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インダストリオール・ニュース「ヘッドライン」第10号(2012年9月13日)

パキスタンの大惨事で労働者300人が死亡

2012-09-13

 2012年9月11日、パキスタン・カラチの被服縫製工場とラホールの製靴工場で壊滅的な火災が発生し、300人を超える労働者が死亡した。
 インダストリオール・グローバルユニオンは政府当局の怠慢に対して憤りを表明し、今日レイバースタートのキャンペーンを開始、パキスタン政府に対し、調査と責任者の処罰、死傷者への補償金支払いを要求した。
 さまざまな報道によると、工場の建物が基本的な火災安全基準を守らず、非常口を設けていなかったため、労働者は逃げることができなかった。
 カラチのシンド産業貿易地区(SITE)のハブ川通りにある被服縫製工場、アリ・エンタープライズの火災では、289人を超える労働者が死亡。犠牲者の多くが地下に閉じ込められて窒息死した。大勢の労働者が脱出しようと建物から飛び降り、大けがを負った。この工場は違法に開設され、工場法に基づいて登録されていなかった。4階建ての被服縫製工場には出口が1つしかなく、防火・消火器具もなかった。すべての窓に鉄格子がはめられ、出入口と階段には製品や半製品が所狭しと並べられていた。
 給料日だったため、火災発生時には工場内に1,000人もの労働者がいた。工場の地下は消火用水で水浸しになり、まだ多くの遺体が瓦礫に埋もれているおそれがある。また、多くの労働者が第三者契約に基づいて雇用され、採用通知もなく、政府の社会保障機関や労働者福祉委員会に登録されていないため、遺体の身元確認が難航を極めているとの報道もあった。
 ラホールにある4階建ての製靴工場で発生したもう1件の火災事故では、約25人の労働者が死亡した。この工場は同市の住宅地域にあると言われている。速報によると、事故の原因は、労働者が停電中に発電機を回そうとしていたときに火花が発生し、製靴用の化学薬品に引火したことだという。
 インダストリオール・グローバルユニオンは、全国労働組合連盟(NTUF)、パキスタン金属労連(PMF)、パキスタン化学エネルギー鉱山一般労連(PCEM)、繊維被服皮革労連の加盟組織とともに、政府当局の怠慢を批判し、工場所有者に対する即座の措置、遺族への適切な補償金、負傷した労働者への医療費支給を要求した。
 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長はパキスタン首相への書簡で次のように書いた。「パキスタンは2010年の労働政策の目標として、すべての労働者に対する公正で人間らしい労働条件の保証を掲げています。パキスタンの労働者の30%を占め、極めて非人間的な労働条件のもとで働いている被服労働者・製靴労働者に、この政策を今こそ何としても適用してほしいと思います」
 ナシル・マンスールNTUF書記長は、「パキスタンの工場は職場というよりも危険建築物であり、労働者は人間ではなく奴隷のように扱われている」と述べた。NTUFは9月12日に組織された抗議デモで、労働者代表機関との連携による工場の厳密な検査、工場法に基づく全工場の登録、安全衛生法の本格実施、契約制度の撤廃、雇用時における全労働者への採用通知発行、福祉制度への労働者の登録を求めた。NTUFは犠牲者の遺族と連帯するために、パキスタン労働党による9月15日の全国スト指令も支持している。今日、下記サイトのレイバースタートで行動を起こし、パキスタン首相に書簡を送ろう:
http://www.labourstartcampaigns.net/show_campaign.cgi?c=1570

 

