韓国――労働者に有利な法案の可決は前進だが、さらなる改革が必要
2025-09-01
韓国の労働組合は、労働組合・労働関係調整法(TULRAA)の可決を正しい方向への有意義な一歩と認めながらも、8月29日に政府に対し、労働法改革のさらなる推進を要請した。
韓国国会は8月24日、与党民主党の過半数の支持を得て修正案を承認した。この改正は、下請労働者に元請使用者との団体交渉権を与えるとともに、使用者がストに起因する取引上の損失を主張することを制限している。
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の韓国金属労組(KMWU)と韓国金属労組連盟(FKMTU)は、この歴史的な労働法修正は10年に及ぶ闘いによる前進だと述べた。しかし両組合は政府に対し、TULRAAの反組合的な条項を引き続き修正していくよう求めている。
FKMTUは、金属関連産業(自動車や鉄鋼など)に深く根づいた下請契約構造の矛盾に直接対処しているとして、この修正を歓迎している。今後、下請労働者の真の使用者は責任逃れができなくなる。
キム・ジュンヨンFKMTU委員長は次のように述べた。
「この修正は簡単に手に入った勝利ではない。コンベヤーベルトで、燃えさかる炉の前で、危険な下請職場で、適切に声を上げることができなかった無数の金属労働者の要請と闘争から生まれた歴史的偉業だ。FKMTUも下請労働者とともに街頭や鉄塔の上で闘った。そのような必死の闘いは、世界に法改正の正当な理由を示すきっかけになった」
一方、KMWUは対プレス声明を出し、今回の修正が労働者の定義を広げず、下請労働者に対する元請使用者の責任を明確にせず、個々の労働組合員に対する損害請求を禁止していないことを批判した。
KMWUは、6カ月の猶予期間も疑問視し、権利の延期は権利の否定だと強調、政府に修正の即時実施を求めた。KMWUは国と使用者に、下請労働者のストを支援している労働者に対する進行中の訴訟と使用者が押し付けた損害請求訴訟の撤回を要求した。
さらに、同労組は新政権に対し、尹錫悦前政権が策定した反組合的政策の廃止を強く促している。例えば当局は、申し立てや要請なしに労働組合の財政を監督したり、労働組合に手元資金の公開を強制したり、組合休暇に法的上限を設けたり、その上限を超える団体交渉を不当労働行為とみなしたりすることができる。
チャン・チャンヨルKMWU委員長は次のように述べた。
「修正法はまだ国際基準を満たしていない。これは第一歩にすぎない。KMWUは今後、不安定労働者とともに元請使用者と直接、交渉・闘争を開始する。この方法で、すべての労働者の権利を擁護し、職場に民主主義の種をまいていく」
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Korea: Passage of pro-labour bill marks progress, calls for further reform | IndustriALL
インダストリオール、ブランド各社にミャンマーからの撤退を再び要求
2025-09-04
インダストリオールは、ベストセラー、ネクスト、フンクミュラーなどいくつかのブランドに対し、ミャンマーでの業務を中止するとともに、労働権・人権が根絶された軍事政権下の国からの責任ある撤退をめぐって直ちにインダストリオールとの交渉を開始するよう繰り返し要求している。
繊維・衣料産業は政権にとって主要な外貨獲得手段であり、武器や弾薬、燃料の購入資金調達に役立っている。ミャンマーで衣料や履物を作っている労働者は、戒厳令下の工業地帯で働いている。2023年のILO調査委員会は、結社の自由条約と強制労働条約の広範囲にわたる違反を確認した。7月には、組合指導者や労働運動家が容疑不明で逮捕されたという新たな報告があった。
これらの懸念にもかかわらず、イギリスの一般大衆向け人気ブランドのネクストやオランダ系ランジェリーブランドのフンクミュラーのようなブランドは、ミャンマー残留の意向を示し、サプライチェーンで人権侵害のリスクを軽減するために「デュー・ディリジェンスの強化」を実施できると述べている。
ネクストはニューヨーカーおよびLPPとともに、インダストリオールが昨年11月、軍事独裁政権下でOECD指針と人権デュー・ディリジェンスに従うことはできないという理由から、OECDのナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)に提訴した3つのブランドのうちの1つでもある。
