広報ニュース

第156号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年2月15日)

スリランカの債務免除を公に要請

2023-01-16

【JCM記事要約】

  • スリランカのインダストリオール加盟組織は、金融危機に見舞われ貧困が拡大し国民の栄養失調が悪化している状況の中、同国の債務免除を求めるべく国際支援の拡大を呼び掛けている。また、加盟組織は政府に対し、食品にかかる間接税・直接税の即時撤回や、電力とエネルギーの関税引き上げの即時停止等を要求している。
  • インダストトリオールのケマル書記次長は、労働者が食事も満足に取れないような状況の中では、国際社会が債務帳消しによって支持を表明するべきであり、インダストリオールとして加盟組織の要求を支持・支援していく、とした。

 

2023年2月15日:スリランカのインダストリオール加盟組織は、この国が最悪の金融危機に見舞われる中で債務帳消しを要求している。
                                                      

世界中で180人以上の経済学者や開発専門家がスリランカの債務帳消しを求めている動きに呼応して、インダストリオール加盟組織は、これはスリランカが単独で解決できる問題ではないため、すべての2国間、多国間および民間の貸し手が再構築の負担を分かち合うよう要求しており、国際的な支援・連帯の拡大を呼びかけている。

スリランカへの主要な貸し手はアジア開発銀行、日本、中国、世界銀行などである。国際通貨基金(IMF)、世界的な労働者団体、労働者の権利を擁護する団体に書簡を送った。

「スリランカを対外債務危機から直ちに救済する必要があるIMFは貸し手に接触し、この国を助けるために責任あるフォーラムを設置しなければならない。スリランカの労働者階級は悲惨な状況にある。残念ながら、政府は2023年度予算で貧困層を救済しなかった」と自由貿易地域・一般サービス従業員組合のアントン・マークス共同書記は言う。

インダストリオールが開催した連帯会合で、加盟組織は、貧困の拡大、子どもの栄養失調の増加、耐え難い経済的苦難による学校の退学についてなどの懸念を表明した。

加盟組織は政府に以下を要求している。

  • すべての不可欠な食品にかかる間接税・直接税の即時撤回
  • 電力とエネルギーの関税引き上げの即時停止
  • 経済改革のための全国政労使協議会の設置

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「インダストリオールはスリランカの加盟組織をしっかり支え、要求を全面的に支持する。生活費の急上昇が重くのしかかる中で労働者が12回の食事も取れない国のために、国際社会が債務帳消しによって支持を表明するときだ」

2022年にスリランカで行われたデモの写真

 

インドネシアの組合、オムニバス法に代わる緊急規制を拒絶

2023-01-13

【JCM記事要約】

  • インドネシアの憲法裁判所によって違憲と判断されたオムニバス法について、これに代わる雇用創出に関する緊急規制が12月末に制定された。しかし、この緊急規制は組合の要求を満たしておらず、むしろ労働者の権利を侵害する恐れがあるとしてインダストリオール加盟組織は緊急規制を非難。
  • インダストリオール東南アジア地域事務所・岩井所長は、緊急規制について、労働者の懸念を考慮に入れるべきだと同国政府を非難し、インダストリオールとして、労働者の権利に悪影響をもたらす反労働者的な規制と闘うインドネシアの加盟組織への支援を継続する、とした。

 

2023年1月13日:インドネシアのインダストリオール加盟組織は、昨年12月に大統領が制定した雇用創出法(Perppu)に代わる緊急規制を非難している。この規制は組合の要求を満たしていない。
                                                      

論争の的となっているオムニバス法(正式名称は雇用創出法)は、2020年10月に議会で可決されたが、インドネシアの憲法裁判所によって違憲と判断された。

ジョコ・ウィドド大統領は2022年12月末、2023年に世界同時不況のリスクに取り組むという名目で、労働者の権利を犠牲にして外国からの投資を増やすために、オムニバス法に代わる雇用創出に関する緊急規制を制定した。

インドネシア労働組合総連合(KSPI)、全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)、インドネシア統一労働者総連合(KPBI)などは、インドネシア労働党とともに新しい規制を拒絶している。

組合と労働党の主張によれば、この規制には知事に最低賃金を決定する自由裁量権を与える条項が盛り込まれている。例えば、「することができる」という語の挿入、漠然とした可変インデックス、異なる方式を採用する知事の権限は、最低賃金規制の対象から特定の産業を除外したり、労働者の権利を侵害したりする恐れがある。

