広報ニュース

第158号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年7月5日)

インドネシア、雇用創出法のための緊急命令を可決

2023-04-12

【JCM記事要約】

  • 3月21日、インドネシアの国会は雇用創出のための緊急命令を成立させた。しかしこれは、2021年に憲法裁判所によって条件付きで違憲と判断された法律と全く同じ内容となっている。労働組合は、これは労働者の権利と環境保護を弱体化させるものであると異議を訴えており、全国的なデモが計画されている。
  • インダストリオール東南アジア地域事務所・岩井所長は、加盟組織との連帯を改めて強調し、同国政府は労働者の権利を保護する義務があり、世界的な危機や景気後退を理由に労働者の権利を縮小してはならない、と述べた。インダストリオールは、第3回世界大会において、インドネシア政府に雇用創出法の取り消しを求める決議を採択している。

 

2023年4月12日:インドネシアの組合は、国会が2023年3月21日に雇用創出緊急命令を成立させたことを公然と非難している。メーデーに全国的な抗議行動が計画されており、50万人を超える労働者が参加すると予想される。
                                                      

インダストリオール・インドネシア協議会は、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織11団体から成る。同協議会のイワン・クスマワン議長によると、新たに提案された雇用創出法は、2021年に憲法裁判所によって条件付きで違憲と判断された以前の法律とまったく同じである。

「適正手続きが無視され、多くの反労働者な条項がそのまま残されていることに憤りを感じる。すべてのインドネシアの組合と学生、市民社会組織が、この決定に強く反対している。間もなく憲法裁判所で司法審査を申し立てる予定だ」とクスマワンは付け加えた。

4月11日にインドネシア労働党の党員100人が、国会正門で新法反対デモに加わった。

組合は、雇用創出法の条項は労働者の権利を損なうと主張している。労働党は、毎週火曜日に雇用創出法に反対する抗議集会を開くと誓った。メーデーに全国的な街頭デモが計画されており、50万人を超える労働者が参加すると予想される。

インドネシアの雇用創出法は、パンデミックの経済的影響に対応してジョコ・ウィドド大統領が発布したもので、その目的は、企業の投資や活動を促進することによって経済成長を刺激し、雇用を創出することだった。

しかし、組合は一貫して同法に異議を唱えており、この法律は労働者の権利と環境保護を弱体化させると主張している。同法には、労働時間や解雇手当、契約労働、外部委託、組織化したりストを実施したりする組合の能力に影響を及ぼす条項が盛り込まれている。

「インダストリオールは、雇用創出法に反対する闘いで同志と連帯している。インドネシア政府には、国民に選ばれた民主政府として、労働者の権利を保護する義務があり、世界的な危機や景気後退を理由に労働者の権利を縮小してはならない」と岩井伸哉インダストリオール東南アジア地域事務所所長は述べた。

3回インダストリオール大会は、インドネシア政府に雇用創出法の取り消しを求める決議を可決した。

 

青年アカデミー、東南アジアで活動家の強力なネットワークを構築

2023-03-27

【JCM記事要約】

  • インダストリオールとFES東南アジア青年活動家リーダーシップアカデミーによる3年間の訓練の結果、アクション・プランやキャンペーン計画、若年労働者の技能強化計画が生まれた。青年アカデミーではオンライン会合も開催され、変化する仕事の世界、多国籍企業と労働者の権利について議論が行われた。
  • 3月にはフィリピンにて初となる対面セッションを開催。参加者はフィリピンの各地を見学しながら各自の国の歴史を青年活動と関連づけ、政治における青年の影響力の強さを痛感することとなった。さらに仕事の概念や新しい労働形態、公正な移行、青年方針についても議論を行い、6月の青年委員会と合わせ、ソーシャルメディアキャンペーンとフラッシュモブを行うことを決定した。

 

2023年3月27日:インダストリオール-FES東南アジア青年活動家リーダーシップアカデミーでの3年間の訓練によって、地域の若い労働組合員のネットワークと彼らの要求が強化された。
                                                      

訓練の結果、インダストリオール青年決議をもとに作成された具体的なアクション・プラン、労働組合活動の全レベルで若年労働者を増やすためのキャンペーン計画、効果的な交渉者になるための若年労働者の技能強化、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントをなくすためのキャンペーンが生まれた。

青年アカデミーはCOVID-19パンデミック下でオンライン会議を開き、変化する仕事の世界、多国籍企業と労働者の権利、貿易協定と社会的公正、ジェンダーに基づく暴力の根絶について議論した。

「東南アジア青年アカデミーを続けた結果、集団で議論・行動する強力な活動家のネットワークが構築された。この将来の組合指導者たちが、効果的に組合を運営して互いに支え合い続けるために、十分な能力を身につけてくれることを期待している」とインダストリオール・グローバルユニオンのサラ・フローレス青年担当コーディネーターは述べた。

3月13-16日にフィリピン・マニラで初の対面セッションが開かれ、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンから若年労働者が集まった。

参加者はボニファシオ記念碑とサンチャゴ要塞を見学、フィリピンの解放闘争からインスピレーションを受け、各自の国の歴史を青年活動と関連づけ、政治課題において青年が重要な役割を果たすことを認識した。

会議室に戻って、仕事の概念や新しい労働形態、公正な移行、組織化・キャンペーンを中心に活発に議論した。若い労働組合員たちは青年方針についても議論した。

「今後も若年労働者を組織化していかなければならない。組合は、職場ですべての若年労働者の少なくとも10%を組織化することを目標に、青年向け訓練モジュールと組織化キャンペーンを開発すべきだ」とインダストリオール東南アジア・東アジア・太平洋青年作業部会のインタン・インドリア・デウィ書記は述べた。

参加者は、6月19日のインダストリオール・グローバル青年会議と併せて、ソーシャルメディアキャンペーンとフラッシュモブの企画を決定した。

「組合は若者の未来に関する交渉に若年労働者を参加させるべきだ。青年活動家向けに交渉訓練を行う必要がある。すべてのインダストリオール加盟組織に青年決議を周知させなければならない」とインダストリオール東南アジア・東アジア・太平洋青年作業部会のジーン・フェイ・ダグマン共同議長は述べた。

 

ナイジェリアで造船所労働者の復職を要求

2023-03-15

【JCM記事要約】

  • 海上石油・ガス設備等を製造するニジェールドック・ナイジェリア社は、昨年組合との対話なしに労働者21人を雇い止めしており、これに対し自動車・艇庫・輸送機器・関連上級スタッフ組合(AUTOBATE)は連邦労働雇用省に異議を申し立て、同省が経営側に協約を改善するよう求めていた。しかしながら2月、同社は人員余剰を理由にさらに10人を解雇すると発表した。
  • インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール所長は、同社による労働者への権利侵害を非難し、不安定な労働条件と不当労働行為を促進するのではなく、雇用保障をもたらすべきだ、と主張した。

 

2023年3月15日:ニジェールドック・ナイジェリアは、労働者21人への解雇通知の送達に続いて、2月23日、人員余剰を理由に10人を解雇すると発表した。組合は、一連の解雇は不当労働行為であるとして反対しており、労働者の復職を要求している。
                                                      

ニジェールドックはナイジェリア輸出加工区庁の監督下にある。同社はラゴスで海港を運営しており、保守用の造船所を所有し、海上石油・ガス設備製造などエネルギー・物流部門向けに製造活動を行っている。常用労働者149人を雇用し、第三者のコンサルティング会社であるプライム・サービシズを通して161人の有期雇用労働者を雇っている。

造船・修繕労働者を代表している自動車・艇庫・輸送機器・関連上級スタッフ組合(AUTOBATE)によると、一連の余剰人員解雇は不当かつ不法とみなされるだけでなく、国内外の労働基準にも違反している。ニジェールドックは正式な手続きを踏まない余剰人員解雇によって労働者から公正な報酬・給付を奪っている、とインダストリオール・グローバルユニオン傘下のAUTOBATEは言う。

例えば2022年8月、ニジェールドックが組合との対話抜きで21人の労働者を雇い止めにしたあと、AUTOBATEは連邦労働雇用省を通じて解雇に異議を申し立てた。同省は解雇手続きが不法だったという点で組合に同意し、経営側は労働者との協約改善を余儀なくされた。

ナイジェリア労働法(2004年)第20節によると、「使用者は、関連労働組合または労働者代表に、予想される余剰人員解雇の理由および範囲を通知するものとする」。

ライ・ブラウンAUTOBATE書記長は言う。

「私たちは、違法解雇の文化、臨時雇用化、労働者の権利侵害はすべて、かつて有名だったナイジェリア最大の船会社の民営化の欠点を示す証拠だと力強く主張する。私たちはニジェールドックの現経営陣を信頼していない。同様に、解雇された労働者の即時復職を要求し、ナイジェリア労働会議の指導部が本件に関して迅速に介入したことを称賛する。ニジェールドックで労働者の利益を守るために最後まで闘う」

インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長は言う。

「ニジェールドックは労働者の権利侵害をやめ、余剰人員解雇に関する法規定に従わなければならない。この船会社は、不安定な労働条件と不当労働行為を促進するのではなく、雇用保障をもたらさなければならない」

 

OECD鉄鋼委員会で労働者への投資を要求

2023-03-14

【JCM記事要約】

  • 第93回OECD鉄鋼委員会が2日間に亘ってパリで開催され、会合では労働組合の他様々な専門家が参加した。専門家は世界の鉄鋼需要と鉄鋼生産に関する最新情報を提供し、2023年の需要と生産は不透明であると発表した。労働組合はウクライナにおける現在の労働市場改革について懸念を表明し、労働者への支援ならびに投資と鉄鋼部門の公正な移行の確保の必要性を訴えた。
  • OECD鉄鋼委員会は最終的に、エネルギー・原料危機を受けて、今後サプライチェーン観測所を立ち上げる可能性についても議論。インダストリオール・クリスティン書記次長は、公正な移行の責任は労働者だけで担うことはできず、多国籍企業が脱炭素化と労働者への投資によって果たさなければならない、と主張した。

 

2023年3月14日:TUACとインダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、議題がウクライナの鉄鋼業の状況であれ、全世界の鉄鋼部門の脱炭素化であれ、国際貿易の現状であれ、鉄鋼労働者への影響を討議の中心にしなければならないと主張した。鉄鋼労働者に変化に関する情報を与えて協議し、彼らの雇用を保護しなければならない。
                                                      

3月13-14日にパリで第93回OECD鉄鋼委員会が開かれ、政労使をはじめとするステークホルダーが、世界の鉄鋼部門が直面している課題をめぐって討議した。

労働組合が発言し、ウクライナにおける現在の労働市場改革について懸念を表明するとともに、企業と政府に対し、労働者への支援・投資と鉄鋼部門の公正な移行の確保を求めた。

会議の冒頭に、ロシアによる進行中の違法な戦争を踏まえて、ウクライナ情勢と世界の鉄鋼市場に対する影響に関する最新情報が提供された。世界の鉄鋼市場がエネルギー不足と原料入手難の影響を受け続けている中で、TUACは、ウクライナ政府が労働法改革と労働組合活動の抑制(団体交渉の弱体化など)を画策していることに照らして、すべての労働者に対する影響を指摘した。

ベロニカ・ニルソンTUAC暫定書記長が次のように述べた。

「ウクライナの労働者と労働組合は先頭に立って、ウクライナに対するロシアの違法な攻撃に立ち向かっている。私たちはウクライナ政府に対し、まだ働いている労働者ならびに今後復帰する労働者の労働条件と団体交渉権の維持を確保するよう要請する。拙速な労働市場改革によって条件や権利を弱めてはならない。団体交渉代表権と社会的対話はヨーロッパの基本的な価値観であり、ウクライナのEU加盟に向けて維持・強化しなければならない」

さまざまな専門家が世界の鉄鋼需要と鉄鋼生産に関する最新情報を提供し、2021年と2022年は世界レベルで全般に堅調だったが、2023年は依然不透明であるとの見通しを示した。世界最大の鉄鋼生産国である中国はOECD加盟国ではないが、労働組合は中国の鉄鋼業における展開に関する最新情報を歓迎し、世界的な過剰生産能力が今なお大きな問題であることに留意した。

世界的な過剰設備危機のリスクが高まっており、世界の生産能力と粗鋼生産量の差は2022年現在6億3200万トン(2021年5億1690万トン)に達している。世界的な過剰設備が原因で鉄鋼価格が下落し、競争条件が不平等になっているので、労働組合は、これに取り組むために国際レベルの共同行動強化を再び求めている。

クリスティン・オリビエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長が次のように述べた。

「この移行の責任は労働者だけで担うことはできないし、担わせてはならない。多国籍企業は、脱炭素化と労働者への投資によって完全に責任を果たさなければならない。それは社会的・環境的公正の問題だ」

前回のOECD鉄鋼委員会での公正な移行の確保に関するTUACのプレゼンテーションを受けて、鉄鋼部門の脱炭素化の主題が再び議題に載せられ、G7とG20の代表が最新情報を提供した。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合はOECD諸国の政府・使用者に、グリーン移行は公正な移行でなければならないことを思い出させ、労働者や地域が置き去りにされないようにするという労働組合の具体的な要求を突きつけた。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長が述べた。

「国際鉄鋼部門の脱炭素化はグローバルな課題であり、私たちはOECDがこの主題にさらに重点を置いていることを歓迎する。鉄鋼労働者はグリーン移行の中心にあり、移行の全レベルで関与しなければならない。つまり、全レベルで質の高い社会的対話を行い、変化を適切に計画・予想することにより、労働者や地域が取り残されないようにするということだ。私たち抜きに私たちのことを決めないで!」

OECD鉄鋼委員会はさらに、現在のエネルギー・原料危機等を受けて、サプライチェーン観測所を立ち上げる可能性についても議論。この危機は不確実性、価格上昇、材料の供給ルート変更、そして時には鉄鋼生産の停止をもたらし続けている。OECD2023年末までに成果物を提出することを目指している。

 

第190号条約批准キャンペーンが継続

2023-03-10

【JCM記事要約】

  • 2019年に仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約が採択されてから、加盟組織は同条約の批准を求めて活動を続けている。ウルグアイが世界で最初に同条約を批准したのち、フィリピンやインド等多くの国で加盟組織による批准キャンペーンが行われてきた。最近ではカナダとアイルランドが批准し、これまでに25カ国が同条約を批准している。
  • インダストリオール・クリスティン書記次長は、加盟組織が第190号条約キャンペーンを実施していることを称賛し、今後も各国政府がこの条約を批准するまでキャンペーンを継続する呼びかける、とした。またインダストリオールは、フリードリヒ・エーベルト財団と共に、ジェンダーに基づく暴力に関する訓練モジュールも発表している。

 

2023年3月10日:2019年に仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO第190号条約が採択されてから、世界中の組合が同条約の批准を求めて運動している。最近カナダとアイルランドが批准し、これまでに25カ国が第190号条約を批准している。
                                                      

ウルグアイが世界で最初に同条約を批准した。同国のインダストリオール加盟組織は、ワークショップを開いて条約の内容とそれが組合にとって役立つ手段である理由を説明し、極めて大きな役割を果たした。

フィリピンの組合は政府に対し、ハラスメントとの闘いと同条約の批准を強く要求した。組合キャンペーンで、労働者は「ILO第190号条約批准」と書かれたポスターを掲げ、認識を高めるために「第190号条約批准」という文字の入ったマスクとTシャツを着用した。

インドの法律は、使用者にハラスメント防止委員会の設置を義務づけている。しかし、これらの委員会は効果を上げていない。組合は批准キャンペーンの一環として、効果のある機能的な委員会を求め、労働者の間で条約に対する認識を促している。政府はまだ批准についてコメントしていない。

バングラデシュの組合は街頭で行動を起こし、第190号条約の批准を要求している。政府は批准を調査すると繰り返し約束しているが、何も実現していない。

スリランカでは、組合が第190号条約の批准に関して他の利益団体との対話セッションを実施した。組合は労働者の権利について議論する全国労働諮問委員会に加わっており、批准の重要性を指摘している。前労働大臣は間もなく批准すると誓約したが、現下の政変により、政府は何の動きも起こしていない。

ウガンダでは、組合が政府と会談し、記者会見を開き、第190号条約の批准と国内法化をスローガンに掲げたポスターを使ってメディアキャンペーンを展開している。これらの活動は一般大衆に条約について知らせ、批准の重要性を訴えている。

マダガスカルでは、すべての女性活動で対話が行われ、ILO専門家が参加している。既存の女性関連条項に関するILO比較研究の結果、ソーシャル・パートナーが批准プロセスの開始について合意した。使用者はためらっているが、プロセスは続いている。労働法修正と第190号条約を原文に盛り込むことが提案されている。

ニカラグアの組合は第190号条約を求めて運動しているが、政府の反応は鈍い。

トリニダード・トバゴでは、組合が現行法のギャップ分析を実施し、条約批准を優先課題に掲げている。条約に関するフォーラムが開かれ、組合が発言を求められた。

コロンビアでは、労働組合と政治家が条約に関する公聴会を開き、大統領が条約の批准を約束した。

「インダストリオールは、加盟組織の第190号条約キャンペーンを称賛する。職場におけるジェンダーに基づく暴力とハラスメントは、私たち全員にドミノ効果を及ぼす。組合に対し、各国政府がこの条約を批准するまでキャンペーンを続けるよう呼びかける」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。

インダストリオールはフリードリヒ・エーベルト財団とともに、訓練モジュール――「Violence. Not in our workplace」というタイトルのジェンダーに基づく暴力に関するモジュール1、2および3を開発した。

 

労働組合がジェンダー賃金格差をなくすための5つのステップ

2023-03-08

2023年3月8日:今日の国際女性デー(IWD)にあたり、インダストリオール・グローバルユニオンは、賃金平等を求める交渉で労働組合を支援するために開発された賃金平等ツールキットを発表した。
                                                      

