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第49回定期大会 - JC議長挨拶

2010年09月07日

中長期的展望を持って
改革の第一歩を踏み出す

金属労協議長 西原浩一郎

金属労協・IMF-JC第49回定期大会にご参集の皆さん。大変ご苦労様です。また本日は、ご来賓として連合より南雲事務局長、海外来賓としてIMF本部からユルキ・ライナ書記長、鎌田書記次長、加えて関係の深い14カ国・地域27名の海外労働組合の代表の皆さんにご臨席いただいております。全員の拍手で感謝と歓迎の意を表したいと思います。

ご来賓の皆様には、後ほど代表の方々よりご挨拶いただきますが、ライナ書記長には、海外来賓を代表してのご挨拶と併せ、大会としては初めての試みとなりますが、IMF特別報告として昨年のIMF世界大会で決定したアクション・プログラムの最重点課題であり、金属労協の積極的な対応が期待されている多国籍企業ネットワークの構築に関する提起を、お願いしています。

IMF本部への派遣者の交代

なお、ご来賓との関係では、金属労協からIMF本部への派遣者の交代について、冒頭、報告しておきたいと思います。

すなわち鎌田書記次長におかれては、本年7月に62歳のIMFの定年年齢に達したことから、業務引継ぎを経て本年末をもって退職されることとなりました。鎌田さんは1972年にJCに入職され、1975年5月にIMF本部に派遣、以来35年間、スイス・ジュネーブのIMF本部役職員として国際労働運動の最前線で諸活動に従事してこられました。鎌田さんは1995年のシニア・エグゼクティブ・オフィサーを経て、2005年には書記次長に就任されましたが、今日に至るまで、公正で誠実な仕事の積み重ねと的確な判断力・バランス感覚により、各国労組役員の信頼を醸成しながら、一貫してIMFの強化・発展に尽くしてこられました。本年12月のJC協議委員会において、あらためて金属労協の敬意と感謝の念を、お伝えしたいと思いますが、本大会においても、金属労協を代表して現地に帯同されたご家族のご苦労も含め、心からの感謝の意を表したいと思います。

なお金属労協は、その役割と責任を踏まえ、IMF本部への引き続きの派遣を決定し、常任幹事会での確認を経て、本部職員である松崎寛さんを派遣することとしました。松崎さんは英語・インドネシア語に堪能であり、何よりも政策面で地球環境問題をはじめ幅広い分野で経験を積み重ねており、国際会議での対応力や海外労使紛争における公正な判断力などの実績から、将来にわたりIMF本部で、中核的な役割を果たしうる人材であると確信しております。すでにご家族とともに、8月1日より現地に赴任しておりますが、ぜひ各産別からのサポートをお願いします。

益々高まる国際連帯活動の重要性

さて進展するグローバル経済化の中で、各国労働者の良質な雇用、ディーセントワークの促進や中核的労働基準をはじめとする労働者の諸権利の擁護、あるいは貧困問題・地球環境問題、倫理無き金融資本のもたらす生活破壊等のグローバルな課題への対応に向け、平和と社会的公正を希求し行動する労働組合のグローバルレベルでの活動推進、すなわち国際連帯活動の重要性が益々高まっています。

特に、昨年の大会でも申し上げましたが、グローバル経済化がもたらした負の側面、すなわち経済効率の高さをあらゆる価値の上位に置き、あらゆる問題を自由で競争的な市場に一方的に委ねることで解決しようとする「市場競争至上主義」「市場原理主義」の行きすぎた弊害を排除し、世界が公正・安定と効率を調和させる社会・経済体制を構築するための英知と力が、IMFには求められていると認識します。このような認識をもって、我われ金属労協・IMF-JCは、その組織的性格からも、第一義的に国際労働運動の分野において、今日的な課題を踏まえ、より積極的に役割と責任を果たしていかなければなりません。したがって、まずは国際労働運動の分野での当面のIMFの活動に関して、何点か所見を述べたいと思います。

3GUFの統合問題

1点は、IMF・国際金属労連とICEM・国際化学エネルギー鉱山一般労連、およびITGLWF・国際繊維被服皮革労働組合同盟の3つのGUF、すなわち国際産業別組織の統合問題についてです。これは3つの製造GUFの組織統合によりグローバルレベルでの活動と影響力を強化し、併せて効率的な組織運営を目指すというものです。

本件は、これまでIMF執行委員会を中心に検討が進められてきましたが、金属労協は、執行委員会等の場を通して、はじめに統合ありきではなく、透明性ある公正な検討を通して、メリット・デメリットを冷静に分析し、金属セクターはもとより、参加する労働組合組織全体が労働者のための真に効果的な活動を推進しうる組織の確立につながるか否かを見極める必要があると主張してまいりました。

