広報ニュース

第155号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年2月1日)

人権デーに獄中の労働組合員を支持

2022-12-08

【JCM記事要約】

  • 現在、多くの国々で結社の自由の権利が侵害され、労働組合が迫害されている。特にミャンマーでは労働組合が非合法化され、ベラルーシでも自由で独立した組合が解散させられており、これらの国々では今も多くの組合活動家が投獄されている。人権デーである12月10日に、インダストリオールは労働者の権利こそが人権であると思い出させ、逮捕された労働組合活動家の釈放を要求する。
  • このような状況下で、キャンペーンが功を奏し組合活動家が釈放された実例もある。インダストリオール・アトレ書記長は、圧制的な政府と労働者の権利が侵害されている国から調達している多国籍企業へ圧力をかけ、企業にサプライチェーンの侵害に対する責任を負わせなければならない、と主張した。

 

結社の自由の権利はILOの労働における基本的原則および権利の1つだが、現在、世界中であまりにも多くの人々が組合加入や組合活動を理由に投獄されている。

12月10日は人権デーで、国連世界人権宣言の採択を記念する日である。この人権デーにあたり、私たちは世界中の人々に労働者の権利こそが人権であることを思い出させ、獄中の労働組合活動家全員の釈放を改めて要求する。

逮捕や投獄まで含む法的な迫害は、多くの国々の組合活動家に広がる懸念となっている。労働組合員は民主主義の最前線の擁護者である。組合員は組織化され、職場や労働者階級のコミュニティーに根ざしているので、民主主義が攻撃されれば真っ先に抵抗する――そして真っ先に迫害される――ことが多い。

現在、圧制的な政府や搾取的な使用者が共謀して組合を抑圧しており、活動家はテロや扇動、外国人連絡員、不法集会、不安の喚起、会社の財産の破壊、商業活動の妨害の罪に問われている。

この問題は一部の国々で特に深刻である。ミャンマーでは、労働組合が非合法化され、2021年2月の暴力的な軍事クーデター以降、60人を超える労働組合員が捏造された容疑で投獄されている。

「私たちは、投獄された民主主義活動家全員に対する捏造された訴えの即時撤回、刑務所内で彼らの安全衛生を確保するという強力な保証、家族のもとへの迅速かつ安全な帰還を要求する」

グローバル・ユニオン声明、2022年10月

ベラルーシの自由で独立した組合は、最高裁判所によって実質的に解散させられた。16人の組合指導者・活動家が逮捕され、裁判を待っている者もいれば、自由の制限を宣告された者もおり、少なくとも3人が警告ストと大統領の名誉毀損で懲役刑を言い渡された。組合は資産や組合員データも没収されている。

インダストリオール執行委員会は11月、独立労働組合の解散を非難し、ベラルーシで投獄されている労働組合員全員の即時釈放を要求する決議を採択した。

マダガスカルでは、1人の労働組合員が勤務先の工場で労働者に対する侵害にスポットライトを当てたために投獄されている。

現在民主化を求める抗議行動のまっただ中にあるイランでは、自由で独立した労働組合の結成を試みる労働者が頻繁に拘留されている。

労働組合活動家の逮捕や投獄は、トルコ、エジプト、コロンビアなど、その他多くの国々の労使関係にも普通に見られる特徴である。

政府による弾圧は、殺害も含めた他の犯罪を招く環境をもたらす。フィリピンでは、労働者がストライキへの参加を理由に逮捕されており、政府その他の機関が労働組合員に対する「赤札」により、テロリストのレッテルを貼って攻撃対象にし、何人かの組合員が殺害されている。

残念ながら、迫害された労働組合員はあまりにも多く、労働者の権利侵害に関するITUC年次世界労働権利指数で強調されているように、最新の指数では侵害件数が過去最高となっている。

しかし、投獄された労働組合員の釈放を求める国際連帯キャンペーンが効果を上げていることは明確である。例えばバングラデシュでは2017年、現地の事業主が奨励する政府の組合組織化取り締まりの一環として、労働組合員35人が投獄された。世界的なキャンペーンによって、政府ならびにバングラデシュから調達しているブランドに圧力をかけた結果、獄中の労働組合員全員の釈放に成功した。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「投獄された同志を支持し、圧制的な政府と、労働者の権利が侵害されている国から調達している多国籍企業の両方に圧力をかけ続ける必要がある。人権デュー・ディリジェンスの対象に労働者の権利を含め、企業にサプライチェーンの侵害に対する責任を負わせる必要がある」

 

ダイムラー・トラック世界従業員委員会、公正な移行を要求

2022-12-05

【JCM記事要約】

  • ダイムラー・トラック世界従業員委員会がドイツにて会合を開催し、参加者はサプライチェーンの制約、結果として生じる生産の制限、経済統計や雇用への影響について議論した。同委員会では人権・労働組合権に関する協力を強化し、排出のない未来への大陸を越えた公正な移行のために立ち上がることに合意した。
  • インダストリオールのゲオルグ自動車担当部長は、人権デュー・ディリジェンスへの関心の高まりを活用して労働者・組合の権利を促進すべきであり、特に労働者の基本的な権利への障害が日頃からある国々では、その障害を取り除くべく尽力しなければならない、とした。

