広報ニュース

第35号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2015年4月)

MENAの組合、自動車・自動車部品部門で協力関係を構築

2015-04-30

 

MENA地域自動車会合でネットワークと協力の構築を約束

ベイルートでMENA会議が開催され、自動車・自動車部品部門のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、4月21日の会合で協力関係を強化した。

 さまざまな主要自動車メーカー(ルノーやPSAなど)とサプライヤー(レオニなど)で労働者を代表するMENAの組合が、ドイツ、スペイン、フランスの同僚と労働条件や組合行動について議論した。

  MENA地域に特に焦点を絞った世界の自動車産業の状況に関するインダストリオールのプレゼンテーションが、この会合で議論の基礎となった。参加者は、この部門におけるインダストリオールの活動と、組合組織化努力の支援や組合の強化における企業別ネットワークの重要性について学んだ。

  ヨーロッパの組合代表が、自動車・自動車部品産業に重点を置いて、組合機構と組織化の努力について説明した。

  特にサプライチェーンにおいて、すでにドイツの組合IGメタルおよびルノー関連労組と接触している。PSAとの関係を深めるための討議も交わされた。

  参加者は、地域の自動車・自動車部品産業労組の課題に取り組み、関連企業でさまざまな組合の協力を改善するために、フォローアップ会合の開催を決定した。工場レベルの組合構築が計画された活動の焦点になる。この活動には能力強化、一層の組織化努力、さまざまなレベルのネットワーク構築が含まれる。

  「この初めてのMENA地域会合は、インダストリオールにとって非常に重要なスタートだ」とヘルムート・レンゼ自動車・ゴム部門担当部長は述べた。「MENAは自動車メーカーにとってますます重要性が高まっているので、組合員数の増加に向けて工場を組織化するために、すべての必要な取り組みを開始しなければならない」

 

 

 

MENAで組織化を推進しよう!

2015-04-30

 

「組織化によって組合の力を構築」に関するインダストリオールMENA会議(2015年4月20~23日、ベイルート)

インダストリオールは過去数年間、中東・北部アフリカ(MENA)地域で積極的に活動してきた。先ごろ、この地域のインダストリオール加盟組織が会合を開き、議論を深めて積極的な組織化構想を練り上げた。

 2015年4月20~23日にレバノンのベイルートで「組織化によって組合の力を構築」に関するインダストリオールMENA会議が開かれ、80人以上が参加した。アルジェリア、バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、パレスチナ、チュニジア、イエメンの代議員が出席し、フランス、ドイツ、スペインから欧州の加盟組織の代表も参加した。

  丸4日間に、さまざまな部門別・部門間会合、ネットワーク会合、女性会合が開かれた。すなわち、インダストリオール中東・北部アフリカ繊維・衣料・皮革部門労組地域ネットワーク会合、MENA石油・ガス労組地域ネットワーク会合、MENA地域自動車・サプライヤー部門労組会合、MENA地域会合、MENA地域女性ネットワーク会合である。

  MENAのいくつかの組合は、政治紛争やテロ、治安状況の悪化、一部の国々の武力紛争、団結権の保護に関する法律の欠如が原因で、新しい生産拠点の組織化や接触に苦労している。

  エジプトとイラクでは自由な独立組合が、自由に組織化する権利を承認する公正な労働法や労働組合法を求めて今なお闘っている。域内各地でISISが台頭しているため、労働者は日々の生活でますます苦労するようになり、無事に職場に行き着くこともままならない。場合によっては、ISISが生産拠点を管理していることもある。

  イラク政府は現在、合計70社を超える国有企業を、いわゆる独立採算制に切り替えている。つまり、会社が利益を上げなければ賃金を支払えない。これにより、数千人の労働者の給料が数カ月にわたって不払いとなっている。

  モロッコ政府は依然、市民の購買力と年金基金を改善し、労働組合権の侵害をやめるよう求める組合の要求に応じようとしていない。3つのナショナルセンター、モロッコ労働組合(UMT)、民主労働総連合(CDT)および民主労働連盟(FDT)は先ごろ、5月を全国抗議・糾弾月間とすることを発表した

 パレスチナでは、占領地や国境における労働者の苦難が、適正な労働条件の達成と組合員数の増加にあたって、相変わらず大きな問題となっている。

  石油収入への依存度が高いクウェートでは、政府の新しいプロジェクト「戦略的代替策」が、昔からの権利を直接脅かし、石油部門の労働者の給付を引き下げている。インダストリオール加盟組織の石油産業労連は、この部門で働く3万人の労働者を断固擁護している。