そして本年6月のIMF執行委員会では、持続可能な財政・加盟費水準、部門運営や地域機構をはじめとする組織運営体制のあり方等の具体的な課題を提起するとともに、3組織での徹底的な検討を進めるべきであり、その集約をもってIMFとしての最終的な統合への意思を決定すべきとの意見を表明いたしました。執行委員会では検討のための3組織によるタスクフォースが設置されることとなり、私もメンバーに選任されました。なお当然のことながら、本件は今後の金属労協の体制や活動のあり方にも影響を与える可能性が高く、金属労協各産別との論議・検討を基本に据えて、ICEMおよびITGLWFの日本の加盟組織、特にUIゼンセン同盟、電力・化学等の各産業別組織とも連携して、併せてアジア・大洋州の各国労組の立場も踏まえ、このタスクフォースに臨んでまいります。

多国籍企業における労働組合ネットワークの構築

2点目としてアクションプラムの最重点課題である「多国籍企業における労働組合ネットワークの構築」に関しては、後ほどユルキ書記長から、趣旨・目的・内容等について話していただきますので詳しくは触れませんが、金属労協は検討のためのIMF作業部会に野木次長を派遣し、特に欧州従業員代表委員会や世界従業員代表委員会等により、既にネットワークを構築している欧州系企業労組の進め方をなぞる形での画一的・一律的な枠組みを基準にすれば、日系多国籍企業では、その目的達成は困難であること、すなわち日系企業において実質的にIMFの目的に沿ったネットワークを構築するためには、日本の労使慣行等を尊重した柔軟な対応を前提とすべき旨の主張を展開してまいりました。この主張はIMF全体で受け入れられたものと判断しており、我われの多くの提言・意見も反映されたガイドラインが本年12月の執行委員会で確認される予定となっています。今後、計画的、かつ着実なアクションにつなげていきたいと考えておりますので、関係する労組の積極的な対応を要請いたします。

日系企業の労使紛争への対応

3点目は、日系企業の労使紛争への対応です。金属労協の関係する企業においてアジアを中心に労使紛争が頻発しています。その背景・理由は多様ですが、紛争が発生した際には、早期に公正な解決が図られるべきであり、併せて不毛な紛争を極力、未然に防止し、労働者の雇用と生活を守るための事業運営の持続可能性を高めるためにも現地における健全な労使関係の構築が重要であると考えます。金属労協は、これまで進出国での健全な労使関係の構築を目指し、特にこの2年間、日本の親企業労使を対象に、「労使紛争未然防止セミナー」を定期的に開催してきましたが、本年6月には、インドネシアにおいて初めて現地日系企業労使を対象に、インドネシア金属労組・FSPMIおよびインドネシア繁栄労連・ロメニックSBSI参加のもと「健全な労使関係構築セミナー」を開催いたしました。

金属労協として引き続き、労使紛争が発生した場合には、当該親企業労組、現地労組およびIMF本部と連携し、迅速かつ公正な解決に向け、その役割を果たすとともに、進出国における健全かつ建設的な労使関係の確立に向け活動を進めてまいります。

国内活動に関する所見

次に国内の活動との関係で、何点かにわたり所見を述べたいと思います。

7月参議院選挙の結果と政治情勢

はじめに7月の参議院選挙において、金属労協は組織内候補として比例代表3名、選挙区1名の必勝を期した取り組みを中心に、昨年の衆議院選挙で政権交代を果たした民主党の政権基盤をより確かなものとすべく、全国で懸命な支援の取り組みを進めてまいりました。結果として金属労協組織内議員候補者全員の当選を勝ち取ることができたことにつきましては、各産別・労組の奮闘に、心から敬意を表し感謝申し上げます。

しかしながら選挙結果全体では民主党は大敗を喫し、参議院における与党過半数割れとなりました。このことは鳩山前政権の「政治と金」を巡る問題や米軍普天間基地移設問題を象徴とする政権運営の迷走が背景として影を落とす中、菅総理の消費税発言が国民に唐突感をもって受けとめられるなど、民主党政権に対する国民の批判が高まったことがその主要因と考えざるを得ません。

