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第141号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年2月4日)

大きな犠牲を払うミャンマーの労働組合活動家

2022-01-25

2022年1月25日:国軍による暴力、組合つぶし、労働条件悪化の下で、ミャンマーの工場労働者は四方八方から締め付けられている。
                                                      

衣料労働者で労働運動家のトゥレイン・アウンにとって、ヤンゴンの職場までオートバイで1時間かけて無事に出勤できるかどうかは、前日にどんな戦闘があったかによって決まる。ミャンマーの軍事政権と草の根の抵抗勢力(ミャンマーの主要都市では国民防衛隊(PDF)の形で行動)の紛争が工業地帯に迫ると、軍の検問所が大通り沿いに並び始める。

「今日はPDFが軍を攻撃したので、検問所が増えるだろう」と彼は『Equal Times』に語っている。

これは特に、当てにならない公式・非公式の公共交通網を避けるために、個人または家族所有のオートバイで通勤する多くの労働者にとって、身の安全に大きな危険をもたらす。

「以前バイクを没収され、1万チャット(約5.60米ドル、平均日給の実に3倍)を支払わなければならなかった」と彼は言う。

検問所では、性的暴行や逮捕も報告されている。だが、産業の中心であるミャンマー最大の都市ヤンゴン周辺の工業地帯では、これは労働者が生計を立てるために直面せざるを得ないことである。

ミャンマー国軍(タッマドゥとして知られる)が何人かの議員とアウン・サン・スー・チー国家顧問を逮捕したあと、民主的に選ばれた国民民主連盟(NLD)の文民政府を2021年2月1日に転覆させてから、ほぼ1年になる。労働運動家は、クーデターに対する大規模抗議や2月22日のゼネストをいち早く組織した。これらの行動はすべて、国民統一政府(NUG、亡命政権)を支持して軍事政権を拒絶する、全国的な非暴力の市民的不服従運動(CDM)に力を与えるうえで役立った。

タッマドゥの対応は冷酷である。本稿掲載時点で、1500人近くが殺害され、1万1500人以上が逮捕された。NUGは9月7日、軍事政権に対して「人民防衛戦争」を宣言、その後、数十年間で最悪の戦闘が続いている。

このような状況の中で、労働組合員の行動は大変な犠牲を強いられている。クーデターに対応して結成された16組合から成るミャンマー労働同盟の違法性を政府が宣言しただけでなく、工場労働者(ミャンマーの労働者の約10%が製造業で雇用され、製造業は経済的に特に重要な部門)は数々の難題に直面している。すなわち、軍による暴力の脅威、活動家を狙った暗殺、軍事政権と共謀する工場主による組合つぶしの画策、COVID-19パンデミックが原因で発生し、今度はクーデターによって悪化している大量失業、ミャンマー・チャット暴落に伴う物価上昇、すでに低かった賃金の価値下落である。非良心的な工場主が必死になった労働者につけ込んでいるため、賃金は現在、最低日給の4800チャット(約2.70米ドル)と3600チャット以下(約2米ドル)の間で推移している。

過去の成果が台無し、追われる労働組合員

クーデターのほとんどすぐあとに、さまざまな部門の労働組合が組合員と非組合労働者の両方を組織化し、街頭に繰り出して軍事政権に対する抗議行動に加わった。労働者に対し、ストや作業停止、欠勤への参加によって軍政反対を表明することも促した。しかし、数週間、数カ月と長引くうちに、日給はほとんどの労働者が絶対に失うことのできない生命線になった。衣料・繊維・履物部門では、2021年前半だけで推定25万人が失業し、CDMに関与する労働者が真っ先に解雇された。

まだ働いており、これまでのところ何とか逮捕を免れているトゥレイン・アウンによると、クーデター勃発以降、かつて合計1300人の組合員を擁していた11の個別工場組合が、今ではわずか4組合に減っている。その指導者の多くが逃走中である。