「この緊急規制は組合の要求を満たしていない。私たちは、外部委託や解雇手当、外国人労働者の採用、使用者に対する刑事制裁など、労働者に損害を与える9つの不利な条件に基づく内容を拒絶する」とインダストリオール・インドネシア協議会のイワン・クスマワン議長は言及。

組合と労働党は1月14日に大統領官邸で集会を計画している。インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI)はPerppuを憲法裁判所に持ち込んだ。

「私たちはインドネシア政府に対し、インドネシアの組合が非難している緊急規制の取り消しを強く促している。政府は憲法裁判所の判決を尊重し、労働者の懸念を考慮に入れるべきだ」と岩井伸哉インダストリオール地域事務所所長は言及。

「インドネシアの加盟組織は雇用創出法導入時から反対運動を展開しており、多数のデモを開くとともに、憲法裁判所で司法審査を申し立て、議員に支援を求めている。インダストリオールは、労働者の権利に悪影響をもたらす反労働者的な規制と闘うインドネシアの加盟組織を支援し続ける」

第3回インダストリオール大会は、インドネシア政府に雇用創出法の取り消しを求める決議を可決した。

                                

 

 

 

 

 

KMWU、労働法改革を要求

2022-12-20

【JCM記事要約】

  • 韓国金属労組(KMWU)・ナショナルセンターKCTU・運輸労組の組合指導者が、使用者が労働者にストの損害賠償を請求する風潮があることを受け、韓国政府に対し団体交渉権とスト権の効果的な承認のための法律改正や、2021年4月に批准されたILO第87号条約および第98号条約の実施を求めている。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、ストの損害賠償を求めるべく組合員へ訴訟を起こしている企業を非難し、韓国政府は法律と慣行を国際基準に従わせるべきだ、と主張した。

 

2022年12月20日:11月末から韓国ソウルの国会前で、いてつく寒さのなか何人かの組合指導者がハンガーストライキに入り、使用者が労働者にストの損害賠償を請求する風潮を断つために労働法改革を要求している。
                                                      

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の韓国金属労組(KMWU)、ナショナルセンターKCTUおよび運輸労組の組合指導者は韓国政府に対し、改正された労働組合・労使関係法の第2条および第3条と、2021年4月に批准されたILO第87号条約および第98号条約の実施を求めている。

KMWUは、韓国政府が労働者と使用者の定義を拡大し、下請労働者に元請使用者と交渉する法的根拠を保証するよう要求している。労働者のスト権を尊重するためにも同法を修正しなければならない。

極めて厳しい現行労働法の結果、KMWU造船下請労働者支部出身の選出議員5人が、今年の夏のストを理由に元請使用者から470億韓国ウォン(3600万米ドル)の損害賠償訴訟を起こされている。

「ストの損害賠償で使用者に訴えられた労働殉教者Bae DalhoとKim Joo-ikの焼身自殺、2009年の双竜自動車労働者のストに対する損害賠償訴訟、2022年の大宇造船下請労働者のストに対する損害賠償請求を私たちは忘れていない。無数の労働者が死に追い込まれ、民主的組合が破壊された」とハンガーストライキ参加者の1人であるユン・チャンヒョクKMWU委員長は言う。

「ILO第87号条約および第98号条約の批准により、この状況に終止符を打たなければならない。韓国政府に対し、団体交渉権とスト権の効果的な承認のために法律を修正するよう求める」

「スト実施に対する天文学的な額の損害請求は卑劣だ。インダストリオールは、大宇造船海洋とハンファグループが労働組合員に対する訴訟を直ちに取り下げ、韓国政府が法律と慣行を国際基準に従わせることを求める。ILOで韓国政府による第87号条約および第98号条約の未実施問題を提起する予定だ」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

       

 

 

 

 

 

 

スペシャル・レポート――サプライチェーンにおける労働者の権利保護

2022-12-19

2022年12月19日:人権デュー・ディリジェンスをめぐる討議が国家・国際両レベルで勢いづいている。なぜ今なのか?
                                                      

スペシャル・レポート
『グローバル・ワーカー』第2号(2022年11月)より

 

