広報ニュース

第134号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2021年9月8日)

国際アコード:労働者安全プログラムの拡大に関する暫定合意

2021-08-25

【JCM記事要約】

  • インダストリオール、UNI、バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定に署名している主要繊維・衣料ブランドが、労働者安全プログラムを継続し、さらに他の国々にも拡大することに同意した。
  • 同意された国際アコードには、火災予防や建設物の安全だけでなく一般的な安全衛生に対象を拡大することや、サプライチェーンで人権デューデリジェンスに取り組むために協定の範囲を拡大する、といった新しい内容が含まれる。
  • インダストリオールは、国際アコードは繊維・衣料産業を安全かつ持続可能にするための重要な勝利であり、この産業の安全衛生に関する拘束力のあるコミットメントを求めて運動してきたバングラデシュの組合を祝福する、とした。

 

2021年8月25日:インダストリオールとUNI、バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定に署名している主要繊維・衣料ブランドの交渉が暫定合意に至り、バングラデシュの職場安全に対する当事者の法的拘束力のあるコミットメントを継続するとともに、このプログラムを他の国々にも拡大することになった。
                                                     

更新協定は、アコードを成功させた基本的要素を維持・改善している。すなわち、結社の自由の尊重、労働組合とブランドによる共同統治、高水準の透明性、安全委員会の訓練・労働者意識向上プログラム、信頼できる独立した苦情処理制度である。

国際アコードの新しい主な特徴は以下のとおり。

  • 火災予防および建設物の安全だけでなく、一般的な安全衛生に対象を拡大。
  • 最初の2年以内に少なくとも他の1カ国に国際アコードの活動を拡大することを約束。締結直後に実行可能性調査が始まる。
  • 理事会に組合が参加する三者構成機関として存続するRMG持続可能性協議会(RSC)との強固な協力により、バングラデシュで安全衛生プログラムを継続することを約束。
  • ブランド各社のグローバル・サプライチェーンで人権デューデリジェンスに取り組むために協定の範囲を拡大。
  • 締約ブランドを増やすために共同で努力することを約束。
  • アコードの条件を強制するための合理化された任意の仲裁プロセス。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は言う。

「この国際アコードは、繊維・衣料産業を安全かつ持続可能にするための重要な勝利だ。この協定は企業に関する法的拘束力のある条項を維持しており、最も重要なことだが、対象範囲が他の国、他の条項に拡大され、一般的な安全衛生も包含している」

「今、繊維・衣料会社は意欲を示し、更新された国際アコードに署名しなければならない。この部門の加盟組織、特に、この産業の安全衛生に関する拘束力のあるコミットメントを求めて運動してきたバングラデシュの組合を祝福する」

繊維・衣料産業の安全衛生に関する国際協定(国際アコード)と呼ばれる新協定は、2021年9月1日に効力を生じる。現在の協定(移行協定の3カ月延長)は8月31日に失効する。

アコードは、バングラデシュ・ダッカのラナ・プラザ崩壊で1100人を超える労働者が死亡した産業殺人を受けて、2013年に最初に締結された。

 

ゼネラル・モーターズのシラオ工場で労働者が歴史的勝利

2021-08-23

【JCM記事要約】

  • メキシコのゼネラル・モーターズ(GM)工場の労働者が、企業寄りの連盟に加盟する労組が管理する現行労働協約へ過半数が反対票を投じた結果、現行の協約が破棄されることとなった。
  • 労働者は初回の投票にて投票プロセスの不正を報告し、国際労働機関(ILO)とメキシコ国家選挙機関(INE)などの立ち合いのもと投票がやり直された。協約は破棄されるが労働者は権利をいっさい失わず、新しい代表が選ばれるまで給付と労働条件は変わらない。
  • インダストリオール・サンチェス書記長は、労働者が決意を示し、結社の自由を求める闘いに勝利したことを祝福したうえで、インダストリオールは引き続き労働者に寄り添い、完全な組合の自由と尊厳ある労働条件を確保できるよう支援していく、と強調した。

 

2021年8月23日:メキシコ・シラオのゼネラル・モーターズ(GM)工場の労働者は8月17〜18日、現行労働協約に反対票を投じた。この協約は、企業寄りのメキシコ労働組合連盟(CTM)に加盟するミゲル・トルヒーヨ・ロペス労組のテレソ・メディナ書記長が2008年から管理している。
                                                    

