広報ニュース

第31号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2014年11月~12月)

造船・船舶解撤世界会議で初の労働組合ネットワーク構築を議論

2014-11-10

インダストリオール造船・船舶解轍部会世界会議に出席した84名の参加者(長崎)

 インダストリオール・グローバルユニオン傘下の造船・船舶解撤労組は、2014~2016年の行動計画を採択し、部門初の労働組合ネットワーク創設に合意した。

 2014年11月10~11日に長崎でインダストリオール・グローバルユニオン造船・船舶解撤世界会議が開催された。基幹労連の主催で、19カ国・24組合から83人が参加した。オーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、パキスタン、ロシア、シンガポール、台湾、イギリス、アメリカの組合が、以下の議題をめぐり積極的に議論した。

 ●造船・船舶解撤産業の世界的概観

●組織化および不安定雇用との闘い

●将来の船舶解撤産業に向けた雇用と労働安全衛生の確保

●持続可能な産業政策の促進

●労働組合ネットワークの創出と連帯の強化

●将来の活動と行動計画

  会議のハイライトは以下のとおりである。

 世界造船業は2008年の経済危機後に回復し、2013年の新規注文は過去2番目の量に達した。しかしながら、この産業はまだ設備過剰に直面しており、さまざまなデータが将来の深刻な下落傾向を示している。造船業は現在、能力を維持して持続可能な産業を促進するために、オフショア船、環境に優しい製品、先端技術などの新しいビジネスチャンスを模索している。

  しかし船舶解撤産業は、今後25年間にわたって成長し続けるだろう。世界の船舶解撤の70%が集中し、不当な労働条件と不十分な環境保護を特徴とする南アジア(例えばインド、バングラデシュ、パキスタン)では、規則や基準の改善が早急に必要とされている。

  造船業では、過去10年間に不安定労働者が急増している。参加組合は、不安定労働者、特に下請労働者や外国人・移民労働者にどのように接触し、組織化された正規労働者と同じ団体交渉協約の枠内で基本的権利を保護していくかについて、具体的な方法を共有した。

  南アジアの船舶解撤場で働くほとんどの労働者は、適切な訓練も個人用保護具もなく、安全衛生面で非常に大きな脅威にさらされている(労働災害、油やアスベストなどの有毒物質、PCBなど)。毎年、何百人もの船舶解撤労働者が業務災害で命を落としている。参加組合は、船舶解撤労組を引き続き支援し、未組織労働者に接触して労働安全衛生を促進することを約束した。

 参加者は、すべての主要な造船・船舶解撤・海運国に、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准の促進を要求する決議を採択した。この条約が実施されれば、安全衛生や環境への不要な危険を避けるために役立つだろう。

  造船における持続可能な産業政策の促進は、雇用を維持するための基本戦略である。参加組合は、政府・使用者に持続可能な産業政策を要求することにより、オフショア船や環境に優しい製品などの高付加価値造船に移行することについて、見解や慣行を共有した。

  この会議では、グローバル・レベルで多国籍企業に対する組合の交渉力を高めるために、労働組合ネットワークにも焦点を合わせた。

  BAEシステムズの組合オルグは、この部門初となる労働組合ネットワークの立ち上げに合意した。インダストリオールは、多国籍企業や商業・海運部門、地域・国などの全レベルで、造船・船舶解撤部門のネットワークを増やしていく(2016年までに2つか3つ)。

 さらに、この会議ではインダストリオールの2016年までの目標と基本戦略に基づいて、2015~2016年の部門アクション・プランも採択した。

  韓国ロールスロイス・マリンで不当解雇された労働者と連帯する決議も採択し、解雇された労働者の即時復職を要求するとともに、経営陣が労働者との交渉の席に戻って公正かつ公平な結果を達成することを求めた。

 各産業部会の部会長は男女各1名が共同で務めるというインダストリオールの新方針に沿って、新しい共同部会長が選出された。基幹労連/JCMの工藤智司氏とシンガポールSMEEUのアイリーン・ヨー・チョー・ジェク氏である。インドSMEFIのV・V・ラネー氏も、船舶解撤労組を代表して副部会長に選出された。

 次のアクション・グループ会議は2015年秋にバングラデシュの船舶解撤場の近くで開催することも確認した。

  新たに選出された工藤智司共同部会長は、会議を締めくくって次のように述べた。

 「私たちの優先課題は、この部門で労働者の生活を守り、持続可能な雇用を促進することだ。確かに多くの課題が待ち受けているが、一緒に知恵を絞り、連帯行動を強化することによって、行動計画の達成に向けて前進しよう」

 会議参加者は11月12日、日本有数の造船所である三菱重工業長崎造船所を訪問して支部組合と会談、造船所の労使関係や組合活動について活発に討議した。

 

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