広報ニュース

第163号インダストリオール・ウェブサイトニュース

不十分な賃金提示でオーストリア金属産業の紛争が拡大

2023-11-16

2023年11月16日:11月13日に行われた最新の交渉で11時間に及ぶ協議でも成果がなかったため、労働組合PRO-GEとGPAはオーストリアの金属産業でストを拡大している。


この部門の記録的利益にもかかわらず、使用者側の最新の提示がインフレ率をはるかに下回っていたため、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合とインダストリオール・グローバルユニオンに加盟する関連組合は、以前に発表されたストライキの延長を決定した。オーストリア全国の金属加工会社で、11月17日まで少なくとも8時間の臨時1日ストが行われる。ストの目的は、11.6%の賃上げとスト時間分の賃金支払いを要求することである。

7週間に6回の交渉を行い、11月6-8日に400社以上で3時間の警告ストを決行し、集会やバリケードを実施したが、今までのところ満足のいく結果が出ていない。

使用者側の最新の提示はインフレ率に遠く及ばなかったため、組合はこれを拒否した。使用者は2.7%の賃上げに加えて、追加定額昇給130ユーロと一時金1200ユーロを提示していた。代替案として、6.0%の賃上げに一時金1200ユーロを上乗せする案を示してきた。この2つの提示はほぼ同じで、過去12カ月間の平均インフレ率9.6%を大きく下回っている。

使用者は労働者を威嚇しようとして、すでに解雇すると脅しているが、組合側は、オーストリアの生活費の高騰を反映する賃上げを勝ち取り、国内の金属労働者20万人の適正な生活を確保するために、闘いを続けることができると確信している。

アトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は言う。

「労働者は富の創出に貢献しており、自分たちの取り分と人並みの収入を得てしかるべきだ。私たちはオーストリアでスト中の労働者を支持しており、使用者に対し、労使関係モデルを尊重して解決策を見つけるするよう促す」

オーストリアは優れた労使関係制度で知られ、金属産業で最後にストが行われたのは2018年のことである。今年は厄介な例外である。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のイザベル・バルト共同書記長代理は言う。

「記録的利益にもかかわらず、オーストリアの金属産業の使用者は、購買力の急降下を招くであろう賃金を提示している。これは無責任であり、恥ずべきことだ」

「オーストリアの同僚は、労働者が創出に貢献した富の公平な取り分を求める闘いにおいて、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の連帯・支援を頼りにすることができる。使用者側に対し、理性を取り戻して提示額を改善することによって、紛争に終止符を打ち、勤労者世帯がこの大変な時期に家計をやりくりできるよう支援することを強く促す」

 

FKMTU指導者が保釈

2023-11-15

2023年11月15日:今年に入って座り込み抗議中に逮捕された韓国金属労組連盟(FKMTU)のキム・ジュンヨン書記長が、11月3日に光州刑務所から保釈された。次の公聴会は11月20日に開かれる。


キム・ジュンヨンは5月31日、光陽のポスコ製鋼所前でFKMTU組合員の座り込み抗議に加わり、地上7メートルの仮設の足場に上がった。彼は警官に繰り返し殴られ、足場から落ちて警察に拘留された。

キム・ジュンヨンは、傷害と公務執行妨害、集会・デモ手続き違反で、刑法、道路交通法および集会・デモ法に基づいて起訴された。やはり抗議に参加したキム・マンジェ会長も、道路交通法と集会・デモ法に基づいて起訴された。

保釈されたキム・ジュンヨンは、拘留中の連帯に感謝し、FKMTUは労働者に対する国家の弾圧に屈しないと強調した。

「私は自分がしたことを決して後悔しない。キム・マンジェ会長と私に対する警察権の違法な行使と闘い続ける。韓国の下請契約労働者の団結権・団体交渉権のために同僚の連帯をお願いする」

「同志キム・ジュンヨンが保釈されたことをうれしく思う。今後も裁判の推移を見守り、労働組合活動は犯罪ではないと繰り返し主張していく」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

 

造船・船舶解撤労組、より安全でより良い部門を要求

2023-11-09

2023年11月9日:インダストリオールの造船・船舶解撤アクショングループは11月6日にオンライン会合を開き、部門の世界的傾向を見直して今後の道筋を戦略化した。


クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール書記次長がオープニングスピーチで次のように述べた。