賃金平等ツールキット(英語版)

 

 

 

 

 

 

全世界で、女性の賃金は男性より20%ほど少ない(ILO、2022)。多くの国々が同一賃金法を可決し、1951年のILO同一報酬条約(第100号)(批准率93%)も批准しているにもかかわらず、ジェンダー賃金格差は相変わらず根強く見られる。

ジェーン・ピリンジャー(博士)は、賃金平等ツールキットの執筆者である。彼女は賃金平等と職場におけるジェンダーに基づく暴力に関する国際的専門家で、過去35年間、ジェンダー平等をめぐって労働組合と協力してきた。

ピリンジャーは、労働組合がジェンダー賃金格差の解消に取り組むことができる5つのステップを以下のとおりまとめている。

  1. 男女間の賃金不平等、ジェンダー賃金格差の原因、それが重要な労働組合問題である理由に対する認識を高める。
  2. ジェンダー賃金格差の構造上の原因(女性の介護責任負担、女性の仕事や技能の過小評価という重要な問題など)に取り組む。
  3. 賃金の透明性が必要である。データがなければ、組合はジェンダー賃金格差について交渉することができない。組合はジェンダー賃金格差に関するデータを求め、この問題をめぐる交渉戦略を構築しなければならない。
  4. インフォーマル経済の低賃金労働者の問題に取り組むために、法律だけでなく使用者・公的機関との交渉戦略においても、生活最低賃金に関する戦略を構築する。そして、インフォーマル労働者が社会的保護を受ける権利を確保し、自分たちがしている仕事に対する承認を得られるようにする。
  5. ジェンダー賃金格差をジェンダーの質に関する二次的な問題とするのではなく、中心的な労働組合交渉に盛り込むための手段や機構を見つける。この問題は、賃金交渉、例えば労働組合の将来における重要な戦略の中心に据えるべきである。

「このジェンダー賃金格差ツールキット開発の決定は、女性委員会で議論を重ねた結果下された」

「ツールキットが目立って取り上げている同一労働同一賃金と同一価値労働同一賃金に関しては、まだ誤解があることが分かっている。加盟組織に対し、賃金格差をなくすために努力するにあたって、このツールキットを役立てるよう勧める」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。

                 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベラルーシの組合活動家に対する弾圧続く

2023-03-08

【JCM記事要約】

  • ベラルーシ当局は依然として独立組合運動を厳しく取り締まっている状況。3月に入ってから、ベラルーシ自由労組(SPB)の議長が過激主義的な資料の配布を理由に行政逮捕を言い渡されている他、人権団体ビャスナの代表が10年の実刑判決を言い渡された。2月には、独立労働組合活動家を含むRabochy Rukh運動のメンバーが有罪判決を受けている。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、活動を続ける組合の支援を続け、ベラルーシ当局による弾圧を非難する、と述べた。インダストリオールはインダストリオール・ヨーロッパ労働組合と共に、欧州委員会・欧州議会・欧州理事会・ILOへ書簡を送り、独立労働組合や個人の弾圧の中止を促すよう緊急行動を求めている。

 

2023年3月8日:ベラルーシ当局は依然、国内にわずかに残った独立組合運動を厳しく取り締まっている。当局は先週、民主主義国を求める運動を阻止しようとして、捏造された容疑で数人の活動家を逮捕した。
                                                      

3月6日、ベラルーシ自由労組(SPB)のMikalai Sharakh議長がポラツクの自宅で警察に拘束された。同議長は現在、過激主義的な資料の配布を理由に15日間の行政逮捕を言い渡されている。

その1週間前には、SPB活動家のViktar Stukauと結婚しているSviatlana Stukavaが、フェイスブック・グループをフォローした嫌疑で拘束され、15日間にわたって逮捕された。

そして今月に入って、ノーベル賞受賞者で人権団体ビャスナ代表のアレシ・ビャリャツキが、ミンスクの裁判所で10年の実刑判決を言い渡された。

2月には、Rabochy Rukh運動のメンバーである10人の政治犯が反逆で有罪判決を受け、長期の懲役刑と罰金に処せられた。有罪判決を下された人のうち、6人がベラルーシ独立労働組合で活動している。

ベラルーシの裁判所は1月にも、政治的動機に基づいた起訴により、独立労働組合の指導者に最高9年の過度に厳しい懲役刑を宣告した。

「インダストリオールは、ベラルーシで独立組合と民主主義を求める運動を公然と支援し続けており、世界的な発言力を使って彼らに対する厳しい弾圧を非難していく。アレシ・ビャリャツキとゲナディ・フェディニッチに対する厳しい実刑判決(それぞれ10年、9年)は、彼らの年齢と健康状態、ベラルーシの刑務所の状況を考えれば実質的に死刑だ」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

昨年12月に懲役刑を言い渡されたベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)の幹部3人は、3月24日にベラルーシの最高裁判所で上訴審が行われる。REP指導者の最高裁審理は3月30日である。

ILO理事会は3月13-24日にジュネーブで会合を開く予定で、議題にベラルーシを盛り込んでいる。同理事会は、「ベラルーシ政府に第87号および第98号条約に関する調査委員会の勧告を遵守させるために、ILO憲章第33条に基づく措置ならびにその他の措置の選択肢」を検討する。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、欧州委員会、欧州議会、欧州理事会およびILOに書簡を送り、緊急行動を要請した。例えば、ベラルーシの独立労働組合運動への支持を公に表明すること、ベラルーシ当局が逮捕された労働組合員を無条件で即時釈放し、人権の尊重を要求している独立労働組合や個人の弾圧をやめるよう要求することである。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ILOの条約勧告適用専門家委員会(CEACR)の要請を繰り返し、「拘留中の労働組合員全員の釈放と、平和的抗議や争議行為への参加に関連するすべての起訴の取り下げ」を求めている。

行動を起こし、ベラルーシで投獄された労働組合員への支援を

  • レイバースタートのキャンペーンに署名して共有する。
  • 引き続き圧力をかけるよう自国政府に要請することによって、ベラルーシの活動家を支援する。ここに利用できるモデルレターがある。
  • ミンスクの大使館に対し、控訴審にオブザーバーを派遣するよう要請する。
  • 自国のベラルーシ機関(大使館)前で連帯行動を実施する。
  • ベラルーシにおける労働組合員の投獄を世界に知らしめる――組合の伝達経路で公表する。
  • ハッシュタグ#WeStandByYou #Salidarnastを使ってソーシャルメディアでSalidarnast-BKDPのメッセージや資料を広める
  • ベラルーシ共和国大統領府に公開状を送り、組合メディアで公表するとともに、普通郵便でベラルーシの住所宛に送るか、ファックスで送信する。

Presidential Administration of the Republic of Belarus Karl Marx str., 38
220016 Minsk Belarus
Fax +375 (17) 222-35-56

 

 

インドのカルナタカ州、反労働者的な法律を実施

2023-03-07

【JCM記事要約】

  • インド・カルナタカ州政府は、工場の作業が例外的に切迫している状況のみ、1日の労働時間を現行法の9時間から12時間まで延長できる工場法を可決した。さらに、超過労働時間も75時間15分から145時間に延長した。政府の主張によると、これは経済活動と雇用機会を広げ、インドの製造業部門を振興することが狙いだと言う。
  • インダストリオール南アジア地域事務所・アプールヴァ所長は、1日の労働時間は8時間を超えることができないと定める、既にインドが批准するILO第1号条約に違反するとしてこの法律を批判し、インダストリオールとしてこの反労働者的な法律の即時廃止を要求する、とした。

 

2023年3月7日:カルナタカ州政府は2月23日、1日の労働時間を9時間から12時間に延長する反労働者的な法律を可決した。
                                                      

インドの現行法である1948年工場法では、1日の労働時間は9時間を超えてはならず、労働者に30分の間隔をあけずに5時間を超えて働くよう求めることはできない。

工場法は、工場の作業が例外的に切迫している状況においてのみ、それらの条項の適用免除を認めている。この免除によって、州政府は労働時間を112時間まで延長することを認められ、労働者に休憩なしで6時間の連続勤務を求めることができる。ただし、3カ月間の合計超過労働が75時間を超えてはならない。

修正後の2023年工場(カルナタカ修正)法案は討議抜きで可決され、1日の労働時間を12時間に延長するだけでなく、超過労働時間も75時間15分から145時間に延長した。

カルナタカ州政府の主張によると、この変更の狙いは、経済活動と雇用機会を広げるとともに、1日の最大労働時間の増加を促進することによって、生産性を高めてインドの製造業部門を振興することだという。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。

「周知のとおり、インドでは実際のところは多くの労働者の労働時間が112時間に増えているが、新しい法律はこの違法な慣行を追認した。修正法は、インドが批准済みのILO1号条約に違反している。同条約は、1日の労働時間は8時間を超えることができないと定めている。インダストリオールは、この反労働者的な法律の即時廃止を要求している」