 

ドイツで開かれた2日間の会合で、世界中のダイムラー・トラック事業から集まった組合代表が、人権・労働組合権に関する協力を強化し、排出のない未来への大陸を越えた公正な移行のために立ち上がることに合意した。

独ベルトのメルセデス・ベンツ工場で開かれた2日間の会合で、新たに設置された欧州従業員代表委員会・世界従業員委員会(EWC/WEC)のメンバーは上記の結論に達した。

「この新設機関はインダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合と協力しながら、ダイムラー・トラックの最小サプライヤーに至るまで労働者の権利を強化し、サプライチェーン全体で人権を保護するために、強力なプラットフォームを提供する」とダイムラー・トラック一般従業員代表委員会およびEWC/WECのミハエル・ブレヒト議長は言う。

EWC/WECは、全世界のダイムラー・トラック・グループで全従業員の利益を代表する。現在、従業員数に基づいて23カ国が参加しており、合計34人の代表から成る。EWC/WECはメンバーによって選ばれた議長と副議長が主導する。6人編成の理事会が欧州問題の調整に責任を負う。世界的な問題は、4人編成の執行委員会が調整する。

「ダイムラー・トラックにEWCを設置した。その対象は全世界のダイムラー・トラックだ。その結果、欧州連合域外の国も、EWC指針が直接適用されるEU諸国と同じ権利・義務を有する。私たちの見解では、これは人権・労働組合権の行使に関して傑出した機関であり、国際的関連性が最も高い」とIGメタルのラルフ・ゲッツは言う。

会合参加者は、サプライチェーンの制約、結果として生じる生産の制限、経済統計や雇用への影響について議論した。代議員は高インフレ、場合によってはエネルギー価格の急騰に懸念を示した。所得水準の低い国々の代表は、基本的な生活水準を確保するために従業員への補償を要求した。

参加者は、新規投資、特に無排気ガス車の将来の生産プログラム、雇用への影響に関する情報の必要性を主張した。ミハエル・ブレヒトによると、アメリカと中国の主導で新技術をめぐる補助金競争が新たに見られるようになっているが、欧州連合は現在のところほとんど反対していない。

人権と組合活動に対する障害が重要な議題だった。

「労働者の権利は人権なので、人権デュー・ディリジェンスへの関心の高まりを活用して労働者・組合の権利を促進すべきだ。特にトルコ、タイ、米国、一部の北部アフリカ諸国のように、基本的な組合加入権や団体交渉権に対する障害が日ごろから存在する国々で、そのような障害を除去しなければならない。」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。

「1月にドイツの新しいサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法が実施される予定で、欧州連合では第三国の人権保護と被害者保護を改善するために立法手続きが進んでいる。このEWC/WEC設置により、私たちはダイムラー・トラックの労働者代表として準備を整えている。加えて、国境を越えた連帯によって従業員の利益を代表することができる」と一般従業員代表委員会メンバーでグループ従業員代表委員会の副議長を務めるヨルグ・ロルツは言う。

ダイムラー・トラックの一般従業員代表委員会(GWC)は、ドイツで3万3000人を超える従業員の利益を代表している。GWCは経営陣と一般労働協定を結んでおり、この協定はさらにダイムラー・トラックの全労働者に適用される。GWCは任期4年で選ばれる13人のメンバーで構成されている。その基礎となっているのは事業所組織法である。

GWCの主要な問題は、雇用の維持・拡大と良好で公正な労働条件の創出である。GWCは、日常的な経済活動を超えた枠組み条件の立案や、政治・社会問題についても明確な態度を打ち出す。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

 

女性に対する暴力撤廃の国際デー

2022-11-25

【JCM記事要約】

  • 11月25日の女性に対する暴力撤廃の国際デーから16日間の活動が開始した。この活動は、世界中で女性や少女に対する暴力を防止・撤廃し、認識の向上、提言の促進、課題や解決策に関する議論の機会の創出に向けて世界的な行動を行うことを目的としている。
  • インダストリオールは、女性委員会のもとで活動を推進する、12人のメンバーからなるジェンダー平等タスクフォースを10月に設置した。インダストリオールはこの活動を成功例や優れた慣行を共有する機会として活用することや、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)とILO第190号条約に関し男性を含めた組合員を教育するよう奨励している。

 

労働組合は、女性がハラスメント事件を非難し、率直な発言を妨げる恐怖心や不名誉のような障害を克服できる安全な場を作り出す必要がある、とインダストリオール女性委員会の両共同議長と書記次長は女性に対する暴力撤廃の国際デーにあたって述べた。

11月25日の女性に対する暴力撤廃の国際デーから16日間の活動が始まり、最後に国際人権デー(12月10日)を記念する。このキャンペーンの目的は、世界中で女性や少女に対する暴力を防止・撤廃し、認識の向上、提言の促進、課題や解決策に関する議論の機会の創出に向けて世界的な行動を要求することである。

