広報ニュース

第152号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年12月9日)

拘束力のある国連条約めぐる交渉に著しい進展が必要

2022-10-22

【JCM記事要約】

  • 国連のビジネスと人権に関する条約をめぐる次回の交渉が行われるが、企業による労働者の権利侵害事件が増加しているとして、労働組合は国際労働基準で定義された労働者の権利を幅広く対象とすることや、企業へ人権デュー・ディリジェンスに関する方針の採択を要求する規制措置を導入することなどを優先課題として要求している。
  • インダストリオール・ケマル書記次長は、平等な競争条件のために拘束力・強制力のある即座の規制が必要であるとし、インダストリオールは大会のアクション・プランに従って拘束力のある条約を求めて闘い続ける、と強調した。

 

2022年10月22日:国連のビジネスと人権に関する条約をめぐる次回の交渉が来週、スイス・ジュネーブで行われる。グローバル・ユニオンは、国際人権法において多国籍企業その他の企業の活動を規制するために、法的拘束力のある文書を強く要求し続けることを誓約している。
                                                      

企業による労働者の権利侵害事件が増加している。ITUC権利指数によると、113カ国が労働者に組合結成権や組合加入権を与えておらず、この数は2021年の106カ国から増えている。87%の国々がスト権を侵害し、5カ国中4カ国が団体交渉を妨害した。

全国・地域レベルで企業に人権侵害責任を負わせるための規制措置を求める圧力が強まっており、新しい法律が実施されている。拘束力のある条約に向けた来週の交渉は、企業による人権・労働権の侵害をなくすための措置の必要性にスポットライトを当てる。

グローバルな労働組合は以下の優先課題の強化を求めている。

  • 関連国際労働基準で定義されているように、労働者・労働組合の基本的権利を含めて、すべての国際的に認知された人権を幅広く実質的に対象とする。
  • 規模や部門、事業状況、所有権、構造にかかわらず、すべての企業を対象とする。
  • 親会社ベースの域外適用規制を導入し、多国籍企業による人権侵害の被害者が当該企業の本国で司法制度を利用できるようにする。
  • 企業に人権デュー・ディリジェンスに関する方針や手続きの採択および適用を要求する規制措置を導入する。
  • 企業の事業活動に人権義務を適用できることと、企業に人権を尊重する義務があることを再確認する。
  • 強力な国際監視・実施機構を確立する。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「世界各国は、グローバル・サプライチェーンで現在の虐待的・搾取的なビジネスモデルを続けることはできない。平等な競争条件のために拘束力・強制力のある即座の規制が必要だ。この交渉はもう何年も続いている。これ以上は待てない。インダストリオール・グローバルユニオンは、ITUCおよび他のグローバル・ユニオンとともに、大会アクション・プランに従って拘束力のある条約を求めて闘い続ける」

 

日本のサプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンス

2022-10-18

2022年10月18日:インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会(JLC)は、人権デュー・ディリジェンスの実施に多国籍企業を関与させるために、責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドラインの利用に取り組んでいる。
                                                      

髙倉明インダストリオール副会長・JLC議長は、9月26日のケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長との会談で、日本の組合はサプライチェーンで多国籍企業に人権を尊重させるうえで極めて重要な役割を果たしていると述べた。

「日本および海外の組合は情報を交換し、人権方針の実現を目指して企業と協力すべきだ。企業は苦情処理にあたって組合をソーシャル・パートナーとみなし、グローバル・サプライチェーンで救済策を提供して権利侵害を根絶しなければならない」

金属労協(JCM)は、加盟組織向けに「人権デュー・ディリジェンスにおける労働組合の対応ポイント」というガイドを発表した。JCMは6月、経済産業省の岩田和親政務官にガイドラインに関するコメントを提出した。

「9月に経産省が発表した人権とデュー・ディリジェンスに関するガイドラインは素晴らしい。日本はじめ各国の労働組合は、このガイドラインを利用して人権および労働者の権利を守るための方法を探るべきだ」とウズカンば述べた。

