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第157号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年5月26日)

インダストリオールとともに組織化

労働者は団結すれば強くなるのだから!

組織化はインダストリオール・グローバルユニオンの重要な優先事項であり、ほとんどすべての活動に組み込まれている。組織化による組合の力の構築は重要な目標の達成に役立つ。例えば、生活賃金、不安定雇用の制限、人権・労働組合権の尊重、より健康でより安全な職場、より公平な社会などである。

そして、やらなければならないことがまだたくさんある。全世界の労働者ほぼ33億人のうち、自由で独立した組合に加入している者の割合は7%にすぎない。活動的な労働組合員となるとなお少ない。

例外はあるものの、ここ数十年、多くの国々で組合員数と組合の影響力が低下している。OECD諸国(世界の富裕国の上位38カ国)の組合組織率は、1980年の33%から2020年には15%に低下した。その一因は、多くの政府や多国籍企業が組合を弱体化させ、労働者の権利を攻撃しようとしていることである。

ここ数十年間に組合の存在感が弱くなったため、世界中で経済的不平等が広がり、労働分配率が低下している。こうした傾向を覆すために、世界中の組合がこれまで以上に効果的に組織化しなければならない。

労働者の力の強化とは、組織化を主要な優先事項にすることを意味する。

そのためには組合の文化を変える必要がある。組合は新規組合員の勧誘と現組合員の定着に、もっと多くの時間と努力、資源を注ぎ込まなければならない。連帯の構築と、すべての組合問題への組合員の積極的関与に焦点を合わせる必要もある。

インダストリオールは加盟組織による組織化の支援に集中している。この情報が、インダストリオールからの他の組織化支援とともに、貴組合がこれまでよりも大きく強力になるうえで役立てば幸いである。

組織化とは何か、なぜ組織化すべきなのか?

組合員は組合の最大の資源である。組合員が多いほど、組合は力を持つことができる。

  • 組織化は、部門や職場における組合員数と組織率の向上、労働者間の連帯構築、労働者の組合参加の拡大を意味する。
  • 組合員の勧誘と定着が組織化への鍵である。資本家と企業は組合よりも資金力があるが、組合の力の源泉は組合員である。
  • だが、組合員数の増加だけでは十分ではない。組織化には、労働者の間で連帯を構築するとともに、労働者を組合に関与させて活動させ、共通の目的の達成に向けて協力させることも必要である。

組合は組織化すれば強くなり、以下のための力と資源を獲得できる。

  • 組合員のために賃上げ、給付および労働条件の改善を達成する
  • 多国籍企業と効果的に交渉する
  • より大規模なピケやストを実施する
  • 不安定雇用を制限する
  • より健康でより安全な職場を確保する
  • 不当解雇や虐待から労働者を保護する
  • よりよく現組合員にサービスを提供し、新規組合員を勧誘する
  • 世界中で労働者の権利を求めてネットワークを構築し、キャンペーンを展開する

組合員数や組合員の連帯、組合員の行動を拡大する組合は、政治力も獲得する。より大規模な政治的デモを動員したり、政治的意思決定にもっと影響を与えたり、労働者・組合に関係のある立法にあたってより大きな影響力を行使したりすることができる。

一般に、組合が十分に組織化されている場所では経済的不平等が小さい。組合組織化は、富と権力のより公正な配分によって強力な組合と経済を確立するうえで役立つ。

インダストリオールの組織化支援

インダストリオールは世界中で、主にアフリカ、アジア、ラテンアメリカで、組織化プロジェクトを支援している。焦点は、加盟組織が永続的な組織化文化を発展させ、独自の組織化プログラムを実施するよう奨励し、それを可能にすることである。

インダストリオールは加盟組織とともに、ワークショップや会議、職場訪問、訓練を実施し、組織化計画を討議・立案している。調査やマッピング、出版物、資料などにより、加盟組織の組織化活動を支援している。インダストリオールのプロジェクトで、オルグ活動資金への財政援助を提供する場合もある。

インダストリオールは14の産業部門で労働者を代表しており、それぞれに部門アクション・プランがある。すべての部門アクション・プランで、組織化による組合の力の強化が目標に掲げられている。各部門は、さまざまな方法でこの目標を追求している。