「この2つの部門、特に危険な状況が広く見られる船舶解撤部門では、労働安全衛生(OHS)が最優先課題だ。この部門ではリスクが極めて広く蔓延しており、今なお労働者の福祉がコストと効率より後回しにされている。私たちはOHS措置と実施を交渉の余地のない基準とすることを要求している。船舶解撤場における組合つぶしもなくす必要がある。組合は組織化し、より安全な職場、より良い賃金および常用雇用について団体交渉を行うことができなければならない。パキスタンやマーシャル諸島のような他の国々に、香港条約の批准を求めて圧力をかけ続けている」

アイリーン・ヨー・チョー・ジェク共同部会長が、変化を推進するために一丸となって取り組むことが重要であり、組合はこの変化を受け入れる必要があると強調した。

「この部門は労働集約的だが、需要が多いため、造船会社は熟練労働者の確保に苦労しており、ロボティックスに頼っている。ロボットは効率を改善するために開発されており、私はすべての同僚に変化と訓練を受け入れるよう勧める」

津村正男共同部会長が組合と協力の必要性を強調した。

「現在の紛争は部門の安定性に影響を与えており、これらの地政学的リスクのせいで、私たちは変化と雇用保障に関して困難を感じている。私たち労働者は団結し、さらに協力を深めていく必要がある。作業環境が大幅に改善され、私たちは組合設立の必要性を感じている」

「すべての労働者の労働・生活条件改善に集中し続けなければならない。インド、バングラデシュ、パキスタンのすべての組合が、この部門の労働者の安全を目指して努力している」とV・V・ラネー副部会長が同意した。

OECDのプレゼンテーションは、この産業が適度に成長しており、ゼロエミッションと新しい燃料ならびに注文される船の種類の変化への適応にあたって、課題に直面していることを示した。

各組合が自国における部門の状況を報告した際に強調された問題は、安全衛生、低賃金、移民労働者、失業、組合つぶし、労働者の権利侵害、熟練労働者の不足だった。

「造船業は堅調だ。これが労働者の条件改善につながるようにする必要がある。このために、部門の組合間協力を強化する必要がある。船舶解撤では、香港条約の批准によって、勢力均衡に異議を唱える絶好の機会が生まれている。川下産業も含めて組合を構築し、より良い産業への公正な移行を要求する必要がある」とウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は言う。

 

アジア太平洋貿易協定で労働者の権利保護を

2023-11-09

2023年11月9日:アジア太平洋のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、11月1日にクアラルンプールで地域会合を開き、自由貿易協定で労働者の権利を擁護するための行動を戦略化した。


労働組合指導者は、2018年にメキシコの執行委員会で採択されたアクション・プランに関するコミットメントを再確認した。この計画は、人々のためになる貿易を目指すことに焦点を当てている。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう述べた。「各国政府に対し、貿易交渉において多国間主義に復帰し、強制力のある労働権を盛り込み、秘密交渉をやめ、労働組合を議論に参加させるよう求める。加盟組織の間で貿易に関する情報・経験の交換を広げ、貿易協定の批准前に行動を調整することが重要だ」

参加者は交流セッションで、インダストリオール加盟組織に影響を及ぼす地域・2国間貿易協定の最新情勢について議論した。

労働者の権利を保護する優れた慣行が確認された。例えば、他の労働組合や農民、市民社会組織との連携、持続的なキャンペーンと世論の圧力の構築、他国の労働組合の支援の結集、国際機関のフォーラムの活用である。

アジア太平洋の加盟組織は、加盟組織および地域事務所の間で連携や情報交換を強化するために、貿易・産業政策に関する地域・世界プラットフォームの創出を提案している。

「貿易協定には、労働条項と環境条項を盛り込まなければならない。全日本金属産業労働組合協議会(JCM)は政府に、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインの義務化を要求している。私たちは政府に対し、差別に関するILO条約第111号と労働安全衛生に関する第155号条約の批准も要請している」と平川秀行JCM事務局次長は述べた。