 リビアとイエメンからの参加者は、進行中の武力紛争が原因で労働者と労働者組織が極めて厳しい状況に直面していることを説明し、平和的解決を要求した。

 チュニジアの組合は同国の移行において重要な役割を果たしている。しかしながら、労働法改正、UGTTと政府・使用者組織による社会的対話の結果の実施、医療制度と教育制度の改善が、組合にとって当面の課題である。

  この会議では、さまざまな部門や国におけるインダストリオールの活動の進展や、より強力で自由な民主的組合の構築に関する将来展望を検討した。参加者は、国家レベル・部門レベルで組合組織率を高めるための戦略や協力の改善を目的に、各自の組合構造や組織化戦略に関する経験を共有した。

 女性と若者はMENA社会の重要かつ活発な構成要素である。地域のさまざまな組合の議題に沿って、より多くの女性と若者に権限を与えて組合に加入させる方法を詳細に討議した。各国の加盟組織とともに、女性・若者ネットワークの確立に関するインダストリオールの進展について集中的に議論した。

  この地域では石油・ガス、衣料、金属部門を中心にますます多くの多国籍企業が活動するようになっており、労働者がサプライチェーンにおける組織化や権利の擁護に苦労していることを考えて、組織化戦術の改善と多国籍企業に対する建設的な社会的対話の要求をめぐり、突っ込んだ討論が行われた。チュニジア、エジプト、ヨルダン、モロッコの成功例が強調された。

  ヨーロッパの組合は、多国籍企業の本国の組合およびサプライチェーンのMENA組合の間で、ネットワーク構築を推進して協力を深めるために、双方の労働者の利益を強調した。パネリストは、域内における主要欧州企業の活動に関する重要な事実や、ヨーロッパとMENAの組合間で進行中の相互協力を強調した。ドイツIGメタル、フランスFTM-CGT、スペインのCCOOデ・インダストリアとMCA-UGTの代表が、組合の存在感を強化するための協力・活動案を示した。今後数カ月間の組織化活動が計画された。

  ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、インダストリオールが、より強力な組合の構築と加盟組織の組織化構想の促進を支援していることを強調する。

「このような空前の参加と刺激的な議論は、加盟組織の専心と認識を反映している。そのような熱意を持ち、今後の課題に関して共通の理解に立つ組合は、自分たちの権利を擁護し、遅かれ早かれ組合員の要求を達成するだろう」

 参加者は本国で議論を深めることを決定するとともに、潜在的な組織化ターゲットを確認し、「 組織化を推進しよう!」とのスローガンを採用した。

 

ルノー従業員代表委員会が本格的にグローバル化

2015-04-29

 インダストリオール・グローバルユニオンは、ヨーロッパ域外の労働者代表によるルノー・グループ従業員代表委員会への参加を促進し、すべての従業員の地位を一本化する修正に署名した。

  この修正には、ヨーロッパの主要なルノー施設の組合代表、インダストリオール・グローバルユニオンおよびルノー経営陣が署名した。これはグローバル・レベルで社会的対話を強化し、グループ内部で労働者代表の役割を強化するために数年前に開始されたプロセスの一部である。

  協約はグループ従業員代表委員会の会合のさまざまな構成を定めている。世界従業員代表委員会は年1回開催し、グループの状況と戦略課題や将来の展望について、経営陣と交流することを目指す。40人の正委員で構成され、うち9人が欧州経済地域外部の出身者である。今年初めてインドが加わる。同社が2工場で6,000人超の労働者を雇用しているモロッコからは、2人の代表が参加する。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は言う。

 「世界従業員代表委員会の設置は、インダストリオール・グローバルユニオンの重要な優先課題の1つであり、アクション・プランの一部だ。この委員会はいくつかの自動車会社にすでに存在する。世界中で社会的対話を強化するために一歩先まで踏み込むというルノーの約束を歓迎する」

 この修正はILO第135号条約に沿って、委員会のメンバーが企業の労働者代表に提供される保護を受ける旨規定している。

  世界従業員代表委員会は、インダストリオールが2013年7月にルノー経営陣と締結したグローバル枠組み協定を監視・追跡するための機関でもあり、他のグローバル協定への道を開く。

