者連盟MESSに接触する予定である。韓国では金属労組KMWUが、会合で策定された枠組みを用いて、団体交渉によって転換に関する社会的対話を要求していく。フィリピン金属労働者同盟は、これを次回の団体交渉の主題にする。

組合にとって、この会合は2つの成果を生んだ。すなわち、自動車部門の転換関連政策に強く影響を与える優れた作業文書と、これらの問題に関する知識と協力する意欲がある労働組合員チームである。

ロイテルトは、この活動を次のように要約した。

「このような状況下で、早朝や深夜に1人コンピューター画面に向かい、自発的に交渉に参加してくれた、すべての人たちの情熱と意気込みを称賛する。すべての雇用が重要なので、私たちは雇用を守るために団結した」

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