ケマル・ウズカンは9月29日に開かれた韓国のインダストリオール加盟組合との会合で、同国の労働運動の優先課題を取り上げた。2023年の戦略計画、進行中のキャンペーン、賃金・労働条件低下との闘い、不安定なインフォーマル雇用の増加について、双方が意見を交換した。

 

公正な未来のために団結して行動

2022-10-15

 

【JCM記事要約】

  • インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合による合同ウェビナーを開催し、不平等の拡大および生活費危機と闘うことを誓約した。ウェビナーでは参加者が経験を共有した他、ワーク・ライフ・バランスを促進する新しい労働時間制の重要性も指摘された。
  • インダストリオールは公正な未来に向けキャンペーンを実施しており、部門別団体交渉の実施や適正な賃金を共同要求として推進している。インダストリオール・松崎書記次長は、労働者はインフレ率とコロナ禍で払った犠牲、および価値創造の不可欠な部分を反映する賃金を必要としているとし、不平等と適正な賃金を中心的な話題にしなければならない、と述べた。

 

2022年10月15日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合はウェビナーで、労働組合の力の構築と組合組織率・交渉力の向上によって、不平等の拡大および生活費危機と闘うと誓約した。この秋、両組織は結集している。
                                                      

世界中で不平等が拡大しており、社会組織を分断する恐れがある。少数者がますます所得を増やし、世界の富に占める割合を高めている一方で、最貧困層の所得・所有割合はごく一部にすぎない。

多くの政府がこの大きな課題を認識していると述べているにもかかわらず、何とか流れを変えることができた政府は1つもない。不平等は今も至る所で悪化しており、それが理由でインダストリオールはキャンペーン「公正な未来のために団結――追加払いの時!」を開始、公正な未来のために必要な基礎的要素を強調している。

欧州全域の組合がインフレおよび生活費危機の拡大と闘うために賃上げを求めて結集し始めており、ヨーロッパの多くの組合が大幅な賃上げを強く要求している。この秋、多くの交渉が難航しそうな見通しで、国家・欧州・国際レベルの労働組合が行動に備えている。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の加盟組織は、「ともに行動。賃上げのために」というキャンペーンで力を合わせている。

「行動を起こさなければ、私たち組合は過去1世紀間に獲得した利益を失う危険がある。すべての場所の労働者は、インフレ率とCOVIDパンデミック下で払った犠牲を反映する賃上げを必要とし、価値創造の不可欠な部分を反映する賃金を必要としている。不平等と適正な賃金を中心的な話題にしなければならない」と松﨑寛インダストリオール書記次長は述べた。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のイザベル・バルト書記次長が次のように述べた。

「私たちの経済的未来は再び不透明になっているが、大多数の企業がまだ好調であることは間違いない。これは労働者がパンデミック下で懸命に働いた結果であり、労働者に報酬を払う必要がある。これは社会の安定に貢献し、景気回復に備える」

「しかし、賃金手段だけでは十分ではない。インフレの根本的原因であるエネルギー危機に関する行動と併せて、超過利潤に課税するための公的介入と、購買力と雇用を保護するための危機対策を行わなければならない」

ロナルド・ヤンセンTUAC上級政策アドバイザーが、不平等の悪化は民主主義への脅威だと強調した。急激なインフレは最低賃金の実質的な価値を侵食しており、エネルギー・食料価格高騰の影響が強まる中で、低賃金労働者にとって二重の打撃となっている。

ヤンセンによると、その答えは団体交渉・賃金形成システムの改善にある。そして、過去の経験を調べることが打開策である。一緒にこれを解決することができる。組合組織率は不平等との闘いに必要な力を得るための鍵である。

「組合は答えになることができる」とヤンセンは述べた。

「私たちが責任を持って行動するには、回復の公平な取り分を獲得する必要がある。私たちは賃金のバランスを取って低所得層の賃金を守り、団体交渉を促進して、危機が終わったときに交渉でより強い立場に立てるようにすることができる」