「女性や少女に対する暴力(VAWG)は、現在この世で最も広く見られる持続的かつ破壊的な人権侵害の1つであり、それを取り巻く刑事免責や沈黙、汚名、不名誉が原因で、ほとんど報告されないままになっている」

(国連ウィメン)

5年前、#MeToo運動がきっかけで、女性や少女に対する暴力の防止・対応を求めるグローバルな動員が起こった。この文脈において、2019年のILO第190号条約と第206号勧告の採択は、仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力の防止・撤廃への並外れた勢いを生み出した。多くの国々で、労働組合はフェミニストやその他の人権保護団体と同盟して、この条約の批准・実施を求めて運動している。

22カ国がILO第190号条約を批准済みで、うち13カ国が過去12カ月間に批准している。批准のペースが加速している。ITUCの予想では、2030年には50カ国がこの条約を批准しているだろう。

インダストリオール加盟組織は多くの国々で、この批准に至った運動やキャンペーンに積極的に参加した。並行してインダストリオールと加盟組織は、職場でこれらの文書の実施を求めて教育や意識向上、団体交渉、キャンペーンを実施している。

暴力行為の加害者の刑事免責を防止するために、ILO第190号条約ならびに現行の法律・協定を完全に実施する必要がある。労働組合は、女性がハラスメント事件を非難し、率直な発言を妨げる恐怖心や不名誉のような障害を克服できる安全な場を作り出す必要もある。

認識や教育の面であらゆる努力や活動を実施しているにもかかわらず、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)は、すべての産業でまだ一般的に見られる。暴力やハラスメントのない仕事の世界は、まだずっと先のことである。このGBVHとの闘いは、1年を通じて日々の闘いにしなければならない!

仕事の世界におけるGBVHとの闘いは労働組合の中核問題である。組織内で全員が努力する必要がある。GBVHへの取り組みにあたって女性を置き去りにしてはならない。暴力が繰り返されないという保証はないため、労働組合は、権利を求めて闘ったり、身を守ったりしている女性労働者・組合員を継続的に支援しなければならない。男性はただ傍観していてはならない。私たちは男性にGBVHの防止・対処への全面的参加を求める。

女性委員会の下で活動するインダストリオールのジェンダー平等タスクフォースが10月に設置された。12人編成で、うち6人が男性組合員である。このタスクフォースは、この障害へのインダストリオールの対応を補強するうえで貢献する、と私たちは確信している。

16日間の活動は、認識向上によってGBVHを強調し、職場へ出かける機会を与えてくれる。16日間の活動は運動・結集の好機である。すべてのインダストリオール加盟組織に対し、この機会を利用して職場に行き、GBVHとILO第190号条約に関して、男性を含む組合員を教育するよう奨励する。

この16日間は、インダストリオール加盟組織が成功例や優れた慣行を共有する機会にもなるだろう。障害や課題に関して意見を交換するチャンスでもある。10月に女性委員会は、インダストリオールと加盟組織によるこれらすべての継続的な努力の成果を監視し、進展を足場に既存の障害を克服する戦略を策定することの重要性を強調した。

この16日間を利用してGBVHに対する取り組みを強化し、年末までに新たな戦略やプログラムを考案しよう!

ハシュメヤ・アルサーダウィ、イルバナ・スマイロビッチ両インダストリオール女性委員会共同議長、

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長

 

マレーシアの組合と市民社会組織、移民労働者の権利保護で協力

2022-11-24

【JCM記事要約】

  • 11月3-5日、インダストリオールは「電子産業の移民労働者」と「組合の組織化戦略と改善メカニズム」をテーマにマレーシアにて会合を開いた。会合ではマレーシアの電子産業における組合の組織化能力の強化や、虐待を可能にしているマレーシアの規制慣行の改革について議論された他、参加者は改善メカニズムについて、市民社会とのギャップを埋めたうえで相互協力に繋げるべきだ、と結論付けた。
  • インダストリオールのアレクサンダーICT電機・電子担当部長は、労働組合は移民労働者の権利を守る上で重要な役割を担っているとし、今後も他の労働組合やNGO、市民社会組織との同盟構築によって加盟組織の支援を継続していく、とした。

 

11月3-5日にマレーシアのペタリンジャヤで、労働組合と移民労働者組織がインダストリオール、イギリスの組合UNISONおよびエレクトロニクス・ウォッチと会合を開き、電子産業の移民労働者・組合の組織化戦略と改善メカニズムについて議論した。

公式データによると、マレーシアでは2019年に198万の移民労働者が雇用されており、その多くがインドネシア(およそ70万人)、ミャンマー(14万人)、フィリピン(5万2000人)の出身だった。

移民労働者は低賃金や劣悪な労働・生活条件のような虐待に苦しんでいることが多い。賃金が少なすぎて生活できず、借金を返済して生き残るために残業している状況で、本国への送金額はリクルーターが約束した金額より少ない。移民労働者は失業や国外追放を恐れて沈黙を保っている。

