広報ニュース

第160号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年9月22日)

東南アジアで組織力を強化

2023-09-19

2023年9月19日:タイのバンコクに20人のオルグが集まり、3カ年オルグ開発プログラム(ODP)を修了した。この合同訓練はインダストリオールとIGメタルが考案したもので、戦略的組織化と方法、キャンペーンに重点を置いている。目的は、組織化戦略、戦略計画、キャンペーンを展開するための技能と知識をオルグに提供することである。


このプログラムは、地域におけるより強力な組合の構築とグローバル・サプライチェーン組織化の必要性に対応して開発された。ODP参加者は3年間、組合の組織力強化を援助するために、戦略的な組織化キャンペーン、潜在的活動家・組合員との接触、組合つぶし、オンライン組織化ツール、強力な基盤の構築など、さまざまな側面に関する訓練を受けてきた。

「私は20年間オルグとして活動してきたが、ODPは各段階ならびに組合資源の精査や戦略計画、分析を行うことを思い出させてくれた」とタイCILTのパイトゥーン・バンロンは述べた。

このプログラムは2021年に始まり、多国籍企業とサプライチェーンに焦点を当てて、労働組合はどうすれば権力資源アプローチの調査によってそれらに対処できるか確認しようと努めた。参加者は1年目終了後、獲得した知識に基づいて組織化ターゲットへの取り組みを開始するよう求められた。

このプロジェクトでは、個々の戦略的組織化キャンペーンと進展を監視・評価した。多くの参加者が標的企業で組合結成に成功した。

「ODPに参加できたことに大変感謝している。効果的な組織化キャンペーンの実施方法や、安定した強力な組合に必要とされるすべての要素を学んだ」とフィリピンPIGLASのエルビラ・カストロ・パネスが述べた。

多くの参加者が、組合が何のために闘っているかを説明するよりも、労働者の話を聞くほうが効果的かもしれないことを学んだと語った。大勢のオルグが、組合の力の源泉が組合員であることを理解し、初めて本質的な指導者の確認に着手した。

「個人間のコミュニケーションから構造的管理まで、プログラムで紹介されたさまざまなミクロ戦略とマクロ戦略は実に具体的かつ包括的だった。このプログラムはオルグの技能開発を促進するうえで明らかに最適だ」とJCMの高木浩光が述べた。

FESタイの共同出資による最終ワークショップは8月21-25日に開催された。このワークショップでは、戦略的組織化についてさらに詳しい技術・知識を提供し、人権デュー・ディリジェンスに関するセッションもあった。参加者は、ODPを通じて得た戦略的思考や各種の技能・知識が、組合員の労働条件改善を達成するのに役立ったことを強調した。

「ODPがなければ組合を結成できない。ODPがあるから、私たちは今、より多くの力を得て要求を勝ち取る方法を知っている」とインドネシアFARKESのシーファ・ヌラル・アズミが述べた。

 

 

バングラデシュでは労働者の組織化がいまだ課題

2023-09-19

2023年9月19日:ILOロードマップの実施に関するバングラデシュ政府の進捗報告は、特に組合に対する差別と労働者に対する暴力への対処に関して、日々さまざまな課題に遭遇しながら、この国の衣料工場で労働者を組織化している労働組合員を取り巻く現実とはほど遠い。


バングラデシュのGDPの85%に相当する輸出利益を生み出している部門で、組織化や団体交渉をめぐる状況は厳しい。労働者の権利が絶えず侵害され、労働組合の声が押しつぶされていれば、使用者は利益を得る。なぜなら、もしそうでなければ、労働者は賃金・労働条件改善を要求し始め、使用者は不本意な出費を強いられるからである。一方、バングラデシュ政府は、使用者に労働者の権利を尊重させ、ILOロードマップが適切に実施されるようにしていない。

バングラデシュでは、複雑に絡み合った国家システムと民間企業が、衣料労働者の組織化を困難にしている。政府は結社の自由と団体交渉の権利を支持すると約束していながら、その約束を守っていない。労働組合員は、労働者の権利を保護するために組織化し、使用者を非難したことが原因で殺害されている。

殺害された労働組合指導者シャヒドゥル・イスラム・シャヒードのために正義を、人間の鎖の抗議―BGIWF―2023年6月

先ごろガジプールで、バングラデシュ衣料・製造労働者連盟(BGIWF)のオルグが、労働者の賃金の不払いに対して反対の声を上げたために、工場に雇われた暴漢に殴り殺された。全国衣料労働者連盟(NGWF)の別のオルグも、伝えられるところによればアシュリアで労働者の組織化に取り組んだために殺害された。

労働組合員の殺害が注目を集める一方で、オルグたちが組合活動を実施したために日常的にさらされている嫌がらせは見過ごされていることが多い。バングラデシュのインダストリオール加盟組織によると、使用者と暴漢、地元の政治家、警察が結託して、労働者を組織化しようとしている労働組合員に嫌がらせをし、圧力をかけている。地元の暴漢は使用者に代わって、工場に拠点を置く組合指導者を日常的に脅迫したり、暴行を加えたりしている。工場経営陣が組合指導者に、わずかな報酬と引きかえに退職を強制した例がいくつかある。この戦術が失敗すれば、組合指導者はただ解雇される。

労働者が借りている家の所有者も、例えば労働者による研究会の開催を許可しないことによって問題を引き起こしている。さらに地元の警察も、組合指導者が開催した公開の集会を妨害している。工場主も反組合活動に加担し、組合結成や組合加入を試みたら仕事を失う恐れがある、と絶えず労働者に警告している。使用者は、労働者の間で反組合的な感情をかき立てるために、労働者の利益を損なうように見える行動に組合指導者を関連づけようとしてもいる。