「オーストラリアの貿易協定は、労働基準を弱体化させる役目を果たしている。この協定は、臨時海外労働者を雇う前の労働市場調査の必要性を撤回し、オーストラリアの賃金・労働条件を引き下げた。投資家対国家の紛争解決条項も、政府を訴訟リスクにさらした。だが現労働党政権は、より考え抜かれた貿易協定交渉アプローチを採用している」とオーストラリア鉱業・エネルギー労組(MEU)のトニー・マーハー会長が述べた。

「貿易に関する議論から中国を締め出すことはできない。先進諸国は何十年にもわたって中国を開拓し、組織労働者を弾圧してきたが、その手法は今や行き詰まっている。労働組合運動は政府とは違う考え方をしなければならない。世界貿易体制は、労働者階級のためになる合理的な方法で中国を受け入れなければならない。他の戦争と同じように、貿易戦争も常に労働者階級を犠牲にする」とゴータム・モディー新労働組合イニシアティブ(NTUI)書記長は述べた。

この会合には、オーストラリア、バングラデシュ、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、台湾から30人が直接またはZoomで参加した。

 

バングラデシュで最低賃金めぐる抗議が継続

2023-11-09

2023年11月9日:バングラデシュの労働者は、11月9日に政府が1万2500バングラデシュ・タカ(112米ドル)の新しい最低賃金を発表し、不十分な増額を承認したことを踏まえて、最低賃金の引き上げを求めて抗議を続けている。


インダストリオール加盟組織を含む労働組合は、新人衣料労働者の最低賃金を2万3000バングラデシュ・タカ(206米ドル)に設定し、年間10%増額することを要求している。特に10月22日の第4回賃金委員会で衣料工場主が1万400バングラデシュ・タカ(94米ドル)への最低賃金増額を提案してから、何度か抗議行動が行われている。

1万2500バングラデシュ・タカ(112米ドル)の新しい最低賃金は、生活費の上昇を考えれば、労働者の日々のニーズを満たすには不十分である。この増額は、労働者が要求している金額を大幅に下回り、衣料工場の所有者が提案した水準に近い。

インダストリオール・グローバルユニオンのアトレ・ホイエ書記長は言う。

「バングラデシュ政府は労働者を貧困線以下に押さえ込んでおくつもりのようだ。最低賃金がそのような低水準に維持され、団結権・団体交渉権の侵害が放置されているなら、ブランドは自社の調達を問題にすべきだ。労働者は今、賃上げを求めて闘うことができ、抑圧的な政府・使用者と闘う必要のない組合を何としても必要としている」

新しい賃金の発表を受けて労働者の抗議が続いており、ダッカ警察は労働者を暴力的に弾圧しようとしている。11月8日、ガジプールのイスラム・ガーメントで女性労働者1人が警察職員に殺害され、その他何人かが負傷させられた。新しい最低賃金の発表以降、インダストリオール加盟組織の中央・地方指導部は、警察と軍情報総局からの度重なる電話や逮捕の脅しによって嫌がらせを受けている。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。

「インダストリオールは政府に、衣料労働者の最低賃金を2万3000バングラデシュ・タカに増額することを再検討するよう求める」

 

スウェーデンでテスラの紛争が拡大

2023-11-09

2023年11月9日:電気自動車メーカーのテスラが労働協約交渉を拒否したため、スウェーデンの組合IFメタルは10月27日のスト警告を実行に移した。テスラの反組合的な態度に反対する動きが広がっており、スウェーデンの他の組合も団体交渉権を守るために連帯行動を起こしている。ノルウェーの組合が抗議に加わることになっている。


11月7日に始まった連帯行動の一環として、スウェーデンの運輸労組は、国内4カ所の主要港でテスラ車の荷降ろしを停止した。11月17日にスウェーデンのすべての港で、テスラ車の積み降ろしの完全封鎖が実施される可能性がある。

電機労組が連帯行動に加わっており、同労組の組合員は11月17日から、スウェーデンのテスラの作業場12カ所や充電ステーション213カ所で同社へのサービス提供を停止する。

不動産労組も11月17日からの封鎖を発表しており、テスラの4職場の清掃をやめる。

テスラに対する行動に最後に加わる組合はスウェーデン・サービス通信従業員組合(SEKO)で、テスラへの郵便・小包の配達を中止することにしており、声明で次のように述べている。