会合では、バングラデシュ、インドネシア、ネパール、ミャンマー、フィリピン、台湾、マレーシアなど、送り出し国と受け入れ国の労働組合員・活動家25人が、労働者の組織化や、サプライチェーンの不公正に苦しんでいる労働者のための実際的な改善手段の開発を検討した。

会合の第1部では、マレーシアの電子産業における組合の組織化能力の強化や、同国の移民労働者の組織化に特有の課題に焦点を当てた。第2部では、労働者主導の改善原則を考案し、公的バイヤーの支援を受けてそれらの原則を実行できそうな方法を調査した。

より多くの移民労働者を労働組合に組織化し、労働協約の下で保護すべきである。参加者は、使用者に虐待されている労働者との連帯を表明し、彼らの権利を保護するためにステークホルダー間の協力を強化することを約束した。

「労働組合は、移民労働者と公正を得る彼らの権利を守るうえで極めて重要な役割を果たす。マレーシアで移民労働者も含めた労働者を組織化する加盟組織の能力は重要であり、私たちは他の労働組合やNGO、市民社会組織との同盟構築によって今後も彼らを支援していく」とアレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子担当部長が述べた。

参加者はマレーシアの現行改善メカニズムの欠点に検討を加え、虐待を可能にしている規制慣行(特定の使用者に結びつけられた労働許可、包括的な渡航前・到着後訓練の欠如など)の改革を提案した。マレーシアで、虐待があった場合の柔軟な労働許可制度を導入すべきことについても合意した。組合指導者は、結社の自由に対する権利および団体交渉権を認識させるために到着後に移民労働者向けのブリーフィングを行い、産業別組合も参加させるよう政府に要請していることを説明した。

参加者は改善をめぐる議論で、移民労働者組織だけを改善プロセスに関与させるべきではなく、効果的なプロセスによって市民社会とのギャップを埋め、相互協力につなげなければならないという点で意見が一致した。

労働組合は、エレクトロニクス・ウォッチ傘下の公共部門機関に供給しているエレクトロニクス工場で、移民労働者を組織化し代表している。加盟公共機関は、それらの工場から購入しており、公的調達の過程で労働者の基本的権利の尊重を確保しなければならない。したがって、それらの機関が影響力を行使し、違法な労働者搾取や労働組合活動への干渉の根絶を支援することが非常に重要である。

「労働者の権利における公的調達の役割は、あまりにも長い間活用されてこなかった。公的調達機関には全体として十分な購買力があり、多国籍企業に圧力をかけて反組合的慣行をやめさせ、労働権の尊重を奨励することによって、労働協約の数を増やし、すべての労働者の労働条件を改善することができる。そして、エレクトロニクス・ウォッチ・モデルは官民両部門の組合に、部門の垣根を越えて協力し、単独では達成できない大きな成果を上げる重要な機会を提供する」とジェンマ・フリードマンUNISON国際役員は述べた。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

 

 

 

 

 

COP27交渉大詰めも合意に至らず

2022-11-18

【JCM記事要約】

  • 現在開催されているCOP27では、温室効果ガス排出の削減やネットゼロへの移行の資金を供給すること等の分野について詳細を詰めることに重点を置いているが、これらの措置に対してほとんど進展が見られないのが現状である。
  • 労働組合活動家は多くのセッションに参加しており、パネルとして参加したインダストリオールのダイアナ・エネルギーと公正な移行担当部長は、再生可能エネルギーにおける雇用拡大の可能性について触れた他、南アフリカとインドネシアで締結された公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)については実施を監視し、労働者が取り残されないようにしていく、と述べた。

 

COP27は11月18日金曜日に終わる予定だが、進展が遅く、週末まで交渉が続きそうである。労働組合代表団は、公正な移行の約束を守らせることに集中している。

本稿執筆時点で、カバー決定の第1草案(政治声明の概略)が発表されており、原文の「プレースホルダー」という語が明らかな見解の相違が数多くあることを示している。

昨年グラスゴーで開催されたCOP26では、注目を集める発表がいくつかあった。すなわち、公正な移行宣言最初の公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)グラスゴー気候合意であり、各国に改善後の目標の年内提出を求めている。

COP27は実施のCOPと宣伝され、劇的な発表は少なめで、これまでの約束の詳細を仕上げることに重点を置いている。主な交渉分野は以下のとおり。

  • 緩和:温暖化を1.5度に抑えるために温室効果ガス排出を削減
  • 適応:例えば洪水防止への資金供給によって気候変動に適応
  • 資金:ネットゼロへの移行の資金を供給
  • 損失と損害:国や地域社会に気候損失を補償

これらの措置の大部分に関して、ほとんど進展がない。世界各国は2030年までに排出を45%削減する必要がある。現在、この率を10%引き上げようとしており、排出は2022年に最高記録に達した。資金に関しては、先進諸国が約束した年間1000億米ドルというすでに不十分な金額が満たされておらず、利用可能な資金の大半が融資の形を取っている。