使用者と警察が地元の組合指導者に冤罪を着せた事例がある。インダストリオール加盟組織BGIWFのオルグは言う。

「私たちはアシュリアの工場の1つで労働者を組織化し、組合登録申請を提出した。経営側はそのことを聞くや、わずかな報酬と引きかえに組合指導者を退職させようとしたが、説得に失敗すると彼らを解雇した。工場の労働者は、これを見てストを決行した。その後、工場長は労働組合員に暴行を加えただけでなく、刑事告訴すると脅迫した。スト中の労働者は雇われた暴漢から嫌がらせを受けた。それらの組合指導者に対する刑事事件が係争中だ」

組織化を理由に解雇された組合員が別の工場で職を得ることは難しい。バングラデシュ衣料製造業者・輸出業者協会(BGMEA)が維持している労働者データベースでブラックリストに載せられるからである。組織化を理由とする労働者の解雇は、労働者に組織化を思いとどまらせるための恐怖戦術として利用されている。

労働組合連盟は、労働裁判所や労働省に不当労働行為や組合に対する差別の苦情を申し立てることができる。しかし、苦情の処理には長い時間がかかる。政府当局者は苦情の申し立てさえ嫌がることが多く、「組合指導者は国の経済を破壊しようとしている」と主張することがある。

インダストリオールに加盟している統一衣料労働者連盟のオルグは言う。

「私たちはガジプールにある労働者1100人の工場で約500人を組織化していた。私たちが組合登録申請を提出するとすぐに、経営側は組合長を解雇した。組合長は、経営側の命令を受けた地元の暴漢からも自発的に退職するよう脅された。だが、彼は圧力に屈せず、解雇された。私たちは労働裁判所に提訴し、労働省に書簡を送ったが、何の反応もない」

オルグたちは、軍情報総局(DGFI)や産業警察によって、時には夜の変な時間にたびたび呼び出されている。尋問されて組合活動をやめるよう説得され、殺害の脅迫を受けることも頻繁にある。バングラデシュで労働組合員が警察に拘留されている間に身体的暴行を受けた事例もちらほら耳にする。

衣料工場のストック写真―インダストリオール

インダストリオール加盟組織NGWFのオルグが、組合結成が違法とされている輸出加工区(EPZ)での労働組合・労働者の権利侵害事件を共有した。

「私はEPZの工場の1つで働いていたとき、労働者を組織化しようとした。抗議行動やストライキは許可されておらず、組合はない。労働者福祉委員会があり、かつて私は委員になろうとした。だが、バングラデシュ輸出加工区庁(BEPZA)は私を委員会に入れたがらず、代わりに関係者を登用した。そして、私を無理やり退職させようとする圧力戦術が始まった。ほんの小さなミスでも怒鳴られ、休暇を与えられず、複数回トイレに行くと問題視された。結局、工場は操業を停止したが、私たちは抗議して法定給付全額を勝ち取り、工場閉鎖後に支給された。その間ずっと、地元の暴漢から殺害の脅迫を受けた。EPZで組織化を試みたために国家安全保障情報局の尋問まで受けた」

使用者によって妨害されているのは組織化努力だけではなく、団体交渉プロセスも困難を極めている。加盟組織は、経営側が誠意を持って交渉せず、組合の要求憲章に否定的な反応を示すという状況を経験した。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。

「私たちは、政府に労働者の結社の自由の権利が支持されるよう確保する責任があるだけでなく、使用者とバングラデシュから調達しているブランドにも、労働者の権利が尊重され、労働組合指導者が組織化を理由に狙い撃ちされないようにする責任があると考えている」

 

全米自動車労組、利益分配を求めてスト

2023-09-16

2023年9月16日:インダストリオール加盟組織の全米自動車労組(UAW)の組合員は今日、フォード、ゼネラル・モーターズならびにステランティス(ビッグスリー)で職場放棄をし、スタンドアップ・ストライキに入った。ビッグスリーとUAWの契約は9月14日に失効し、全米で練習ピケと労働者の準備が始まった。労働者は、記録的利益に合わせて記録的な契約を締結すべきだと主張している。


UAWは、適正な生活水準、インフレに見合った賃金、尊厳のある退職、労働者保護を要求しており、工場閉鎖と闘っている。会社側は組合の要求に簡単に応じることができる、とUAWは言う。なぜなら、過去10年の総利益が2500億ドルを超え、2023年上期の純利益合計は210億ドルで、1つの電池工場が毎年12億5000万ドルの連邦補助金を受領できたからである。

自動車メーカー各社との2019年の協定では、組合員の賃金は6%しか増えなかったが、同じ時期のインフレ率は18%に達した。各社が莫大な利益を上げているにもかかわらず、工場閉鎖が続き、雇用が移転し、労働者を取り巻く状況は悪化の一途をたどっている。

今回の交渉は、同労組が数十年間で直面した最も重要な交渉である。自動車産業が電気自動車製造に急速に移行する中で、今、この産業の未来が決まろうとしている。

ショーン・フェインUAW会長は言う。

「ビッグスリーは、基本協定と、組合員へのコミットメントを回避するために、合弁事業の設立に余念がない。一方、米国政府は労働者を保護しないまま、電気自動車への移行の助成に数十億ドルの税金をつぎ込み続けている。この点はいくら協調してもし過ぎることはないが、電気自動車への移行は、労働者の雇用と生活水準が保護される公正な移行でなければならない」

「組合員たちは今日、ないものねだりをしているわけではない。公平な取り分を求めているだけだ。私たちは今回の協定でより良い未来を勝ち取ることができる強い立場にある、と私は確信している。だが、そのためには団結し、ストライキに備え、必要な限り踏ん張る意思を持たなければならない。これは私たちの世代にとって決定的な瞬間だ。私たちが獲得するものは、組合員の基準だけでなく労働者階級全体の基準も設定する。スタンドアップ・ストライキは、部品集配センターから組立工場まで、絶えずストに備えているすべての支部から始まる。その後、交渉の成り行きに応じて、さらに多くの支部を発表し、立ち上がってストを行うよう求める。今こそ闘いの時だ――私たちの家族のために、私たちの地域社会のために、そして、すべての場所の労働者のために」

