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第155号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年2月1日)

COP27交渉大詰めも合意に至らず

2022-11-18

【JCM記事要約】

  • 現在開催されているCOP27では、温室効果ガス排出の削減やネットゼロへの移行の資金を供給すること等の分野について詳細を詰めることに重点を置いているが、これらの措置に対してほとんど進展が見られないのが現状である。
  • 労働組合活動家は多くのセッションに参加しており、パネルとして参加したインダストリオールのダイアナ・エネルギーと公正な移行担当部長は、再生可能エネルギーにおける雇用拡大の可能性について触れた他、南アフリカとインドネシアで締結された公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)については実施を監視し、労働者が取り残されないようにしていく、と述べた。

 

COP27は11月18日金曜日に終わる予定だが、進展が遅く、週末まで交渉が続きそうである。労働組合代表団は、公正な移行の約束を守らせることに集中している。

本稿執筆時点で、カバー決定の第1草案(政治声明の概略)が発表されており、原文の「プレースホルダー」という語が明らかな見解の相違が数多くあることを示している。

昨年グラスゴーで開催されたCOP26では、注目を集める発表がいくつかあった。すなわち、公正な移行宣言最初の公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)グラスゴー気候合意であり、各国に改善後の目標の年内提出を求めている。

COP27は実施のCOPと宣伝され、劇的な発表は少なめで、これまでの約束の詳細を仕上げることに重点を置いている。主な交渉分野は以下のとおり。

  • 緩和:温暖化を1.5度に抑えるために温室効果ガス排出を削減
  • 適応:例えば洪水防止への資金供給によって気候変動に適応
  • 資金:ネットゼロへの移行の資金を供給
  • 損失と損害:国や地域社会に気候損失を補償

これらの措置の大部分に関して、ほとんど進展がない。世界各国は2030年までに排出を45%削減する必要がある。現在、この率を10%引き上げようとしており、排出は2022年に最高記録に達した。資金に関しては、先進諸国が約束した年間1000億米ドルというすでに不十分な金額が満たされておらず、利用可能な資金の大半が融資の形を取っている。

損失と損害についても合意に達しておらず、ジョン・ケリー米国気候担当大統領特使は、アメリカ(排出の40%を占める)は責任を負わないと発表している。

COP26ではグリーンゾーンの外でもう1つのCOPとして市民団体から活発な参加があったが、それと違ってCOP27は抑圧的な状況の中で行われており、多くのエジプトの気候活動家が投獄されて参加できず、代表団が治安当局に見張られている。労働組合は会合の安全確保に注意しなければならない状況にある。

交渉が行われている全体会議の外で、労働組合は各国代表団に対するロビー活動に力を入れ、原文に労働者を支持する文言を盛り込ませ、実際的な実施を確保しようとした。特定の関心分野は、企業や国など多くのステークホルダーが「公正な移行」という言葉を勝手に取り入れ、脱炭素化に対する補償を要求するために使っていることである。

組合活動家は多くのセッションに介入、公正な移行を正しく定義し、組合との社会的対話によって達成された移行とするよう要求した。インダストリオール・グローバルユニオンのエネルギーと公正な移行担当部長のダイアナ・ジュンケラ・キュリエルが、この点を強調するためにいくつかのパネルで発言した。

ジュンケラはRevierwendeおよびドイツの組合連合会DGBとのパネルで演説し、国連が監督する企業とのグローバルな公正な移行協定の概念を紹介した。彼女はIRENAとのパネルでも再生可能エネルギーにおける雇用拡大の可能性について話した。

 

組合は南アフリカJETPの進展も注意深く監視した。このプロジェクトの第1段階が現在進行中で、コマティ発電所を閉鎖し、失業を出さずに同じ現場で再生可能エネルギーに切り替える作業が進んでいる。このプロジェクトの目的は、石炭から再生可能エネルギーへの移行に資金を供給することによって、南アフリカの排出を大幅に削減することである。公正な移行枠組みが導入されており、インダストリオールは非常に密接に実施を監視していく。

今週バリのG20でインドネシアと200億米ドルのJETPが締結された。

ダイアナ・ジュンケラ・キュリエルは次のように述べた。

「これらのJETP――特に南アフリカ・コマティの最初の実例――の実施を非常に密接に見守っていく。バリューチェーンの全労働者のための真の公正な移行によって、このプロジェクトが成功すれば、世界中で模倣される気候資金への経路を示すことになる。失敗すれば信用されなくなり、これまで以上に目標が遠のいてしまう」

「私たちはインドネシアと南アフリカの加盟組織を団結させ、労働者が取り残されないようにするために経験と戦略を共有することを目指している」

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