損失と損害についても合意に達しておらず、ジョン・ケリー米国気候担当大統領特使は、アメリカ(排出の40%を占める)は責任を負わないと発表している。

COP26ではグリーンゾーンの外でもう1つのCOPとして市民団体から活発な参加があったが、それと違ってCOP27は抑圧的な状況の中で行われており、多くのエジプトの気候活動家が投獄されて参加できず、代表団が治安当局に見張られている。労働組合は会合の安全確保に注意しなければならない状況にある。

交渉が行われている全体会議の外で、労働組合は各国代表団に対するロビー活動に力を入れ、原文に労働者を支持する文言を盛り込ませ、実際的な実施を確保しようとした。特定の関心分野は、企業や国など多くのステークホルダーが「公正な移行」という言葉を勝手に取り入れ、脱炭素化に対する補償を要求するために使っていることである。

組合活動家は多くのセッションに介入、公正な移行を正しく定義し、組合との社会的対話によって達成された移行とするよう要求した。インダストリオール・グローバルユニオンのエネルギーと公正な移行担当部長のダイアナ・ジュンケラ・キュリエルが、この点を強調するためにいくつかのパネルで発言した。

ジュンケラはRevierwendeおよびドイツの組合連合会DGBとのパネルで演説し、国連が監督する企業とのグローバルな公正な移行協定の概念を紹介した。彼女はIRENAとのパネルでも再生可能エネルギーにおける雇用拡大の可能性について話した。

 

組合は南アフリカJETPの進展も注意深く監視した。このプロジェクトの第1段階が現在進行中で、コマティ発電所を閉鎖し、失業を出さずに同じ現場で再生可能エネルギーに切り替える作業が進んでいる。このプロジェクトの目的は、石炭から再生可能エネルギーへの移行に資金を供給することによって、南アフリカの排出を大幅に削減することである。公正な移行枠組みが導入されており、インダストリオールは非常に密接に実施を監視していく。

今週バリのG20でインドネシアと200億米ドルのJETPが締結された。

ダイアナ・ジュンケラ・キュリエルは次のように述べた。

「これらのJETP――特に南アフリカ・コマティの最初の実例――の実施を非常に密接に見守っていく。バリューチェーンの全労働者のための真の公正な移行によって、このプロジェクトが成功すれば、世界中で模倣される気候資金への経路を示すことになる。失敗すれば信用されなくなり、これまで以上に目標が遠のいてしまう」

「私たちはインドネシアと南アフリカの加盟組織を団結させ、労働者が取り残されないようにするために経験と戦略を共有することを目指している」

 

インダストリオール執行委員会、グローバルな課題に向けての戦略を策定

2022-11-17

【JCM記事要約】

  • 11月15~16日、ジュネーブにてインダストリオール執行委員会が開催された。委員会では、女性委員会やGFA作業部会の報告、ウクライナやベラルーシでの問題、サプライチェーンとデュー・ディリジェンスにおける労働組合戦略に関する議論が行われた他、不平等と生活費危機との闘いに関して、加盟組織が実施した行動も発表された。
  • インダストリオールは来年6月に、南アフリカにて中間政策会議を開催するが、同会議では本日議論されたプログラム案のもと、前回の第3回インダストリオール世界大会以降の達成状況と、労働者の権利を求める闘いを促進するための主要問題を調べる予定である。

 

インダストリオールは11月15-16日にジュネーブで、COVID発生後初の対面による執行委員会を開催した。サプライチェーン、デュー・ディリジェンス、グローバルな連帯における組合の重要な役割が、興味をそそる議論の主題だった。

イェルク・ホフマン・インダストリオール/IGメタル会長が開会の挨拶に立ち、ブラジルのルーラの勝利はすべての人の勝利だと述べた。

「世界中でいくつかの危機に直面しており、組合としての私たちの強さは、国際レベルでどうやって力を強化できるかにかかっている。もっと多くの労働者を組織化する必要がある。その強さによって、私たちは労働者の利益を攻撃している資本への対抗勢力になる」

エジプトのCOP27は2週目に入っており、インダストリオールは現地で、全レベルの交渉において公正な移行基準を確保すべく尽力している。

「エジプトでは、国際労働機関パビリオンは公正な移行パビリオンと呼ばれており、私たちが注いだ労力、それを議題に盛り込むうえで収めた成功の証拠となっている」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

「損失と損害に関する明確なロードマップと、富裕国・貧困国間でより公正なコスト配分を生み出す制度的な財政枠組みが必要だ」

イラクのハシュメヤ・アルサーダウィが今月開かれた女性委員会から報告し、ジェンダー・タスクフォースの設置、ジェンダー平等の促進、グローバル・サプライチェーンのデュー・ディリジェンスに重点を置いた。

グローバル枠組み協定(GFA)に関して、クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長が作業部会での議論を発表した。インダストリオールは過去10年間に多数のGFAを締結し、GFA実施を監視・評価するための手段を開発してきた。

「GFA実施における最大の課題はサプライチェーンにある。私たちはGFAを理解し、使用者からの反発に対抗するために組合の力を構築するうえで、認識を高める必要がある」とクリスティン・オリビエは述べた。