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「インダストリオールは、組合員のために立ち上がるUAWの勇気と決意を祝福する。私たちは強力な契約のために皆さんと連帯している。フォードとゼネラル・モーターズ、ステランティスは、誠意を持ってUAWと交渉し、労働者が各社の富の創出に不可欠な存在であることを認めなければならない」

 

G20は労働者の要求に遠く及ばず

2023-09-14

2023年9月14日:このほど閉幕したインド大統領主催のG20ニューデリー・サミットは、20の経済大国で労働者が直面しているインフレ率の上昇、賃金の停滞、移行している仕事の世界の大きな課題に取り組まなかった。


G20首脳宣言は、労働者が直面する課題に対処するための具体的な行動は言うまでもなく、労働者の窮状を有意義な形で取り上げなかった。G20首脳の関心は長期成長の改善に執着し続けており、生活費危機にわずかに言及し、貧困層や最も弱い集団を保護するために的を絞った一時的な財政措置を要求しているにすぎない。

この間、世界中の組合が、インフレ率の上昇を踏まえた賃上げと社会的保護を要求している。インド政府が独立組合のG20参加を妨害し、代わりに右派組合のインド労働組合をL20会合の議長に指名することを決定したあと、9月4-5日にITUCが組織したオンラインL20サミットで、労働組合員と研究者は、すべての国々で強力な最低賃金計画を立てることを支持した。しかしG20首脳は、これに関する計画を概説せず、その代わりに移行している仕事の世界との関連で普遍的な社会的保護の必要についてほのめかした。

この宣言は、労働者の権利や生計へのアクセスに触れていない。「デジタル技能向上・習得プログラム」実施の空約束はあるが、それを誰がどのように実施するかについての約束はいっさいない。世界の労働組合運動は、気候変動の影響を軽減するために仕事の世界で起こりそうな転換に関する議論への参加を要求している。G20サミットは、組合の役割を認めて組合と対話することを拒否した。

インダストリオール・グローバルユニオンのケマル・ウズカン書記次長はL20で、G20以降の公正な移行のための産業政策に関するセッションの議長を務めた。講演者たちは、民間企業主導ではなく国家主導の移行の必要について語った。クリーン経済への移行が進む中で、利益よりも人を優先しなければならない。強力な政労使構造だけが、これを保証することができる。

残念ながらG20宣言は、「成長の加速と持続可能な経済改革の推進における民間企業の重要な役割」と、「緩和の促進と事業を行うためのコストの削減」の必要性を強調した。この動きは多くの国々ですでに始まっており、労働者の権利の浸食を招いている。

首脳宣言は「多国間主義の活性化」の必要性に触れている。L20サミットでは労働組合員と研究者が、グローバル金融構造や国際貿易システムの構造変革など、グローバル経済を動かす従来のシステムの変革を熱心に主張したが、首脳宣言は国際開発金融機関の役割強化に焦点を当てている。

ジャヤティ・ゴーシュ教授はL20サミットで、G20諸国政府の一部が労働者の利益を代表していないことを踏まえて、G20の妥当性の問題を取り上げた。インダストリオール加盟組織は、国の債務問題の反労働者的な解決策に一貫して反対の声を上げている。

G20首脳は、化石燃料から再生可能エネルギーに移行するための具体的な計画も、再生可能エネルギー能力を3倍にする方法も示さなかった。

ケマル・ウズカンは言う。

「私たちは、インドでのG20サミットが世界の労働者階級の差し迫ったニーズに対処していないことに憤慨している。考え抜かれた構造と資金を供給された公正な移行に基づく持続可能な産業政策によって、貧困を根絶し、不平等と闘い、グローバル・サプライチェーンに対する責任・義務を導入し、気候変動をめぐる課題を克服するための行動がない」

「労働運動は、世界中の動員によって私たちの懸念と期待、要求を提起し続ける。もう1つの世界は可能かつ必要だが、そのためには真の政治的な意図と行動が必要だ」

 

労働組合、アフリカ連合にビジネスと人権政策への労働条項の包含を要求

2023-09-13

2023年9月13日:労働組合は、ILOの基本的権利、ディーセント・ワーク、第190号条約、インフォーマル経済労働者、腐敗、社会的対話の場の創出などに関する条項を、政策に盛り込むことを求めている。


9月6-7日にエチオピアのアジスアベバで第2回アフリカ・ビジネスと人権フォーラム(ABHRF)が開催され、アフリカ47カ国から300人を超える代議員が参加した。フォーラムのテーマは「アフリカのために、アフリカから」であり、アフリカ連合(AU)ビジネスと人権政策案、デュー・ディリジェンスに対する企業責任、違反発生時の効果的救済へのアクセスについて討議した。

しかし、ニジェールとガボンのクーデター前に発表されたITUC世界労働権利指数2023によると、アフリカでは労働者の権利侵害が増えており、ビジネスと人権に悲惨な影響を与えている。

フリードリヒ・エーベルト財団−アフリカ連合(FESAU)協力事務所とインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所が、フォーラムに先立ってワークショップを開催し、組合戦略をめぐって議論した。参加組合は、ケニア、ガーナ、リベリア、ナイジェリア、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエのインダストリオール、BWI、ITFおよびIUF加盟組合で、農業、建築、セメント、建設、林業、鉱業、石油・ガス、繊維・衣料、輸送、木材その他の部門で労働者を代表していた。