一方で日本全体が閉塞感に包まれ、重大な課題が山積する中、政治の大きな転換を期待した国民が成し遂げた昨年の政権交代ではありましたが、以降の民主党の政権運営は、現段階において、長きにわたった自民党政権時代の、幾重にも積み重なった負の遺産を引き継ぎながらの、そして目指す姿と現実のハザマの中での懸命な試行錯誤の過程にあり、改革は緒に就いたところです。加えて参議院選挙での比例代表および選挙区それぞれの民主党の総得票数は自民党を上回っており、国民の民主党への期待が、絶望に変わったわけでもありません。今回の選挙結果により、民主党政権は、「ねじれ国会」の中で、困難な政権運営を余儀なくされることとなりますが、国会での透明で真摯な与野党協議を通して政策上の実績を積み重ね、国民の信頼を高めていってもらいたいと思います。折から民主党は代表選の最中にありますが、代表選を終えた後は、責任ある政権与党として、一致結束して真に国民のための政治を進めてもらいたいと思いますし、われわれも民主党政権への支援と連携を強化していきたいと考えます。

直近の経済情と雇用への対応

なお日本が目指すべきは、良質な雇用の創出・拡大と、信頼・安心の社会的セーフティーネットの確立を基盤とする内外需バランスのとれた自律的・持続的な経済成長だと考えますが、直近の経済状況には金属労協の立場から重大な危機感を表明せざるを得ません。リーマンショックにより、極めて深刻な打撃を受けた金属産業は、非正規社員の雇い止めや希望退職募集、事業所閉鎖等々の雇用と生活に関わる苦渋の決断も含め産業・企業再生に向けた職場の献身的かつ懸命な努力により、加えて新興国需要の取り込みとエコカー補助金・エコポイント等の政策効果等によって一時期の危機的状況を脱しつつあるものの、直近の日本経済は引き続きデフレ下にあって鈍化傾向を強めており、また失業率が高止まりするなど雇用情勢も、依然、厳しい状況にあります。特に企業の採用意欲は高まらず、新卒者の就職状況も深刻化するなど、若年層の雇用環境は益々劣化しています。一方、我われ輸出型産業に大きな影響を与える海外市場は、金融引き締めに動きだした中国経済の先行きが懸念されますし、雇用・住宅等の指標を見る限り米国の景気減速・デフレ懸念は、確かに憂慮すべき状況にあります。加えてギリシア危機を契機とする欧州での財政・金融問題の深刻化による景気下ぶれ懸念も高まっています。

円高是正に向けた対応について

すなわち、ここにきて一気に日本経済の先行き不透明感が高まっています。

特にドル・ユーロ等主要通貨に対する現状の円高水準は、金属産業をはじめとして日本経済を支える輸出型産業に極めて甚大な悪影響を与えつつあります。8月末には政府から追加経済対策の基本方針、日銀からも金融緩和策が相次いで打ち出されました。しかしながら今回の日銀の金融緩和策は不十分であり、金属労協として、政府・日銀には、引き続き危機感を共有し、景気・為替動向を踏まえ、円高阻止に向け、追加金融緩和はもとより、為替介入にも断固、踏み切ってもらいたいと考えます。特に体質の弱い中小・地場ものづくり企業への円高の影響は深刻であり、雇用確保の観点および、この先の金属産業の国内空洞化阻止の観点からも円高是正に向けた、あらゆる対応を求めます。

なお金属労協は「ものづくりを中核に据えた国づくり」を掲げていますが、政府の新成長戦略の中でも「金属・ものづくり産業」には重要な役割が期待されています。したがって、産業・企業の国内事業基盤を揺るがし、国内空洞化を招くような事態に対しては、引き続き全力でその排除に取り組みます。なお「金属・ものづくり産業」の国内事業基盤を維持・強化する観点からは、海外企業との公正な競争条件を確保するための法人税の引き下げも求めます。当然、働く者の立場からは所得再分配機能の強化・不公平税制の是正の観点からの資産・消費・所得のバランスの取れた税制抜本改革が機軸ですが、法人税についても、踏み込んで判断すべき状況にあると考えます。

働く者に最大の焦点をあてた経営を求める

いろいろ申し上げましたが、「金属・ものづくり産業」は、日本の基幹産業として日本の国際競争力の源泉であると同時に、将来にわたり雇用吸収力に優れた地域経済をも支える裾野の広い産業です。高い技術開発力、高生産性・高品質・イノベーション、素材から製品にいたるサプライチェーン全体でのものづくりの力の集積を我われは守っていかなければなりませんし、今申し上げた全ての基盤は、人材、すなわち働く者そのものにあります。したがって金属労協は、「働く者」に最大の焦点をあてた経営を求めます。金属労協として引き続き雇用確保を大前提に、公正な人への投資を第一義として、前向きな働き方を阻害する問題・課題を排除するための取り組みを強化していかなければなりません。

