広報ニュース

インダストリオール・ニュース「ヘッドライン」第9号(2012年9月5~6日)

10月7日に不安定労働撤廃キャンペーンを全世界で展開へ

2012-09-05

 10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーに合わせて、インダストリオール・グローバルユニオンは不安定労働撤廃キャンペーンを推進する。

 安定した仕事がますます減っている一方で、派遣労働や契約労働、臨時労働が増えている。若年者にとって実質的にほかの選択肢はなく、不安定な仕事に就くしかない。

 労働組合は不安定労働者の組織化によってこの流れに対抗し、不安定労働を拡大する法律と闘って、有利な賃金・労働条件の安定した雇用を支持して結集している。

 インダストリオール・グローバルユニオンは10月7日前後の行動に参加するよう勧めている。今すぐ行動を起こし、

●フェイスブックでこの運動に加わり、5人の友達を登録しよう。

●10月7日に行動を起こしたり支援したりすることを約束しよう

●派遣労働の体験談を送ろう。

●不安定労働に関する最新のビデオを観よう。

 皆さんと所属組合が不安定労働とのグローバルな闘いを支援するために10月7日に起こせる行動の形式に制限はない。抗議デモ、セミナー、組合員の会合、記者会見、公開の会合、集会、職場行動、手紙書きキャンペーン、政府への代表団派遣といった行動を実施できるだろう。

 インダストリオールは、ポスターやリーフレット用の印刷できるアートワークをいくつかの言語で作成しており、下記サイトでダウンロード可能:

www.industriall-union.org/issues/social-justice-and-globalization/stop-precarious-work

行動を実施した場合は、写真やレポートの送付をお忘れなく。行動に関する情報の送付先は下記のとおり:press@industriall-union.org

 

ミャンマーで労働組合の自由を確保する歴史的勝利

2012-09-06

 インダストリオール・グローバルユニオンは、長年のキャンペーンの末、ミャンマーで労働組合が活動を再開したことを喜んでいる。ミャンマー労働組合連盟(FTUM)のマウン・マウン書記長は9月4日、24年に及ぶバンコク亡命を経てラングーンに戻った。
 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は今日、次のように述べた。
「マウン・マウンのラングーン帰還は、労働運動全体の感情に訴える展開だ。ミャンマーの同志は、自国で社会的公正と組合組織化に向けた活動を再開した今、インダストリオール・グローバルユニオンの支援に頼ることができる。この最終的に成功を収めた勇敢なキャンペーンで闘ったすべての人々に敬意を表する」
 今後は、マウン・マウンたちを指導者とするFTUMが公式に承認されるよう確保するとともに、責任ある投資方針の立案を支援し、労働組合の結成・登録を妨げている障壁を全廃して組合を構築していくことに全力を尽くす。
 いくつかの国々がミャンマーに対する制裁を停止したことがきっかけで、多国籍企業が一斉にミャンマーに戻ってきた。3月に厳しい軍事政権に取って代わったテイン・セイン政権は、組合の結成を認める職場法の可決をはじめ、民主化に向けていくつかの改革に着手している。過去2カ月間、全部門で100を超える企業レベル労働組合が登録されたが、労働者たちは使用者と当局の嫌がらせや威嚇にさらされ続けている。
 国際労働組合総連合(ITUC)とグローバル・ユニオン評議会(CGU)はラングーン事務所の開設を計画しており、ILOヤンゴン事務所はミャンマー最大の都市で法律調査・権利擁護センターの設置を提案している。
 マウン・マウンは、24年に及ぶ亡命期間中に会っていなかった妻と息子、父親との再会を果たした。マウン・マウンは帰国に先立って、8月に他の2,082人とともに政府の入国管理ブラックリストから削除された。しかし、まだ4,083人がブラックリストに載っている。
 FTUMが組織化対象にしている主要なインダストリオール部門は、被服部門と鉱業部門だ。このほど、4,000人の金鉱労働者を代表する鉱山労組が設立された。当面の優先課題は、責任ある鉱業、安全衛生、ローテク鉱業である。
 旧軍事政権は労働組合活動を厳しく取り締まり、例えば2009年には、FTUB組合員が第1回FTUB全国大会に参加して帰ってきた直後に逮捕された。3日間のFTUB大会は国境地帯で開催され、極めて抑圧的なビルマで勇敢な労働組合員が民主的手続きを実行したのは、称賛すべきことだった。
 インダストリオールのマンフレッド・ワーダが、ビルマに関するCGU共同行動のコーディネーターを務める。10月に予定されているワーダとマウン・マウンの会談の場所は、バンコクからラングーンに変更された。