アレックス・ガイガーFESAU所長が組合の重要な役割について述べた。

「ABHRFプロセスとNAPプロセスにおいて、労働組合の中心的役割を強調しなければならない。各国NAPは国内レベルの社会的対話にとって重要であり、組合、人権機関、その他のステークホルダーは、NAPを利用して人権および労働者の権利を促進すべきだ」

インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長が、閉会の辞で次のように語った。

「私たちが要求しているのは、AUが労働組合を承認し、組合員による委任に従って労働者の利益に貢献する独特な組織として、ビジネスと人権の主要利害関係者に含めることだ」

「組合は労働者の権利に関する対話の相手であり、組合を幅広い市民社会組織の範疇に含めると、ほとんどの場合、労働組合の課題を損なう傾向がある。さらに、ILO基準の包含は、AUのビジネスと人権政策ならびにアフリカ大陸自由貿易地域協定にとって重要だ」

 

デュー・ディリジェンス法が労働組合権に与える影響は?

2023-09-13

2023年9月13日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、IGメタルおよびフリードリヒ・エーベルト財団とともに、トルコのイスタンブールで2日間の会議を共催した。この行事は、専門家や組合指導者、ステークホルダーが、特に自動車部門サプライチェーンで、ドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法の影響とトルコの労働者にとっての同法の重要性を検討する場となった。


会議のタイトルは「トルコの労働者・労働組合の基本的権利その2」で、デュー・ディリジェンスに関連して、自動車サプライチェーンとその複雑さを取り巻く問題をめぐり詳細な議論、有益なプレゼンテーション、興味をそそる対話が行われた。また、労働組合はどのようにドイツの新しいサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法を利用し、もうすぐ発表されるEU法に備えることができるかという問題も取り上げた。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、トルコで労働者の権利を求める闘いの時代背景を強調することによって、会議の基調を打ち出した。書記次長は、トルコの労働者が厳しい難題に直面していることを認め、特に複雑に絡み合うグローバル・サプライチェーンにおける基本的権利の保護の重要性を強調した。

ケマル・ウズカン

「人権デュー・ディリジェンス法の効果的な実施を確保するために、組合が戦略的に協力し、計画を立てることが絶対に必要だ」とウズカンは述べた。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長が、人権デュー・ディリジェンス関連法に関するEUレベルの重大局面に光を当て、この法律を労働組合運動のための効果的な手段に進化させる必要があると強調した。

ジュディス・カートン=ダーリング

「この法律が現場の具体的な行動につながるようにするために、内部能力を強化してプロセスを合理化する必要があり、その点を強調することが重要だ」とカートン=ダーリングは述べた。

フリードリヒ・エーベルト財団トルコ事務所のヘンリック・マイヤー所長が、ドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法と、同法がトルコとドイツの取引関係に与える大規模な影響に対する貴重な洞察を提供。この法律は多国籍企業に対して厳しい規制を導入している、と説明した。

「この会議の第1弾では新法について非常に理論的な議論を行ったが、1年後の今、私たちはより実際的な観点から同法に検討を加えている」とマイヤーは述べた。

アウディの企業代表が、サプライチェーンにおいて透明性と説明責任を確保するうえでの苦情処理制度の役割を強調した。DEinternational Servis Hizmetleri A.Ş.最高経営責任者の Ayça Gözmen Yalçınが、多様なステークホルダーにドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法や類似の法律を効果的に伝えるうえでの課題を強調した。

サプライチェーンのデュー・ディリジェンスにおけるリスク分析の重要な役割について討議した。フォードのヘルムート・フィリップが、1万4000社以上のサプライヤーを抱える企業でのリスク分析の複雑さを説明し、優れたリスク分析を確保するために信頼できるアプローチが必要だと強調した。

会議では、独サプライチェーン・デュー・ディリジェンス法の実施を推進するために立案されたプロジェクトに関するプレゼンテーションが行われた。これらのプロジェクトは、このドイツの法律の包括的な目標に従って、責任ある企業行動をめぐる説明責任、透明性および法令遵守の重要性を浮き彫りにしている。

トルコのさまざまな部門のインダストリオール加盟組織とインダストリオール・ヨーロッパ労働組合加盟組織が、このドイツ法に関する期待を共有した。加盟組織は慎重ながらも楽観視しつつ、政治的・経済的利害がもたらす課題を明確にした。

トルコの加盟組織は、労働者の権利擁護という目的に取り組む意思も表明し、たとえ漸進的な進展であっても大きな好ましい変化をもたらすことができるという信念に変わりはないことを示した。

最後に主催者は、ドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法と将来のEU法を、労働者の権利擁護のための強力な手段として最大限に活用するために、防止、能力強化、積極的な関与が必要であることを強調した。

労働者に権利を与えてグローバル・サプライチェーンを強化する集団的努力の必須要素として、ステークホルダー間ならびに労働組合運動内部の信頼関係が重要であることが強調された。

この会議は、労働者の権利、企業の説明責任、絶え間なく進化するサプライチェーンのデュー・ディリジェンス事情に関する差し迫った課題についての見識を集め、これらの課題をめぐる対話の貴重なプラットフォームを提供した。

デュー・ディリジェンス法の効果とトルコの労働者に対するその影響をめぐり、1日半にわたって技術面から徹底的に議論したあと、労働組合代表が集まり、進むべき道についての戦略を練った。

ゲオルク・ロイテルト

「私たちの目的は明確だ――これらの法律の効果的な実施を確保し、全世界で労働者を守るための現実的な対策に転換すること」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は述べた。

 

バングラデシュで香港条約円卓会議

2023-08-30

2023年8月30日:インダストリオールは8月30日にバングラデシュで円卓会議を開催、政府と船舶解撤場使用者、現地組合が集まり、バングラデシュによる香港条約批准後の方針を計画した。