危険な不安定労働を拒否しよう

2012-09-13

 『Hazards』誌は最新号で不安定労働の課題について詳しく報告しており、10月7日が迫る中で、インダストリオール・グローバルユニオンは全世界の加盟組織に動員と行動を呼びかけている。
 『Hazards』誌は、労働の不安定化が進む危険な傾向の課題に関する詳細なレポート、「もう疲れ果てた!」を発表した。同誌編集者のロリー・オニールは、ますます使い捨てにされている労働者が絶えず健康被害を受けている実態を検証している。「不況が猛威を振るう世界では、たとえ常用雇用に就いていても不安を感じる。臨時雇用だと、いつまでたっても不安定だ」
 組合活動家は、すでに10月7日前後の行動に備えている。先週は695人が不安定労働の撤廃を求めるオンライン運動に参加、合計参加者数は1,310人となり、そのうち285人が行動を起こすと約束している。この運動に加わって10月7日前後に行動を起こす誓約書に署名し、1,000人の署名達成に協力してほしい。
 労働者と所属組合が不安定労働とのグローバルな闘いを支援するために10月7日前後に起こせる行動の形式に、制限はない。抗議デモ、セミナー、組合員の会合、記者会見、公開の会合、集会、職場行動、手紙書きキャンペーン、政府への代表団派遣といった行動を実施できるだろう。
 10月7日にはフェイスブックツイッターに書き込み、あなたのプロフィール写真を変えてフェイスブック・コミュニティーと共有しよう。不安定労働反対の画像をダウンロードし、カバー写真にアップロードしてほしい。ツイッターでインダストリオールをフォローし、#STOPprecariousworkハッシュタグを使ってツイートしてくれれば、インダストリオールは皆さんの行動や写真をリツイートする。

 

USIQUIMICAの爆発事故で労働者2人が死亡

2012-09-13

 ブラジルのグアルリョスでフッ化水素酸タンクが爆発し、労働者2人が死亡、10人が負傷した。爆発の原因はまだ調査中だ。組合は責任者の処罰を要求している。 ブラジルのグアルリョスにあるUSIQUIMICA工場でフッ化水素酸タンクが爆発し、労働者2人が死亡、10人が負傷した。事故は9月6日(木)の正午ごろに起こった。
 労働雇用省は労働者、会社の代表者、消防士から情報を収集したうえで、まだ労働者にとって危険があるかどうか確認するために、生産現場を閉鎖して報告を待つことに決めた。労働者は、汚染されていないことを確認するために検査を受ける。 インダストリオール・グローバルユニオンに加盟するグアルリョス化学労組(SINDIQUIMICOS)の代表らが消防士による行動に同伴し、2人の同僚の死に対処しようとする労働者たちを支援した。
 アントニオ・シルバン・オリベイラSINDIQUIMICOS会長兼全国化学労連(CNTQ)会長は、この事故について遺憾の意を表明した。「労働者が亡くなった事故の原因と状況を確認し、必要な措置を取ろう。私たちは責任者の処罰を要求している。当労組は亡くなった2人の労働者の遺族を可能な限り援助する」
 同労組は、職場環境をめぐる労働者の懸念に応えて2011年から対策を要求しており、生産要求の高まりを受けて企業が保守作業を軽視するようになっていることを懸念している。シルバンによると、同労組は労働雇用省、サンパウロ州環境公社(CETESB)、その他の関連政府機関の代表とともに作業部会に加わり、労働条件の改善を要求していく。
 同労組は9月10日に会合を開き、労働者との連帯を表明した。この会合で労働者は、「会社の今後が心配だが、作業を再開するのも怖い」と語った。組合は、工場で安全な労働条件を要求していくと述べた。

 

EUはカザフスタンで人権を促進せよ

2012-09-13

 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、石油労働者の権利の組織ぐるみの違反でカザフスタン政府と企業を非難し、「EUはカザフ当局に状況改善を強く求めるべきだ」と示唆した。
 HRWは2012年9月10日に発表された153ページの詳細な報告書「Striking Oil, Striking Workers: Violations of Labor Rights in Kazakhstan’s Oil Sector」で、カザフ当局と同国西部の石油部門で活動する3社の戦術を詳しく分析している。政府と各社は、石油労働者の集会・結社の自由に対する権利、団結権・団体交渉権および言論の自由を組織ぐるみで侵害している。HRWはカザフスタンの人権状況の改善についてもいくつかの勧告を出した。
 この報告書は調査ならびに石油労働者・組合幹部とのインタビューに基づいており、2011年5月に労働者が賃金・労働条件に関する労働協約を取り決めようとした際に発生した紛争について報告している。この紛争をめぐっては現在、下記サイトでレイバースタートのキャンペーンが実施されている:

http://www.labourstartcampaigns.net/show_campaign.cgi?c=1461

 労働者は、まず経営側と政府に冷たくあしらわれ、さらにはさまざまな嫌がらせや大量解雇によって、3社で少なくとも2,000人が犠牲になった。そのうち1社はカザフ企業のオゼンムナイガス、2社は合弁事業で、中国・カザフ企業のカラズハンバスムナイJSCと、イタリア系企業グループのエニが部分的に所有するエルサイ・カスピアン・コントラクターLLCである。
 2011年12月16日に労働者が平和デモを実施した際、石油会社の上着を着た身元不明の男たちが衝突を引き起こし、16人が死亡した。当局は、この事件を利用して石油労働者・活動家に対抗する本格的なキャンペーンを実施した。2011年8月、カラズハンバスムナイの労働組合弁護士ナタリア・ソコロワが、賃金格差について労働者と話をしたために6年の実刑判決を受けたが、その後釈放された。

 インダストリオール・グローバルユニオンの共同設立者であるIMFとICEMは、それに先立ってカザフスタン首脳に意見を述べ、人権および労働者の権利の侵害をやめるよう要求した(http://www.imfmetal.org/index.cfm?c=27817&l=2)。先ごろインダストリオールはレイバースタートと連携し、カザフスタン自由労働組合連合、ロシア労働同盟および国際労働組合総連合の参加も得て、カザフスタンの石油労働者を支援する連帯キャンペーンを開始した。

キャンペーンを支援するには下記リンクを参照:

http://www.labourstartcampaigns.net/show_campaign.cgi?c=1461

 HRWは報告書で、EUとカザフスタンとの新しい強化されたパートナーシップ協力協定(PCA)をめぐる進行中の交渉プロセスの中で、「PCA交渉の妥結に先立って当局が実施すべき具体的かつ測定可能な改善策の立案によって、カザフスタンで人権改革を促進するまたとない機会」があると主張している。

 

AMWUとIAMAWが各国政府にTPPA案の拒否を要求

2012-12-13

 AMWUとIAMAWは、今週9月6~15日に米国バージニア州で14回目の交渉に入っている環太平洋パートナーシップ協定の結果、国民の利益のために行動する政府の権限が失われることに懸念を表明した。
 2012年末までにまとまると予想される環太平洋パートナーシップ協定(TPPA)は、オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、シンガポール、ペルー、アメリカおよびベトナムの自由貿易協定(FTA)で、単なる貿易協定にとどまらない。
 インダストリオール・グローバルユニオンとその加盟組織は、交渉が秘密に行われ、案文が公表されないことに憤りを表明している。入手可能な情報を見る限り、TPPAが知的財産権などの問題に焦点を当てており、医療や環境、職場の安全、投資といった分野で国内法に優先する条件を課そうとしていることは明らかだ。

 オーストラリア製造労組(AMWU)は組合員に対し、オーストラリアの閣僚に接触して次のような案を拒否させるよう呼びかけている。

●衛生・環境法規をめぐって政府を訴える権利を企業に与える。

●政府による補助金付きジェネリック医薬品の提供を禁止する。

●消費者を犠牲にして特許・著作権保有者の権利を強化する。

●政府購入とオーディオビジュアル・メディアに占めるオーストラリアの比率を減らす。

●遺伝子組み換え食品からラベルをはがす。

  全米機械工・航空宇宙労組(IAMAW)はアメリカにおけるTPPAの影響についても懸念しており、組合員に対し、NAFTAと同様にTPPAもアメリカで何十万人もの雇用を破壊し、労働者の権利を弱め、「バイ・アメリカン」法を徐々に損ない、環境保護を無効にする可能性があると警告している。

 詳しくは下記サイトを参照:

 http://www.amwu.asn.au/read-article/news-detail/1000/Keep-Free-Trade-Fair/

 http://www.goiam.org/index.php/news/member-action-center/10302-tpp-big-mistake