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第151号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年11月11日)

インドの組合、労働安全衛生の改善を要求

2022-08-08

【JCM記事要約】

  • 7月29日、デリーにてインドの劣悪な労働安全衛生状況に関する円卓会議が開催され、インダストリオール指導部および加盟組織指導部の他、労働雇用省当局者や公営採炭・製鉄会社代表なども参加した。加盟組織は、政府・使用者が労働災害に関する情報を公表し、労働組合が精査できるようにすることを要求しており、政府当局は組合の要求に応えられるよう努力すると述べた。
  • 会議の司会を務めたインダストリオール・ケマル書記次長は、労働者には自分の身を守るため労働安全衛生に関する権利があるとして、政府・使用者には組合に関与し職場の安全衛生条件改善に努めることを要求する、とした。

 

2022年8月8日:7月29日にデリーで開催されたインドの劣悪な労働安全衛生状況に関する円卓会議で、インダストリオール加盟組織は、すべての労働者の安全性向上を強く要求した。
                                                      

この円卓会議は、インダストリオール指導部とインドの加盟組織指導部が代表するインダストリオール・グローバルユニオンによって組織された。参加者には、労働雇用省当局者(インドの主任労働コミッショナーを含む)、鉱山安全総局、公営採炭・製鉄会社代表、それにインド産業連盟が含まれていた。

2021年にインダストリオールが収集したデータによると、製造業(化学・医薬品、鉱業、鉄鋼)で少なくとも429件の事故が発生し、352人を超える労働者が死亡、負傷者も700人を超えた。2022年前半には、少なくとも78件の労働災害や鉱山事故が報告されており、少なくとも労働者199人が死亡し、負傷者は348人を超えている。この背景を踏まえて、危険な状態にある産業の安全と、講じる必要のある労働災害防止策に焦点を絞るために、この円卓会議が開催された。インドでは、そのような「災害」が大幅に過少報告されている。加盟組織は、政府・使用者が労働災害に関する情報を公表し、労働組合が精査できるようにすることを要求した。

不十分な危険特定プロセスとリスク評価、特に不安定労働者向けの訓練の欠如、安全衛生・工場監督官の不足、工業施設の安全監査の不備、職場の安全に対する経営側の関与不足を政府が公認している状況が、数ある理由の中でも特に、この国の労働災害発生を助長している。

生産活動がサプライチェーンを下っていくにつれて安全衛生状態はさらに悪化し、中小企業は利潤最大化を目指す大企業によるコスト削減の影響をもろに受けている。罰金がわずかであるため、中小企業は職場で安全衛生基準を軽視しがちである。新しい2019年労働安全衛生・労働条件法の可決で、工場監督官の役割が変わった。

「新しい労働法では、職場の安全衛生を確保するための義務規定が削除され、事態は悪化する一方だ。現在、主要な使用者は労働者が死亡しても刑事責任を問われない」とインダストリオール執行委員のサンジャイ・バダブカール・インド鉄鋼・金属・機械労連(SMEFI)書記長は述べた。

政府当局者と鉱業・鉄鋼業代表は、労働安全衛生に関していくつかの二者・三者委員会を定期的に開いている事実を共有し、この円卓会議で労働組合代表が出した要求を取り入れるために努力すると述べた。

円卓会議の司会を務めたケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は述べた。

「新しい労働法に基づく自己申告制度は、インドで職場の安全を大きく損なうだろう。労働者は実際にリスクに直面しているので、この問題に関する真の専門家であることを忘れてはならない。労働者には、職場の危険要因を知る権利、危険な作業を拒否または中止する権利、安全衛生方針の意思決定と実施に全面参加する権利がある。そこで私たちは、政府・使用者が対等なパートナーとしての組合に関与し、職場の安全衛生条件改善に努めることを要求する。

先ごろ閉幕したILO(国際労働機関)総会で、代議員は、ILOの労働における基本的原則および権利に、安全で健康的な労働環境の原則を追加する決議を採択した。インドはILO加盟国として、職場の安全向上を確保するために処置を取る必要がある。

 

 

 

 

 

 

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