2010年闘争の総括とJC共闘

このような観点から、2010年闘争・JC共闘に触れたいと思います。

今回の交渉では、デフレが宣言され低迷が続く日本経済、そして産業・企業毎の回復度合いに大きなばらつきがある中で、金属労協として雇用の維持・創出を最重視し、賃金水準・家計収入の落ち込みに歯止めをかけ、生活の安定と内需の底支えを図るとの闘争方針に基づき懸命な交渉を展開してまいりました。

その結果、賃金については全体として概ね至上命題であった賃金構造維持分を確保し、一部の組合では賃金改善分を確保するなど、賃金水準の低下を阻止することができました。この結果は、組合員のモチベーションと活力の維持につながるものであり、集中回答日を中心とするJCの回答引き出し結果は、後続の中堅・中小および連合全体の賃金水準維持の底支えになったものと考えます。したがって金属労協として、連合全体の取り組みへの寄与も含め一定の社会的責任を果たしえたものと考えます。また賃金の関係では、非正規労働者の労働条件向上にもつなげる観点からも企業内最低賃金協定の締結と引き上げに取り組み一定の成果を上げることができました。金属労協として、さらにこの成果を法定産業別最低賃金水準の改善につなげていかなければなりません。

なお連合の2010年闘争の関係では金属労協各産別は、連合が初めて取り組んだ代表銘柄の賃金実態および賃金構造維持原資の公表等の取り組みに対して、絶対額重視による産業毎の賃金格差是正と社会横断的な賃率形成を促進する観点から、精度の高い情報開示を行うなど積極的に対応してまいりました。この取り組みは、連合として強化すべき取り組みであると考えます。併せて年間一時金、ワークライフバランス・労災付加補償・非正規労働者への取り組み・60歳以降の就労確保等、幅広い項目にわたり懸命な交渉を展開し困難な交渉環境の中で、成果を引き出した各産別・労組の頑張りに敬意を表します。

なお2011年闘争については、これから検討を開始するところですが、不透明な経済・産業・企業状況の先行きを慎重に見極めながら、デフレスパイラル阻止の観点からの懸命に働く者への公正な配分のあり方の検討を進めてまいります。なお交渉態勢として、できるだけ連合の部門共闘が、より見える形での機能・役割の強化につながるよう金属労協全体として努力していきたいと考えます。

金属労働運動の強化と組織運営のあり方

最後に、金属労協は昨年の大会での議長答弁を踏まえ、金属労働運動の強化と組織運営のあり方について、中長期的展望を持って改革の第一歩を踏み出してまいります。

すなわちグローバル経済化の進展、とりわけ新興国の台頭と日本の「金属・ものづくり産業」の国際競争力弱体化懸念の中での国内事業基盤の維持・強化、日系企業の海外生産拠点における労使紛争の増加、世界金融危機と以降の世界経済の動揺、さらには我われの支援する民主党政権の樹立、昨年20周年を迎えた連合運動の強化等々の状況を踏まえ、現実を直視し、変化の方向性を見据えながら、全ての活動分野で、そのあり方を精査し、9月以降、見える形での改革に取り組んでまいります。大きな論点は2点です。

1点は、「役割分担の明確化と運動の効率化」です。連合・金属労協・産別組織の運動・具体的活動の重複を解消し、大産別としての金属労協の役割を、あらためて明確化し、組合員と社会のための労働運動全体としての活動の強化につなげてまいります。最優先は連合強化、特に連合金属部門強化であり、この観点からJCの役割と責任を再定義し、併せて徹底した効率化で財政上の負担軽減を図ります。いずれにしても金属労協として、産別・労組からの期待に応え貢献しうる分野、強化すべき活動への集中化を図ります。

2点目は、「グローバル化に対応する運動の構築の必要性」であり、国内的には激烈な国際競争の下で働く者の立場から、国内事業基盤を維持・強化するための政策・制度および、その源泉たる人への公正な配分を求める取り組みの強化と、冒頭申しあげたIMFを機軸とする国際連帯活動の強化です。 スピード感をもって、できるだけ迅速に改革を進めて参りますので、ぜひ各産別の前向きな対応をお願いします。

退任役員の方々に感謝

最後に本大会をもって、これまで金属労協の活動を中心的に担っていただいた三役・事務局次長・常任幹事・会計監査8名の方々が退任されることとなります。後ほど退任される皆さんお一人おひとりからもご挨拶をいただきますが、特にリーマンショック以降の歴史的な困難と苦境の時期を、ともに乗り越えてきた退任役員の皆さんの、ご尽力とご奮闘に対し、議長として万感の思いを込めて敬意を表し、心からの感謝の意を捧げ、大会冒頭の挨拶といたします。ご清聴ありがとうございました。

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