 

アルコアの組合ネットワーク、工場閉鎖と闘うイタリアの労働者を支援

2012-09-06

 インダストリオールのアルコア・グローバル組合ネットワークは、イタリア・ポルトベスメ工場の未来を確保するために闘っている労働者への支援を約束した。この工場で労働者を代表する組合は、労働者の雇用を維持する方法を見つけるために24時間とおしで取り組んでいる。
 アルコアが今年すでに工場閉鎖の決定を発表し、工場の一部の稼働停止に着手する意向を表明したにもかかわらず、組合側は会社の計画をとりあえず阻止することに成功し、閉鎖に代わる解決策を探し求めている。現在、工場の潜在的購入者探しに努力を傾けており、スイス企業のグレンコアと協議を進めている。この努力の結果、アルコアは労働者全員を年末まで雇用し続けることを約束した。
 工場の先行きは絶望的というわけではなく、操業を継続させようとするイタリア国内での試みは、他のヨーロッパ諸国の状況を参考にしている。イギリスでは、組合が所有者タタ・スチール・グループによる閉鎖の脅迫に負けず、ティーズサイド工場の操業継続に何とか成功した。イギリスの組合はSSIタイへの売却を監督し、現在も操業が続いている。イタリアの組合も、工場の操業を維持する救済策をまとめることができると希望を持っている。
 アルコア・グローバル組合ネットワークはポルトベスメの状況を注意深く監視しており、ネットワークを構成する組合はイタリアの労働者による闘いへの支援を約束している。エネルギー価格の高騰が閉鎖の大きな原因の1つに挙げられており、労働コストが固定費総額に占める割合はごくわずかだ。
 オーストラリア労組(AWU)はオーストラリアで同様の状況に直面した際、ポイントヘンリー製錬所の操業を続けさせるために積極的に働きかけ、4,200万オーストラリア・ドルの救済策の取りまとめに成功、おかげで工場は救われた。
 AWU全国オルグのリーアム・オブライエンは次のように述べた。「アルミニウム労働者が厳しい状況に置かれている今、各国政府がアルミ産業の未来を確保するために必要な支持を表明し、雇用を支える強力な産業政策を策定することが不可欠だ」
 アルコア最大の組合である全米鉄鋼労組(USW)も、イタリアの組合による闘いへの支援を約束している。ジム・ロビンソンUSW第7地区責任者はこう語った。「私たちはアルコア・イタリアの状況を注意深く監視しており、工場を引き続き稼働させるための組合の取り組みを支援している。USWとアルコアのUSW組合員は、この闘いにおいてイタリアの労働者と連帯する」
 アルコアは31カ国で事業を展開しており、事業本部はペンシルベニア州ピッツバーグにある。インダストリオール・グローバルユニオンのネットワークは、同社の株主総会の前日に会合を開く戦略を立てている。

 