 

 

ロシアの自動車労組がGFAめぐり討議

2015-04-29

 

グローバル枠組み協定(GFA)に関するワークショップ(2015年4月23-24日、モスクワ)

 2015年4月23~24日にモスクワ地域でロシア自動車産業の組合を対象に、ロシアで利用すべき手段としてのグローバル枠組み協定(GFA)に関するワークショップが開催された。

  このワークショップは、インダストリオール・グローバルユニオン、フリードリヒ・エーベルト財団(FES)、社会・労働権センター、ロシア独立労働組合連盟(FNPR)、ロシア労働同盟(KTR)が組織したものである。参加者数は36人で、アフトワズ、GAZ、フォード、フォルクスワーゲン、GM、ボッシュ、プジョーシトロエン三菱自動車ロシアなど、ロシアで活動する最大規模の自動車組立・自動車部品工場から、インダストリオール加盟組織(ロシア自動車・農業機械労組、ROSPROFMASH、ITUWAを含む)の代表が出席した。ドイツとフランスのフォード、ルノー、レオニAGの組合員が、GFAの利用に関する経験を共有した。

  参加者はグループに分かれて活動し、GFAの目的・原則・価値、GFAの効率的な利用のために整えるべき条件、ロシアにおけるGFAの今後をめぐり討議した。議論の結果、ロシア企業の労働者と組合の大多数がGFAを認識していないか、GFAの文言が一般的すぎるため、その利用方法を知らないことが明らかになった。ロシアではGFA実施の経験が不足しており、GFAに従うよう使用者に圧力を加える方法に関する知識もない。参加者のほとんどが、ロシアにとっては、労働者の権利を規定・保護する労働法や、これらの権利を適用する団体交渉協約があれば十分だとも述べた。

  モスクワのインダストリオール・グローバルユニオン地域代表バディム・ボリソフと、ボリス・クラフチェンコKTR会長が、フォルクスワーゲンやルノーといった多国籍企業のロシア支社で、紛争解決や組合活動の確立、使用者との社会的対話のために組合がうまくGFAを利用している例をいくつか挙げた。

  オレグ・ソコロフFNPR書記が、グローバル資本主義の要求に対する組合の対応を打ち出し、世界で最も優れた手段を研究する必要があると強調し、GFAはそのような手段の1つであると指摘した。

  このワークショップは、11月にモスクワで開催される組合と使用者団体、政府機関の政労使GFA会議に向けた活動の1つである。

 

IGメタルでは毎日が女性デー

2015-04-28

  「毎日が女性デー」は、「ベストを望むなら女性が必要」と並んで、4月21日にドイツのビリンゲンで閉会した第20回IGメタル女性会議のスローガンだった。約200人の女性が集まり、特に年内に開かれるIGメタル(ドイツ金属労組)大会の動議について討議した。

  この女性会議では重要な出来事がたくさんあった。その1つは、ドイツ社会民主党から2回にわたって連邦大統領選に立候補したゲジーネ・シュバンによる演説である。彼女は人間関係におけるパートナーシップの原則を主張したが、そのためには女性が経済的に自立する必要がある。しかし、経済的自立はミニ雇用では達成されない。シュバンはIGメタルを「明白な女性の組合」であると称賛した。

 この会議では、同一賃金、新しい産業構造、健康、労働時間モデル、ワーク・ライフ・バランス、女性のための割り当て、柔軟な労働時間、地方女性委員会に関するワークショップが開かれた。

  柔軟性(私たちが求めている種類のものである限り望ましい)、人口動態の変化、固定観念の排除など、その他の問題に関する動議もあった。

  1つの主要な関心事は活動の今後である。現在の技術動向が続けば、生産性が上昇して必要な労働者数が減る可能性がある。週30時間労働に向けて新しい労働時間イニシアティブを開始する必要がある。この労働時間短縮によってワーク・ライフ・バランスを実現しやすくなり、有給の仕事を男女間でよりよく分けられるようになる。時短はジェンダー解放に向けた大きな一歩になる。

  仕事の世界の傾向を考えれば、生産でも事務でも雇用喪失が増えると予想されるため、女性は雇用において損失を被ることになる。現在女性労働者数が少ない高技能分野で雇用が創出されそうである。今後、資格認定とキャリア開発が極めて重要になるだろう。だから、労働者、特に女性の生活を保証するために措置を講じることが不可欠である。

