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第129号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2021年6月23日)

インダストリオール現代/起亜労働組合ネットワーク――グローバルな連帯の基盤

2021-06-08

【JCM記事要約】

  • インダストリオール現代/起亜の労働組合ネットワークの会合が開催され、ILOの中核的労働基準が韓国系自動車メーカーにおける国境を越えた社会対話につながるかどうかという問題が議論された。
  • 先ごろ韓国において批准されたILO第29号、第87号、第98号条約は、組合つぶしをなくし、法律や慣行を結社の自由に従わせ、産業レベル組合の組合権を保障する包括的労働法改革の法的指針となるものである。
  • 会合では、交渉力の強化と露骨な不公正の確認を目的に当該ネットワークのもつデータベースの改善に向けて協力を深めることが決定された。さらに、モビリティープロバイダーへ転換する同社の戦略をめぐって議論が行われ、韓国の労働者への影響を分析し、雇用の確保に向けた好事例を意見交換することの重要であることが結論づけられた。

 

2021年6月8日:5月17~18日にインダストリオール現代/起亜の労働組合ネットワークの会合が開催され、ILOの中核的労働基準が韓国系自動車メーカーにおける国境を越えた社会対話につながるかどうかという問題が議論された。
                                                     

まだILO中核的労働基準を批准していないILO加盟国はあまりにも多いが、中国、インド、イラン、カタール、サウジアラビア、タイ、アメリカのような主要国がいくつか含まれている。高度に工業化された韓国は、先ごろ第29号条約(強制労働)、第87号条約(結社の自由)、第98号条約(団体交渉権)を批准し、2022年4月に発効する予定なので、もはやブラックリストには掲載されていない。

インダストリオールに加盟している韓国金属労組(KMWU)のキム・ホギュ委員長は述べた。

「批准された条約は、組合つぶしをなくし、法律や慣行を結社の自由に従わせ、産業レベル組合の組合権を保障する包括的労働法改革の重要な法的指針だ」

グローバル現代/起亜ネットワークは2009年から存在し、世界中の全グループ工場で、これらの基本的権利の実施を絶えず支援している。さらに、ブラジル、チェコ共和国、ドイツ、インド、韓国、スロバキア、トルコ、アメリカのインダストリオール加盟組織も、それらの基本的権利を促進し、グローバル・レベルで労使間の定期的なコミュニケーション経路を開くために、グローバル枠組み協定をめぐる交渉を開始すべく同社を説得しようと何度か試みたが、成功しなかった。

ネットワークは、韓国がILO条約を批准すれば、この世界第5位の自動車グループとの関係にプラスの効果を及ぼすと期待している。現代と起亜のKMWU支部組合のキム・ユンサムとチェ・スンは次のように締めくくった。

「同社の事業活動の70%が韓国国外で実施されているという事実を考えれば、グローバル・レベルで高い普遍的労働基準と正式な社会的対話構造を生み出すことは、望ましいだけでなく筋の通ったことでもある」

代議員は、ネットワークの内部データベース改善によって協力を深めることを決定した。目的は、交渉力を強化するとともに、露骨な不公正(インド・チェンナイの現代工場で低賃金の訓練工やその他の不安定労働者が大勢働いている状況など)の事例を確認することである。

「労働者の過半数の収入が常用労働者より20%少ないというインドの搾取的状況をなくすべき時だ」と現代自動車インド従業員組合のゴウリ・シャンカール書記長は言う。

もっと頻繁に接触するために、定期的対話を可能にして促進するプラットフォームを生み出す。

参加者は会合を利用して、既定時間標準法、特にMODAPTS法をめぐる専門家の討議を行った。同僚たちはこの概念全体をよく理解し、関連する労働組合の対応について意見を交換した。

「そのような方法は人間をロボットに変えるために適用されているようだ。この方法を理解することによって、交渉力を大幅に高めることができる」とチェコ共和国の現代工場OS KOVO組合のパトリック・ファプソ会長は言う。

出席者は、デジタル化や電気自動車のような側面など、モビリティープロバイダーになるための同社の戦略をめぐり討議した。計算に基づいて、その方針が韓国事業の労働面に与える影響を分析、この転換を社会的責任のある方法で管理し、既存の労働者の雇用可能性を保護するために、優良事例について意見交換することが重要だと結論づけた。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は次のように述べた。

「大きな課題は、再訓練・技能向上プロセスを管理し、労働者が取り残されないようにすることだ」

インダストリオールと加盟組織は、この会合および過去における重要な支援についてフリードリヒ・エーベルト財団に感謝した。

 

タイのヤチヨダ・アロイで労働組合員37人の即時復職を!

2021-06-04

【JCM記事要約】

  • タイ資本の合金ホイールメーカーのヤチヨダ・アロイ・ホイールの組合員・組合指導者37人の即時復職を要求するため、インダストリオールはレイバースタート・キャンペーンを開始した。
  • 同社ではパンデミックによる操業停止のため、労働者へ賃金の62%が支給される救済基金の申請を強制していたが、一部の従業員が従わなかったとして労働者32名を解雇、さらに組合役員5名を解雇し、組合が組合員に製品を汚すよう命じたと言い組合は不要だと露骨に示していた。
  • インダストリオールは同社に書簡を送り、解雇された組合員の復職と未払いの賃金・給付を支給するよう要求したものの無視されている。サンチェス書記長は、タイの労働法および中核的国際働基準の甚だしい違反だとして批判している。

 

2021年6月4日:インダストリオール・グローバルユニオンは、タイ資本の合金ホイールメーカーのヤチヨダ・アロイ・ホイールに組合員・組合指導者37人の即時復職を要求するために、レイバースタート・キャンペーンを開始した。
                                                      