インダストリオールは20社を超える多国籍企業でグローバル組合ネットワークを支援している。そのうちいくつかはグローバル従業員代表委員会(一般に、使用者が正式に承認し参加しているグローバル組合ネットワーク)である。多くのグローバル組合ネットワークが、組合代表が存在しないか不十分な社内の職場で組織化に取り組んでいる。会社での組織化活動にあたって連帯支援も動員している。

インダストリオールは企業や国家に接触し、必要があれば、組織化を支援するために企業・国家に対抗して運動する。加盟組織からインダストリオールに、企業や国家による団結権侵害がたびたび報告される。対応は一般に、経営陣や担当の政府当局者に書簡を送り、労働者の団結権尊重を要求することである。

侵害が続けば、労働者の団結権を尊重させるために、企業や国家に圧力をかける戦術を用いる。例えば、他の組合や当該企業の欧州従業員代表委員会による連帯支援の動員、当該企業の顧客との対話、オンライン請願、年次株主総会での抗議、国際労働機関(ILO)やOECDへの提訴である。

インダストリオールは加盟組織と協力しながら、多国籍企業とのグローバル枠組み協定(GFA)を交渉・実施している。これらの協定は、高水準の労働組合権(団結権など)を導入し、組合が企業のグローバル事業とサプライヤーで組織化する機会を生み出している。インダストリオールは50本近くのGFAに署名した。

インダストリオールがどの企業とGFAを締結しているか調べたり、協定を読んだりするには、グローバル枠組み協定のページを参照のこと。

組織化の基本方針

以下、組織化を成功させる基礎を築くために、インダストリオールが加盟組織とともに頻繁に推進している主要原則を示す。

  1. 強力な組織機構の構築

強力な組合機構は職場で始まる。これは組織化委員会や職場代表機構、女性委員会、職場コミュニケーション担当者や活動家のネットワークなど、何であれ必要な職場組合機構である。これらの機構は、労働者が積極的に組合に参加して連帯を構築する機会を提供し、組合員の勧誘や維持に欠かせない。

強力な組合機構は職場外で効果的に組織化するためにも必要である。大規模な組合機構の傘下に入っていない個々の職場レベル組合は、グローバル経済では弱い。工場組合が連合すれば強力になり、全国組合はさらに力をつけることができる。よりうまく、組合が大規模かつ効果的な組織化プログラムを実行するための資源を結集できるようになる。

ある国で1つの部門に複数の組合がある場合、統合して部門別組合を結成することで力を強化できる場合が多い。複数部門にまたがる統合によって、組織力のある強力な組合の構築を達成した例もある。

いくつかのインダストリオール加盟組織がある多くの国々で、加盟組織が集まって国別協議会を結成した。これらの協議会は、加盟組織が会合を開いて全国的に重要な問題について議論し、共同行動を計画するための基盤となる。多くの国別協議会が、どの部門が優先的な組織化ターゲットであるか、どこで組織化プロジェクトを開発すべきかを決定している。

  1. 民主性と透明性

組合が明確なルールを定め、包括的な組織機構を確立し、定期会合や選挙を実施し、民主的に活動すれば、労働者が組合に加入して活動的な組合員になる可能性が高くなる。組合は組合活動に関して定期的に労働者とコミュニケーションを取ることによって、透明性と組織化の成功率を高めることができる。

  1. 包摂

団結は組合の基本原則である。労働者は団結すると強い。しかし、ほとんどの組合が大規模な労働者セグメントを歴史的に無視したり、過小評価したりしてきた。これらの取り残された労働者が一般に最も搾取されているという事実にもかかわらずである。例えば、女性、人種化された労働者、LGBTQI+労働者、不安定労働者、若年者、事務技術職労働者、移民などである。

労働力の構成が変化しているが、すべての組合がこの変化に順応しているわけではない。組合は積極的な戦略を採用し、これらの社会的に無視された集団を取り込んで組織化しなければならない。そのためには多くの場合、現在の機構の修正や新しい機構の創出が必要である。

女性や人種化された労働者、LGBTQI+労働者、不安定労働者、若年者、事務技術職労働者、移民を効果的に組織化するために、組合はこれらの集団にとって適切な存在になり、すべての組合機構(指導的役割、スタッフ、委員会、職場委員機構など)に彼らを包摂しなければならない。

組合は、これらの取り残された集団にとって重要な問題にも集中しなければならない。これらの集団のメンバーがすべての組合組織機構とプログラムに加われば、組合は集中しやすくなる。