続く議論では、世界中の参加者が経験を共有した。適正な労働条件との関連で、ワーク・ライフ・バランスを促進する新しい労働時間制の重要性も指摘された。

キャンペーンを推進する共同要求は以下のとおり。

  • 部門別団体交渉
  • 適正な賃金(すべての労働者の賃上げ)
  • 企業・富裕層に対する公正な課税
  • 生活費危機の影響を受ける労働者への支援
  • 重要な不平等削減メカニズムとしての公正な移行
  • 労働者の基本的権利
  • デュー・ディリジェンス法

                                

 

 

 

 

 

 

 

ミャンマーの労働組合員に対する暴力的な攻撃

2022-09-15

【JCM記事要約】

  • ミャンマー軍事政権の労働組合員に対する攻撃が続いている。9月には組合員がミャンマー国家統一政府(NUG)と国連大使の承認を求める平和的抗議行動へ向かう途中で逮捕された。組合員への暴力的な攻撃は今回が初めてではなく、昨年3月にもミャンマー鉱業労働者連盟(MWFM)の組合員が殺害されている。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、ミャンマー軍事政権による国民への弾圧を批判している。また、インダストリオールは、資格審査委員会と総会に対し、NUGを合法政府として承認するよう促している他、軍事政権に対する包括的経済制裁と企業によるミャンマーからの投資引き揚げを求めてキャンペーンを続けている。

 

2022年9月15日:インダストリオール加盟組織ミャンマー製造労働者連盟(IWFM)の2人を含む5人の労働組合員が9月13日、ヤンゴンで軍の治安部隊に激しく攻撃され、逮捕された。
                                                      

労働組合員たちは、国際連合にミャンマー国家統一政府(NUG)と国連大使チョー・モー・トゥンの承認を求める、平和的な抗議行動に向かう途中に逮捕された。

私服の治安部隊グループが現れ、棒で抗議者を叩いたり、何発か発砲したりした。

何人かの学生と青年活動家を含む29人の抗議者が逮捕された。29人の中には、IWFMのDaw Zuu Zuu Ra KhaingとDaw Yamin Kay Thwe Khaig、ミャンマー建築・林業労連(BWFM)のU Nay Min TunとU Than Aung、ミャンマー労働組合総連合(CTUM)の運転手U Than Zawが含まれていた。

マウン・マウンCTUM会長はプレス声明を出し、非人間的で非道な攻撃を非難するとともに、非暴力的な民主主義闘争に献身している革命的な同僚に尊敬の念を表した。

「正当性のない軍事政権が抗議者全員を即刻釈放するよう要求する。国際社会は速やかに行動を起こさなければならない。そうしないと、抗議者が軍に尋問・拷問される。ミャンマーの労働者の民主主義闘争を支援してほしい。平和的な抗議は犯罪ではない」とカイン・ザーIWFM会長は言う。

ミャンマーのインダストリオール組合員に対する暴力的な攻撃は、今回が初めてではない。軍事政権は2021年3月、ミャンマー鉱業労働者連盟(MWFM)組合員のチャン・ミー・チョーを殺害した。

5カ月前には、軍の車両が労働組合員を乗せたタクシーに激突した。CTUMスタッフのカイン・ティンザー・エイとIWFM組合員のイー・ピュー・ピュー・ミンは今も拘束されている。

「ミャンマーの軍事政権は、国民と労働者の弾圧をやめなければならない。私たちは、第77回国連総会でのNUG承認を求める抗議者たちの要求を全面的に支持する」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

第77回国連総会は9月13-26日に開かれる。インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、資格審査委員会と総会に対し、NUGを合法政府として承認するよう促している。

インダストリオールは、ミャンマーの軍事政権に対する包括的経済制裁と企業によるミャンマーからの投資引き揚げを求めてキャンペーンを続けている。

 