2023年6月にバングラデシュとリベリアが船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)を批准し、2025年6月の発効要件を満たした。それ以降、不適合の解撤場での船舶解体は国際法違反になる。

今回の批准は、船舶解撤の浄化を求めて2010年から運動してきたインダストリオールにとって大勝利である。南アジアの船舶解撤場は、労働者の死亡と環境破壊で極めて評判が悪い。香港条約は、船舶リサイクルの許容基準の義務化によって現状に対処する。

バングラデシュの解撤場は、SENSRECという国際海事機構(IMO)プロジェクトの支援を受けて、新しい国際基準を満たすために大改修を進めている。

松﨑寛インダストリオール書記次長は次のように述べた。

「バングラデシュは物理的インフラを整備すると同時に、社会的インフラも整理する必要がある。社会的対話を通じて、持続可能な船舶リサイクルへの公正な移行を達成する必要がある。実際には、これは解撤場所有者が組合を承認し、労働協約を取り決め、合同安全衛生委員会を設置し、政府・組合との対話に参加する必要があることを意味する」

円卓会議には、バングラデシュの工業、労働、雇用、環境各省ならびに地区政府の代表が出席した。使用者代表はバングラデシュ船舶解撤リサイクル協会(BSBRA)、組合代表は部門のインダストリオール加盟組織2団体、すなわちバングラデシュ金属労働者連盟(BMF)とバングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連(BMCGTWF)だった。

批准の推進に尽力した工業省のモハメッド・モミヌール・ラシッドが、船舶解撤はバングラデシュにとって悪い評判を生んでいると述べた。バングラデシュが条約を批准したのは、この産業を変革し、労働者の命と環境を保護し、より良い未来を構築する歴史的責任があると感じたからである。

BSBRA代表でPHP解撤場の最高経営責任者を務めるモハメド・ザフリル・イスラムが、批准によってバングラデシュが世界的リーダーになったので嬉しいと述べた。労使間の不信をなくし、橋渡しをする必要がある。使用者は、組合が自社の事業に利益を与え得ることを理解する必要がある。

労使双方が、解撤場の改良に伴う機械化は失業を招くとの懸念を示した。会合では、この産業に劇的な変化の時代を乗り越えさせるために、社会的対話プロセスによる公正な移行が重要であることについて議論した。

参加者は各グループが直面している課題をめぐって率直に討議し、現地組合が低賃金と反組合活動、救急車サービスの欠如といった問題を提起。出席者たちは、ILOが一連の社会的対話ワークショップを促進しているインドの例に検討を加えた。

組合代表団は8月29日、バングラデシュで初めて香港条約の遵守を達成したシップリサイクリング施設のPHPを訪問した。この解撤場の労働者は質の高い保護具(PPE)を支給されており、船は承認された計画に従って手際よくリサイクルされている。PHPの現場には、アスベストや石油、船底の汚水などの廃棄物を安全に処理するための施設がある。職場に診療所があり、労働者は定期健診を受けている。バングラデシュには現在、香港条約に準拠した解撤場が4つあり、年内にさらにいくつかの現場が要件を満たすと予想される。すべての解撤場が2025年6月までにこの基準を満たす必要がある。

 

マレーシアの組合、政府にILO決定の尊重と労働者の復職を要求

2023-08-21

2023年8月21日:マレーシアの全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)はアンワル・イブラヒム首相に対し、ハイコム・オートモーティブ・マニュファクチャラーズに不当解雇された5人の労働組合員の救済を強く促している。


このインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、プトラジャヤの総理府前で抗議して覚書を提出し、ハイコム・オートモーティブにおける組合に対する差別の中止と5人の労働組合員の復職ならびに未払賃金の支払いを要求した。

NUTEAIW書記長でインダストリオール執行委員のゴパール・クリシュナム・ナデサンが次のように述べた。

「ILO結社の自由委員会がハイコム・オートモーティブによる結社の自由の侵害を確認したので、新首相に、同社に対して大胆な行動を取るよう促す」

「マレーシアには、団結権と団体交渉に関するILO第98号条約の組合差別禁止条項に従う国際義務がある。政府は1961年にこの国際条約を批准した」

解雇された労働組合員の1人であるハイキディル・ビン・ジャマルディンがこう述べた。

「私たち労働者には、勤務時間後に組合活動に参加する権利がある。同社は、法律で保護された合法的な組合活動への参加を理由に私たちを罰してはならない。私たちは7年間失業しており、これは同社の不当行為だ。私たちは首相に、介入して私たちの権利を守るよう要請している」

5人の労働組合員が解雇されたのは2016年、勤務時間後にハイコム・オートモーティブの敷地外で団体交渉に関する組合の状況説明会に加わったあとのことである。同社は会社のイメージを傷つけたとして労働組合員を非難した。

2021年、インダストリオールとNUTEAIWはILO結社の自由委員会に苦情を申し立てた。この国際機関は2022年6月、ハイコム・オートモーティブは労働者の結社の自由を侵害しているとの裁定を下した。

NUTEAIWから覚書を受け取った首相秘書のチャン・ミン・カイは、総理府として苦情を調査し、組合に回答すると述べた。

岩井伸哉インダストリオール東南アジア地域事務所所長は次のように述べた。

「インダストリオールは、マレーシアで労働者の権利を守るための闘いと連帯している。引き続き紛争を監視し、ILO結社の自由委員会に最新情報を提供していく」

 

インダストリオールとTKE労組、労働者の権利拡大に向けて協力

2023-07-31

2023年7月31日:インダストリオール・グローバルユニオンとTKエレベーター(TKE)労組のハイブリッド型会議で、労働条件、賃金、社会的対話、労働者と組合の権利、グローバル・ユニオン評議会の発展をめぐって討議した。このマドリード会合は7月11-12日に開かれ、各国のTKE工場の状況について、労働者の権利と社会的対話の強化というグローバル・ユニオン評議会(GUC)の目標を軸に、充実した議論を行う場となった。