新しい法律は女性の夜勤を認めており、女性労働者に平等な勤労・稼得機会を提供している。ジェンダー賃金格差のおかげで、企業は同じ量の仕事に対してより少ない賃金を払えば済むようになる。

カルナタカ州政府の工場法修正に先立って、インド政府は新しい労働法を可決し、現行の労働法を統合して労働時間を12時間に延長した。新しい労働法はまだ実施されていない。

 

地震被災者との強い連帯が必要

2023-03-02

【JCM記事要約】

  • インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の合同ミッションが、地震被災地のトルコを訪れた。現地加盟組織からの報告では、多くの組合員が亡くなり、生き残った組合員も肉親を失い自宅が崩壊するなど甚大な被害を受けており、合同ミッションは現地での悲惨な状況を目の当たりにした。
  • インダストリオール・ケマル書記次長は、今回目の当たりにしたことは忘れることができないものであるとし、全世界のインダストリオール・ファミリーが被災地の同志との連帯を表明すべき時だ、と主張した。インダストリオールは同国を財政面で支援するため、加盟組織へ協力を呼び掛けている。

 

2023年3月2日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、2月に地震に襲われたトルコの被災地への合同ミッションを実施し、全世界数百万人の労働者を代表して力強い連帯メッセージを届けた。
                                                      

2月6日、マグニチュード7.7と7.6を記録した2回の壊滅的な地震により、トルコとシリアで5万人以上が死亡した。トルコの人口の15.7%に相当する1340万人が、地震の影響を受けた11都市(カフラマンマラシュ、ガジアンテップ、シャンルウルファ、ディヤルバクル、アダナ、アドゥヤマン、オスマニエ、ハタイ、キリス、マラティヤ、エラズー)に住んでいる。

地震被災地はトルコの国内総生産(GDP)の9.3%を生み出している。この地域はトルコの企業と納税者のおよそ11%を占め、国の輸出総額の8.5%に貢献している。被災地で社会保障制度の対象となる従業員の割合は11.7%である。

世界銀行の早期予測によると、この地震は最大342億米ドル(2021年のトルコのGDPの4%に相当)の直接損害をもたらした。さまざまな評価によると、都市や住宅の再建にはその2倍あるいは3倍の費用がかかるかもしれない。

2月21-24日の合同ミッションは、アダナからマラティヤまで1500kmを移動して被災州のうち7州を訪問し、ほとんどの町が瓦礫の山と化した甚大な被害を悲痛な面持ちで観察した。

ミッションは、シリアとの故郷に近い古都アンタキヤの完全な崩壊を目の当たりにして衝撃を受けた。シリアとの国境の真向かいにあるこの都市にとって、114秒間の最初の地震は戦争よりはるかに破壊的であり、歴史遺産をすべて失ってしまった。

国内の他の地域や世界中から共同体的連帯が一斉に寄せられ、救援活動や人道援助によって食料や衣類、シェルターが届けられている。無料の温かい食事を提供するフードバンクが設けられ、厳しい冬期の条件下で宿泊用のテントやコンテナの設置が続いている。しかし、人々が生き残るにはもっと多くのテントが必要である。

イスケンデルン

 

ミッションは12の組織化職場を訪れ、労働者や現地組合代表と会談した。この地域は製造業、特に繊維・衣料、鉄鋼、エンジニアリング、石油ガスおよび鉱業部門で重要な役割を果たしている。フル稼働ではないが、すでに操業を再開した職場もいくつかある。

ペトロール・イス、Teksif、テス・イス、Öziplik-İş、ウズチェリク・イスなどの加盟組合が、傘下の組合員の死亡を報告している。生き残った労働者のほとんどが肉親や親類、親友を失った。組合員は自宅の倒壊や甚大な被害を報告している。職場は仮の宿泊施設を提供しているが、他の市に出ようとしている労働者もいる。報告によると、200万人が政府に地域を去るための援助を申請した。

トルコの労働組合は、組合員と地域社会を助けるために結集している。組合は人命救助のために独自の救助隊を結成したり、他のチームに加わったりしている。他の地域から数千人の鉱山労働者が被災地に入り、救助作業で重要な役割を果たした。国全体が鉱山労働者の並外れた努力を認めている。

2月8日現在、被災地では90日間の非常事態が宣言されている。その間、使用者は労働者をレイオフしたり、請負契約を取り消したりすることができない。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のリュック・トライアングル書記長は言う。

「このミッションで、私は人生で最も悲劇的な光景を目にした」

「まだ残骸の下に閉じ込められている遺体を見つけることは全員の責任だ。都市や家屋は再建できるが、残念ながら、亡くなった人を取り戻すことはできない。被災した組合員のために加盟組織との強い連帯を表明する時だ」

ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は言う。

「今回のミッションで目の当たりにしたことは、いつまでも忘れられず、私たちの心に大きな傷跡を残す。現実は画面に映し出されている状況よりもはるかにひどい」

「全世界およびヨーロッパのインダストリオール・ファミリーが被災地の同志との連帯を表明すべき時だ。この大変な時期に彼らと連携しなければならない」

財政面で援助したいと考える組合は、下記の連帯基金に拠出することができる。

銀行名:Cler Bank
銀行所在地:6-8 Place Longemalle, CH – 1204, Genève, Switzerland
口座名義人名:IndustriALL Global Union
口座名義人の住所:54bis, route des Acacias 1227 Carouge Genève, Switzerland
SWIFTコード:BCLRCHBB
IBANコード:CH70 0844 0145 2523 1139 0
銀行口座番号:145252.311390-0
通貨:ユーロ

               

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トルコのポスコ・アッサンにおける労働者の権利侵害を懸念

2023-03-02

【JCM記事要約】

  • 製鉄会社ポスコ・アッサンが2017年に組合加入を理由に労働者を解雇した件について、インダストリオールおよびインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は同社による対応を批判している。この件について、裁判所は同社が組合活動を理由に労働者を解雇したのは明確であり、労組を団体交渉相手として承認しなければならないと命令しているのにも関わらず、同社は依然として反組合的対応を続けている。
  • インダストリオール・ケマル書記次長は、同社は労働組合を弱体化させるために法律を破ったうえに、そのことについて嘘をつこうとしていると同社を批判し、判決を受け入れて交渉を開始すべきだ、と強く主張した。

 

2023年3月2日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)に対する製鉄会社ポスコ・アッサンの主張に、証拠を挙げて反論した。
                                                      

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、製鉄会社ポスコ・アッサンのトルコ・コジャーエリー工場における人権および労働者の権利の侵害と反組合行動について、深刻な懸念を表明している。

同社は2017年、労働組合ビルレシク・メタル・イスへの加入を理由に80人の労働者を解雇した。警察は、工場前で一連の解雇に抗議した組合員に暴力を振るい、組合員と組合幹部を逮捕した。

同労組は5年後、トルコの労働者のために勝利を収めた。トルコの最高裁判所である破棄院が、同労組は職場で過半数を占めており、ポスコは同労組を団体交渉相手として承認しなければならない、との裁定を下したのである。

ポスコは反組合行動の申し立てを否定し、ミスリードを続けている。

団体交渉の効果的な承認に対するトルコの労働者の権利を侵害し続けるという同社の決定は、民主的労働組合の継続的な弾圧によって自社の反組合的慣行に関する判決に対処するというパターンに従っている。

ポスコが紙の上では法令を遵守すると言いながら、韓国の裁判所と人権委員会、労働省が長年の間に確認した反組合的慣行を完全に是正していない実態は、組合つぶしを否認し、民主的労働組合の承認を渋る同社の姿勢を浮き彫りにしている。ポスコがミャンマーでポスコ・インターナショナルのシュエ・ガスプロジェクトを通じて、クーデター勢力の収入源と認められているMOGEへの資金供給を続けていることは、労働者の権利と人権の尊重・実施へのまったくの無関心の一例である。

ポスコ・アッサンは、2022年7月のビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)へのつい最近の回答の中で、労働者は無規律を理由に解雇されたのであり、当社は労働者の再雇用と復職しなかった労働者への補償金支払いを決定したと主張した。一連の判決は、そうではないことを証明している。現に裁判所は、ポスコが組合活動を理由に労働者を解雇したと判断し、解雇手当に12カ月分の割増賃金を上乗せして支払うよう同社に命令した。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、2022年7月のBHRRCへのポスコ・アッサンの回答に共同で対応、証拠を提供して同社の主張に反論した。

両組織は、環境・社会・企業統治方針の監督に責任を負うポスコ・ホールディングスの取締役会に対し、判決と中核的労働基準の定めに従って、人権管理ガイドラインを効果的に実施するとともに、ビルレシク・メタル・イスを団体交渉代表権者として承認し、誠実に交渉を行うよう求めている。

「ポスコ・アッサンで、ビルレシク・メタル・イスが合法的な代表的組合であることが否定され、労働者の権利、特に団体交渉権が侵害されていることに私たちは衝撃を受けている。明確な判決が出たにもかかわらず、である。ポスコ・アッサンに対し、ビルレシク・メタル・イスに関与し、今すぐ誠実に交渉するよう求める!」

「同社の人権デュー・ディリジェンス・プロセスで、会社の方針・手順が――まさに今回のケースのように――機能していない場合は悪影響を是正するために努力すべきである、と定められていることも改めて指摘しておく」とリュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は言う。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「ポスコは全世界で組合つぶしに手を染めてきた過去があり、これは同社自身のデュー・ディリジェンス原則に反する。トルコの事例への同社の対応に見られる不誠実な態度は、投資家に警戒心を抱かせるだろう。この会社は労働組合を弱体化させるために法律を破ったうえに、そのことについて嘘をつこうとしている。トルコの最高裁判所は、ビルレシク・メタル・イスがコジャーエリー工場で労働者を代表していると判断した。ポスコは判決を受け入れ、交渉を開始すべきだ」

 

 

 

 

 

 

 

3月8日ジェンダー平等のために結集しよう!

