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第170号インダストリオール・ウェブサイトニュース

香港条約―何が必要か?

2024-02-28

2024年2月28日:香港条約は、労働者の人権と環境管理へのとてつもなく重要な一歩である。しかし、船舶解撤産業に改革をもたらすには十分ではなく、そのためには組合による持続的な注意と行動が必要になる。


安全政策

船舶リサイクル施設計画は、全労働者を対象とする包括的な安全衛生訓練プログラムと、安全管理者の設置、医学的監視を要求している。しかし、他の部門で長年にわたって苦い経験をしてきたことから、労働組合は、いかに善意から出たものであろうと、使用者が管理する安全プログラムでは不十分であることを学んだ。解撤場は商業的圧力を受けているため、使用者任せにすると利害の衝突が生じる。合同安全衛生委員会は最善の解決策である。

問うべき質問:

  1. 誰が安全に関する決定を下しているか?
  2. 安全に関して誰が信頼されているか?
  3. 誰が権限を持っているか?

労働者は矛盾する指示を受け、安全管理者が課す安全手順と、仕事を早くやり遂げるための現場主任による命令が相反することがあるかもしれない。これは混乱をもたらし、事故を招く恐れがある。労働者が、使用者ではなく組合代表による安全指導を信頼し、それに従う傾向も強くなっているようである。

職場で保障されなければならない基本的な安全権が3つある。

  • 安全衛生問題について知る権利
  • 安全衛生に影響を及ぼす決定に参加する権利
  • 危険な作業を拒否する権利(ILO第155号条約に規定)

法律の不備

インド、パキスタン、バングラデシュは、船舶リサイクルを対象とする新しい法律を完全に実施できない恐れがある。この地域では懸念の理由がいくつかある。

仕事の世界を対象とする10本の基本的なILO条約がある。船舶解撤にとって3本が特に重要である。

  • 87号条約――結社の自由および団結権保護条約
  • 98号条約――団結権および団体交渉権条約
  • 155号条約――職業上の安全および健康条約

インドは上記3本の条約を1つも批准していない。パキスタンとバングラデシュは第87号条約と第98号条約を批准しているが、第155号条約は批准していない。しかし、これらの国々は、たとえ条約を批准して国内労働法に導入していても、法執行能力の欠如や、有力な使用者に異議を唱える意欲の不足により、条約を支持していないことが多い。

ILOには、ILO総会で条約不支持の事例を検討する基準適用委員会(CAS)というプロセスがある。インダストリオールとUNI、ITUCは、2017年に結社の自由の侵害でバングラデシュをCASに提訴した。その中には、労働組合指導者・活動家の独断的な逮捕や拘留、拘留中の死の脅迫や身体的虐待、虚偽の刑事告発、監視、組合活動に対する威嚇や干渉、平和的な抗議後の衣料工場による労働者の大量解雇が含まれる。

この提訴は衣料産業に焦点を当てていたが、バングラデシュ政府の組合に対する態度について憂慮すべき洞察を与えている。さらに2019年、いくつかの労働者組織が第81号、第87および第98号条約の不遵守を理由に、第26条に基づいて苦情を申し立てた。

この苦情の結果、2021年7月にILOが行動ロードマップを発表し、状況を改善するためにバングラデシュ政府が講じる必要のある措置を詳述した。船舶解撤労働者にとって特に重要になる措置は次の3つである。

  1. 労働組合登録の簡素化。これまで、バングラデシュでの労働組合登録は非常に複雑であり、船舶解撤労働者は部門別組合を登録することができず、多数の解撤場別組合を結成しなければならなかった。
  2. 労働監督と法執行の改善。現在、使用者が法律に違反した場合に労働者が救済を得る機会はほとんどない。
  3. 組合に対する差別と労働者に対する暴力への対処。これは使用者や警察官、警備員への訓練提供によって行われる。

パキスタンも、各州に決定権が委譲されている連邦制国家であることと、労働監督が不十分であることが原因で、執行の面で懸念がある国である。2024年1月にガダニ造船所で2人の労働者が死亡したあと、加盟組織のNTUFは、解撤場所有者と政府、警察が共謀して事故を隠蔽したと主張した。

アスベスト問題

香港条約は適切なアスベスト処分計画を義務づけており、一部の解撤場はこの危険物質を処理するために質の高い施設の建設に着手している。しかし、インド、バングラデシュおよびパキスタンはアスベストを禁止しておらず、ロッテルダム条約の禁止物質リストにクリソタイル・アスベストを含めることを妨害する役目を果たした。これらの国々では、アスベストはまだ商業的価値があり、建築資材に使われている。

機械化と雇用喪失

労働者にとっての懸念は、香港条約の要件を満たすために解撤場が機能を高める中で、解撤場所有者が機械化を導入し、必要な労働者数が少なくなることである。企業と各国政府が下流エネルギー開発、例えばグリーンスチール製造工場やリサイクルセンターに投資すれば、船舶解撤場で失われる雇用を他の場所で創出される雇用で埋め合わせることができるだろう。

川下の労働者

もう1つの懸念は、香港条約が川下の労働者(解撤場の外でくず鉄を取り扱う労働者や、船舶廃棄物を処理する女性など)に関する条項を設けていないことである。

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