国:全世界
テーマ:サプライチェーンにおける労働者の権利
文:ペトラ・ブランマーク

 

 

 

 

 

 

最新のITUC世界労働権利指数に示されているように、労働権の侵害を含む人権侵害が増加している。さらに、パンデミックと現下の生活費危機により、グローバル・サプライチェーンにおける課題の多くがより鮮明になっている。強力な規制によって人権侵害と環境への被害に効果的に対処し、これを防止する必要がある。権利侵害の激増を受けて、義務的デュー・ディリジェンスが労働組合の最優先課題になっている。任意の行動規範などの一方的なアプローチは、何よりもまず広報の手段となっており、信頼をすべて失った。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長によると、労働者・労働組合の権利を自主的かつ適切に守る意欲を本当に示している企業は非常に少ない。

労働組合は、拘束力のあるデュー・ディリジェンス法とサプライチェーンの透明性を求めるキャンペーンの主な原動力の1つである。労働組合は、サプライチェーン全体で権利侵害の被害者となっている労働者の代表として、討議の最前線に立ち、デュー・ディリジェンス方針の立案と実施に労働者を関与させるために全力を挙げなければならない。労働者と労働組合は現場の実情を知っており、人権リスクを確認・理解して対処するうえで援助する最適の立場にいる。このプロセスへの労働組合の参加は、デュー・ディリジェンス法その他の文書が労働者の期待に応えるようにするために重要である。

「実際に、結社の自由と団体交渉、安全衛生を保護するために労働者・労働組合が全面的に関与しなければ、デュー・ディリジェンス・アプローチは信頼に足ると主張することができない。デュー・ディリジェンスは、労働協約やグローバル枠組み協定、協約、その他の交渉による文書を通じた関与の手段としての労使関係制度の一部であり、組合が主な目標、すなわち労働者の権利・利益の擁護と促進を達成するための重要な手段だ」とケマル・ウズカンは言う。

サプライチェーンにおける人権侵害を防止するために2021年に採択された、企業デュー・ディリジェンス義務に関する最近のドイツの法律(Lieferkettensorgfaltspflichtengesetz)では、組合が明白な役割を果たした。組合と労働者代表は、何とかドイツの従業員代表委員会が将来の人権リスク管理にもっと関与できるようにし、そのためにドイツ従業員代表委員会法が修正された。

フランスは2017年に世界で初めて「注意義務」またはデュー・ディリジェンスに関する法律を採択した。この画期的な法律は初めて、人権や環境権が侵害された場合における多国籍企業の親会社とその子会社・下請会社との刑事上の関係を規定。要するに、大企業が買い手としての地位の陰に隠れるのを防止しようとしている。関連会社の労働組合と協力して、報告や既存のリスクを収集する警報機構を開発し、この法律に盛り込むべきである。

「デュー・ディリジェンスは、労働組合が企業とサプライチェーン全体で労働者の権利、特に団結権が支持されるようにするための手段だ」とケマル・ウズカンは言う。

グローバル枠組み協定(GFA)は組織化と組合構築のための手段であり、国連ビジネスと人権に関する指導原則に定めるデュー・ディリジェンスの概念を取り入れている。多国籍企業はGFAへの署名によって、労働者の基本的権利、特に団結権・団体交渉権を保護・尊重するとともに、生産設備とサプライチェーンで自社の事業が人権に与える影響に関するデュー・ディリジェンスを行使する責任を負う。GFAは主に、特にサプライチェーンで問題を解決するために用いられる。例えば組織化をめぐって紛争が発生した場合、GFAは救済策の提供に役立つ。

グローバル枠組み協定を利用して組織化

トルコとバングラデシュのインダストリオール加盟組織は、グローバル枠組み協定を効果的に実施するためのプログラムの一環として、2年間で50を超えるサプライヤー工場の組織化に成功した。

1つの企業でさまざまな国の組合を結びつける労働組合ネットワークも、組織化活動の支援に役立つ重要な行動・調整の手段である。これらのネットワークの強化は、企業に進出先のすべての国々で労働者の権利を尊重させ、サプライチェーンで人権デュー・ディリジェンスを実施させるために重要である。

バッテリーサプライチェーンは、生産工程のグローバル化や、現行法その他の文書(OECDデュー・ディリジェンス指針など)をビジネスにおける人権の促進に利用できる方法を示すための例として用いることができる。