  1. 協力・連携

労働者と組合は連帯して協力すると強くなる。組合は協力・連携し、お互いの組織化活動を支え合えば、より効果的に組織化することができる。

組合は、より広い社会との協力によっても組織化成功率を高めることができる。組合組織化の成功がより広い社会にどのように利益を与えるかを示し、直接的な連帯支援を提供すれば、社会からの支持が高まる。

  1. 競合禁止

同じ部門の労働者を代表する複数の組合が、職場で同じ労働者を同時に勧誘しようと競争してはならない。これは限りある資源を浪費し、組合間の対立や紛争を悪化させるだけである。組合は、このような形で互いに競争しないことについて合意しなければならない。ほとんどすべての国々では、組織化の標的にする労働者や職場に事欠かない。

  1. 自立

インダストリオールは、世界中の組合が組織化を改善・拡大しやすくするプロジェクトを支援している。しかし、インダストリオールの支援に頼っている組合が自立することが重要である。組合員数の増加はこの移行にとって重要である場合が多いが、それだけで十分というわけではない。

自立するには、組合が十分な会費を定期的に徴収するための効果的なプログラムを開発・維持し、現地・地域・全国レベルで組合活動(強力な組織化プログラムを含む)を実施できるようにする必要がある。また、組合員が払う会費を増額したり、組合に加入させるために逆に特定の労働者の会費を引き下げたりする必要が生じることもある。時には、組合が非常に小さいために、他の組合と統合しなければ自立できないこともある。

組織化への準備

現実的に行動し、勝算のある目標を優先させることは、常用労働者だけにターゲットを絞るということではない。世界中のインダストリオール加盟組織が不安定労働者の組織化に成功している。不安定労働者は労働者全体に占める割合が大きく、しかも増え続けているため、これは不可欠である。

目的が職場で新組合を結成することであれ、すでに組合がある職場でより多くの組合員を勧誘することであれ、組合員の連帯や行動を拡大することであれ、準備を整えることが重要である。

ターゲット

どの労働者を組織化のターゲットにするかの決定にあたって検討すべき要因がいくつかある。組合は次のような組織化ターゲットを選ぶべきである。

  • 組合の力の強化に役立つ。これは例えば、部門全体で労働条件に影響を与える大手使用者が考えられる。
  • 他のインダストリオール加盟組織がまだ代表しておらず、組織化のターゲットにもしていない。
  • 勝算がある、すなわち、その組合には組織化を成功させる資源と能力がある。

組合は組織率の上昇を目指して組織化ターゲットを選ぶべきである。組織率とは、労働者全体に占める組合員の割合である。組織率が高いほど、労働者と組合はより強力になることができる。多くの国々では、職場で労働者の一定割合が組合に加入していれば、経営側は組合を承認して交渉しなければならない。組合が会社に経済的影響を与える力を持っている場合に限り、経営側が組合と交渉している国もある。その力は組織率が高く、かつ活動的な組合員が多い場合に得られることが多い。

組合組織率の強化は、職場の常用フルタイム従業員の大部分の組織化だけを意味しない。不安定労働者も含めて、すべての労働者の大部分を組織化することを意味する。

1ダースの職場で組織化しても、それぞれの職場でわずか数人の組合員しか勧誘できなければ、組合の力は強くならない。そうではなく、数は少なくても戦略的な職場にターゲットを絞り、それらの職場で高い組織率を達成すれば、労働者のために本当の利益を実現することができる。

調査

組織化は戦略的な企業調査の裏付けによって強化される。この調査は企業を分析し、企業に圧力をかけて労働者の要求を受け入れさせる方法を確認する。

どの職場を組織化ターゲットにすればよいか判断する前に、組織化を行う部門や地域を調査することが重要である。この作業には、職場の所在地、労働者数、労働者の男女構成、不安定労働者や契約労働者の割合、他の組合の存在、主要顧客、その職場を所有している会社や、その職場から調達している会社に関するその他の関連情報の確認が含まれる。

いくつかの職場は、組織化活動の勝算を高めることのできる国際的な関係を築いている。国際的な関係を築いているから格好の組織化ターゲットであるとは限らないが、そのような関係は役立つ可能性がある。

