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第156号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年2月15日)

石油・ガス部門における仕事の未来に関する新しいILO協定

2022-12-15

【JCM記事要約】

  • インダストリオール本部が労働者代表団として参加したILO本部での1週間に及ぶ技術会合を経て、政労使代表間で石油・ガス部門における仕事の未来に関する協定が締結された。会合では、労働者代表による『社会的対話で決定した将来の適正な組合雇用』等を含む要求や優良事例等の情報に基づき、ILO事務所が要求原案を作成し、内容の修正について1週間議論を行った。
  • しかしながら、会合では部門の大手企業は1社も参加せず、文書は組合が期待したほど規範的ではなかったため、組合代表団としては納得できない結果となった。インダストリオールのダイアナ・エネルギーと公正な移行担当部長は、社会的対話によって移行を進め、社会的保護や団体交渉・包括性を確保しなければ、万人のために未来を維持することはできない、と主張した。

 

2022年12月15日:インダストリオールは、石油・ガス部門における仕事の未来に関する新協定を取り決めた労働者代表団に加わった。
                                                      

ジュネーブのILO本部での1週間にわたる技術会合を経て、12月2日金曜日の夜遅くに政労使代表間の交渉が終了し、石油・ガス部門における仕事の未来に関する協定が締結された。

この種の会合は、部門の問題に取り組む方法についての手引を提供する。気候と技術の対を成す移行が原因で、新しい部門が生まれたり、既存の部門が大きな変化に直面したりしているため、このような会合は特に重要である。石油・ガスは温室効果ガス排出の大きな要因として、脱炭素化の必要性の影響を非常に大きく受けるだろう。組合にとって、これが体系化された計画的な形で進み、古い雇用が消える前に新規雇用を創出できるようにすることが不可欠である。

組合代表団は石油・ガス部門の専門家で、アメリカ、ブラジル、コロンビア、ナイジェリア、イラク、ノルウェー、オーストラリア、インドネシアから組合を代表するために民主的に選ばれ、ITUCとインダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の支援を受けた。

ILO事務所が議論のたたき台となる報告書を作成した。週明けに課題と機会、優良事例、要求についての問題が提起され、交渉者が各自の見解と主な要求を発表した。これらの情報に基づいて、ILO事務所が最初の要求原案を作成し、当事者は1週間にわたって修正をめぐり交渉した。

労働者代表にとって、重要な要求は以下のとおりだった。

  • 組合が意思決定プロセスに参加する社会的対話によって取り決められた将来の適正な組合雇用
  • 石油・ガス産業における外部委託の横行、エネルギー計画の策定にあたっての政府の責任、サプライチェーンのデュー・ディリジェンスに対する使用者の責任への言及
  • 部門における公正な移行のための資金調達メカニズム
  • 研修や再研修を含む中長期的なエネルギー計画への投資

組合代表団は、この会合のプロセスと結果の両方に不満を示した。多くの差し迫った課題、特に外部委託労働者の問題に取り組む機会がなかった。その原因は使用者による献身の欠如である。部門の大手企業は1社も会合に出席せず、国際使用者連盟(IOE)から参加した使用者側の交渉責任者は、IOEが観光、教育、農業、輸送、エネルギー、その他の部門で協定を取り決めているため、この部門での具体的な経験がまったくなかった。

今回の結果は組合が期待したほど規範的ではなかったため、来年夏のILO理事会後に、部門別の公正な移行ガイドの作成を提案する。

インダストリオールのエネルギーと公正な移行担当部長を務めるダイアナ・ジュンケラ・キュリエルが次のように述べた。

「この産業の公正な移行に関する労働者の懸念は、移行の資金調達、社会的保護、提供される適正な雇用の質と量などだ。社会的対話によって移行を進め、社会的保護、団体交渉、包括性を確保しなければ、万人のために未来を維持することはできない」

締めくくりの言葉で、労働者グループの議長を務めたUSWのマイク・スミスが次のように述べた。

「1週間に及ぶ実のある交渉を経て、この文書に関して合意に達したことをうれしく思う。この結論は石油・ガス産業の公正な移行に至る長い道のりの一歩となり、健全で生産的な産業の維持によってディーセント・ワークの創出を促進し、失われた雇用を同等以上の価値の雇用と置き換えると私たちは信じている」

「この文書に外部委託労働者への言及がないことを残念に思う。石油・ガス部門で外部委託が広く見られること、この慣行が労働条件を低下させていること、外部委託労働者が自分たちの懸念に取り組むための代弁機関がないことが、私たちにとって大きな懸念だ」

「直接労働者であるか外部委託労働者であるかにかかわらず、石油・ガス産業の労働者全員が結社の自由、労働安全衛生、労働協約によって勝ち取った良好な労働条件を享受できるようにするために、私たちは引き続き取り組んでいく」

         

 

 

 

 

 

 

 

 

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