戦争が続いているため、ウクライナでは約1800万人が人道援助を必要としている、とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が執行委員に語った

9カ月に及ぶ戦争でウクライナの人々が略奪や暴力、強姦の犠牲になり、ミサイルが再びキーウに降り注いでいることを受けて、ワレリー・マトフ・ウクライナ原子力・産業労組会長が、ロシア軍がウクライナ最大の原子力発電所に到達していることについて懸念を表明した。

ウクライナ自由労働組合総連盟のミハイロ・ボリネッツ議長が、同国のエネルギー・インフラが破壊されている状況を緊急事態と表現した。

イェルク・ホフマン・インダストリオール会長が全加盟組織に対し、戦争開始から9カ月、依然としてニーズが大きいため、ウクライナへの具体的な支援を続けるよう促した。

ベラルーシのインダストリオール加盟組織は最高裁判所によって解散させられた。執行委員会は、独立労働組合の解散を非難し、ベラルーシで投獄されている労働組合員全員の即時釈放を要求する決議を採択した。

韓国の組合は労働組合法を改正しようとしている。11月12日、ソウルの街頭に9万人の労働者が集まり、労働法を要求した。インダストリオール執行委員会は、韓国の国会にILO第87号条約および第98号条約実施法案の可決を求める決議を採択した。

労働権の侵害を含む人権侵害が増えており、強力な規制によってサプライチェーンにおける侵害に対処し、これを防止する必要がある。任意の行動規範やその他の一方的なアプローチはまったく信用できない。

執行委員会はサプライチェーンとデュー・ディリジェンスに関する労働組合戦略に検討を加え、ケマル・ウズカンが透明なサプライチェーンと労働組合の関与の必要を強調した。

「結社の自由、団体交渉、安全衛生を守るために、労働者・組合が全面的に関与する必要がある。デュー・ディリジェンスは、組合が主な目標、すなわち労働者の権利・利益の擁護と促進を達成するための重要な手段だ」

インダストリオールは来年6月、南アフリカで中間政策会議を開催する。この会議では2021年9月の第3回インダストリオール大会以降の達成状況と、労働者の権利を求める闘いを促進するための主要問題を調べる。執行委参加者はプログラム案をめぐって活発に議論した。

松﨑寛インダストリオール書記次長が、不平等と生活費危機との闘いに関するインダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の共同作業の一部として、加盟組織が9月と10月に実施した行動を発表した。フィリピン、バングラデシュからタンザニア、ペルーに至る国々の組合が、より良い未来を要求するために行動を起こした。

「すべての場所の労働者が生活費危機に直面しており、急激なインフレとエネルギー費の上昇に賃上げが追いついていないうえに、組合と労働者の権利が攻撃されている」と松﨑寛は述べた。

「1年を通して行動を拡大し、追加払いの時であることを主張し続けている」

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

 

 

よりグリーンな未来に向かって機械エンジニアリング労働者を先導

2022-11-16

【JCM記事要約】

  • 11月10日に開催された機械エンジニアリング部門のオンライン会合に世界中から70人以上が参加し、同部門の調査報告書や将来の労働組合活動への影響、成長しているグリーンテック・セグメントにおける組織化・キャンペーンの可能性について議論を行った。
  • インダストリオールのマティアス部門担当部長は、グリーンな未来に向けて変化を受け入れ、組合員を導いてその変化を乗り切らせることが重要だ、とした。また会合にて参加者は、グリーン化への移行が公正なものでなければならないとし、2020年に採択されたグリーンテック宣言の立場を再確認した。

 

11月10日に世界中から70人以上が集まってオンライン会合を開き、機械エンジニアリングにおけるグリーンテクノロジー関連の課題と機会などについて議論した。

参加者は、2021年後半の調査報告書と部門における将来の労働組合活動への影響、成長しているグリーンテック・セグメントにおける組織化・キャンペーンの可能性をめぐって討議した。ウクライナの戦争は、特にサプライチェーンで混乱を引き起こすことによって、世界の多くの地域でこの部門の経済情勢に影を投げかけている。

インダストリオールにとって、この部門のグリーンテック活動は、2021年大会で採択された戦略目標に従って公正な移行に取り組み、持続可能な産業政策を策定する全体的戦略の一部である。

「グリーンテックは機械エンジニアリングの未来を表しており、デジタル化と密接に関連している。私たちは未来のスマート工場で活動するために、二重の難題に立ち向かっている。最も有望なアプローチは、変化を受け入れ、組合員を導いてその変化を乗り切らせることだ。私たちは組合員のより良い未来に取り組むためにここにいる」とマティアス・ハートウィッチ部門担当部長が述べた。

オーストリアのインダストリオール加盟組織Pro-Geの会長を務めるライナー・ウィンマー共同部会長が次のように述べた。

「私たちは5年前、グリーンテックの詳細な調査を開始した。2019年のシュトゥットガルト世界会議ではグリーンテックを主要テーマにした。個々の国や地域から多くの情報を得ている。シンデックスとともに科学的研究を委託した。今度は、私たちの力でこの知識を現場に導入し、グリーン雇用が良質な雇用になるようにしたい」