合計6480人の労働者が投票し、賛成2623票、反対3214票、無効39票だった。その結果、現行労働協約は破棄される。

労働者は権利をいっさい失わず、新しい代表が選ばれるまで給付と労働条件は変わらない。

「組合は今後、新しい集団雇用契約の締結に取りかかるだろう」とメキシコ雇用・労使関係研究センター(CILAS)総括コーディネーターのヘクター・デ・ラ・クエバは記者会見で説明した。

今回の勝利は、7000人近くを雇用しているこのGM工場の労働者にとって前例のないものである。労働者は今年4月の初回投票で投票プロセスの重大な不正を報告し、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に定める即応メカニズムに基づく最初の苦情を申し立てた。

メキシコ政府とアメリカ政府は、嫌がらせや脅迫のない自由、安全かつ透明な投票プロセスを確保するために、国際労働機関(ILO)とメキシコ国家選挙機関(INE)の独立オブザーバーならびにメキシコ労働省の連邦労働監督官の立ち会いのもとで、投票をやり直すことに合意した。

民主的に運営されるメキシコの組合の多く(自動車・自動車部品・航空宇宙・タイヤ産業の独立組合連盟(FESIIAAAN)、「Generando Movimiento」労組、新しい労働者中央組合(NCT)、ロス・ミネロスなど)が、投票プロセス中に工場の外でテントを張り、GM労働者への支持を表明した。

国際レベルでは、GM労働者の地域ネットワークだけでなく、アメリカとカナダのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織も、この重要な投票の行方を見守り、結果に大いに満足した。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は言う。

「GMシラオ工場の勇敢な労働者が決意を示し、結社の自由を求める闘いに勝利したことを祝福する。やるべきことがまだ山積していることは明らかだが、労働者たちはインダストリオール・グローバルユニオンと世界中の加盟組織を当てにすることができる。私たちは彼らに寄り添い、完全な組合の自由と尊厳ある労働条件を確保できるよう支援していく。この投票の結果は、メキシコの労働者に大きな希望と新たな前途をもたらす」

 

KMWU(韓国金属労組)、韓国の使用者と初の産業レベル転換協定を締結

2021-08-19

【JCM記事要約】

  • 韓国金属労組(KMWU)が韓国金属産業使用者連盟と4カ月間の交渉を行った結果、韓国の産業転換に関する初の産業レベル協定が締結された。
  • 転換協定では、デジタル化やオートメーションなどの産業転換に対応する計画の立案・実施に合意しており、計画には雇用保障や新技術のための職業訓練の実施などが含まれている。また交渉では金属産業の最低賃金の増額についても合意された。
  • インダストリオール東南アジア地域事務所は、協定の締結を実現させたKMWUの努力を称え、デジタル化により、公正な移行を求めて使用者と交渉することがこれまで以上に重要になっている、と強調した。

 

2021年8月19日:インダストリオール加盟組織の韓国金属労組(KMWU)は4カ月の交渉と全国的な警告ストの結果、韓国金属産業使用者連盟と、韓国の産業転換に関する初の産業レベル協定を締結した。
                                                      

8月11日の夜明けに終わった長時間に及ぶ交渉では、金属産業の最低賃金の前年比5.11%増についても合意した。つまり、2022年1月1日から12月31日まで、時給が9250ウォン(7.9米ドル)、月給が209万500ウォン(1787米ドル)になり、法定最低賃金の9160ウォン(7.8米ドル)を上回る任意最低賃金が導入される。

KMWUと使用者は転換協定で、デジタル化やオートメーション、電動化、気候危機関連の産業転換に対応する計画の立案・実施に合意している。この計画には、雇用保障とディーセント・ワークの確保、新技術のための職業訓練の実施、安全衛生・人権の保護、気候危機への対応、サプライチェーンにおける公正な扱いが盛り込まれる。

キム・ホギュKMWU委員長は言う。

「KMWUと韓国金属産業使用者連盟は、真の産業レベル組織として交渉している。協定と宣言は、どちらも昨年の感染症保護協定と同様に重要なものになるだろう。KMWUが追求している目標と理想、未来について使用者団体と合意したことは有意義だ」

それぞれの職場に労使機関を設置し、具体的な産業転換計画を共同で立案・実施する。金属産業の気候危機対策に関する共同宣言は、迅速かつ一貫して共同で炭素排出量を削減していく方針を確認した。企業は資金を確保し、サプライチェーン全体で炭素排出量を削減するための構造を構築する。いかなる投資計画や転換計画も、気候危機を悪化させてはならない。

アニー・アドビエント東南アジア地域事務所所長は言う。

「産業転換協定の締結に関してKMWUを祝福する。デジタル化が雇用保障を脅し、韓国政府が技術中心の経済を推進しているため、公正な移行を求めて使用者と交渉することが、これまで以上に重要になっている」