IGメタル従業員代表委員会代表で、TKE国際委員会のスポークスパーソンを務めるウォルフガング・クラウスが次のように述べた。

「各国のTKE工場の状況に早急に対応する必要がある。全世界の労働者と連帯し、労働条件改善、権利保護、互いを尊重する公正な職場の確保のために集団行動を起こさなければならない」

会合では、TKEグローバル・ユニオン評議会の設置にも時間を割いた。この機関は、労働者と組合が懸念を表明したり、労働条件を改善したり、地球規模で労働者の権利を支持したりする基盤となる。議論の焦点は、組合間協力ならびにTKE経営陣との協力のための委員会の構造、機能およびメカニズムだった。

この評議会は、労働者・労働組合の梃子になる非常に大きな可能性があり、問題に取り組んで実行可能な解決策を探すための手段と求心力を提供する。評議会は有意義な関与と社会的対話によって、すべてのTKE従業員のために互いを尊重する包摂的な労働環境の育成を目指す。

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長が述べた。

「この評議会の設置は、TKEにおける労働者の権利拡大と権利保護に向けた取り組みにおいて重要な節目だ。評議会は労働者代表に不可欠なプラットフォームとなり、労働者は自分たちの生活に影響を与える意思決定プロセスに積極的に参加できるようになる」

会合の終わりに、TKEの加盟組織に対し、TKE世界行動デーに関する協議を行い、差し迫った課題に対する認識を高めて変化を要求するよう呼びかける宣言が発表された。この宣言は経営側に対しても、労働者・労働組合が表明した懸念を認めて対処し、尊重と協力の文化を促進することを促している。

「私たちは今日、TKE労働者のより良い未来を作るという決意のもとに団結する。グローバル組合委員会の設立と集団的努力によって、労働条件改善と労働者の権利保護、労働者の発言力強化に取り組んでいく。団結すれば、私たちには好ましい変化をもたらす力がある」とクリスティン・オリビエは述べた。

 

韓国の労働組合が弾圧拡大に抗議

2023-07-25

2023年7月25日:韓国金属労組(KMWU)は2023年7月20日、韓国における労働組合弾圧に反対して再び強硬姿勢を取り、政府による高圧的な戦術をやめるよう要求した。さまざまな産業から10万人以上のKMWU組合員が7月上旬の全国ストに参加し、労働権の改善と公正を要求したため、抗議に弾みがついた。


KMWU幹部は集会で、労働組合・労使関係調整法(TULRAA)第2条および第3条に始まる法改革など、いくつかの要求を打ち出した。最低賃金の増加から始めて、すべての労働者の賃上げも要求した。加えて同労組は、労働者の福祉に及ぼす影響を懸念して、週69時間労働制案の拒否を要求した。中心的な要求は、政府による労働組合弾圧の終了とユン・ソギョル政権の退陣だった。

ユン・チャンヒョクKMWU委員長が要求の緊急性を強調し、この労働法改革案は労働者を十分に保護されない無防備な状態に置くことになると述べた。委員長は、このストの目的は労働権にとどまらず、民主主義と平和、庶民の生活を守ることだと強調した。同労組は、他の社会的勢力と団結して弾圧の拡大に取り組むことを誓約した。

7月3〜15日に実施された全国ストは、労働組合に対する政府の行為に抗議する韓国民主労総(KCTU)の幅広い行動の一環だった。現代自動車、現代モービス、大宇造船、現代重工業の労働者をはじめ、10万人を超えるKMWU組合員がストに参加した。

韓国政府が労働組合事務所に対する強制捜査を実施し、多数の労働組合員の逮捕・告発に至ったことから、国内情勢が激化した。痛ましいことに、この弾圧の結果、労働組合員のヤン・ヘドンが焼身自殺した。

「インダストリオールはKMWUおよび韓国の労働者階級と連帯し、韓国政府に対し、労働者の権利を完全に尊重するよう強く促す。ILO事務局長が韓国の労働者弾圧を非難するとともに、ILO結社の自由委員会で韓国政府に対する4件の苦情が申し立てられたことは、これらの問題に取り組むことの緊急性を強調している」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

 

ドイツでベスタスのストが終結

2023-07-18

2023年7月18日:デンマーク系ベスタスの子会社ベスタス・ドイツ社で、労働者が取り決められた労働協約の承認を圧倒的多数で票決し、123日に及んだストが終わった。協約の成果として、賃上げ、インフレ補償ボーナス、部分退職オプション、仕事関連の要件に基づく報酬体系、サービス技術者の給料表の約束が挙げられる。


労働者の92%が交渉による合意に賛成票を投じ、スト終結への支持を表明したため、長期に及んだストが終わった。労働者たちは、ベスタスで労働協約を確保するという目標を達成し、IGメタルの歴史でも特に長い労働争議となった。

ベスタス労使はこの紛争で激しく対立した。経営側は73日間にわたってIGメタルとの交渉を拒否し、従業員代表委員会を通してのみ賃金問題に取り組もうとした。しかしストの成功は、この姿勢に疑問を投げかけ、労働協約によってベスタスの将来の労働条件を効果的に方向づけた。

「1年間の闘争を通じて政治・経営両面でベスタス労働者を支援した専従役員は、労働者たちの揺るぎない献身に深甚な敬意と称賛の念を抱くようになった。このストはバーチャルで行われ、1日に2回デジタルストライキ集会を開き、実際のピケラインを張らなかったにもかかわらず、労働者は注目に値する専心と連帯を示した。組合員の間ではIGメタルとその決定への信頼が一貫して強く、IGメタルにとどまらず、あらゆる方面から寄せられた支援と連帯によって支えられた。ちょうど1カ月前、ケープタウンのインダストリオール執行委員会で決議が可決された」とイェルク・ホフマン・インダストリオール会長兼IGメタル書記長は述べた。

