トルコのポスコ・アッサンにおける労働者の権利侵害を懸念
2023-03-02
【JCM記事要約】
|
2023年3月2日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)に対する製鉄会社ポスコ・アッサンの主張に、証拠を挙げて反論した。
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、製鉄会社ポスコ・アッサンのトルコ・コジャーエリー工場における人権および労働者の権利の侵害と反組合行動について、深刻な懸念を表明している。
同社は2017年、労働組合ビルレシク・メタル・イスへの加入を理由に80人の労働者を解雇した。警察は、工場前で一連の解雇に抗議した組合員に暴力を振るい、組合員と組合幹部を逮捕した。
同労組は5年後、トルコの労働者のために勝利を収めた。トルコの最高裁判所である破棄院が、同労組は職場で過半数を占めており、ポスコは同労組を団体交渉相手として承認しなければならない、との裁定を下したのである。
ポスコは反組合行動の申し立てを否定し、ミスリードを続けている。
団体交渉の効果的な承認に対するトルコの労働者の権利を侵害し続けるという同社の決定は、民主的労働組合の継続的な弾圧によって自社の反組合的慣行に関する判決に対処するというパターンに従っている。
ポスコが紙の上では法令を遵守すると言いながら、韓国の裁判所と人権委員会、労働省が長年の間に確認した反組合的慣行を完全に是正していない実態は、組合つぶしを否認し、民主的労働組合の承認を渋る同社の姿勢を浮き彫りにしている。ポスコがミャンマーでポスコ・インターナショナルのシュエ・ガスプロジェクトを通じて、クーデター勢力の収入源と認められているMOGEへの資金供給を続けていることは、労働者の権利と人権の尊重・実施へのまったくの無関心の一例である。
ポスコ・アッサンは、2022年7月のビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)へのつい最近の回答の中で、労働者は無規律を理由に解雇されたのであり、当社は労働者の再雇用と復職しなかった労働者への補償金支払いを決定したと主張した。一連の判決は、そうではないことを証明している。現に裁判所は、ポスコが組合活動を理由に労働者を解雇したと判断し、解雇手当に12カ月分の割増賃金を上乗せして支払うよう同社に命令した。
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、2022年7月のBHRRCへのポスコ・アッサンの回答に共同で対応、証拠を提供して同社の主張に反論した。
両組織は、環境・社会・企業統治方針の監督に責任を負うポスコ・ホールディングスの取締役会に対し、判決と中核的労働基準の定めに従って、人権管理ガイドラインを効果的に実施するとともに、ビルレシク・メタル・イスを団体交渉代表権者として承認し、誠実に交渉を行うよう求めている。
「ポスコ・アッサンで、ビルレシク・メタル・イスが合法的な代表的組合であることが否定され、労働者の権利、特に団体交渉権が侵害されていることに私たちは衝撃を受けている。明確な判決が出たにもかかわらず、である。ポスコ・アッサンに対し、ビルレシク・メタル・イスに関与し、今すぐ誠実に交渉するよう求める!」
「同社の人権デュー・ディリジェンス・プロセスで、会社の方針・手順が――まさに今回のケースのように――機能していない場合は悪影響を是正するために努力すべきである、と定められていることも改めて指摘しておく」とリュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は言う。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
「ポスコは全世界で組合つぶしに手を染めてきた過去があり、これは同社自身のデュー・ディリジェンス原則に反する。トルコの事例への同社の対応に見られる不誠実な態度は、投資家に警戒心を抱かせるだろう。この会社は労働組合を弱体化させるために法律を破ったうえに、そのことについて嘘をつこうとしている。トルコの最高裁判所は、ビルレシク・メタル・イスがコジャーエリー工場で労働者を代表していると判断した。ポスコは判決を受け入れ、交渉を開始すべきだ」