KMWU支部は2021年10月に産業転換協定を承認すると予想される。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

 

 

 

STマイクロエレクトロニクス・マレーシア――利益より労働者の安全を優先せよ

2021-08-17

【JCM記事要約】

  • COVID-19感染者数が急増しているマレーシア・STマイクロエレクトロニクスでは、多数の従業員が感染しており、従業員19人が亡くなった。
  • COVID-19症例が発見された際、工場の特定部門だけが閉鎖されたのみであった。労使間で定期的な社会的対話が行われていれば、このような事態を防ぐことができたのでは、と組合側は会社の対応を批判している。
  • インダストリオール・サンチェス書記長は同社へ書簡を送り、企業利潤よりも労働者の安全を優先し、電子産業従業員組合南部地域(EIEUSR)と対話することを要求した。

 

2021年8月17日:マレーシアのSTマイクロエレクトロニクスでは、過去数カ月間に従業員19人がCOVID-19で亡くなった。まだ100人を超える従業員が感染しており、600人前後の労働者が隔離されている。
                                                      

マレーシアでは7月以降、COVID-19感染者数が急増しており、前週の新規感染者数は平均2万人と過去最多に達した。1人当たりの感染率は東南アジアで最も高い。

マレーシアの国際貿易産業省は、7月29日から8月4日まで工場の全面操業停止を命じた。以前にCOVID-19症例が発見されたときは、工場の特定部門だけが閉鎖された。

ロスラン・ビン・ロスディEIEUSR会長代行は言う。

「私たちはSTMの同僚の死を悲しんでいる。労使間で定期的な社会的対話が行われていれば、このような事態を防止できた可能性がある。STMに対し、衛生プロトコルを厳格に実施し、すべての生産現場を衛生的にするよう求める」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は同社への書簡で、企業利潤よりも労働者を優先し、インダストリオール加盟組織の電子産業従業員組合南部地域(EIEUSR)と対話することを求めている。

松崎寛インダストリオール電子担当部長は言う。

「インダストリオールは、19人の労働者のご遺族に心から哀悼の意を表す。STMに対し、人の最優先と人命保護を重視している自社の持続可能性戦略を実行するよう要請する」

STマイクロエレクトロニクスは、各種の電子機器に使われる電源装置やマイクロ・コントローラー、その他の半導体集積回路を製造している。

 

 

チリのエレクトロラックス労働者、団体交渉を守るために作業停止

2021-08-12

【JCM記事要約】

  • チリのエレクトロラックス労働者による最新の団体交渉案の拒否から会社側が6月の作業停止時間と以前に承認された組合会合時間を賃金から差し引くと通告したことを受け、組合側はストを行い生産工場と集配センターの操業を停止させている。
  • 組合側は、予定されていた団体交渉プロセスの開始を会社側が1年近く引き延ばしたことを非難している。さらに会社側はこの期間中に、組合指導者との会談や、2組合が提出した集団雇用契約案への回答を拒否した。
  • インダストリオールは、同社は組合と誠実な交渉を行い正式な契約を結ぶべきであると主張し、インダストリオールとして引き続き労働者と組合を支持し、彼らを保護するための闘争と行動を支援している、と強調した。

 

2021年8月12日:チリのCTI第1組合および第2組合は、エレクトロラックス・グループ傘下のCTIテクノ・インダストリアルが集団雇用契約に従っていないため、同社で生産を停止している。
                                                      

7月13日、約800人のエレクトロラックス労働者が、会社側の最新の団体交渉案を拒否した。この決定を知った同社は、6月の作業停止時間と以前に承認された組合会合の時間を賃金から差し引く、と組合員に通告した。

これを受けて、組合側は7月14〜15日にストを行い、それ以来、生産工場と集配センターの操業を停止させている。同社が2020年10〜12月に行われるはずだった団体交渉プロセスの開始を1年近く引き延ばしたため、労働者は会社側の態度を非難した。

エレクトロラックスは、最低限のサービスの再分類要請への回答を待っていたため、数カ月間プロセスを延期したと述べている。同じ期間に同社は、組合指導者との会談や、2組合が提出した集団雇用契約案への回答を拒否した。

組合側は地域雇用監督局に上訴、同局は、行政上の要請を理由に正式な団体交渉プロセスを延期することはできないと裁定した。国家雇用理事会は2021年3月11日に最終的な決定を下し、エレクトロラックスの再分類要請を却下した。