「[抵抗]闘争に深く関与していたため、故郷の村に逃げ帰った者もいれば、その他の安全な場所に移った者もいる」と彼は言う。

ミャンマー労働組合総連合(CTUM、国内最大の労働連盟)の財務責任者で、ミャンマー製造労働者連盟(IWFM)の会長を務めるカイン・ザー・アウンは、多くの組合指導者がタッマドゥに「追われて」いることを確認する。

「[工場長が]労働組合の幹部や活動的な組合員の住所氏名を警察や軍に提供している」と彼女は『Equal Times』に語っている。

見つかった人は嫌がらせをされたり、逮捕されたり、もっとひどい目に遭うこともある。

ミャンマーのベテラン労働組合員にとって、これらの戦術は、数十年に及んだ残忍な軍政を思い出させる不愉快な傾向である。組合や労働者組織が50年にわたって禁止されたあと、2011〜2021年の10年間の民主的統治で、ミャンマーの労働権は限定的ながら意義深い進歩を遂げた。例えば、独裁体制後初の文民政権が実施した改革により、2011年に労働組合が合法化され、2015年に労使関係を討議するための全国フォーラムが設置された。公式化された労働権の実施を受けて、外国人投資家が未開拓市場であるミャンマーに参入し始めた。

過去10年間に児童労働、強制労働、ジェンダー差別に対する保護に取り組む試みがなされてきたが、この国はまだ、現代的で効果的な政策策定の初期段階にあった。確固たる基礎がなかったため、NLD政権によるこれらの新たな融和的保護策は、2月1日のクーデターの前からすでに足元が揺らいでいた。

暴力の脅威が高まる中での制裁要求

カイン・ザー・アウンのような組合指導者は、これらの基本的ではあるが苦労して手に入れた労働者保護が指の間から滑り落ちるのを見て、断固たる態度を取るようになった。組合結成に伴う汚名が残存し、その脅威が絶えず存在するだけでなく、組合組織率が全般に低かった(組織労働者は労働人口の1%未満だった)ため、ミャンマー労働同盟による軍事政権に対する包括的経済制裁の要求は、この国で労働者の権利を再度確立しようとする大胆な試みであった。

衣料部門はミャンマー経済にとって極めて重要である。この部門はCOVID発生前、H&M、ザラ、プリマークといった世界的ブランドに供給し、ミャンマーの総輸出の3分の1を占める70万人以上の低賃金(主に女性)労働者を雇用していた。ミャンマーでの活動を停止したブランドはほとんどないが、国内外の組合が圧力をかけ続けている。

「現在、ミャンマーには結社の自由の権利も、団体交渉権も、労働者の権利も、人権もまったくない」とカイン・ザー・アウンは言う。

「独裁政権下では、民主的労働組合が生き残ることはできない――それを理解しておかなければならない」

組合活動を理由に工場で標的にされている労働者もいれば、工場主が事業を閉鎖して逃げ出し、クーデター前のものまで含めて数カ月分の未払賃金の支払いを拒否したため、何の予告も補償もなしに突然失業した労働者もいる。2021年7月に国際労働機関(ILO)が発表した簡潔な報告書(2回目の評価は2022年1月下旬に発表予定)によると、ミャンマーでは2022年末以降120万人の労働者が失業しており、2021年第1四半期には労働時間が14%減り、男性より女性のほうが減少幅が大きい。

国際連合人道問題調整事務所の報告でも、COVID-19による制約が始まってから、人口の約4分の1が職を失い、全世帯の18%が無収入で、3分の2が減収となっている。この報告書は、2022年には国民の半数が貧困状態に陥るとも推定している。

操業を続けている工場では、労働者がこれまで確保していた数少ない権利が完全に消滅した、とカイン・ザー・アウンは言う。最低日給はそもそも生活賃金ではなかったが、9月以降だけでチャットの価値が60%下落し、労働者に大きな打撃を与えている。これに加えて超過労働手当やボーナス、給付、日々の雇用保障がなくなり(法律は変わっていないが、違反しても罰を受けないという現在の風潮の下で、一部の使用者は法律を無視するようになっている)、多くの人々がどうやって家族を養っていこうかと頭を悩ませている。労働者は雇用を維持するためにできることは何でもやらざるを得ないため、無給の強制的超過労働がますます広まっている、と彼女は言う。