インダストリオール・グローバルユニオン、グレンコア-エクストラータ合併への反対を呼びかけ

2012-09-05

 グレンコアとエクストラータの合併が極めて不安定な状態にある。インダストリオール・グローバルユニオンは、合併が実現すれば新たに生まれる巨大企業によって労働者が脅威にさらされると警告し、エクストラータに対し、グレンコアと合併すれば会社の評判に傷がつくと注意を促している。
 インダストリオール・グローバルユニオンは、この合併案は労働者と社会一般の利益に反すると一貫して非難してきた。
 インダストリオール・グローバルユニオンのグレン・ムプファン鉱業およびDGOJP部門担当部長は次のように述べた。「金属鉱業のグローバルな労使関係と労働市場に、これほど巨大かつ強大な新しい多国籍鉱山会社は必要ない」
 グレンコアとエクストラータとの合併案は、2012年9月7日に劇的な投票に付される予定だ。エクストラータ株の12%を取得したカタールの政府系ファンドが反対を表明したことで、すでに決まった話とみられていた合併案がエクストラータ株主総会で否決されそうである。カタールの政府系ファンドが合併案に反対しているのは、合併条件が不公平だと考えているからだ。グレンコアがエクストラータ株1株当たりグレンコア株2.8株を割り当てる条件を提示しているのに対し、カタールは3.25株を要求している。
 グレンコアはエクストラータ株の34%を所有しているが、合併案に関して投票することはできない。株主の16.5%が反対に回れば合併を阻止することができ、カタールの政府系ファンドは、わずか4%の株主の支持を得るだけで合併を頓挫させることができる。
 カタールの政府系ファンドは、スタンダード・ライフ、シュレーダー、ノルウェー銀行、ナイト・フィンケなど他のエクストラータ株主が、グレンコアが比率を改善しなければ反対票を投じるよう勧めれば、合併案を食い止められると期待している。エクストラータの株主にとってもう1つの不満の種は、合併が実現すれば、両社CEOのイワン・グラセンバーグとミック・デービスに約2億1,800万ユーロという巨額の残留特別手当が支払われることだ。
 「この合併案は世界中の鉱山労働者にとって悪いニュースであり、私たちは株主に対し、この合併が善意ある理由によるものではなく利権のためにすぎないのであれば、反対票を投じるよう勧める。グレンコアのせいで会社の評判が傷つき、損害を被ることになるだろう」とムプファンは付け加えた。
 グレンコアはこれまで非公開商品取引会社であり、安全や死亡事故の面で嫌悪すべき悲惨な記録を残しているため、同社をめぐる透明性の不足が懸念事項になるに違いない。ブルームバーグによると、グレンコアは2011年に労働者1万人当たり3人の死亡を報告した。この人数は、世界最大の一般炭輸出企業であるエクストラータの0.8人の3倍を超えている。ロイターは2011年6月、欧州投資銀行がグレンコアのコーポレート・ガバナンスと環境影響の問題に関する深刻な懸念を理由に、同社とその子会社への新規融資を凍結したことを報道した。2012年5月にはグローバル・ウィットネスが、上場会社としてのグレンコアの第1回年次株主総会で、同社がコンゴ民主共和国で腐敗した取引を行っている可能性があると非難する報告書を発表した。
 「インダストリオール・グローバルユニオンと140カ国5,000万人の組合員は、合併が実現すれば、協力して新しい巨大企業に対抗する準備ができている」とムプファンは述べた。

 

韓国の労働者が現代で画期的協約を締結

2012-09-05

 韓国金属労組(KMWU)の組合員は、現代自動車で基本給の5.4%引き上げと来年3月からの夜勤廃止を確保する新協約の承認を票決した。
 KMWUが7月からの部分ストなど数カ月に及ぶ闘争を展開した結果、現代では4万4,000人の組合員が賛成53%で協約を受け入れた。
 労働者にとって大勝利となるこの協約により、来年3月から夜勤も廃止される。新協約によると、午後9時から午前8時までの夜勤に代えて、最後のシフトが午前1時10分までに終了する2交代制が導入される。
 夜勤とOECD諸国で最長の長時間労働が相まって、多くの労働者が筋骨格疾病や慢性疲労、睡眠障害、家族と過ごす時間の不足に悩まされている。
 韓国では推定100万人の労働者が夜間勤務に従事しており、現代は韓国系自動車会社として初めて深夜のシフトを廃止する。この決定は、同様の協約の締結を支持してKMWUが現在スト中の起亜自動車をはじめ、自動車産業全体の状況に影響を及ぼすと予想される。
 この賃金協約を達成したKMWUは、今度は同社に約1万3,000人の契約労働者を常用雇用させるために引き続き闘っていく。