以下、潜在的な組織化ターゲットが、組織化キャンペーンに役立ちそうな国際的な関係を持っているかどうかの判断に使える質問をいくつか列挙する。組織化ターゲットを決めて組織化キャンペーンを始める前に、組合はこれらの質問の答えを求めるべきである。

潜在的組織化ターゲットは、

  • グローバル枠組み協定(GFA)を締結しているか? 締結している場合、インダストリオールはターゲットが組織化活動に反対しないようにすることができるかもしれない。企業はGFAで、労働者の団結権の尊重を約束している。(インダストリオールとGFAを締結している企業のリストは下記参照――https://www.industriall-union.org/global-framework-agreements
  • GFAを締結している顧客がいるか? いる場合、インダストリオールはこの顧客に、ターゲットに圧力をかけて組織化活動に反対しないようにさせることができるかもしれない。企業はGFAで、サプライチェーンにおける労働者の団結権の尊重を約束していることが多い。
  • 大手ブランドである顧客がいるか? いる場合、インダストリオールはこの顧客に、ターゲットに圧力をかけて組織化活動に反対しないようにさせることができるかもしれない。インダストリオールは、サプライチェーンにおける労働者の団結権の尊重を約束している多くのブランドと関係を築いている。また、大手ブランドは評判に敏感であり、購入先の工場による組合つぶしを防止するために手を打つかもしれない。
  • グローバル組合ネットワークがあるか? ある場合、インダストリオールは組織化活動にあたってグローバル組合ネットワークに支援を求めることができる。
  • インダストリオールと関係を結んでいるか? よい確認方法は、インダストリオールのウェブサイトの検索バーで当該企業(と親会社)の名前を検索してみることである。
  • 他国に職場があるか? 他国の職場に組合があれば、組織化活動を支援してくれる可能性がある。組織化を行うかもしれない国で、その会社の他の職場の組合が支援してくれる可能性もある。

労働者を計画立案に関与させれば意欲が高まり、より活発な組合員になる。

潜在的組織化ターゲットが上記のような国際的関係のいずれかを築いている場合、インダストリオールは、それらを利用するために手助けできるかもしれない。これは組織化活動を行う組合を潜在的組織化ターゲットの他の組合に接触させたり、ブランドやGFA締約企業に連絡を取ったりすることによって実行できる。インダストリオールに連絡する前に、国際的な関係に関してできるだけ多くの情報を収集すべきである。

計画の立案

組合は、ある地域を調査して1つまたは複数の組織化ターゲットを選んだら、組織化キャンペーンのために計画を練り上げるべきである。この計画では、何をする必要があるか、誰が何に責任を負うか、いつまでにそれをする必要があるかを明確にする。計画の実施にどんな資源が必要かも確認しなければならない。

組織化計画の策定・実施に参加する労働者が多いほど、計画は強力になる。より多くの人々に仕事を分散させることも、誰にも負担をかけすぎないようにするのに役立つ。

組織化計画には、特定の期日までに達成すべきベンチマークあるいは目標を盛り込むべきである。例えば、決まった日までに支持を取りつける労働者数、決まった日までに連絡先を入手する労働者数などが挙げられる。明確なベンチマークは、組織化キャンペーンが順調に進んでいるかどうか、調整を加える必要があるかどうか判断するうえで役立つ。

組織化計画には柔軟性を持たせ、予期せぬ状況が発生したときに対応できるようにしなければならない。組合または組織化委員会が定期的に計画を見直し、必要に応じて調整すべきである。

組織化計画の構成要素

  • 労働者の指導者の確認
  • 組織化委員会の設置
  • 労働者リストの作成
  • 会合の企画
  • 結集する問題の確認
  • 教育プログラム
  • コミュニケーション・プログラム

結論

これまでよりも効果的に組織化しよう! インダストリオールは支援を提供する準備ができており、今こそ組織化するときである。これまでどおり、労働者は団結すれば強くなる。

世界の労働者のうち自由で独立した組合の組合員はわずか7%で、活動的な組合員はさらに少ないため、組織化は手のつけようもない大仕事のように見えることがある。実際にはそうではない。

世界中のインダストリオール加盟組織が進んで難題に取り組み、多様な環境で革新的な組織化解決策を提案している。

組織化計画の策定・実施に関する詳しい情報については下記まで:

ウォルトン・パントランド・インダストリオール・キャンペーン/組織化担当部長

wpantland

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