CTUM組合員が今も活動できるある工場では、労働者が4カ月にわたってレイオフされたあと、わずか10万チャット(約56米ドル、最低賃金2カ月分)を支給するという契約への署名を強制された、とカイン・ザー・アウンは明かす。70人の従業員が拒絶すると、工場主は賄賂を使って軍事政権の兵士に労働者を脅迫させた。

「労働者は、ストを決行したら殺すと言われた」

さまざまな第三者機関の報告によると、3月にヤンゴンのラインタヤ工業地帯で6人の労働者が撃たれた。これに先立って、中国系のXing Jia製靴工場で労働争議が発生し、賃金をめぐる騒動のあと所有者が軍を呼んだ。兵士が抗議中の群衆に発砲して男性5人が死亡、女性労働組合幹部1人が警察に撃たれ、70人以上が逮捕された。

このような話が恐怖を広げている。ヤンゴンの衣料労働者ティン・ティン・ウェイは、自分の工場では組織労働者の半数程度しか残っていないと言う。一般的な組合つぶしの画策に加えて、労働者は病欠や高まり続ける生産目標の未達成も理由に解雇されている。

「使用者側はクーデターに乗じて組合を倒そうとしている。労働権を侵害し、賃金をカットし、労働者を強制的に働かせ、以前の労働協約すべてに違反している」と彼女は言う。

「これまで組合を解体しようとしてきた使用者にとって、クーデターは国軍と力を合わせて組合を抑え込むチャンスだ」

板挟み

労働者が絶えず苦情を述べているにもかかわらず、労働条件の悪化に取り組むための解決策は相変わらず定まらない。大多数の労働組合の要求を受けて、8月下旬にインダストリオールが経済制裁を支持したことがニュースになった。インダストリオール・グローバルユニオンは、ミャンマー労働同盟の立場を引用するとともに、ミャンマーの労働者は違法と宣言されてタッマドゥによる暴力的威嚇にさらされている間は、決して工場で交渉できないというこれまでの経験に基づく認識を示した。

結社の自由の欠如は国際レベルでも火に油を注いでおり、多くの活動家が、今なおミャンマーから調達している世界的ファッションブランドにデューデリジェンスの強化を要求している。IWFMは12月、ACTイニシアティブからの脱退を決定した。この協定の下では、エイソス、C&A、H&Mなどブランド20社がインダストリオールと力を合わせ、さまざまな調達国、さらに具体的に言うとミャンマーの衣料・繊維・履物産業全体で団体交渉と生活賃金を促進し、紛争解決戦略や結社の自由への取り組みを推進しようとしている。IWFMの脱退を受けて、ACTはその月のうちにミャンマーでの活動を終了することを決定した。

カイン・ザー・アウンは、自身が調停に努めている紛争で、労働者は何の影響力もないため、要求に満たない内容で妥結することが多いと言う。労働当局者など軍の代表が関与する対話には参加しないという組合の2021年2月2日の発表は、まさにこの事態を心に留めて行われたようである。

「ミャンマーで紛争処理メカニズムを利用することはない。役に立たないからだ」と彼女は言う。

労働当局者は独立して活動しているのではない。

「彼らは工場から賄賂を受け取っている。では、どうやって労働者を助ければいいのか?」

一方、労働者は板挟みになっている――価値が下がっている賃金のために、ますます危険な条件下で働くことを選ぶか、寄付や小規模の農業イニシアティブで生活している人が大半を占めるCDM活動家と最前線で勇敢に闘うか。

「生活条件が厳しいのは確かだが、賃金が減っており、物価は上がっている。不安定な状態にあると、誰もがいつでも、たとえ自宅にいても逮捕される可能性がある」とティン・ティン・ウェイは言う。

「この状況では安定がない」

写真:2021年3月1日にミャンマーのヤンゴンで行われた軍事クーデター抗議デモで、間に合わせのシールドの後ろに立つ抗議者たち

この記事の初出は『Equal Times』

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