この会合は、エジプトでCOP27が進行している中で開かれ、すべての議論で工業生産グリーン化の緊急性を強調した。参加者は、この移行が公正な移行でなければならないことに合意し、2020年11月に採択されたグリーンテック宣言の立場を再確認した。

宣言によると、この部門の加盟組織には以下の意思がある。

  • 特にグリーンテックとデジタル化、関連する事態の展開に焦点を当てて、この部門の影響を受けた加盟組織間で新しい傾向をめぐる意見交換を促進する。
  • 組合オルグや従業員代表委員会向けの訓練を組織し、グリーンな職場で新規従業員に接触して勧誘するための新しい方法、戦略およびサービスを立案する。
  • 若年労働者と女性を関与させる。
  • 組織化と勧誘を通して、影響を受けた部門で組合の力を高めるための努力を強化する。

 

COP27は万人のための公正な移行を実現せよ

2022-11-11

【JCM記事要約】

  • エジプトで開催されているCOP27は4日目を迎えており、公正な移行の資金調達が議論の中心となっている。気候変動の対応に関し結果を出すためには多くの資金が必要であり、地球温暖化の大きな原因となっている多くの排出をするグローバルノースの先進工業国は、公正な移行のための資金を支払うよう求められているが、先進国が消極的であるため十分な資金は調達できていない。
  • COP27では、労働組合は全ての交渉に公正な移行基準を盛り込ませようと取り組んでいる。インダストリオールのダイアナ・エネルギー担当部長は、気候変動の悪影響を受ける人々が解決法を保障され、労働組合として誰も置き去りにすることのないよう、万人のための公正な移行を確保しなければならない、と強調した。

 

COP27開幕からまだ4日だが、ことあるごとに公正な移行という言葉が目や耳に入ってくる。労働組合はCOP27で、政府・使用者は労働者と協議せずに移行を計画するのであれば、労働運動が作ったこの言葉を使ってはならない、ということをはっきりさせている。

パリ協定によって設定された目標に遠く及ばない状況にあるため、今年のCOPには目標達成への多大な圧力がかかっている。地球温暖化が悪化しており、移行の資金調達が議論の中心にある。

気候資金に関する新規合同数値目標(NCQG)は、2024年までに確定させなければならず、グラスゴーで設定された1000億米ドルの気候資金目標に取って代わることになっている。いずれにしても本気で達成するには数兆米ドルを見込まなければならないことは明白である。

地球温暖化の大きな原因となっている排出国であるグローバルノースの先進工業国は、この移行のコストの支払いを求められている。しかし、すぐに腰を上げない先進諸国との協議が遅々として進まないため、十分な資金は到底達成できそうにない。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動関連の科学を評価するための国連機関である。2022年のIPCC報告によると、

  • 気候への影響は全世界で予想以上にひどい。
  • 短期的に気候変動の影響はさらにひどくなる。
  • 気温上昇に伴って急速にリスクが高まり、気候変動が取り返しのつかない影響をもたらす。
  • 不公平、紛争、開発の課題が気候リスクに対する脆弱性を高めている。
  • 適応が重要であり、実行可能な解決策がすでに存在するが、脆弱な地域社会に手を差し伸べるためにもっと多くの支援が必要である。
  • 気候変動の影響の一部はすでにあまりにも深刻であるため適応できず、損失と損害に取り組むために今すぐ緊急行動が必要である。

IPCCは、世界各国が低炭素未来に移行し、1.5℃を超える温暖化を回避するには、全世界ですべての資金源からの年間投資をはるかに増やす必要があるとも推計している。

今年のCOPは、アフリカの気候課題に取り組んで気候資金についての期待に応えなければならないため、「アフリカのCOP」とも呼ばれる。

アフリカは課題を抱えているが、移行は可能である。だが、どのように実行するか。経済は現在、天然資源の開発に基づいている。環境的に持続可能な生産への投資によって、より多くのディーセントな雇用を創出するために、公正な移行に目を向けることが鍵である。

アフリカでは6億人がエネルギーを利用できないため、アクセス改善が鍵である。アフリカで地域社会の福祉を改善するために、エネルギー、農業、輸送の各分野で再生可能技術に焦点を当てる必要がある。

開幕から1週間も経っていないが、労働組合は、全レベルの交渉に公正な移行基準を盛り込ませようと必死で取り組んでいる。閣僚や政府代表を中心に結集することが重要である。組合が力を入れている主な分野は、気候資金調達、損失・損害、対応策、緩和である。

「パリ協定の約束が実施され、気候変動の悪影響を最も大きく受ける人々が真の解決策を保証されるようにしなければならない。労働者は気候やエネルギー、価格危機の代価を払うことができず、私たちは労働組合として、万人のための公正な移行を確保しなければならない。誰も置き去りにすることはできない」とダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・インダストリオール・エネルギー担当部長は述べた。