  もう1つのハイライトは、シー・ボスという組織のマリオン・クナスが「ゲームズ・ウィズ・パワー」をプレーし、男性が権限を得るためにできることなら何でも、女性はもっとうまくやれることを示したことだ。

  IGメタルは変化しており、男性中心の組合から脱却しようとしている。女性が指導的地位に就くよう奨励しなければならない。女性は、男性を味方に引き入れ、男性と協力して職場や社会の現状を変えていくための戦略を策定しなければならない。

 

イギリスでクラウン・キャンペーンが継続

2015-04-16

カーニバル年次株主総会での行動(ロンドン)

 さまざまな国々のクラウン・パッケージング工場で重大な労働問題に取り組んでいる長年のキャンペーンの一環として、ユナイトと全米鉄鋼労組(USW)加盟組合は今週、サウサンプトンとロンドンでカーニバル・クルーズ社に対する抗議行動を組織した。

  4月15日の抗議のターゲットは、クラウン・ホールディングス取締役であるカーニバルCEOのアーノルド・ドナルドである。

  カーニバルの本社があるサウサンプトンと、同社の株主総会が開かれていたロンドンで行動が実施された。

  2013年、USWを通じてインダストリオール・グローバルユニオンに加盟しているトロントのクラウン・パッケージ製

サウサンプトンのカーニバル本社での行動

造施設の労働者は、労働条件と給付をめぐってスト実施を余儀なくされた。

  スト中のカナダUSWのクラウン労働者と英国ユナイトの組合員は救命胴衣を着て、サウサンプトン事務所の外で、「アーノルド・ドナルドはなぜ労働者を見捨てようとしているのか?」と書かれた巨大な横断幕を掲げた。

  デモ参加者は、ロンドンのカーニバル年次株主総会に向かう株主約200人に、ストに関する情報を記載したリーフレットも配布した。

 ドナルドは、トロントのストに関してクラウンの立場を変えるうえで自分は何の役割を果たすこともできないと主張し、年次株主総会で多くの厳しい質問をぶつけられた。

 ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はカーニバル年次株主総会でドナルドに話しかけ、賃金・給付の大幅削減を求めるクラウンの要求は、同社の組合つぶしの画策と並んで、カーニバル自身の事業計画を損なっていると指摘した。

 「カーニバルは、労働協約に定める十分な賃金、年金、有給休暇に依存している」とウズカンは述べ、クラウンがトルコ、コロンビア、モロッコ、ガーナでも組合つぶしに関与している実例を挙げた。

 

 

インダストリオール代議員、ラテンアメリカ・カリブ海の行動と戦略に合意

2015-04-14

 4月9日にメキシコで第2回インダストリオール・グローバルユニオン・ラテンアメリカ・カリブ海地域会議が開催され、14カ国から80人を超える代議員が参加した。参加者は、目標の達成に向けて今後数カ月間の一連の行動と戦略に合意した。

  4月8~9日にメキシコシティーで全国鉱山労組が主催した会議において議論の焦点となったのは、地域の国々の政治・経済情勢、インダストリオール・グローバルユニオンの地域行動計画の実施、2016年の次期インダストリオール世界大会に向けた準備である。

 代議員はインダストリオール地域行動計画に関して、環境要因と気候変動を考慮しながら、労働権の擁護、グローバル資本への対抗、不安定雇用との闘い(http://www.industriall-union.org/workers-mobilize-to-put-a-stop-to-precarious-work)、持続可能な産業関連雇用の促進に取り組むうえでの労働組合の力の重要性を討議した。

 地域会議の前日には、女性・若年労働者会合の代議員が、経験を共有して行動を計画した(http://www.industriall-union.org/women-show-the-way-in-mexico)。これらの会合は代議員に、地域・世界レベルで女性・若年労働者の参画を奨励し促進する案を練り上げる機会を提供した。

  メキシコが開催地に選ばれたのは、結社の自由と団体交渉権が存在しないこの国において、独立組合との連帯を示すためである。

  代議員はメキシコ政府に対し、ナポレオン・ゴメス・ウルティアの帰国の権利を保障するよう要求した(http://www.industriall-union.org/mexican-appeals-court-cancels-last-charges-against-napoleon-gomez)。この鉱山労組書記長は、亡命先のカナダからスカイプを利用して会議で発言した。代議員は、ナポレオン・ゴメス・ウルティアが帰国して本人自ら同労組を主導できるようになるまで、闘いをやめないことを確認した。