バッテリーサプライチェーンは、リチウムのような原料の採掘に始まり、化学産業での精製を経由してエンドユーザーに至る。電気自動車への需要増加を原動力に、最も急成長しているサプライチェーンである。さらに、すべての地域がバッテリーサプライチェーンのさまざまな部分を構成しており、ラテンアメリカでリチウム生産、アフリカで採掘の大部分、アジアで新規バッテリー投資、欧米で電気自動車への投資が行われている。並行して、特に組合組織率が低く、環境に壊滅的な影響が及んでいるサプライチェーンの下流で、労働者の権利侵害が増えている。

インダストリオールは、総合的サプライチェーン・アプローチの開発と、バッテリーサプライチェーンに関係のある全労働者のディーセント・ワーク達成を目指すプロジェクトを開始した。

「バッテリー生産がグリーンエネルギーを支援するだけでなく、人権を保護して健康と環境的持続可能性も促進するようにしなければならない」とケマル・ウズカンは言う。

「つまり、バッテリーサプライチェーンで私たちの影響力を高める必要があるということだ。そのアプローチの一環としてインダストリオールは、労働者を組織化するための効果的なデュー・ディリジェンス・ツールの開発、多国籍企業とのプラットフォームの創出、世界最大の中国系バッテリーメーカーとのコミュニケーション開発、組合活動へのジェンダー統合の確保、持続可能な産業政策と公正な移行の重視によって、組合の能力を強化している」

ILO理事会は2013年、国境を越えたグローバル・サプライチェーンの急拡大に関する懸念を受けて、グローバル・サプライチェーンをILO総会の議題に載せることを決定した。2016年、ILO総会はグローバル・サプライチェーンにおけるディーセント・ワークに関する決議を採択した。この決議は、実施のためのロードマップに基づいて行動プログラムを策定する基礎となった。サプライチェーンにおけるディーセント・ワークに関する包括的戦略の核心要素に取り組むために、何度か技術会合が開かれた。例えば、輸出加工区におけるディーセント・ワーク、国境を越えた社会的対話、サプライチェーンにおけるディーセント・ワークの不足などである。

「しかし、これまでのところ、進展はあるにしても非常に遅い。ほとんどの国の政府がこの分野における規範的な行動を強く支持しているが、使用者が激しく抵抗している。ILOはグローバル・サプライチェーンに関する討議全体で、グローバル・ガバナンス・システムにおいて中心的役割を果たすべきであるにもかかわらず、妥当性を失う大きなリスクがある」とケマル・ウズカンは言う。

「インダストリオールは努力を強化し、グローバルな労働運動にとって重要になるであろうILOサプライチェーン条約の採択を求めて圧力をかけ続ける」

                    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石油・ガス部門における仕事の未来に関する新しいILO協定

2022-12-15

【JCM記事要約】

  • インダストリオール本部が労働者代表団として参加したILO本部での1週間に及ぶ技術会合を経て、政労使代表間で石油・ガス部門における仕事の未来に関する協定が締結された。会合では、労働者代表による『社会的対話で決定した将来の適正な組合雇用』等を含む要求や優良事例等の情報に基づき、ILO事務所が要求原案を作成し、内容の修正について1週間議論を行った。
  • しかしながら、会合では部門の大手企業は1社も参加せず、文書は組合が期待したほど規範的ではなかったため、組合代表団としては納得できない結果となった。インダストリオールのダイアナ・エネルギーと公正な移行担当部長は、社会的対話によって移行を進め、社会的保護や団体交渉・包括性を確保しなければ、万人のために未来を維持することはできない、と主張した。

 

2022年12月15日:インダストリオールは、石油・ガス部門における仕事の未来に関する新協定を取り決めた労働者代表団に加わった。
                                                      

ジュネーブのILO本部での1週間にわたる技術会合を経て、12月2日金曜日の夜遅くに政労使代表間の交渉が終了し、石油・ガス部門における仕事の未来に関する協定が締結された。

この種の会合は、部門の問題に取り組む方法についての手引を提供する。気候と技術の対を成す移行が原因で、新しい部門が生まれたり、既存の部門が大きな変化に直面したりしているため、このような会合は特に重要である。石油・ガスは温室効果ガス排出の大きな要因として、脱炭素化の必要性の影響を非常に大きく受けるだろう。組合にとって、これが体系化された計画的な形で進み、古い雇用が消える前に新規雇用を創出できるようにすることが不可欠である。