「IFメタルの闘いはスウェーデンの団体交渉モデルにとって重要である」

現在、ノルウェーから支援が寄せられている。ノルウェー合同産業労組は、スウェーデン製テスラのノルウェーへの輸入を遮断すると警告している。

IFメタルは、TMスウェーデン社で何年もテスラ車を修理している組合員の労働協約を取り決めようとしている。同労組の努力にもかかわらず、テスラは協約への署名を拒否し、自社のビジネスモデルに合わないと述べている。

交渉が行き詰まると、IFメタルは10月27日にテスラ所有の自動車修理工場12カ所で争議行為を開始し、その後、やはりテスラ車を修理している別の20工場も追加した。11月1日に一時的に交渉の場に戻ったが、実を結ばなかった。IFメタルの報告によると、テスラはスト破りを利用して通常どおり営業している。

アトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は言う。

「使用者と組合が社会的対話を行うスウェーデン・モデルは、すべての人が利益を得て、世界中の多くの国々の手本となる安定した労働市場をもたらしている。テスラの不合理な組合嫌悪は同社へのルールの適用を免除するものではなく、インダストリオールは、行動を起こしているIFメタルとスウェーデンの他の組合を強く支持する」

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のイザベル・バルト書記次長代理は言う。

「スウェーデンの同僚に私たちの揺るがぬ支持を確約する。彼らは団体交渉権を求めて闘うために、端的に言えば労使関係モデルを擁護するために、テスラと対決している」

転換期にある良質な製造業雇用

だが、この対立は1つの国、1つの企業の労働者・労働組合の権利擁護にとどまるものではない。

ヨーロッパが電動モビリティーのようなクリーン技術やバッテリー生産のような新興産業を正当に支持している中で、そのような投資が良質な製造業雇用をもたらすことが不可欠である。社会的基準を弱体化させて組合つぶしに関与する企業を公に支持してはならない。

「この対立は、労働者にとって公正で、この先何年もヨーロッパの産業・労使関係景観を形成していく産業転換を求める、より大きな闘いの一部だ」とイザベル・バルトは言う。

「スウェーデンならびに大陸全体で、ヨーロッパの製造労働者が良質な製造業雇用を求めて攻勢に出ているので安心してほしい」

 

アジア太平洋のインダストリオール加盟組織がクアラルンプールで会合

2023-11-07

2023年11月7日:インダストリオールのアジア太平洋女性委員会と執行委員会が、それぞれ10月30日、31日にクアラルンプールで会合を開き、インダストリオールのジェンダーに基づく暴力方針案、生活費危機、労働組合侵害、公正な移行などをめぐって討議した。


クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長が、女性委員会の開会の辞で次のように述べた。

「ウクライナとパレスチナで激しい戦争が繰り広げられているこの時期に、国際社会、特に国際労働組合運動が平和と正義のために団結することが極めて重要だ。平等、包括性および民主主義を達成できるように、フェミニズムによって形作られる労働組合が必要だ」

委員たちは、女性委員会の活動に情報を与えるボトムアップ・アプローチを構築できそうな方法について戦略を練った。女性指導者は、世界レベルから工場レベルおよびその逆方向にも、情報が効果的に流れるようにすべきだと強調した。加盟組織の指導者は、これらの会合の議論と情報が組合のすべての女性活動家に届くようにしなければならない。女性委員会は、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント、性差別および女性蔑視に関するインダストリオールのグローバル方針案についても幅広く討議した。

ナズマ・アクテルが、カルポナ・アクテルに代わって新しい女性委員会共同議長に就任した。

地域執行委員会では、髙倉明インダストリオール副会長が次のように述べた。

「基本的人権が弱体化している中で、私たちの努力を強化する必要がある。ミャンマーは軍事政権下にあり、バングラデシュとフィリピンでは労働組合権が侵害されている。インドとインドネシアでは反労働者的な労働法改革が実施されている。ウクライナとパレスチナでは戦争が継続中だ。これを容認することはできない」