全世界の同僚から、さまざまな支部や職場を代表してメッセージや決議、ビデオ、写真が寄せられた。IGメタル組合員たちはデジタルストライキ集会に積極的に参加し、持続的な影響を残した。交渉委員会と、スト会合の出席者全員が、圧倒的な支援や寄付、連帯の表明に心からの感謝を伝えた。

「ストが終わって労働協約が締結され、ベスタスの労働者は、確固たる努力によって労働条件・権利の改善が確保された未来に目を向けることができる。この画期的な出来事は、労働運動において公平かつ公正な結果を達成するうえで、団結と連帯が効果を発揮する証しとなる」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

書簡:インダストリオール・グローバルユニオン、独ベスタスでの労働協約達成でIGメタルを祝福

 

NUMSA、ベル・イクイップメントで労働者100人の常用雇用を確保

2023-07-13

2023年7月13日:南アフリカ全国金属労組(NUMSA)は、土木機械サプライヤーのベル・イクイップメントで労働者100人の常用契約交渉をうまくまとめた。この契約は今月発効する。労働者たちは10年にわたって人材斡旋会社経由で雇用され、組合はこの問題をめぐってスト寸前だった。


臨時雇用サービスを提供するこの人材斡旋会社の下で、労働者は不安定な労働条件で雇用されていた。賃金は常用労働者の半分で、不安定な1カ月単位の契約で雇われ、年金や医療扶助、住宅ローン、自動車金融のような給付の対象からも外されていた。

「この合意は組合にとって重要な業績であり、これにより労働者は医療扶助を受給し、積立基金も改善される。これは労働者の生活の質を根本的に改善する。労働者は雇用保障を確保し、今後、尊厳を持って子育てすることができる」

「労働者は団結すれば、止めることのできない強い勢力になり、社会を改善することができる。私たちは、この労働危機を解決するためにNUMSAの役員と職場委員がたゆまず努力していることに感謝し、労働者との約束が守られるようにするために引き続き状況を監視していく」とイルヴィン・ジムNUMSA書記長は言う。

しかし、交渉はまだ続いている。未解決の要求は2000ランド(107ドル)の住宅手当、1000ランド(54ドル)の通勤手当、2000ランド(107ドル)の利益分配であり、組合はこれらを非課税にすべきだと述べている。

さらに金属労組は、より多くの臨時契約を常用化すべきだと主張している。ベル・イクイップメントでは金属・エンジニアリング交渉協議会の下で今も交渉が進行中で、この交渉が失敗すればスト決行も依然選択肢に入っているとNUMSAは言う。

インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長が述べた。

「NUMSAがベル・イクイップメントはじめ各社で労働仲介と絶えず闘っていることを称賛する。斡旋会社は給付のない低賃金の短期契約を提供しているので、労働仲介はディーセント・ワークを促進していない。活動的な組合員の契約が更新されないときがあり、労働者に不安を広げて組合加入を躊躇させているため、これは労働組合化にとっても脅威だ」

NUMSAは2018年に憲法裁判所で画期的な勝訴を達成した。人材斡旋会社は3カ月を超える契約を締結できず、3カ月を超えた場合は常用契約になるとの裁定が下されたのである。例えば、労働者が人材斡旋会社の下で3カ月間雇用されている間は、斡旋会社が使用者である。だが、3カ月を超えると、労働者が働いている会社が使用者になる。

インダストリオール・グローバルユニオン傘下のNUMSAは、エンジニアリング、金属、鉱業、その他の製造業部門で労働者を組織化している。

 

イタリアの金属労働者、ストによって政府に強いメッセージを発信

2023-07-11

2023年7月11日:イタリアの労働組合FIM-CISL、FIOM-CGILおよびUILMは7月7日、10日に全国ストを行い、政府に低迷している製造業部門の支援策を要求した。


イタリアの金属労組FIM、FIOMおよびUILMは、主要部門の明るい未来を確保するための国家戦略を要求している。これらの部門では、人員削減や閉鎖、移転によって数万人が失業の危機にさらされている。これは勤労者世帯の少なくとも半分が苦闘している生活費危機下における悲劇的な状況である。

イタリアの金属労組は声明で次のように述べた。

「このストライキ行動は政府に強力なシグナルを送った。政府は今、私たちに回答し、困難な状況にある金属部門とサプライチェーンに関する対話を直ちに再開しなければならない。政府は、雇用と権利、賃金を保護するために、どんな産業政策を実施し、どれだけの公共投資を行うか明確にしなければならない」

「この全国ストには満足している。金属産業の活動は常にイタリア経済の中核を成しており、その未来の推進力にならなければならない」

この動員は、米国と中国が世界の製造業と国際貿易でさらに支配的な役割を果たそうとする中で実施された。ヨーロッパの産業政策が競争相手の国々に後れを取れば、イタリアと他のヨーロッパ諸国は雇用と富、戦略的な自主性を失う。

イタリアでは何年も前から、先見性のある産業政策がないために製造基盤が大幅に縮小している。環境、デジタル、エネルギーおよび技術面の移行が進む現状下で、金属産業の雇用は明らかに政府の議題に載せられていない。これを受けてイタリアの金属労組3団体は、数世代にわたってイタリア経済の大黒柱となってきた金属部門の差し迫った必要性に対する認識を高めている。7月7日のFIOM、FIMおよびUILMによる4時間ストは、下記に焦点を当てた。

  • 雇用
  • 投資
  • 持続可能な移行
  • 大企業数社における差し迫った危機の解決
  • 製造業部門労働者の購買力の低下と社会状況の悪化

3組合は、経済・産業・社会状況がさらに悪化するリスクを指摘し、エンジニアリング産業をイタリア政治の最前線に戻す必要があると強調している。さらに、環境面・デジタル面の移行について、実りの多い社会的対話によって労働者と合意しなければならない。