 またメキシコ政府に対し、係争中の労働組合争議を終わらせ、労働者が使用者と政府の思うままになっている有害な慣行に対して措置を講じることも要求した(http://www.industriall-union.org/ctm-goons-viciously-assault-mexican-miners-organizer)。保護協約の利用についても討議した。この協約によって、腐敗した労働組合とその指導者が公認され、企業は選挙を利用して団体交渉を妨げている。

 代議員は、バハ・カリフォルニア州サンキンチン地域における日雇い労働者の闘いとの連帯を表明した。アヨツィナパから参加した同僚が感情に訴えるスピーチを行い、この町の教員養成所で発生した学生の強制的失踪事件に触れ、学生および家族との連帯を表明した。そのほかに、コロンビアにおける反組合的な解雇と迫害の拒否に関する決議も採択された。

 

モロッコでインダストリオール加盟組織が引き続き拡大傾向

2015-04-03

 

UMT大会――書記長の演説

 2015年3月20~21日にカサブランカでモロッコ最大のナショナルセンター、モロッコ労働組合(UMT)の第11回定期全国大会と創立60周年記念式典が行われた際、インダストリオール・グローバルユニオンは、同国の現加盟組合7団体ならびに加盟する可能性のある組合数団体との積極的な活動を強化した。

  代議員2,000人、地方・地域組合60団体、部門別連合22団体、青年・女性組織数団体、全国組合36団体が参加したUMT大会は、「闘争継続に向けた活性化と団結――自由と民主主義、社会的公正に基づく社会を求めて」をモットーに開催された。

 この大会には政界の要人や国際代表も招かれ、モロッコの労働者の日常生活と将来に影響を及ぼす国際問題や戦略問題をめぐり集中的に討議した。代議員は、労働者の社会権や利益に悪影響を与える重大な経済的・政治的変化を特徴とする地域・国家・国際環境の重要性を強調し、労働組合運動に対し、新しい戦略に従うことを要求した。

  ここ2、3年、アラブ諸国では反乱が起こっているが、モロッコは比較的安定を保っており、特にインダストリオール関連部門で外国投資を呼び込み続けている。ルノーなど特に有名な自動車会社数社が事業拠点を構え、製造業の重要な基盤となっている。タンジェ近郊の町メルーサにあるルノーの大工場は、ダキア・ブランドとルノー・ブランドで低価格車を製造している。同様に、同じくフランス系の大手自動車会社PSAプジョーシトロエンも、この地域で地歩を固めるためにモロッコにエンジニアリング・センターを開設している。

  もう1つの重要な好況部門は航空宇宙で、すでにボーイングやサフラン、エアバス、ボンバルディア、ユナイテッド・テクノロジーズといった主要多国籍企業の注目を集めている。提供された情報によると、この部門の現在の直接雇用水準は2020年までに倍増するとみられている。この国にはデルファイ、レオニ、デル、GDFスエズ、トータルなど、そのほかにも多くの多国籍企業が進出している。

  経済自由化後、過去10年間に多国籍企業が進出し、起業家が利益を得ている一方で、モロッコの組合は、低賃金、労働条件の悪化、基本的な労働組合権の甚だしい軽視に対抗して力を合わせ闘い続けている。先ごろ3つのナショナルセンター、モロッコ労働組合(UMT)、民主労働総連合(CDT)および民主労働連盟(FDT)は、労働者の権利・利益の擁護と促進を求めて政府に圧力を加えるために協力して取り組んだ。

 2014年の終わりまで、インダストリオールにはUMT傘下組織2団体とCDT傘下組織1団体が加盟していた。インダストリオール執行委員会は、2014年12月の会合でさらに3つのCDT傘下組織を受け入れた。モロッコのインダストリオール加盟組織は、国際レベルで行動を調整するために、すでに国別協議会を結成している。女性・青年グループの活発なネットワークが、部門別組織でこの特別なグループの比重を高めるために具体的な形で協力している。