執行委員は、生活費の上昇とウクライナとパレスチナで進行中の戦争の影響を広範囲に検討した。ミャンマー、スリランカ、韓国およびインドネシアにおける労働者・労働組合の権利状況も議題に上った。これら各国の加盟組織の指導者たちは、反労働者的な労働法改革と労働組合に対する攻撃の強まりが、労働者の労働・生活条件を悪化させていると報告した。

執行委員は、最低賃金の引き上げを要求したために現在国家の弾圧に直面しているバングラデシュの労働組合に、連帯メッセージを送った。バングラデシュでは、警官の発砲で労働者1人が殺害され、さらに1人が負傷した。労働組合のオルグも抗議デモの実施を理由に投獄されている。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長がインダストリオールの活動に関する最新情報を伝え、インダストリオールの支援活動、特にILO総会で経済改革について、COP28で労働問題について討議したことを強調した。書記次長は、国際通貨基金と世界銀行の会合でグローバルサウスの債務に焦点が当てられたことにも言及した。

ナズマ・アクテルがアジア太平洋女性委員会について簡単に報告し、執行委員会は、すべてのインダストリオール機構(さまざまな部門を含む)に女性委員会を設置しなければならないと明言した。

ケマル・ウズカンが、今年これまでに開催されたインダストリオールの中間会議の結論を共有し、この結論文書は2025年の次期大会まで組織の指針となる戦略文書だと述べた。執行委員は、不安定雇用と産業の安全の問題への関与を続けていると強調した。委員たちは、公正な移行に関して政府に関与する必要が大いにあり、国家レベルの政策がなければ、労働者の未来は個々の企業の善意に依存するようになると考えている。

加盟組織の指導者は、グローバル枠組み協定をめぐる活動と協定の実施を継続するとともに、現在製造業労働者の90%以上が未組織である風力部門で戦略的組織化活動を優先させることも強調した。

ケマル・ウズカンは次のように述べた。

「世界中に20億人を超える不安定労働者がおり、インダストリオールの戦略は引き続き不安定雇用を軸とした行動に重点を置いていく。地域全体で労働者の基本的権利が悪化しており、インダストリオールは、労働安全衛生との関連であれ、労働者中心の公正な移行との関連であれ、今後とも労働者の権利向上のために運動する」

アジア太平洋執行委員は、髙倉明の退任に伴い、新しいアジア太平洋地域副会長・共同議長候補として金子晃浩を支持している。この支持はグローバル執行委員会に通知される。

 

使用者がスト権を攻撃

2023-11-06

2023年11月6日:インダストリオールは、6月のILO総会に先立って、スト権に関する基準設定を議題に盛り込むために、ITUCおよび他のグローバル・ユニオンとともに、使用者グループの提案に強く抵抗している。


スト権は結社の自由の主要部分であり、ILO第87号条約で保護されている。スト権は最後の手段だが、それがなければ、労働者・組合には使用者の経済・政治力に対抗して自分たちの立場を擁護する力がない。

国際労働機関(ILO)使用者グループと特定の政府は2015年、153カ国によって批准され、スト権を支持している結社の自由に関するILO第87号条約に異議を申し立てた。世界中の組合が、この基本的権利を守るために抗議したが、その後、スト権に対する攻撃が強まっている。

6月の第112回ILO総会に先立って、使用者グループは新たな提案を示し、スト権を「規制」するために第87号条約に議定書を添付するよう要求すると同時に、第87号条約がスト権を保護していることを否定している。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「インダストリオールは、この案を決して受け入れない。使用者側の案は基本的に欠陥があり、拒絶しなければならない。ILOの憲章上の目標と任務は、労働者の権利を保護することだ」

「すべての労働者が享受・依存している既存の権利を取り消したり、無効にしたり、剥奪したりするための基準設定は、ILO憲章の目標・任務と組織の目的に反する」

写真:米国ペンシルベニア州エリーのワブテック労働者は今年7月、ピッツバーグの本社でストを実施

 

組合をホワイトカラー労働者と関わりのある存在に

2023-11-03

2023年11月3日:10月26-27日にマドリードで2017年以来初のインダストリオール戦略的ホワイトカラー労働者会合が開かれ、組織化とリスキリング、人工知能、メンタルヘルスが議題に上った。70人の参加者がオンラインと対面で、それぞれの異なる現状、仕事の世界に関するニーズや期待、組合を科学・技術・工学・数学(STEM)のホワイトカラー労働者とより関わりのある存在にする方法に関して意見を交換した。