COP27はエジプトで開催されている。木曜日の朝にデモが行われ、全員が獄中の活動家と連帯して白い服を着た。

英国系エジプト人のアラー・アブドル=ファタは、ほぼ10年前に虚偽情報拡散の罪でエジプト当局によって投獄された。彼は何カ月も前からハンガーストライキに入っており、日曜日、COP27開催中に自分の闘いと同じような権利擁護活動家の闘いに関心を引くために水を飲むのもやめた。

「人権侵害は私たちが取り組むべき仕事であり、私たちの仕事の中心にある。基本的人権・労働権に専念する強力な民主主義国家がなければ、公正な気候目標を達成するための闘いは不可能だ!」とシャラン・バロウITUC書記長は述べた。

 

インダストリオール、ジェンダー平等タスクフォースを設置

2022-11-19

【JCM記事要約】

  • 10月26~27日、インダストリオール・女性委員会がオンラインで開催された。委員会では、将来の賃金平等ツールキットの発表や、ジェンダー変革的な人権デュー・ディリジェンス(HRDD)に関する議論等が行われたが、最重要点はジェンダー平等タスクフォースについてであり、今回の委員会にて12人のメンバーが確認された。
  • また委員会ではインダストリオール本部より、ジェンダー平等を促進するインダストリオール2023年アクション・プランが発表された。同プランでは、ILO第190号条約の批准・実施を求めるキャンペーンやHRDDと公正な移行に関する議論や活動を推進する。参加した加盟組織は、若い女性向けの指導教育プログラムの必要性を訴えた。

 

インダストリオールと加盟組織は10月26-27日にオンラインで女性委員会を開いた。会合の最重要点は、インダストリオール・ジェンダー平等タスクフォースの構成の承認だった。ジェンダー・タスクフォースのメンバー12人の確認により、新しいインダストリオール機関の設置が完了する。その最初の任務は、産業と労働組合におけるGBVH、性差別および女性蔑視の根絶を目指す方針の策定である。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長が委員会メンバーを前に次のように述べた。

「インダストリオールがジェンダーに対応した行動・方針を策定するよう確保することが重要であるため、女性委員会での議論はデュー・ディリジェンスと公正な移行を優先している。女性は常に災難の影響を最も大きく受ける。私たちはウクライナの戦争を強く非難し、再建を支援する解決案を見つけたいと考えている」

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長が述べた。

「ウクライナの戦争が続いており、私たちの闘いを加速させている。インフレが高進し、女性がほとんど保護されていない。私たちは成果を上げ、女性が安全に話せる場所を持てるようにするために前進し続けており、それに関して自賛しなければならない」

ジェンダー専門家のジェーン・ピリンジャーが、インダストリオールの将来の賃金平等ツールキットを発表した。この資源は、賃金平等が重要な労働組合・職場問題である理由、団体交渉への賃金平等の導入、インフォーマル部門の労働者保護に焦点を当てている。

ビジネスと人権専門家のリズ・ウムラスが、ジェンダー変革的な人権デュー・ディリジェンス(HRDD)について委員に話し、デュー・ディリジェンスの必要性を強調した。しかし、既存の手段はジェンダーに配慮したアプローチの開発に十分役立っていない。労働組合には、サプライチェーンでジェンダー平等を促進するために果たすべき重要な役割がある。投資家はジェンダー平等への関心を強めている。

パネルディスカッションでは、3つの部門と、ジェンダー主流化に関する各部門の活動に焦点を当てた。フランスFOメタル、カナダUSWおよびインダストリオール南アジア地域事務所から参加した講演者が、女性がICT電子の技術・工学STEM職に就くよう奨励する方法、GBVHとの闘いとブランドのサプライヤー向けのセクシャル・ハラスメントに関する行動規範の策定を促進するうえでH&MとのGFAがもたらした有益な結果、鉱業部門などの労働組合が公正な移行に関する議論にジェンダー平等を統合する方法を強調した。

鉱業、衣料、繊維、ICT電子部門のインダストリオール担当部長が、差別とジェンダー賃金格差、GBVH、職務分離、組合機構・指導部における代表不足など、女性の課題について議論した。担当部長たちは、女性を保護・育成するために確立されている戦略も発表した。例えば、衣料部門の女性労働者の生活賃金を設定する産業別交渉、この部門で何千もの女性の安全を確保しているバングラデシュ協定のような協定の取り決め、部門別女性機構の設立、加盟組織がOHSへのジェンダー対応を策定するための手段の開発である。

ジェンダー平等を促進するインダストリオール2023年アクション・プランが発表された。ILO第190号条約の批准・実施を求めるキャンペーンを続ける。全員がこれらのキャンペーンの結果を注意深く監視する。HRDDと公正な移行に関するインダストリオール行動におけるジェンダー主流化をめぐって、さらなる議論や活動を組織していく。加盟組織は、すべての部門で女性を育成するために、若い女性向けの指導教育プログラムの必要性を主張した。書記局は、このニーズに対応するプロジェクトの構築に取り組んでいる。