ミャンマーの労働組合と衣料労働者は、6月のILO総会でILOがミャンマーの軍事政権に対してILO憲章第33条を発動するという前例のない措置を取った際に支持を得た。第33条はILOで最も重い制裁であり、ILOの歴史で3回しか発動されていない。
第33条に関する決議は政府と使用者、労働者に対し、政権を間接的に支援するかもしれないサプライチェーンへの投資を見直し、労働者の権利の重大な侵害を永続させる可能性のあるあらゆる手段を無効にするよう求めている。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「ブランドはミャンマーからの調達継続によって弾圧資金の供給を援助している。第33条に関する決議は、世界のいかなる商制度も、独立組合を非合法化し、労働者を投獄する独裁政権下で活動するリスクを軽減できないことを明確にしている。唯一の責任ある道は撤退であり、労働者を保護する責任ある撤退のためにインダストリオールと協力することである」
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IndustriALL renews call for brands to leave Myanmar | IndustriALL
NUMSAが労働者の復職を確保し、マックスチールのストが終結
2025-09-08
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の南アフリカ全国金属労組(NUMSA)は、主要鉄鋼サプライヤーのマックスチールで2週間続いていた無期限ストの終結を発表した。
8月22日に始まったストのきっかけは、NUMSAが手続き的に不当で搾取的だと非難した論議を呼ぶ人員整理だった。労働者は、組合の主な要求に応える和解の取り決めを受けて、9月8日に職務を再開する用意を整えている。
この合意はNUMSAにとって勝利であり、マックスチールは解雇された労働者全員を社内のポストに復職させ、賃金、給付、労働条件を維持すると譲歩した。さらに、下級の職務に就く労働者も元の給与体系を維持、これは彼らの生活を守る極めて重要な措置である。復職よりも退職手当を選んだ5人の労働者はNUMSAと会談して自分たちの決断を確認する予定であり、情報に基づく選択を確保する。
NUMSAが最後の手段と表現したこのストの発端は、経済・技術・構造変化などの業務上の要件による人員整理に対処する労使関係法第189節をめぐる協議の際に、マックスチールが組合の代案の検討を拒絶したことである。
争点となったのは、マックスチールが第189節に基づく自主退職手当(VSP)を実施したことであり、NUMSAはこれをごまかしと非難した。同労組は、同社が253人の労働者にわずか4万ランド(1828米ドル)のVSPの受け入れを強制したことを非難した。この金額は勤務年数1年当たり1週間分の賃金で算出されており、年間3〜4週間分の総報酬という業界標準をはるかに下回る。
NUMSAは、このプロセスは一方的だと述べ、マックスチールは同労組の意見を聞かずに解雇通知を出して労働者に圧力をかけ、公正な人員整理手順に違反したと主張した。
NUMSAの要求には、解雇された労働者の復職、退職手当の改善、組合と取り決めた透明な人員整理基準が含まれていた。同労組によると、マックスチールの行動は、使用者が不況時には労働者を搾取、好況時には利益を最大化し、労働者は人員整理時に不十分な補償で切り捨てられる結果になるという、広く見られるパターンを反映している。NUMSAは、退職手当の最低基準を確立するために、雇用労働省を通じた政府介入を要求した。
イルヴィン・ジムNUMSA書記長は次のように述べた。
「使用者が任意制の名目で、労働者に中身のない自主退職手当を支給できる状況を容認してはならない。これは虐待だ。特に何年にもわたって労働者を搾取している場合は、貪欲な使用者を阻止しなければならない」
「人員整理時にも労働者の生活を守ることは、労働組合の中心的義務の1つだ。NUMSAがマックスチールの労働者搾取を阻止するためにストを決行したことを称賛する」とインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール=フランス・ヌデソミン所長は述べた。
写真:シャッターストック
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Macsteel strike ends as NUMSA secures worker reinstatement | IndustriALL