「インダストリー4.0は仕事の世界を変えており、ホワイトカラー部門が成長している。そのためインダストリオールは、より積極的に組織化し、これらの労働者が直面している問題に取り組まなければならない。私たちの任務は、これらの課題、特にテレワーク中の切断する権利、よりデジタルな世界への転換、若年労働者にとっての労働組合運動の魅力向上に取り組むための戦略を練ることだ。組合は若年労働者にとって魅力的になる必要がある。私たちの存続と妥当性はそれにかかっている」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は述べた。

松﨑寛インダストリオール書記次長がオンラインで参加し、変化する世界でホワイトカラー労働者を取り巻く状況の大要を説明した。書記次長はインダストリー4.0や気候変動、プラットフォーム経済のような傾向、さまざまな課題、労働組合の魅力を高めるために必要な手段に焦点を当てた。

「関連部門ではホワイトカラー労働者が増えており、ブルーカラー労動者が減っている。ホワイトカラー労働者を組織化できなければ、労働組合運動は困難な状況に陥る。どうすれば人権デュー・ディリジェンス規則をホワイトカラー労働者を組織化する手段としても利用できるか調べなければならない」と松﨑寛は言う。

議論では、デジタル世界における障害の克服と包括性、技能、雇用可能性、雇用保障を取り上げた。スペイン、日本、南アフリカ、シンガポール、モロッコ、スウェーデンからの出席者がパネルディスカッションに参加し、ホワイトカラー労働者は組合に加入できないという通説を覆すことの重要性、中核的技能を支持することの必要性、若い従業員を取り込んで保育施設を設立することの重要性を強調した。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ホワイトカラー労働者の願望をよりよく理解するために、フィンランドの大学と共同で実施している現行プロジェクトについて説明した。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合加盟組織向けに、ホワイトカラー労働者の組織化に関するツールボックスを開発する予定である。

ILO専門家のハムザウィ博士が、メンタルヘルスに取り組む現行ILO基準について発表。Eurocadresのナイラ・グレイス会長が、労働者のメンタルヘルス保護に関する欧州指令の採択キャンペーンを紹介した。このセッションは、労働時間と労働者に対する圧力の強まり、労働協約への切断する権利の包含を軸として展開した。

スウェーデンの組合ユニオネンが、ホワイトカラー労働者のアップスキリングとリスキリングを定めたスウェーデンの協定についてプレゼンテーションを行った。この協定は、新たな進展にさらされている高度熟練労働者が、これらの新技術によって要請される技能に対応し、雇用可能性を維持し、新規雇用に移行できるようにするうえで重要である。このパネルの結果の多くは、高齢労働者が新技術に適応しやすくする戦略の確認や、切断する権利の労働協約への包含に重点を置いたメンタルヘルスに関係があった。

会合2日目はデジタル世界の組織化に焦点を当てた。オーストラリア、ガーナ、ブラジルの組合が、どのように組織化に技術を利用しているかについて発表した。参加者は遠く離れた場所にいる組合員と連絡を取るという課題を上げた。そこで、新技術を利用して組合員を支援している。デジタル新聞のWhatsAppやテレグラムを利用して組合員を勧誘している。

UNIグローバルユニオンでデジタル技術政策顧問を務めるマッシモ・メンシが、人工知能とアルゴリズム管理に関する労働者・労働組合の新しい課題について発表。人工知能が個人データの保護とプライバシーの権利の面で、技術や金融、教育のような部門の労働者に影響を与えること、労働組合がこれらの課題を打ち破るための戦術を見つけることが重要であることを強調した。

「STEMのホワイトカラー労働者は、急速に進化している技術についていくために、より良い訓練を必要とする。リスキリングは高齢労働者が雇用可能性を維持するための鍵だ。メンタルヘルスを優先課題としなければならない。これらの労働者はワーク・ライフ・バランスの改善を必要としている。このような問題に関して、STEMの女性の優先課題に対処するためにジェンダーの視点を育成することも重要だ。ジェンダー平等は欠くことができない」とコリン・シェウィン・インダストリオール・ホワイトカラー労働者共同部会長は言う。