南アジアの賃金危機

2022-09-14

【JCM記事要約】

  • ILO世界賃金報告2020-2021によると、南アジアの実質最低賃金の上昇率は労働生産性の上昇率に見合わない数値となっている。パキスタンの労組がインフレ率の上昇を踏まえ16%の賃上げを要求するなど、インダストリオール加盟組織は労働者の賃上げ確保に取り組んでいる。
  • インダストリオール南アジア地域事務所・アプールヴァ所長は、利潤が急増しているのにも関わらず労働者の賃金が適正な生活水準を維持する額に満たないという事態は受け入れがたいとし、労働者が利益の正当な取り分を得ることができるよう闘わなければならない、と述べた。

 

2022年9月14日:世界中の労働者が急激なインフレ、サプライチェーンの混乱、気候危機に直面している。国際労働機関(ILO)によると、2022年3月のインフレ率は2021年3月の2倍を超えた。
                                                      

ILO世界賃金報告2020-2021によると、南アジアの労働生産性は2010年から2019年にかけて上昇したが、実質最低賃金上昇率は後れを取った。スリランカとバングラデシュは、実質最低賃金が世界で最も大きく減少している。この報告は、2019年にバングラデシュの最低賃金が最低国際貧困ラインにさえ届かなかったことも強調している。インドとスリランカの賃金も似たり寄ったりだった。

組合の経験によると、労働者が長期間の賃金について交渉できる職場においてさえ、実際には使用者が何カ月も、時には何年も協定の締結を引き延ばしている。そのころには、賃上げ率は相殺するはずだったインフレ率を下回っている。

インダストリオール加盟組織は、労働者の賃上げ確保に果敢に取り組んでいる。パキスタンでは、インダストリオール加盟組織とカーペット産業の労働者による粘り強いキャンペーンの結果、パンジャブ州政府が2021年6月に2500パキスタン・ルピー(14米ドル)の賃上げを発表した。ところが、政令が出されたにもかかわらず使用者が遵守を拒否したため、労働者の闘いはそこで終わらなかった。使用者が賃上げに同意するまでに6カ月かかった。

パキスタンの加盟組織は2022年8月にファイサラバードで1カ月以上作業を停止し、国内の急激なインフレを踏まえて16%の賃上げを要求した。パキスタンはすでに大洪水で悪化する物価上昇と苦闘していたため、インフレ率は8月に27.26%まで上昇した。

ニアズ・カーンILUCIP書記長は言う。

「労働者の賃金は食料・燃料価格の上昇に十分対応していない。使用者と政府はこれを認識し、この問題に取り組むために強力な措置を取らなければならない」

スリランカの加盟組織は、月給が6万スリランカ・ルピー(206米ドル)に満たない労働者の賃金を1万スリランカ・ルピー(34米ドル)引き上げ、最低賃金を月1万6000スリランカ・ルピー(55米ドル)から2万6000スリランカ・ルピー(89米ドル)に増額するよう要求している。この要求はまだ満たされていない。スリランカの食料価格上昇率は8月に93.7%に達した。世界銀行の最新の評価によると、スリランカは世界で最も食品価格上昇率が高い10カ国の中で第5位に入っている。加盟組織は、食料価格の大幅な上昇に取り組むために共同炊事場プログラムを実施している。

バングラデシュの加盟組織は全国最低賃金の引き上げを要求している。最低賃金が最後に改訂されたのは4年前で、現在8000バングラデシュ・タカ(84米ドル)に設定されている。

ネパールでは、人々が食料・燃料価格の急騰に抗議するために街頭に繰り出した。

インドのシンガレニ炭鉱会社では、賃金が常用労働者のほんの一部しかない契約労働者が、賃上げと正規雇用化を含む要求を掲げて無期限ストを呼びかけた。

インド全国鉱山労連のSQ・ザマ書記長は言う。

「企業利潤が急増している一方で、労働者の給料の伸びが鈍いというのは実に嘆かわしい状況だ。事態をさらに悪化させているのは、ささやかな賃上げのためにでも、労働者が激しく闘わなければならないことだ」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。