グローバル・ユニオン、パレスチナ国家の承認を要請
2025-09-08
声明――ニューヨークでの来る国連総会の直前に、下記に署名したグローバル・ユニオンは、国際労働組合総連合(ITUC)、グローバル・ユニオン・フェデレーション(GUF)およびOECD労働組合諮問委員会(TUAC)を通して全世界で2億人以上の労働者を代表し、パレスチナ国家承認への各国政府のますます強まるコミットメントを全面的に支持する。
すべての国々に対し、主権を有する民主的なパレスチナの達成に向けたこの重要な一歩を踏み出し、パレスチナが安定したイスラエルとともに公正かつ永続的な平和のうちに暮らせるようにすることを求める。
グローバル・ユニオンの指導者は2024年5月、パレスチナへの歴史的な代表団に参加。ラマラで労働組合やパレスチナ自治政府の高官と会談した。そのメッセージは明確だった――国家としてのパレスチナの承認は、主権を有する民主的な未来を構築し、国民のために平和と尊厳を確保するうえで不可欠である。
すでに、国連加盟193カ国中147カ国がパレスチナを正式に承認している。グローバル・ユニオンは、2025年の国連総会で承認を進める準備をしている国々の政府を称賛する。
承認はパレスチナの人々の自決権を確認し、国際法を強化し、平等な両当事者の間で真の交渉の条件を整えるのに役立つ。承認は権力の不均衡を是正するためのステップでもあり、この不均衡が続く限り、ヨルダン川西岸とガザの不法占拠および不安定な状態が長引く。
パレスチナ承認は正義の問題であるのみならず、必要なことでもある。数十年の遅れがもたらしたものは暴力と絶望の連鎖だけであり、先週国連の専門家が強調したように、現在それらの失敗の結果、破滅的な人命の損失、大規模な破壊、パレスチナ人がここ数十年で直面した最悪の人道危機に至っている。承認は、国際社会はパレスチナ人の権利の果てしない延期をもはや受け入れないという力強いシグナルを送ることになるだろう。承認は真の和平交渉を構築できる基盤である。
世界の労働組合運動にとって、原則は明白である――労働者はどこでも、自由と尊厳、安全のもとで生きる権利がある。パレスチナの人々も同じ権利を受けるに値する。パレスチナ国家の承認は、交渉の最後に与えられる報酬とみなしてはならない。それは公正かつ持続的な平和の必須要素である。
すべての政府に対し、国連でこの措置に関与するよう促す。承認は、人権を支持し、国連安保理事会決議の遵守を確保し、自由で独立した存続可能なパレスチナへの道を促進するという国際社会の意志の具体的な表現である。その原則に基づいてのみ、安定したイスラエルと主権を有するパレスチナが平和に共存することができる。
署名者:デービッド・エドワーズ教育インターナショナル書記長、アトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長、リュック・トリアングル国際労働組合総連合書記長、クリスティー・ホフマンUNIグローバルユニオン書記長、スティーブ・コットン国際運輸労連書記長、アンベット・ユーソン国際建設林産労連書記長、アドリアーナ・パス・ラミレス国際家事労働者連盟書記長、ダニエル・ベルトッサ国際公務労連書記長、クリスチャン・ブラガソン国際食品関連産業労働組合連合会書記長、ベロニカ・ニルソンOECD労働組合諮問委員会書記長、アンソニー・ベランジェ国際ジャーナリスト連盟書記長
写真:シャッターストック
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Global Unions urge recognition of the state of Palestine | IndustriALL
インダストリオールの女性、世界大会前に率先して平等を要求
2025-09-11
インダストリオール女性大会と11月のシドニー世界大会の準備が順調に進んでおり、ジェンダー平等と女性の権利を促進するために実施された活動を評価する場になるだろう。
女性大会は2部構成で、9月18-19日にオンラインセッションが、インダストリオール大会前の11月3日にシドニーで対面セッションが開かれる。
これまでの成果を分析し、まだ焦点を当てる必要がある分野を確認することにより、アクション・プランを指針としてシドニーで将来の優先課題を決めることができる。女性労働者が今後数年間に直面する課題に取り組むために、どんな行動を立案すべきか?