「今、国内外の労働者がエレクトロラックス第1・第2組合の組合員との連帯を表明することが、これまで以上に重要になっている。両組合は自分たちの尊厳と団体交渉権およびスト権を守るために闘っているからだ。これらの権利は、経営陣の無関心と不誠実によって損なわれている」と公式組合声明は述べた。

組合は、現在の社会・経済危機が日常生活に与えている影響を考慮に入れた集団雇用契約案を提出した。労働側は、これまでのところ同社の提案を受け入れておらず、会社案は労働者の要求を満たしていないと述べている。

さらに労働側は、経営陣は不適切に行動し、非公式ルートを使って、一部の労働者に交渉中の条件や数字を知らせたと述べている。その狙いは、組合指導者と組合員の間に亀裂を生じさせることだった。

マリーノ・バニ・インダストリオール・グローバルユニオン地域事務所所長は次のように述べた

「エレクトロラックスの行動は遺憾だ。同社が誠実な交渉を行うよう願っている。労働者には組合代表がおり、尊重と尊厳に基づく正式な契約を結んでしかるべきだ」

「私たちは労働者と組合、インダストリオール加盟組織のチリCONSTRAMETを支持し、労働者を保護するための闘争と行動を支援している」

                     

 

 

 

 

 

 

 

ミャンマーと韓国の労働者、1988年の民主化運動を記念してスト

2021-08-12

【JCM記事要約】

  • 8月8日、ミャンマーの軍事独裁政権を倒した1988年の民主化運動を記念して開催されたストに、ミャンマーと韓国の労働組合員が参加した。
  • 今回のストは「88年の血債を2021年に清算しなければならない」をスローガンにして開催され、ミャンマーの組合員はハッシュタグと共に赤いシャツを着て8本指を立てている写真を共有した他、韓国の組合員は韓国政府によるミャンマー国家統一政府の承認と、韓国企業よるミャンマー国軍関連会社との関係断絶を要求した。
  • インダストリオールは、国際組織と世界各国政府が国家統一政府を承認し、軍事政権への関与を拒否すべきだとし、軍事政権がビルマの人々を攻撃する資源を制限するために、政府、投資家および企業によるによる包括的経済制裁を要求している。

 

2021年8月12日:2021年8月、インダストリオール・グローバルユニオンに加盟しているミャンマーと韓国の労働組合員は8月8日にストに加わり、軍事独裁政権を倒した1988年の民主化運動を記念するとともに、現政権の打倒を要求した。
                                                      

このストは、「88年の血債を2021年に清算しなければならない」をスローガンに、ゼネスト調整機関が組織した。このテーマは人々に、33年経っても終わらない民主化要求闘争と、現世代の強い決意を思い出させる。

ミャンマー労働組合総連合(CTUM)とミャンマー製造労働者連盟(IWFM)の組合員は、ハッシュタグ#8FingersStrikeと#RedCampaignで、赤いシャツを着て8本指を立てている自分の写真を共有した。

韓国金属労組(KMWU)をはじめとする韓国の市民社会組織が、労働者と市民を動員してミャンマーとの連帯行動に合流した。

韓国のデモ参加者

これらの集団は、ミャンマーに投資している韓国企業で全国的なピケを張った。例えば、製鉄会社のポスコ・インターナショナル、韓国ガス公社、国家年金基金、イノ・グループ(ミャンマー軍との建設プロジェクトに関与)などである。

KMWUは軍事政権に大虐殺の中止を促し、韓国政府によるミャンマー国家統一政府の承認と、韓国企業よるミャンマー国軍関連会社との関係断絶を要求した。

KMWUはクーデター以降、ソウルのミャンマー大使館付き武官事務所前で連日ピケを張っている。

カイン・ザーIWFM会長が述べた。

「ミャンマーの新世代の国民と労働者が民主化要求闘争を続けることが重要だ。軍事独裁政権を拒絶し、文民政府を政権に復帰させなければならない。私は国際社会に対し、有効かつ迅速に軍事政権を排除するために包括的経済制裁構想を支援するよう求める」

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が述べた。

「ミャンマーの労働運動からのメッセージは明々白々だ――軍事政権に関与することなどあり得ない。この政権を外交的、政治的、経済的に孤立させなければならない。つまり、国際組織と世界各国政府が国家統一政府を承認し、軍事政権への関与を拒否すべきだ。私たちはクーデター以降、正当性を欠く軍事政権がビルマの人々を攻撃する資源を制限するために、政府、投資家および企業による包括的経済制裁を要求している」

軍事クーデターから6カ月経った今、軍事政権によって965人が殺害され、アウン・サン・スー・チー前国家顧問を含む5534人が今なお恣意的に拘束されている。