 

労働組合、アフリカの人権デュー・ディリジェンスに向けた戦略を策定

2023-11-02

2023年11月2:サハラ以南アフリカの労働組合は、多国籍企業による労働者の基本的権利、ディーセント・ワーク、生活賃金、環境権・地域社会権保護の尊重という要求を達成するために、人権デュー・ディリジェンスが触媒の役目を果たせるようにする戦略を練った。組合は10月19-20日にケニアのモンバサで会合を開いた。


24カ国から集まった60人の参加者の中には、ケニア労働組合中央組織(COTU-K)、フリードリヒ・エーベルト財団(FES)ケニア、IGメタル、IG BCE、責任ある鉱業保証のためのイニシアチブ(IRMA)、経済協力開発機構(OECD)労働組合諮問委員会(TUAC)、南部アフリカ・リソース・ウォッチ、ジンバブエ環境法協会の代議員が含まれていた。代表が参加した労働組合支援組織は、ACV-CSCベルギー、3F、労働者を支援する国際弁護士ネットワーク、SASK、スウェーデン職場プログラム、ユニオン・トゥ・ユニオンである。

この会議では、グローバルサウスの人権デュー・ディリジェンスとクリティカルミネラル・サプライチェーンに関する重層的な問題に検討を加えた。コンゴ民主共和国、南アフリカ共和国、ザンビアおよびジンバブエの公正な移行に関して、サハラ以南アフリカ地域事務所が委託した豪ラ・トローブ大学トム・マクナマラによる研究報告の所見も焦点となった。

参加者は、コンゴ民主共和国、ガーナ、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエなど、いくつかのアフリカ諸国で中国企業が労働法に違反していることを示した。この懸念に対応して、TUACによるプレゼンテーションは、中国系多国籍企業が人権デュー・ディリジェンスに従うようにする方法の1つは、中国はOECD活動にオブザーバー参加しているので、OECD指針を利用することだと述べた。

IRMAに関するプレゼンテーションは、この基準が採掘現場に対し、事業と関連のある人権への潜在的影響を確認・評価・説明し、それに取り組むために、包括的なアプローチの採用を義務づけていることを強調した。

会議では、ドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法がアフリカにおける拘束力のある人権デュー・ディリジェンス法の制定にどのように良い影響を与えるかについても議論した。例えば、ケニアとウガンダ、ナイジェリアは、すでに人権デュー・ディリジェンスに関する国家行動計画を策定している。人権デュー・ディリジェンスのジェンダー面をめぐる議論では、仕事の世界における差別や暴力、ハラスメントの根絶を取り上げた。

この会議はインダストリオール・サハラ以南アフリカの1週間にわたる会合の一環であり、10月16日の地域青年会合を皮切りに、10月17日には女性会合が開かれ、10月18日の地域執行委員会では公正な移行と重要な移行鉱物に焦点を当てた。

フランシス・アトウォリCOTU-K書記長が地域執行委員会で発言し、次のように述べた。

「労働組合は、労働者の権利・利益を擁護するために警戒を緩めず、好戦的でなければならない。」

ローズ・オマモ・インダストリオール副会長/ケニア金属合同労組書記長がこう述べた。

「9月にエチオピアで開催されたアフリカのビジネスと人権フォーラムで、インダストリオール・サハラ以南アフリカは、社会的対話を通してアフリカ連合(AU)プロセスに労働組合を参加させることと、特にビジネスと人権に関する政策案とアフリカ大陸自由貿易協定プロトコルに労働条項を盛り込むことを要求した。AUがこれらの要求に好意的に対応することを期待している」

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう述べた。

「私たちは労働組合として、労働者の権利の尊重と生活賃金を要求する闘いを外部の者に任せることはできず、これらの権利を尊重するために使用者および政府と闘い続けなければならない。組合は引き続き、多国籍企業による権利侵害から労働者を保護するために拘束力のある法律文書を要求し、ビジネスと人権に関する拘束力のある国連条約を求めるキャンペーンを支援していかなければならない」