2023-03-01

【JCM記事要約】

  • COVID-19のパンデミックが原因で、多くの女性が貧困に陥ったと言われている。さらに産業分野と学術分野に従事する女性は少なく、トップ20の世界的テクノロジー企業での女性の割合は2022年では約3割程度にとどまっている。パンデミックは、ジェンダー不平等の悪化から情報格差の拡大まで、さまざまな形の不平等をより明白にした。
  • 国際女性デーの3月8日に向け、国連が提案しているテーマは「DigitALL world:ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー」である。インダストリオールでは、ハッシュタグを用いてSNSにて加盟組織の経験の共有を募っている。さらにインダストリオールでは、同日に賃金平等の交渉に役立つ新しいツールキットを発表する。

 

2023年3月1日:国連によると、世界各国は2030年までにジェンダー平等を達成する軌道にはまったく乗っていない。女性が平等な法的権利と保護を受けるようにする法的枠組みを確保するには、最大286年かかるかもしれない。COVID-19と、女性の性と生殖に関する健康と権利に対する反発は、ジェンダー平等の見通しをさらに暗くしている。
                                                      

世界の統計値から、女性の経済権限付与が後退していることは明らかである。国連開発計画(UNDP)は、2021年までに世界中でおよそ4億3500万人の女性と少女が1日1.90米ドル未満で生活するようになり、パンデミック関連のショックが原因で4700万人が再び貧困に陥るであろうと示唆した。

女性と少女は、産業分野と学術分野、より広い技術部門で人数が少なすぎる。国連によると、国際レベルで見て、科学、工学および情報通信技術の職に就いているのは女性10人に2人だ。トップ20の世界的テクノロジー企業では、2022年の女性参画率が労働者のわずか33%で、指導的地位に占める女性の割合は4人に1人にすぎない。女性発明者は、全世界で国際特許出願に列挙された発明者の16.5%にとどまっている。

ILOの報告によると、COVID-19パンデミックは依然、ジェンダー不平等の悪化から情報格差の拡大まで、さまざまな形の不平等を深めている。

私たちは労働組合として、女性の同僚と労働市場から締め出されている女性一般の状況を懸念すべきである。

上記の数字を分析するにあたり、デジタル化と自動化による仕事の世界の急速な進化、特にデジタル・ジェンダーギャップが関連部門でジェンダーに基づく不平等の拡大に与える現在および将来の影響を考慮に入れるべきだ。

変革的アジェンダを実施していると主張できるようにするには、インダストリー4.0と気候変動が関連産業にもたらす変化への対応において、特にこれらの変化が関連部門の男女労働者に及ぼす影響がどのように異なるかについて、状況のジェンダー分析を行わなければならない。

それは、明日の適正で質の高い雇用がどのようなもので、どこで生まれるかを尋ねるだけでなく、女性がどの程度まで男性と平等にその雇用に就くことができるかを自問し、分析することでもある。私たちは労働組合として、公共政策と会社の方針がこれらの新しい機会のジェンダーに基づく平等な分配につながるようにするために、何をすることができるだろうか?これがなければ、ジェンダー平等に関する労働組合の話は形骸化してしまう。

38日、行動に参加しよう

3月8日、国連が提案しているテーマはDigitALL world:ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー」である。このテーマは、第67回女性の地位委員会(CSW-67)の優先テーマ、すなわち「ジェンダー平等とすべての女性・少女のエンパワーメントを達成するためのイノベーションと技術的変化、デジタル時代の教育」と関連している。

ソーシャルネットワークで国連CSW-67に関しインダストリオールをフォローして頂きたい。

ハッシュタグ#CSW67 #UNCSW6を使って貴組合の経験を共有願う。UNCSWグローバル・ユニオン・ブログでUNCSW67労働組合ニュースをフォローすることもできる。

加えて3月8日に、賃金平等に関するインダストリオールの新しいツールキットを発表します。このツールキットは、加盟組織が同一価値労働同一賃金を目指して団体交渉を行うための新しい手段になるだろう。研究の結果、労働組合がこの問題に関する団体交渉に関与すれば、ジェンダー賃金格差が減少することが分かっています。例えば欧州連合では、賃金の透明性に包括的に取り組み、団体交渉で同一賃金を取り上げることによって、ジェンダー賃金格差を1.65〜4.33%減らすことができた。

仕事の世界におけるジェンダー平等のこれらすべての進歩は、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)の根絶によってのみ可能となる。インダストリオールは国際女性デーに際して、仕事の世界における暴力およびハラスメントの撤廃に関する訓練モジュールGBVHILO190号条約をオンライン上で発行する。この一連の3つの訓練モジュールは、労働組合指導者や役員、教育担当者、職場委員を教育するための実用的ツールである。労働安全衛生方針にGBVHを統合し、労働者に信頼される効果的な苦情処理システムを確立する方法について、実際的な指針を与える。

カナダは2023年1月末、25番目にILO第190号条約を批准した。この文書の批准と実施を求めて引き続きキャンペーンを展開しよう。すべての労働者に、暴力のない仕事の世界で働く権利があるのだ!

3月8日の貴組合の行動予定をお知らせ頂きたい。インダストリオール女性フェイスブックグループに加わり、aseby@industriall-union.orgpress@industriall-union.orgに行動を報告したり、写真を送ったりすることもできる。

ハッシュタグ#ALLWomen#ITCANCHANGELIVES #C190を使ってください。

 

南アジアの加盟組織、団結した闘いを呼びかけ

2023-02-23

【JCM記事要約】

  • インダストリオール・アトレ書記長が、南アジア地域を訪問した。訪問中にはスリランカ首相と会談を行い、経済・労働問題をめぐる議論に労働組合を参加させるよう強く促した。また、バングラデシュ工業大臣とも会談を行い、港条約の批准を求めるインダストリオールの要求を提起した。さらにインダストリオール・バングラデシュ協議会やインダストリオール・インド協議会とも会合を行った。
  • アトレ書記長は、インダストリオールとして労働者の権利を保護する闘いにおけるこの地域の加盟組織を断固支持するとし、各国政府は職場の安全確保とともに、労働者が適正な生活水準を維持できるようにしなければならない、と主張した。

 

2023年2月23日:インダストリオール・グローバルユニオンのアトレ・ホイエ書記長は、南アジア地域が生活費の上昇と労働者の権利の浸食に取り組んでいる中、この地域を訪問した。反労働者的な労働政策と、労働組合への関与を避けようとする政府の姿勢は、この地域におけるインダストリオール加盟組織の現在の闘いを強調している。
                                                      

インダストリオール指導部と加盟組織はスリランカ首相と会談し、経済・労働問題をめぐる議論に労働組合を参加させるよう強く促した。これらの問題はスリランカの労働者の生活条件に多大な影響を与えているからである。この会談では、スリランカの加盟組織と世界中の他の労働者の権利保護団体、学者によるスリランカの債務免除の要求についても討議し、インダストリオールはこれを支持した。国際労働機関(ILO)国別事務所長とも、労働者の権利保護と労働条件改善を目指してスリランカで進行中のILOプログラムをめぐり議論した。

書記長はバングラデシュ工業大臣との会談で、船舶解撤場の安全な労働条件を確保するために、バングラデシュ政府による香港条約の批准を求めるインダストリオールの要求を提起した。危険な労働条件が原因で日常的に死者が出ている。香港条約の批准は、この状況を大幅に改善する。

インダストリオール・バングラデシュ協議会は書記長と、バングラデシュのインダストリオール加盟組織間の団結の必要性について議論し、この国の衣料労働者の最低賃金を増やすためのキャンペーンが不統一であることを特に強調した。空前の高インフレにもかかわらず、労働者の賃金は今も8000バングラデシュ・タカ(75米ドル)にとどまっている。政府が前回賃金を見直したのは5年前である。大多数のインダストリオール加盟組織が、最低賃金として2万3000バングラデシュ・タカ(215米ドル)を要求している。

アトレ・ホイエは言う。

「インダストリオールは、労働者の権利を保護する闘いにおいて、この地域の加盟組織を断固支持する。世界中の急激なインフレを考慮して、最低賃金を生活賃金まで増やせとの要求を支持する。各国政府は、職場の安全確保とともに、労働者が適正な生活水準を維持できるようにしなければならない。危険な労働条件が原因で人命が失われる状況を許すことはできない」