  インダストリオールは、すべての現加盟組織および加盟する可能性のある組織と個別に、あるいは全国加盟組織協議会を通して話し合いの場を持った。ルノーやプジョー、レオニ、トータルといった重要な多国籍企業を組織化している加盟候補組合がインダストリオールへの加盟手続きを終えようとしているため、インダストリオール・グローバルユニオンの組合員数は近々増加する見通しである。全国加盟組織協議会は、組合組織化、不安定雇用および産業政策への積極的取り組みに関して共通の要求を打ち出した。インダストリオールは自動車・航空宇宙産業でも特定の活動を実施する予定である。

 モロッコのこうした状況について、ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は、「モロッコの組合は、組合協力と国際連帯に関して大きな可能性を秘めている」「すべての討議でそのような行動主義、好戦性、闘争心が見られることは、実に末頼もしく勇気を与えてくれる。モロッコの組合への女性と若者の関与と統合は、他の組合にとって模範になると思う」と述べた。

 

 

トルコで続く金属産業のスト禁止

2015-04-02

 金属産業におけるストを禁止する内閣命令に続く60日間の延期期間が終了したが、トルコでは依然、基本的スト権の実現にはほど遠い状況にある。

  インダストリオール加盟組織ビルレシク・メタル・イスが、さまざまな都市で一連の企業を対象に開始した合法的なストは今、強制手続きを求めて高等仲裁委員会に付託せざるを得ない状況にある。というのもトルコの法律は、同労組が延期期間終了後にストを行うことを認めていないからだ。

  トルコの労働組合および労働協約に関する法律(第6356号)によると、「閣僚会議は、要求または開始された合法的なストライキが公衆衛生または国家安全保障を損なう場合、命令によって60日間にわたり当該ストまたはロックアウトを停止することができる」。トルコの内閣命令は1月30日に官報で発表されたため、60日間の期間は3月31日で終了する。

  その一方でビルレシク・メタル・イスは、政府による禁止決定に対応して各種の「争議行為」を次々に実施した。この禁止は、金属産業使用者団体の強力なロビー活動と圧力を受けて下されたものである。いわゆる延期期間中に、争議の解決を目指して努力するために仲裁人が指名されたが、組合員の基本的権利が明確に侵害されたため、ビルレシク・メタル・イスは、このプロセスには意味がないとみなした。

  ビルレシク・メタル・イスは、2015年2月2日、国家評議会に政令の破棄を申請した。組合の当面の要求の1つは、命令の執行を停止してストを続行できるようにすることだった。国家評議会は政府に対し、スト延期の理由に関する論拠を送付するよう求めた。政府は長文の回答の中で、このストを兵器の製造と関連づけて禁止決定の理由を示そうとし、的はずれの議論を展開した。インダストリオール・グローバルユニオンはビルレシク・メタル・イスとともに、このナンセンスで空虚な政府の主張を批判している。

 しかし、喫緊の問題であるにもかかわらず、国家評議会は今までのところ禁止措置の執行停止に関して決定を下していない。国家評議会が決定を下さないまま停止期間が経過したが、法律には「停止期間の有効期限前に合意に達しない場合は、6労働日以内に一方当事者から申請があれば、高等調停委員会が争議を解決する。申請がなかった場合、労働組合の権限は無効になるものとする」という規定がある。つまり、ビルレシク・メタル・イスは高等仲裁委員会に申請しなければ、団体交渉の認証を失うということである。

 この強制仲裁プロセスを実施する権限を持つ高等仲裁委員会の構成は、閣僚会議が選出するメンバー1人、労働社会保障省労働局長の高等教育評議会が選出するメンバー1人、組合員数が最も多い労働者総連合が選出するメンバー2人、そして使用者を代表して、会員企業数が最も多い使用者総連合が選出するメンバー2人である。仲裁委員会の議長は、最高裁判所の部長のうち最上位の者が務める。この委員会のこれまでの活動を見る限り、労働者に有利な裁定が下されないことは明らかである。

  「時の経過とともに、このスト禁止に関連する侵害の範囲が広がっている」とケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は言う。「理論上、スト権はトルコが批准済みの国際条約、トルコの憲法および関連法によって保障されている。これに加えて、ストは司法制度でも保護されている。政府のスト禁止決定と同様に、国家評議会の行動も容認できない。延期期間中に命令の執行停止に関する決定が下されなかったことは、トルコの司法制度がこの国で基本的権利を保護するために機能していないという明らかな兆候だ。基本的権利の侵害だけでなく、公正な裁判を受ける権利も踏みにじられている。トルコにとって恥ずべき状況だ」