「私たちは労働者を代表して、労働者が利益の正当な取り分を得るようにするために闘う必要がある。利潤が急増しているのに、労働者の賃金が適正な生活水準を維持する額に満たないという事態を受け入れることはできない」

 

南アジアの船舶解撤労働者、再生利用ブームに備えて準備

2022-08-25

【JCM記事要約】

  • 8月24日-25日、ネパール・カトマンズにて開催された船舶・解撤地域会合にインダストリオール加盟組織等から20名が参加し、今後10年間に予想される船舶・解撤の需要増の影響をめぐり議論を行った。会合では、組合の積極的存在によって事故を減らす計画が立案された他、労働者が最良の補償を受けるための計画の立案に向け社会保障等の精査も実施した。
  • インダストリオールのウォルトン船舶解撤産業担当部長は、南アジアの船舶解撤場のグリーン化は、公正な移行の原則を実行に移す機会でもあるが、これを実現させるためには組合による実施プロセスへの関与が必要である、と主張した。

 

2022年8月25日:南アジアの船舶解撤労組は、予想される再生利用ブームを利用するために組織化活動を準備している。
                                                      

8月24-25日にネパールのカトマンズで開催された地域船舶解撤会合の参加者は、今後10年間に予想される船舶解撤需要の増加の影響をめぐり議論した。この会合は、船舶解撤場の組織化キャンペーンを促進するために、オランダの労働組合総連合FNVが支援するプロジェクトの一部だった。船舶解撤は世界で最も危険な仕事の1つと考えられており、このプロジェクトの狙いは組合の組織化によって状況を改善することである。

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織5団体(インド・アランの解撤場とバウナガールの川下産業のASSRGWAとSEWA、パキスタン・ガダニの解撤場のNTUF、バングラデシュ・チッタゴンのBMCGTWFとBMF)から約20人が参加した。

船舶解撤産業は近い将来、劇的に変化するだろう。バングラデシュは来年、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)を批准すると予想される。これは条約発効要件の充足に向けた大きな一歩になる。

各解撤場は、その後2年以内に、香港条約の基準を満たすために施設を改良し、大幅に刷新しなければならない。船舶解撤需要は、世界の商船隊の増加をはじめ、いくつかの要因が原因で、この期間に大きく成長すると予想される。これらの船舶は耐用年数が終わりに近づいているため、再生利用ニーズが高まる。新しい燃料と新技術への移行や、炭素排出量に関する法的要件を受けて、船舶の予想寿命が短くなっている。

需要の伸びと香港条約基準の遵守の必要性が相まって、需要を満たす能力が不足し、この産業は危機に陥ると予想される。これによって船舶解撤コストが増え、解撤場は施設改良のために多額の投資を行う必要が生じる。その結果、解撤場が手を抜いたり抜け穴を見つけたりしようとする可能性があり、安全・環境基準を守らせるために組合の警戒が欠かせない。

会合参加者は解撤場の安全記録を検討し、組合の積極的存在によって事故を減らす計画を立案した。また、不備を確認して労働者が最良の補償を受けられるようにする計画を立てるために、老齢保険、失業保険、疾病保険など、さまざまな国の社会保障制度も精査した。

組合は、組織率の向上と、団体交渉の利用による状況改善に焦点を当てることにしている。                                                                                       

ウォルトン・パントランド・インダストリオール船舶解撤産業担当部長はこう述べた。

「南アジアの船舶解撤場のグリーン化は、公正な移行原則を実行に移す機会、つまり、危険で汚い仕事を取り上げ、安全でグリーンな仕事に変えるために投資する機会だ。重要な下流のリサイクル産業を開発する機会もある。これを成功させるには、組合が実施プロセスに関与するしかない」

「南アジアの解撤場と下流リサイクル産業は、数千人の良質でグリーンな組織化された雇用を提供することができる」