組合代表団は石油・ガス部門の専門家で、アメリカ、ブラジル、コロンビア、ナイジェリア、イラク、ノルウェー、オーストラリア、インドネシアから組合を代表するために民主的に選ばれ、ITUCとインダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の支援を受けた。

ILO事務所が議論のたたき台となる報告書を作成した。週明けに課題と機会、優良事例、要求についての問題が提起され、交渉者が各自の見解と主な要求を発表した。これらの情報に基づいて、ILO事務所が最初の要求原案を作成し、当事者は1週間にわたって修正をめぐり交渉した。

労働者代表にとって、重要な要求は以下のとおりだった。

  • 組合が意思決定プロセスに参加する社会的対話によって取り決められた将来の適正な組合雇用
  • 石油・ガス産業における外部委託の横行、エネルギー計画の策定にあたっての政府の責任、サプライチェーンのデュー・ディリジェンスに対する使用者の責任への言及
  • 部門における公正な移行のための資金調達メカニズム
  • 研修や再研修を含む中長期的なエネルギー計画への投資

組合代表団は、この会合のプロセスと結果の両方に不満を示した。多くの差し迫った課題、特に外部委託労働者の問題に取り組む機会がなかった。その原因は使用者による献身の欠如である。部門の大手企業は1社も会合に出席せず、国際使用者連盟(IOE)から参加した使用者側の交渉責任者は、IOEが観光、教育、農業、輸送、エネルギー、その他の部門で協定を取り決めているため、この部門での具体的な経験がまったくなかった。

今回の結果は組合が期待したほど規範的ではなかったため、来年夏のILO理事会後に、部門別の公正な移行ガイドの作成を提案する。

インダストリオールのエネルギーと公正な移行担当部長を務めるダイアナ・ジュンケラ・キュリエルが次のように述べた。

「この産業の公正な移行に関する労働者の懸念は、移行の資金調達、社会的保護、提供される適正な雇用の質と量などだ。社会的対話によって移行を進め、社会的保護、団体交渉、包括性を確保しなければ、万人のために未来を維持することはできない」

締めくくりの言葉で、労働者グループの議長を務めたUSWのマイク・スミスが次のように述べた。

「1週間に及ぶ実のある交渉を経て、この文書に関して合意に達したことをうれしく思う。この結論は石油・ガス産業の公正な移行に至る長い道のりの一歩となり、健全で生産的な産業の維持によってディーセント・ワークの創出を促進し、失われた雇用を同等以上の価値の雇用と置き換えると私たちは信じている」

「この文書に外部委託労働者への言及がないことを残念に思う。石油・ガス部門で外部委託が広く見られること、この慣行が労働条件を低下させていること、外部委託労働者が自分たちの懸念に取り組むための代弁機関がないことが、私たちにとって大きな懸念だ」

「直接労働者であるか外部委託労働者であるかにかかわらず、石油・ガス産業の労働者全員が結社の自由、労働安全衛生、労働協約によって勝ち取った良好な労働条件を享受できるようにするために、私たちは引き続き取り組んでいく」

         

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NXPタイは解雇した労働者を復職させよ

2022-12-13

【JCM記事要約】

  • タイのNXPマニュファクチャリング社にて、労組大会で確認された労働協約の不遵守をめぐって組合が2020年8月に中央労働裁判所へ訴えていたが、今年に入り組合の訴えが棄却された。同組合は会社との関係改善を重視し上訴しないと決定したが、会社側は組合員が大会議事録を偽造したとして、組合委員会メンバー13名を解雇した。
  • インダストリオールのアトレ書記長は、10月に同社へ書簡を送付しており、同13人の復職と未払賃金の支払い、勤続年数の継続を要求した。NXP東南アジア地域ネットワークのメンバーもまた、タイの労働者への連帯を示しており、経営陣に対し13人の復職及び紛争の解決策を見つけるよう働きかけている。

 

2022年12月13日:アップル、ボッシュを顧客に抱えるタイのNXPマニュファクチャリングは、大会関連文書の偽造という名目の下に組合指導者13人を解雇し、組合つぶしの中止を拒否している。
                                                      