同社はパンデミックが原因で2020年5月16〜31日に操業を停止し、労働者に対し、賃金の62%が支給される救済基金の申請を強制した。ほとんどの労働者がしぶしぶ受け入れたが、社会保障事務所が予定どおりに支給しなかったため、労働者たちは同社から融資を受けざるを得なかった。

同社は労働者に、2020年6月15〜30日に再び救済基金を申請するよう要請した。ヤチヨダ・タイ労組は労働者全員に、会社側の指示に従うよう勧めた。

同社は昨年6月25日、救済基金の申請を拒否した組合員32人を解雇した9月7日には、ヤチヨダ・タイ労組が組合員に製品を汚すよう命じたとして、同労組幹部のピチェットサク・カンソーンとサクチャイ・スリタナイを解雇、「所有者は組合を求めていない」と露骨に話した。

組合つぶしは2021年1月まで続いた。幹部5人を含む合計37人の組合員が解雇されたり、ロックアウトされたりした。同社に解雇されたヤチヨダ組合員は、タイ産業労働組合総連合(CILT)を通してインダストリオールに加盟している。

インダストリオールは同社に何度か書簡を送り、37人の労働組合員全員を復職させ、未払いの賃金・給付を支給するよう要求したが、無視された。

プラシット・プラソップスックCILT会長は言う。

「私たちはヤチヨダ・アロイの組合差別に憤慨している。組合は非常に協力的で、停職期間中に救済基金を申請するよう組合員に助言した。だが同社は、製品汚染を口実に使って支部組合をつぶそうとした」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。

「今回の不当解雇は、組合員であることを理由とする労働者の雇用終了を禁止するタイの労働法に違反している。ヤチヨダの行動は中核的国際労働基準の甚だしい違反だ」

                 

 

 

 

 

 

 

テレワークに関するインダストリオールの原則とガイドライン

2021-06-04

【JCM記事要約】

  • インダストリオールは、テレワークに関する法律や政策、労働協約をめぐる交渉で労働組合を支援するための原則とガイドラインを策定した。
  • テレワークは自主性や柔軟性の拡大など労働者にとってメリットもある一方、リスクも存在する。使用者と政府が労働者の権利を確保するよう、組合はテレワークに関する交渉を行い、新しい法律の開発に積極的に関与しなければならない。
  • インダストリオールは、ガイドラインを補完するものとして、テレワークに関する労働協約の既存の条項や法律上の規定をまとめた。サンチェス書記長は、ガイドラインについて、組合を支援しテレワークが労働者の仕事と生活の質を高める機会となり、柔軟性が保護や安全の欠如を招かないようにすることが目的だ、としている。

 

2021年6月4日:製造業、エネルギー、鉱業など全部門で最近テレワークが増加しているため、インダストリオールは、すべての部門・部会、特にホワイトカラー部会の共同部会長と協議して、テレワークに関する法律や政策、労働協約をめぐる交渉で労働組合を支援するための原則ガイドラインを策定した。
                                                      

「テレワークに関するガイドラインは、それに伴う最大の課題と私たちがみなすものと、労働者の手厚い保護を取り決めるために必要なものを反映している。私たちはテレワークが発展途上の作業編成形態であることを認識している。労働組合、労働者および使用者の内部および間で、優良事例と経験の評価に基づいて徹底的な熟考と討議を続け、課題を克服して労働者の最適な保護を確保すべきだ。私たちの狙いは、進展を見極めながらこの資料を開発していくことだ」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は言う。

テレワークは今に始まったことではなく、新しい技術やデジタルツールの開発とともに長年の間に徐々に成長している。OECDによると、すでに2015年には製造業の労働者の25%が労働時間の少なくとも一部をリモートで働いていたが、この数字はパンデミック下で激増した。欧州連合の数字によると、2019年時点のEUでは、いつも在宅勤務をしている労働者の割合は5.4%にすぎなかったが、パンデミックの結果、40%近くがフルタイムでテレワークを始めた。

生産プロセスのデジタル化による技術的飛躍を受けて、製造業ではホワイトカラー労働者の割合が増えており、したがってリモートで仕事を行う資格がある労働者の割合が増えている。

「これは実に優れた取り組みだ。このガイドラインをインダストリオール加盟組織に導入するのを楽しみにしている。このガイドラインは、テレワークにおける労働者の権利とワーク・ライフ・バランスの改善を求める労働組合の闘いの重要な手段になるだろう」とインダストリオール・ホワイトカラー部門のアン=カトリーヌ・キュドネック共同部会長(CFE-CGC)は言う。

COVID-19危機が去ったあとも、リモートワークは仕事の世界の永続的な特徴であり続けるだろう。テレワークには、自主性や柔軟性の拡大など、労働者にとって多くの利点があるかもしれないが、労働者・労働組合に一定レベルのリスクももたらす。

そのようなリスクを防止するために、テレワークをめぐって交渉しなければならず、使用者と政府はこの権利を確保しなければならない。この交渉は、仕事の未来を方向づけるうえで重要な役割を果たし、社会の再構築に貢献する。労働組合は、この分野で新しい法律の開発に積極的に関与しなければならない。特に法律が不十分な場合は、部門・企業・職場レベルの団体交渉がテレワークの規制にあたって重要な役割を果たさなければならない。

企業レベルでは、健康危機を受けてテレワークに関する協約や方針の交渉が加速している。インダストリオールは、ガイドラインを補完するものとして、テレワークに関する労働協約の既存の条項や法律上の規定をまとめた。

「このガイドラインと原則の目的は、交渉プロセスにおいて労働組合をサポートし、テレワークが労働者の仕事と生活の質を高める機会となり、柔軟性が保護や安全の欠如を招かないようにすることだ。これらが広く利用され、加盟組織と組合員のためになることを願っている」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。