  国家評議会が決断しないために、ビルレシク・メタル・イスは高等仲裁委員会に申請せざるを得ないが、一般組合員の決意と行動力のおかげで、同労組指導部はスト実施を決定した企業の大多数と何とか合意に達した。同労組は間もなく、この情報を細大漏らさず公表する。

  インダストリオール・グローバルユニオンは、この闘いでビルレシク・メタル・イスへの支援を続けている。基本的権利侵害をめぐるILO提訴に加えて、インダストリオールは、ビルレシク・メタル・イスが国内の司法手続きをすべて利用し尽くしたあと、欧州人権裁判所に問題を付託するうえで援助する予定である。

 

 

インドネシアの組合、インダストリオールの目標に向かって団結を強化

2015-04-01

 

2014年にジャカルタに結集したインダストリオール加盟組織

2回のインダストリオール・ワークショップを通して、インドネシアで生活賃金と持続可能な産業政策を求める闘いが進展した。

  インドネシアの産業では、熟練労働者がハイテク生産に従事している一方で、ローテクの原料抽出も行われている。輸入材料に依存して生産しながら、原料を輸出しているわけである。

 このワークショップでインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、インドネシアが包括的な工業開発政策の一環として、加工や輸送などの接続産業を開発することの必要性を確認した。腐敗は依然インドネシアで取り組む必要がある非常に大きな問題で、インフラ改良用の資源をむしばんでいる。

 インドネシア政府はMP3EIと呼ばれる2011~2025年の国家開発計画を立案しているが、組合は意見を聞かれず、その内容をほとんど知らない。この計画はジャワを産業中心地に指定し、他の地域は天然資源に重点を置いている。

  加盟組織は、この計画は製造業をジャワに過度に集中させており、他の地域への投資を犠牲にしているのではないかと疑問を呈した。すべての地域で雇用増加と生活水準向上を推進するには、産業とインフラをもっと平等に配分する必要がある。この計画は、非再生可能エネルギーに基づいており、代替エネルギーや省エネ技術の奨励策を盛り込んでおらず、業界による環境責任の遵守も促進していない。

  加盟組織は、他の組合や市民社会と連携して活動する必要があると結論づけ、組合員のみならず幅広いインドネシアの労働組合運動の間で、持続可能な産業政策とMP3EI計画に対する認識を高めることを約束した。持続可能な産業政策に関する決議を連合団体や総連合の大会にかける予定である。この会合で専門フェイスブック・グループが設置され、すでに多くの投稿が行われている。

  この問題を先導するインダストリオール・インドネシア協議会の次の会合で、引き続き計画立案作業を行う。

 生活賃金

 「インドネシアの最低賃金は地域レベルで設定されている。組合は何とか最低賃金の大幅増額を勝ち取ったが、まだ労働者の基本的ニーズをカバーする水準ではない。不平等が拡大しており、賃金水準の地域格差が大きい。インドネシアのある地域は、東南アジアでラオスに続いて2番目に最低賃金が低い。政府は現在、最低賃金を5年に1回だけ引き上げ、その間に生活費を増額しないことを提案している」

  加盟組織は、政府が最低賃金の設定にあたって、企業利潤が賃上げよりも大きく伸びている事実を考慮していないことを問題にした。グローバル・サプライチェーンで生み出された価値のうち、インドネシア国内に留保される割合を増やし、より公正に企業利益を分配できるようにするために、どのように部門別交渉を利用すればよいかをめぐって討議した。

  インドネシアでは部門別交渉がいくつか行われているが、対象範囲が狭く、交渉相手の使用者は業界を代表しているわけではない。産業別アプローチを採用すれば、地域間の賃金格差をなくし、同じ企業の労働者が勤務地にかかわらず同じ賃金を受け取れるよう確保するうえで役立つだろう。

  組合は、現在の最低賃金決定メカニズムは労使に発言権があるので価値はあるが、改善の必要があることに合意した。構成メンバーの質と量を改善する必要があり、最低賃金を下回る賃金しか支払わない企業に対する制裁に基づき、適正に実施すべきである。賃上げ後に物価を抑えるために政府の措置も必要である。5年に1回しか賃上げしないという政府案を拒絶しなければならない。

 ワークショップは最後に、共同行動の促進と、賃金要求に関する組合間の連携改善について合意した。その中で、特に全国部門別賃金協約を目指して前進すべきであることを強調した。