2019年10月のNXPマニュファクチャリング労組大会は、1人の代表に会社側の労働協約不遵守への対処を委任する決議を可決した。2020年8月、同労組は労働協約の不遵守をめぐって中央労働裁判所にNXPを訴えた。

今年2月、組合の訴えは棄却され、裁判所は同労組には訴権がないとの裁定を下した。

同労組は使用者との関係改善を重視し、上訴しないことに決めた。それに対してNXPは、組合員を大会議事録の偽造(重大な社内規定違反)で非難し、組合委員会のメンバー13人を解雇した。

「NXPタイは、紛争を裁判に持ち込む労働者の権利を尊重しなければならない。これは1975年労使関係法で保護されている苦情処理手続きだ。組合が友好関係の維持を目的に訴訟を取り下げたのだから、会社側も互恵的に行動すべきだ」とプラシット・プラソップスックCILT会長は言う。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は10月にNXPに書簡を送り、労組指導者13人の復職と未払賃金の支払い、勤続年数の継続を求めた。

「NXPタイは、紛争を裁判に持ち込む労働者の権利を尊重しなければなりません。これは1975年労使関係法で保護されている苦情処理手続きです。組合が友好関係の維持を目的に訴訟を取り下げたのだから、会社側も互恵的に行動すべきです」

NXP東南アジア地域ネットワークの参加者は11月、タイの同僚との全面的な連帯を表明した。ネットワークのメンバーはタイの経営陣に働きかけ、解雇された活動家の復職を含めて、紛争の公正な解決策を見つけるよう強く促す予定である。

NXPセミコンダクターズはオランダに本社を置き、全世界に30カ所を超える生産設備があり、プロセッサー、マイクロコントローラー、インターフェース、周辺機器、ロジック製品を専門としている。顧客にはアップル、ボッシュ、デンソー、デルファイが含まれる。

 

 

ミャンマー軍による放火で衣料労働者の住居が焼失

2022-12-09

【JCM記事要約】

  • ミャンマーの軍事政権による攻撃が激化しており、12月上旬には9つの村で放火され、同地域における衣料・繊維工場の多くの労働者が家を失った。この放火は、軍に対する抵抗運動への支援を断ち切ることだとされている。
  • インダストリオールのアトレ書記長は、このような容赦ない放火はミャンマーでビジネスを行うことが不可能であることを示しているとし、インダストリオールとしては、ミャンマーで事業を行う多国籍企業に対し、投資を中止し責任ある撤退をするよう働きかけている。

 

2022年12月19日:サリンジー郡でミャンマーの軍事政権による攻撃が激化し、多くの衣料労働者が家を失った。いくつかのニュースソースによると、ミャンマーの軍事政権は12月上旬にサガイン地方域サリンジー郡の9つの村で住宅に放火した。ミャンマー製造労働者連盟組合員の住宅40軒以上が全焼した。
                                                      

労働者たちは、この地域の衣料・繊維工場で雇用されており、「軍は市民的不服従運動の関係者の名簿に従って住宅を破壊した」と言っている。

NGOのデータ・フォー・ミャンマーは8月、2万8434軒もの民家が軍に焼き払われたと報告した。サガイン地方域は最も影響を受けた地域である。

ニュースウェブサイトのイラワジは、これらの村落で抵抗運動と軍の衝突はなかったという民間防衛安全保障組織の言葉を引用した。放火の目的は、村落による抵抗運動への支援を断つことである。

「地域の2つの繊維工場に約900人の組合員がいるので、もっと多くのIWFM組合員の家に放火される可能性があると思う。IWFMは国際社会に対し、軍への企業収益の供給をやめるよう求めている。労働者は苦しんでおり、軍事政権下で労働者の命が危機にさらされている」とカイン・ザーIWFM会長は言う。

「容赦ない放火は、ミャンマーで倫理的にビジネスを行うことがまったく不可能であることを改めて示している。まだミャンマーで活動している多国籍企業は、投資引き揚げを速め、ミャンマーから責任ある撤退を行うべきだ」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

9月には倫理的貿易イニシアティブが、ミャンマーで責任あるビジネスを行うことは不可能であるというレポートを発表した。インダストリオールは、ミャンマーからの責任ある撤退に関して衣料ブランドに働きかけている。