書記長は南アジア訪問の最後にインドを訪れ、インダストリオール・インド協議会の会合に参加した。インドの加盟組織は、不安定雇用の根絶、労働者の安全衛生確保、新しい反労働者的な労働法の廃止の必要性について議論した。政府の反労働者的政策に一貫して抗議している加盟組織は、インダストリオールに進行中の闘いへの支援を求めた。アトレ・ホイエはインドの中央労働組合の1つであるインド全国労働組合会議(INTUC)の全国会議にも出席し、大勢の組合指導者を前に演説、インドの労働者の権利を向上させるための彼らの闘いに敬意を表するとともに、より多くの女性と若者を労働組合運動に参加させ、団結する必要があると強調した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来は今日始まる

2023-02-22

【JCM記事要約】

  • インダストリオール若年ホワイトカラー労働者会合が2日間にわたって開催された。当日はILO専門家やインダストリオール本部から発表があり、COVID-19パンデミックにより若年層雇用が減少したこと、再生エネルギー部門の雇用が急増する中で組織化を促す必要があること、若年層と前世代の労働者の間にはジェネレーションギャップがあること、が報告された。
  • 会合では参加者間で議論をする場もあり、参加者からは、テレワークの普及により就業時間外でも仕事をしやすくなってしまっていること、残業をしたい労働者がそうでない労働者に圧力をかけていること、若年層は組合加入にあたり障害に直面していること、等の問題が挙げられた。
  • 若年労働者は、インダストリオールおよび加盟組織へ対し、継続的な訓練と新しい技術的スキルの習得、ワーク・ライフ・バランスの改善を促進することの必要性等に焦点を当てるべきだと求めている。

 

2023年2月22日:2022年12月、半日の第1回インダストリオール若年ホワイトカラー労働者会合が2日にわたってオンラインで開催された。世界中から約35人が参加し、仕事の世界と組合のさまざまな現実やニーズ、期待を交換した。
                                                      

ILO専門家キー・ボーン・キムのプレゼンテーションによると、若年者は景気変動に対してより無防備で、COVID-19パンデミックの影響を不釣り合いに大きく受けている。COVID-19のせいで、2020年に世界の若年層雇用は7.3%減少した。世界の若者の23.3%が雇用、教育または訓練を受けていない。しかし、デジタル経済、グリーン経済、ケア経済では若年層雇用が伸びるチャンスがある。

インダストリー4.0ならびに気候変動は仕事と雇用量に大きな影響を与える。

「高度な技能を要する仕事の割合は過去20年に25%増えた。再生可能エネルギー部門では雇用が急増しているが、誰が交渉相手になるのだろうか。これらの新しい使用者との労使関係を発展させて労働者を保護するために、新しい部門を組織化する必要がある」と松﨑寛インダストリオール書記次長は言う。

コリン・シェウィン共同部会長が次のように述べた。

「若年ホワイトカラー労働者と前世代の労働者との間にはジェネレーションギャップがあることが非常に多い。若年労働者が置かれている状況は、親世代よりも祖父母の世代に近いときがある。雇用が不確かで、より不安定だ。しかし、若者と大人が協力し、誤解の溝を埋めて明日の企業を共同で築き上げる方法を学ぶ必要がある」

この文脈において、若年ホワイトカラー労働者は、自分の活動分野や国に固有のいくつかの課題や機会に囲まれている。初日は労働条件を中心に議論した。

柔軟な労働環境と超過労働は、脅威であるのみならず機会ともみなされていた。

一部の人にとっては、COVID-19でテレワークがほとんど新たな日常になったため、労働者は常時接続しているという感覚がある。コンピューターの電源を切ることがいかに難しいか、残業している労働者が残業したくない労働者にいかに圧力をかけているかについて意見を交換した。使用者は労働時間ではなく仕事の質を評価すべきである。そうすれば、残業していない労働者が非難されずにすむだろう。参加者は、残業時や規制されていない作業環境下でのメンタルヘルスへのリスクも強調した。

人によっては、超過労働は収入増のチャンスを示す。グローバルサウス諸国からの参加者は、若年労働者は給料では生活できないので、しきりに残業したがっていると述べた。

世界中で現在見られる労働状況・条件はさまざまであるため、若年ホワイトカラー労働者は平等ではない。

参加者たちは適正な賃金を要求するとともに、超過労働を強制せず、事前に使用者と交渉・合意するよう求めた。

北米やヨーロッパの若年労働者の場合、一部の参加者にとって、定期的に使用者を変えるのが普通とみなされている。経済情勢がそれほど好ましくなく、良質な雇用の供給が不足している国からの参加者は、若い有資格ホワイトカラー労働者の就職難を強調した。本人や家族に有力なコネがない若年労働者は結局、質の低い退屈な仕事に就くことになる。

一部の若い参加者は、労働組合員一家で育ったため、組合加入は当然の選択だった。あるいは、自分や労働者の意見を聞いてもらい、会社の機能をよりよく理解して影響を与えるために関与することが重要だったと言う人もいる。

若年ホワイトカラー労働者は、組合加入にあたって多数の障害に直面する。すなわち、時間不足、自分が時代遅れと感じる組織に一体感を持つことの困難、若年労働者の優先課題に対応しようとしない労働組合への関心の欠如、組合加入に反対する経営側からの圧力、若い専門職・管理職の組合加入を禁じる法律である。

労働組合が若いホワイトカラー労働者を勧誘するのに役立つ戦略として、若年労働者にこちらから手を差し伸べること、若年労働者に接触するためにソーシャルメディア・キャンペーンを開始すること、労働組合、労働者の権利および給付に関して若年労働者を教育すること、若年労働者のニーズと問題に取り組むことが挙げられる。

ユニオネンのサラ・リーが、スウェーデンの組合が訓練を受けた専門組織化チームを大学に派遣し、学生を勧誘していることを発表した。これらの新規組合員の勉学が終わったら連絡を取り、就職に向けて支援と助言を与える。

以下、若年ホワイトカラー労働者がインダストリオールと加盟組織に焦点を当ててほしいと考えている問題を列挙する。

  • 継続的な訓練と新しい技術的スキルの習得
  • ワーク・ライフ・バランスの改善を促進することの必要性
  • 気候が仕事や職業生活に及ぼす影響
  • メンタルヘルスと人間工学
  • 仕事の世界と労働組合におけるジェンダー平等と多様性
  • 失業との闘いと新しい雇用機会の創出

 

 

ミャンマーからの責任ある事業撤退の枠組み

2023-02-22

【JCM記事要約】

  • インダストリオールとミャンマーで事業を展開する衣料ブランド数社は、同国からの責任ある撤退の枠組みを共同で開発した。この枠組みは、何が責任ある撤退とされるのかに関する合意を示したもので、労働者の権利が保護され、影響を受ける労働者に十分な退職金が支払われる等労働者にとって有益となり得るものである。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、ミャンマーで事業を行う多くの企業は正しいことを行う方法を知らない中、同国での責任のある撤退を定義するこの枠組みは役立つものだとし、部門に限らず営業しているすべての企業に対し、この枠組みを利用して同国からの撤退を計画するよう求める、とした。

 

2023年2月22日:インダストリオール・グローバルユニオンおよびミャンマーで事業を展開する衣料ブランド数社は、同国からの責任ある撤退の枠組みを共同で開発した。
                                                      

2021年2月にミャンマーで軍事クーデターが起こったあと、インダストリオールは、同国で活動しているすべての多国籍企業に撤退を求めるミャンマーの組合による要求を支持した。ミャンマーでは軍事独裁政権下で人権と労働者の権利の侵害が増えており、この国が内戦の渦に陥りつつある中で、インダストリオールは企業が不本意ながらも人道危機の悪化に加担することを懸念している。

2021年、インダストリオール大会はミャンマーに対する包括的経済制裁の要求を全会一致で決定した。インダストリオールは、責任ある撤退の枠組みを作るために企業に関与している。インダストリオールは2022年11月、責任ある撤退のあり方の概略を示すために、ミャンマーで活動している衣料ブランド数社と議論を開始した。

その議論の結果、ミャンマーからのブランドの責任ある事業撤退の枠組み原則がまとまった。

この文書は、ミャンマーでの事業を中止するというブランド各社の約束ではなく、何が責任ある撤退とされるのかに関する合意である。

この枠組みは、労働者代表と取り決められた事業撤退を概説している。これにより、労働者の権利が保護され、影響を受ける労働者に十分な退職金が支払われ、未解決の労働者の権利侵害事例が修正される。この枠組みは衣料産業によって開発されたが、その原則は経済の他の部門にも適用できる。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

「ミャンマーでの営業倫理は複雑になっており、多くの企業は正しいことをする方法がまったく分かっていない。インダストリオールでは、企業に事業の中止を求めるために、影響を受けた労働者の代表であるミャンマーの組合運動の指導を受けている」