「インダストリオールはイタリアの加盟組織を全面的に支持している。これはイタリアの産業モデルに関する重大な攻撃だ。イタリア北部・南部の共同ストは、イタリア政府に強力な統一メッセージを送っており、緊急に行動を起こすことの必要性にスポットライトを当てるだろう」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

 

アメリカの労働者がグリーン雇用を求めてスト

2023-07-10

2023年7月10日:ストが3週目に入り、米国ペンシルベニア州エリーのワブテック工場周辺で強力なピケが続いている。この機関車製造施設では、労働者1400人がグリーン雇用を求めてストライキをしている。


最近の報告によると、ワブテック・エリー工場でのグリーンな機関車の生産は、産業空洞化によって深刻な打撃を受けたペンシルベニア州北西部に、数千人の質の高い新規雇用をもたらす可能性がある。

この工場では、すでにグリーンな機関車のプロトタイプが作られている。全米電機・無線・機械労組第506支部と第618支部は使用者との交渉で、エリー工場でのグリーンな機関車の生産を保証する文言を提案した。ところがワブテックは、工場から少なくとも275人の雇用を移転させると脅した。

両支部は使用者側の提示を投票で否決し、グリーンな機関車の生産を推進できるようにする契約を求めて、6月22日にストを決行した。

UE第506支部のブライアン・ピーターザック財政担当書記が言う。

「これは1400世帯が企業幹部の拝金主義に振り回されている状況だ。私たちは、悪名高いジョーンズ・デイ法律事務所による熾烈な組合つぶし戦術と闘っており、新規採用者のために家族を養える賃金を求めて闘っており、医療・眼科・歯科保険を維持するために闘っており、そして最後に、苦情をめぐってストを行う権利の回復によって企業の説明責任を求めて闘っている」

「この会社の拝金主義のせいで、我が国の気候の未来に欠かせないグリーンな機関車を製造するために会社と協力するのではなく、会社と闘わなければならないというのは残念だ。私たちが交渉でグリーンな機関車の生産を提案したのは、この事業がペンシルベニア州エリーと同州西部に数千人の良質な雇用をもたらすからだ。この会社は提案に応じなかった」

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。

「組合はワブテックに未来のためのグリーンな機関車の製造に投資させようと専念しているが、同社は組合つぶしによって極めて無責任に対応している。スト中の組合員はインダストリオールの全面支援を受けており、私たちはワブテックに対し、公正な移行の解決策を見つけるために支部と真の交渉を行うよう求めている」

7月11日に労使会合が予定されている。

 

フィンランドで北欧モデルに対する攻撃

2023-07-05

2023年7月5日:今年4月の選挙後、保守派指導者のペッテリ・オルポが、極右ポピュリズム政党の真のフィンランド人を含む新しい右派連立政権を樹立した。新政権が発表した計画は、労働組合運動の目標に完全に反する。この計画が実施されれば、フィンランドは他の北欧諸国の合意に基づく社会政策からさらに離れることになる。


この計画には、団体交渉や争議行為、解雇からの保護など、数多くの方面での攻撃が含まれる。

改革案の主要素は次のようなものである。

  • 団体交渉において、最低賃金指令に定める一般的なEU方針に反して、全国部門レベル協約から企業レベル協約へのシフトが促進される。
  • 今後は、法律によって企業協約を無効にすることができる。現在、これは全国労働協約によってのみ可能である。
  • 社会的対話において、強制的な協議の最低基準が従業員数20人から50人に引き上げられる。これにより、協議を義務づけられる企業の数が大幅に減る。
  • 政治的な争議行為を行う権利が制限される。
  • 支援的な争議行為は比例テストの対象となる。
  • 不法な争議行為に対して組合に科せられる罰金が最低1万ユーロに増額される。この法律は個々の労働者に制裁を科すことも認める。
  • 現地交渉の範囲が拡大され、組合の職場委員以外の労働者代表が協約を交渉できるようになる。
  • 未組織職場でも現地協約が可能になる。
  • 従業員50人未満の使用者について、再雇用義務が廃止される。
  • 特別な理由がなくても最大1年間にわたって有期契約が許可される。
  • たとえ重大な理由でなくても、正当な理由があれば解雇が正当化される。現在の労働法は両方の基準を盛り込んでいる。
  • 5日未満の欠勤の場合、病気休暇の初日は賃金が支給されない。ただし、労働災害の場合と、初日からの疾病手当が労働協約で保証されている場合は、この限りではない。

労働組合は計画を密接に監視しており、フィンランドの新政権はヨーロッパで最強の部類に入る同国の組合からの猛反対に遭うだろう。北欧モデルの労使関係は伝統的に中道右派政権によっても尊重されてきたので、この改革案はフィンランドの政治において新時代を画することになるだろう。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のイザベル・バルト書記次長は、オルポ政権の計画に驚きと失望を表明した。

「現在の生活費危機下で、労働組合が組合員の適正な賃金・労働条件を確保するために共闘できることが必要不可欠だ。フィンランドの計画は、建設的労使関係の精神を完全に損ない、賃金、団体交渉および社会的対話に関する最近採択されたEU文書に反する」

「またしても、極右政党が言葉で労働者の利益を擁護するふりをしているだけで、権力を握った途端、労働者にとって厳しい法改正を行うという事態が見られる」

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「確固たる労使関係の伝統のある国が一般大衆重視の方針を退け、労働者の権利を攻撃して弱体化させようとしていることは実に嘆かわしい。建設的対話と労働者の基本的権利の尊重という柱を維持するための闘いにおいて、私たちはフィンランドの組合を強く支持する」