この議論によってロードマップを作成し、向こう4年間に期待される結果を設定し、進展の測定・監視方法を討議することができる。
参加型ジェンダー監査(PGA)の所見と勧告をめぐる議論が鍵になるだろう。この議論は、インダストリオールはどうすれば今後4年間にジェンダー平等関連活動を強化できるかについて明確な指針を示すからである。来る女性大会は、これらの勧告を行動に移すうえで極めて重要な一歩となる。
女性大会では、PGAで強調された3つの優先分野に取り組む方法を討議・検討する。すなわち、インダストリオール活動全体におけるジェンダー主流化、女性のリーダーシップ強化、ジェンダー平等と指導部への女性参加の推進における男性アライシップである。
女性のリーダーシップを促進する方法の調査は、女性大会での討議の鍵になる。進展はあるものの、特に特定の産業で、女性は相変わらず労働組合指導部で十分に代表されていない。組合参加を妨げる障害から構造的差別まで、この不足の根本原因に対処するとともに、運動のすべてのレベルで女性指導者を支援する具体的な手段を開発する必要がある。
女性大会では、平等を構築して女性の意見が確実に取り入れられ尊重されるようにするために、男性の同盟者を関与させる方法も調べる。女性参画を支持するだけでなく組合の包括性拡大にも責任を持つことによって、積極的にジェンダー平等を支援する男性指導者の役割が重要である。
「女性は、労働者の権利や関連産業の未来について決定が下されるすべての場に参加しなければならない。この女性大会の目的は不平等に取り組むことだけでなく、組合員の現実を反映させるために私たちの運動を再形成することでもある。女性が先導すれば、組合はより強く、より公正に、より代表的になる。だから、この活動は重要であり、私たちは場を設け、支援を確立し、すべてのレベルで女性の意見が取り入れられるようにしなければならない」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は述べた。
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IndustriALL women lead push for equality ahead of Congress | IndustriALL
バングラデシュの船舶解撤場は今なお危険地帯
2025-09-15
今年これまでに香港条約が発効したにもかかわらず、バングラデシュの船舶解撤場では重大事故が続いており、現場で真の変化が見られないという緊急性の高い課題をもたらしている。
9月第1週だけで、チッタゴンから2件の大事故が報告された。9月3日にチッタゴン・スチールの解撤場で、1人の労働者が頭部に重傷を負い、チッタゴン医科大学病院で3日間にわたって集中治療を受けた。数日後の9月7日には、ジャムナ解撤場で別の労働者が金属切断中に重傷を負った。8月初めにも、キング・スチールの解撤場で大爆発が起き、2人の労働者が重度の火傷を負っている。
これらの度重なる事故は、香港条約の約束が現場で果たされるようにする差し迫った必要性を強調している。香港条約は2023年にバングラデシュによって批准され、2025年6月に発効した。この条約は解撤場の安全向上に向けた重要な第一歩を示しているが、バングラデシュの船舶解撤は、怠慢や低い規則実施率、使用者責任の欠如が原因で労働者の生活に害をもたらし続けている。
インダストリオール南アジア地域事務所のアシュトシュ・バッタチャリア所長はこう述べた。
「この産業は形式的な遵守にとどまらず、船舶解撤場が本当に安全な作業場になるようにしなければならない。使用者の真摯な取り組み、効果的な政府の検査、強力な労働者の参加なしでは、歴史的な香港条約批准にもかかわらず、バングラデシュの船舶解撤産業は今後も世界有数の死亡事故多発産業のままだ」
インダストリオールは9月10日にチッタゴンで加盟組合、政府代表、使用者団体との円卓会議を開催し、船舶解撤産業の統治、特にバングラデシュ・シップリサイクル委員会の機能に、労働組合を参加させるべき差し迫った必要があると繰り返した。この会合は、包括的な労働者データベースの作成、情報にアクセスする権利、労働組合権の承認を要求した。加盟組織は、チッタゴンに労働組合登録事務所を開設するために、設立グループへの組合登録とプロセス合理化を支持し続けている。
ウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように述べた。
「船舶解撤の安全上の危機に早急に取り組む必要がある。使用済み船舶の安全な送り先としてのバングラデシュの評判は危険にさらされており、状況が改善しなければ、この産業は競争相手国に負けることになる。状況を改善する最善の方法は、合同安全衛生委員会を通して労働者を関わらせることだ」
インダストリオールは、既製服部門と同様に、バングラデシュの船舶解撤労働者の社会保障と業務災害給付に関するパイロットプログラム開始に向けて、ILOおよびGIZとの協議を進めている。使用者団体もこの取り組みへの支持を表明し、政府に本格展開の促進を強く促した。
【原文記事URL】
Bangladesh’s shipbreaking yards remain danger zones | IndustriALL