「責任ある撤退の計画が世界的な人権基準を支持する唯一の立場だ、という意見が次第に強くなっている。軍事独裁政権下の内戦状態でデュー・ディリジェンスを実施することはできない」

「この文書は責任ある撤退を定義している。衣料産業にとどまらず、ミャンマーで営業しているすべての企業に対し、この枠組みを利用して同国からの撤退を計画するよう求める」

ミャンマーからのブランドの責任ある事業撤退の枠組み原則

 

日本の組合、デュー・ディリジェンス促進に需要な役割を果たす

2023-02-21

 【JCM記事要約】

  • インダストリオールとUAゼンセンは、日本の複数のグローバルブランドおよび小売業者と会議を開催し、サプライチェーンにおける人権と労働者の権利及びその労使関係の重要性を強調した。この期間中、ミズノ、SEIYUグループ労働組合連合会、良品計画労働組合等と会議を実施し、外国人技能実習生に対するデューデリジェンスプログラムの強化、ミャンマーからの責任ある事業撤退を求めるインダストリオールの要請等について議論を行った。
  • インダストリオール・クラウセンTGSL(繊維衣料皮革靴)部門部長は、労働者の権利を促進するため積極的に活動をする日本の組合を称え、働組合の関与は、デュー・ディリジェンスプロセスの鍵であり、サプライチェーンにおける労働者と人権の保護の基礎である、と述べた

 

2023年2月21日:インダストリオール・グローバルユニオンと日本の加盟組織であるUAゼンセンは、2月13日から17日にかけて日本のグローバルブランドおよび小売業者との会議を開催し、グローバル・サプライチェーンにおける人権と労働者の権利への継続的な警戒の必要性と、サプライチェーンの労使関係の重要性を強調した。
                                                      

日本の労働組合は、特にサプライチェーンにおいて人権と労働者の権利が尊重されるようにするために、デュー・ディリジェンスを推進し、より責任あるビジネス慣行を推進する上で重要な役割を担っている。

日本では、人権デュー・ディリジェンスに対する意識が急速に高まっている。2022年 経済産業省が「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を、日本繊維産業連盟が「繊維産業の責任ある企業行動ガイドライン」を発表するなど、人権デュー・ディリジェンスに対する取り組みが進んでいる。

UAゼンセンの松浦昭彦会長は「日本においても政労使をあげて人権デュー・ディリジェンスに取り組んでいます。またUAゼンセンは、サプライチェーンにおける企業の人権尊重を促進することを目的に、加盟組合とともに取り組みを策定しています」と述べた。

ミズノとのグローバル枠組み協定のもと、インダストリオール、ミズノ社、UAゼンセン、ミズノユニオンは合同労使関係委員会を開催し、ミズノの日本のサプライチェーンにおける外国人技能実習生に対するデューデリジェンスプログラムの強化など、ミズノGFAに基づく活動を確認した。

ミズノユニオンの石川委員長は「ミズノがGFAを締結し12年が経過しました。GFAに基づいて四者が連携することで、サプライヤーの現場の改善が進んでいると実感しています。これからもGFAを踏まえてサプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスに取り組むと共に、日本でさらにGFAを増やすべく、仲間の組合に精力的に働きかけていきます」と述べた。

また他にもSEIYUグループ労働組合連合会、良品計画労働組合(無印良品の労働者を代表)、イオングループ労働組合連合会、アシックスユニオンとの会議を開催した。特にミャンマーの労働者の状況が悪化していることから、グローバルな衣料品サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの重要性や、グローバルブランドや小売業者に対してミャンマーからの責任ある事業撤退を求めるインダストリオールの要請について議論した。

クリスティーナ・クラウセンTGSL(繊維衣料皮革靴)部門部長は「労働組合の関与は、デュー・ディリジェンスプロセスの鍵であり、サプライチェーンにおける労働者と人権の保護の基礎です。UAゼンセンと日本のグローバルブランドおよび小売業の加盟組合は、評価プロセス、防止策の設計、および日本ブランドのサプライヤー企業で権利を侵害された労働者の救済措置を検討するため、積極的に活動しています。本国の労働組合と生産国の労働組合とのグローバルな連帯は、ディーセント・ワークを求めるグローバルな労働組合の闘いの最も重要な柱の一つです」と語った。

 

 

 

 

 

 

 

スト権は労働者を保護

2023-02-21

【JCM記事要約】

  • 労働者のスト権を支持するILO第87号条約は世界153カ国が批准しているが、2015年にはILO使用者グループと一部の政府がこの条約に異議を申し立てたり、イギリスでは政府が正当な賃金要求のためのストを制限する法律を推進しようとしていたりと、スト権は脅威にさらされている。
  • 大半のストの目的は賃上げと労働条件改善であり、最終手段であるストの権利がなくなれば企業の利益が増え、労働条件が悪化することが予想される。インダストリオール・アトレ書記長は、この権利が削減されれば、労働者は駆け引きの余地がほとんどなくなるとし、スト権の重要性を訴えた

 

2023年2月21日:スト権は結社の自由の不可欠な要素である。スト権は最後の手段だが、それがなければ、労働者・組合には使用者の経済・政治力に対抗して自分たちの立場を擁護する力がない。多くの国々でスト権が攻撃されており、労働組合は抵抗している。
                                                      

国際労働機関(ILO)の使用者グループと一部の政府は2015年、結社の自由に関するILO第87号条約に異議を申し立てた。この条約は153カ国が批准しており、スト権を支持している。この基本的権利を守るために世界中の組合が抗議した。

この条約があってもなお、スト権は今も世界中で脅威にさらされている。

イギリスでは、労働者の賃金が減少しているにもかかわらず、政府が正当な賃金要求のためのストを制限する法律を推進しようとしている。保守党のリシ・スナク首相が主導する新しい反スト法は、ストライキ中に最低限のサービスレベルを強制することになっている。

この法律は、国民健康保険(NHS)や教育のような主要公共部門で実施される。最低限のサービスレベルが満たされなければ、これらの部門の使用者は組合を訴えて従業員を解雇することができる。英国の組合は、この新しいスト法を労働者の権利と労働組合に対する全面的な攻撃と呼んでいる。政府の新しい制度にもかかわらず、組合は労働者を擁護する方針を明確に打ち出している。

ジンバブエでは、団結権と団体交渉に関するILO第87号条約および第98号条約が批准されているが、政府は両条約に違反する2本の法律を可決した。

可決された2本の法律の1つである医療サービス修正法は、公衆衛生部門のストは72時間を超えてはならないと定めている。組合がこれに従わなければ、オルグは罰金を科せられ、懲役3年を宣告される。さらに、刑法改正法案により、ジンバブエの国家主権や国益を故意に損なったという理由で人々逮捕・起訴することが合法化される。ジンバブエの組合は政府に対し、これらの法律の修正または取り消しを強く促している。

トルコでは、企業が「国家安全保障」に関する政令を、ストを制限する戦略として利用した。労働者と労働組合はこれを拒絶し、最終的に賃上げを達成した。

スト権は労働者にとって基本的な、しばしば最後の手段である。資本主義体制では、労働者を抑えることは交渉プロセスにおける重要な手段であり、その主な目標は労使間の勢力均衡を変えることである。

スト権がなくなれば、政府は争議行為を禁止することができる。ほとんどのストの目的は賃上げと労働条件改善であり、スト権がなくなれば企業の利益が増え、労働条件が悪化する。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「争議行為は、労働者・労働組合が労働者の賃金と労働条件を改善するために利用できる最も重要な手段の1つだ。ストの指示は難しい選択だが、交渉が進展しない場合に不可欠な手段となる。この権利が削減されれば、労働者は駆け引きの余地がほとんどなくなり、民主主義の話はすべて空虚な言葉になってしまう。労働者とスト権を保護し続けなければならない」

 

ウクライナの組合、権利侵害との闘いを開始

2023-02-13

【JCM記事要約】

  • インダストリオールは、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合及びウクライナの加盟組織と共に会合を開いた。会合では、ウクライナ加盟組織から戦争が失業をもたらし、産業を破壊している現状について報告された他、ILOと国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)から同国での権利侵害や侵害の発見・報告方法について発表された。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、ウクライナの労働組合が戦争の最中でも労働者のために活動を続け相互に連帯していることを称賛し、インダストリオールとして可能な限り支援していく、と述べた。インダストリオールは、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合、ウクライナ加盟組織と共に、労働者の権利保護のため連携を図っていく。

 

2023年2月13日:ロシアによる侵攻から1年になろうとする中で、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は2月9日にウクライナの加盟組織と会合を開き、同国における人権と労働者の権利の侵害について議論した。
                                                      

ILOと国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)の代表が、主要な権利侵害、侵害の発見・報告方法、それらの手段の使い方について発表した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が述べた。

「この会合の目的は、人権・労働権侵害について議論し、どのように侵害が加えられているかを理解するとともに、ウクライナの同志を支援・援助するように今後の戦略を練り上げることだ」

ウクライナの加盟組織は、戦争が失業をもたらし、産業を破壊している現状について報告した。参加者は、強制労働(例えば原子力部門)、鉱山の危険な安全衛生基準、占領地域の組合員の困難に関する話を聞いた。組合員の状況を把握したり、社会的対話を行ったりすることが難しいとの報告があった。

ウクライナ独立鉱山労組(NPGU)のナタリー・レビツカは言う。

「鉱山が破壊され、数千人の労働者が失業した。労働者の権利の再構築と保護について考える必要がある。」

「ウクライナの組合が相互に連帯していることを称賛する。戦争が始まってからずっと、皆さんは団結して労働者のために闘ってきた。会合中に砲撃されることもたびたびありながら、それでも活動を続けた。私たちは可能な限り皆さんを支援していく。皆さんは独立国家として最終的に勝利を収め、国民のために正当な環境を作ることだろう」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

ILOが労働者の権利侵害とその発見方法について発表し、報告の重要性を強調した。ILO条約は非常に明確であり、どの項目とであれ矛盾していれば、それは侵害である。報告を利用して加害者に対して訴えを提起することができ、違反に取り組む際に証拠となる。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のリュック・トライアングル書記長が、加盟組織をインダストリオール・ヨーロッパ労働組合に迎え入れ、ウクライナのEU加盟申請を歓迎した。同書記長は、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合として、EU加盟プロセスを支援するためだけでなく、EU機関とともに問題を提起するなどしてウクライナの労働法の後退との闘いに貢献するためにも、全力を尽くすことを誓約した。

「私たちとヨーロッパの労働者全員は、ウクライナの人々を最大限に尊重している。共有された民主主義と人間の価値のために闘っている。皆さんを支持しており、インダストリオール・グローバルユニオンとともに支援していく。今後数カ月間に、ウクライナの加盟組織は私たちの欧州レベルの労働組合活動に統合される。これにより、さらに結束が固まる」とリュックは述べた。

国連人権監視団は、人権侵害に関する報告書の作成に取り組んでいる。報告書は、被害者や目撃者への内密のインタビューによって作成されている。労働組合は組合員に経験を共有させることによって、そのような報告書の作成を大いに支援することができる。

インダストリオール・グローバルユニオンおよびインダストリオール・ヨーロッパ労働組合とウクライナの加盟組織との共同作業における今後の措置は、違反に対する認識の向上、違反の報告方法、組合員の権利を保護する方法などである。

 

韓国で組合事務所に強制捜査

2023-01-21

【JCM記事要約】

  • 韓国・国家情報院(NIS)は、韓国民主労総(KCTU)組合員が国家安全保障法に違反したとして1月に2回にわたり強制捜査を行った。この攻撃は、保守系政党「国民の力」のユン・ソギョル新韓国大統領の政権下で行われているものであり、ユン大統領は労働組合に対して強硬路線を取っている。KCTUは、数百人の警察官と情報部員を使った人目を引く組織的中傷は行き過ぎであると非難している。
  • インダストリオールのアトレ書記長は、インダストリオールとしてユン大統領に対し、韓国の民主的組合に対する威嚇の中止及び労働法改革に関する組合の要求に焦点を当てるよう要求する、とした。

 

2023年1月21日:韓国民主労総(KCTU)は今週2回、KCTU組合員が国家安全保障法に違反したとして、国家情報院(NIS)に事務所を強制捜査された。
                                                      

NISと韓国の国家警察は1月18日、韓国金属労組(KMWU)と韓国保健医療労組(KHMWU)のKCTU組合員2人が国家安全保障法に違反したと主張し、10時間にわたってKCTUの事務所を強制捜査した。

KCTU中央執行委員は、強制捜査に抗議して2023年1月19日に記者会見を開いた。まさにその翌日の1月20日、数十人のNIS職員がKCTU本部ビルの13階を何時間もかけて捜索した。

警察は通りを歩いている人々に拡声器で話しかけ、国家安全法違反によりKCTUで捜査・押収中だと伝えた。令状の内容は地元メディアでも流されている。

この一連の攻撃は、保守系政党「国民の力」のユン・ソギョル新韓国大統領の政権下で加えられている。ユン大統領は労働組合に対して強硬路線を取っている。大統領は先ごろ、貨物トラック運転手連帯労組の組合員2万5000人からの最低運賃要求を拒否し、トラック運転手に職場復帰を指示する命令を出した。

KCTUは過酷な法律の適用を批判し、数百人の警察官と情報部員を使ったこの人目を引く組織的中傷や、不必要な消防設備の使用を問題視している。安全侵害疑惑を捜査するために全国で1000人の警察官が配備された。

「数十年かけて確立された民主主義が、民主的に選ばれた大統領によって踏みにじられるという事態は衝撃的だ。国連人権機関は、韓国政府がこの法律を廃止するよう繰り返し勧告している。この大々的に報道されているNISの作戦は、行き過ぎであるのみならず、労働組合運動に対する威嚇も意図している」とヤン・ギョンスKCTU委員長は述べた。

「インダストリオール・グローバルユニオンは韓国大統領に対し、韓国の民主的組合に対する威嚇の中止を求める。ユン大統領に、労働法改革に関する組合の要求に焦点を当てるよう強く促す」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベラルーシは投獄された組合指導者・活動家を釈放せよ

2023-01-19

【JCM記事要約】

  • ベラルーシの裁判所は1月、同国での独立労働組合の指導者に最長9年の懲役刑を言い渡した。2020年8月の大統領選挙以降、組合事務所や組合員の自宅の捜索、 携帯電話やラップトップの押収等、労働組合は激しい攻撃にさらされており、これまで少なくとも16人の独立組合指導者や活動家に刑罰が与えられている。
  • インダストリオールのアトレ書記長は、指導者への有罪判決は結社の自由の原則の重大な侵害となると批判している。インダストリオールはインダストリオール・ヨーロッパ労働組合と共に、拘留中の労働組合員全員の釈放及び平和的抗議やへの参加に関連するすべての起訴の取り下げ、労働組合への弾圧を止めるよう要求している。

 

2023年1月19日:ベラルーシの裁判所は、政治的動機に基づいた起訴により、独立労働組合の指導者に最長9年の過度に厳しい懲役刑を言い渡した。ベラルーシの裁判所は、これまでに少なくとも16人の独立組合指導者・活動家に長期刑や自由の制限を宣告している。
                                                      

ミンスク市裁判所は1月5日、ベラルーシ無線・電子労組(REP)のHennadz Fiadynich元会長(65)とVasil Berasnieu会長代理(72)に厳格体制下の収容所での懲役9年、REP活動家のVatslau Areshka(68)に同8年の刑を宣告した。

3人は2022年4月19日に拘束され、「ベラルーシ共和国の国家安全保障の毀損を目的とする制限措置の要求」、「社会的憎悪の扇動」、「過激派組織の設立または当該組織への参加」(いずれも刑法犯罪)で起訴された。

ベラルーシ国家保安委員会(KGB)は2022年4月、REPを過激派組織に指定し、その活動を禁止した。

2022年12月26日、別の3人の労働組合指導者が「社会秩序に甚だしく違反する行動」で起訴され、ミンスク市裁判所で有罪判決を受けた。ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)のアリアクサンドル・ヤラシュク会長も、「ベラルーシ共和国の国家安全保障の毀損を目的とする制限措置およびその他の行動の要求」を理由に起訴され、その結果、懲役4年を言い渡された。シャルヘイ・アンツセビッチBKDP副会長は一般体制下での懲役2年、Iryna But-Husaim BKDPメディアチーム役員・経理担当は同1年6カ月を宣告された。

ベラルーシはこのような方法で、民主主義と人権を求める独立組合の闘いに対応している。2020年8月の紛糾した大統領選以降、ベラルーシの独立組合は絶えず激しい攻撃にさらされている。例えば、組合事務所や組合員の自宅の捜索、 携帯電話やラップトップの押収、 独立労働組合員に組合脱退を求める圧力、 独立労働組合員の解雇、 そして最終的に2022年7月の独立組合4団体とその連合団体の清算である。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「合法的な結社の自由の権利の行使を理由とする労働組合指導者に対する有罪判決は、結社の自由の原則の重大な侵害となる。特に個人の自由と安全保障に対する権利、独断的な逮捕・拘留からの自由、言論・表現の自由、集会の自由、公正な裁判を受ける権利、労働組合財産の保護に対する権利に関して、世界人権宣言と市民的および政治的権利に関する国際規約に正式に記された市民の自由が完全に尊重されなければ、労働組合権は完全に意味を失う」

ベラルーシで組合指導者を投獄する最新の判決が出たあと、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、欧州委員会、欧州議会、欧州理事会およびILOに書簡を送り、緊急行動を要請した。例えば、ベラルーシの独立労働組合運動への支持を公に表明すること、 ベラルーシ当局が逮捕された労働組合員を無条件で即時釈放し、人権の尊重を要求している独立労働組合や個人の弾圧をやめるよう要求することである。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ILOの条約勧告適用専門家委員会(CEACR)の要請を繰り返し、「拘留中の労働組合員全員の釈放と、平和的抗議や争議行為への参加に関連するすべての起訴の取り下げ」を求めている。