新着情報(機関会議報告-定期大会)

第53回定期大会(2014年9月2日午前10時~午後3時30分)

2014年09月09日

2015-16年度運動方針を決定

相原新議長・浅沼新事務局長を軸に新役員を選出
終了後に結成50周年記念講演・記念レセプションを開催

金属労協(JCM)は、2014年9月2日(火)午前10時から午後3時30分まで都内品川のグランドプリンスホテル新高輪で、結成50周年の節目となる第53回定期大会を開催した。

内田文子資格審査委員長(電機連合)

議長を務めた永島理絵代議員(自動車総連・左)と柏原博代議員(全電線)

 司会の平川事務局次長の開会の辞の後、資格審査委員の選出を確認したあと、内田文子資格審査委員長(電機連合)から、午前10時現在の出席者数について、構成5産別から代議員276名(内委任状4名)、役員25名、傍聴52名が出席していることが報告され、大会成立要件である代議員定数286名の3分の2以上である191名を超えており、大会が成立していることが宣言された。また、女性代議員については55名出席しており、全体の2割以上という目標を達成していることも報告された。来賓として、国内から連合本部の古賀会長をはじめ、インダストリオール国内加盟組織を代表して島田インダストリオール・JAF議長、佐藤インダストリオール・JAF事務局長、海外からはベルトホルト・フーバー会長、ユルキ・ライナ書記長をはじめ、インダストリオール・グローバルユニオンの本部・地域事務所、並びに加盟組織の代表、更には、友誼組織として中国金属工会の代表の方々、合わせて17カ国・地域から、29組織、43名が参加した。

この後、議長団選出に移り永島理絵代議員(自動車総連)と柏原博代議員(全電線)の両人が大会議長団選出された。前半を担当する永島大会議長が冒頭挨拶した後、議事運営委員と書記について確認した。

1.議長、来賓挨拶

西原金属労協議長挨拶

挨拶する西原金属労協議長

 最初に、金属労協を代表して西原議長が挨拶に立ち、冒頭、大会・50周年行事に列席いただいた国内外の来賓の皆さんに感謝の意を表明した後、金属労協の結成50周年の歴史を振り返り、今までの金属労協が果たして来た実績に言及、諸先輩の尽力に敬意を表した。その上で、引き続き、加盟5産別の英知と力を結集し、次の時代への一歩を踏み出していかなければならないことを強調した。そして、次の時代を構想する上で日本のマクロの趨勢として認識すべき課題として、①グローバル経済化が加速する中での過度の競争至上主義のもたらす雇用・労働環境の悪化、②新自由主義的政策と金融至上主義のもたらす社会の疲弊、③地球環境問題への公正な対応と資源・エネルギー政策の確立、④先進国中最悪の政府債務と持続可能な社会保障制度の再構築、⑤「人口急減・超高齢化社会」のもたらす様々な分野への影響、そして未だ全国で24万7千人の方々が避難生活を余儀なくされる東日本大震災からの被災者の希望につながる雇用の創出をはじめとする復興・再生の加速等々、をあげた。

 これらの課題について、労働組合としても社会的役割を踏まえ、当然、その改革・改善に向けた政策形成および実行のプロセスにおいて関与を強めていかなければならないことを強調した。今後の活動について、①金属労協は日本の金属ものづくり産業の守るべき強みを守り、産業・企業の健全成長と長期安定雇用を基軸とする良質な雇用の維持・創出を目指す総合的な取り組みを引き続き強化・継続していかなければならない。「人への投資」の観点で春闘については、来春の2015年闘争では、デフレ脱却と経済の好循環を確実なものにしていくために労働組合として、継続して月例賃金の引き上げに取り組むべきと考えると述べた。②国際労働運動は、金属労協の組織としての存在意義に直結する最重要活動分野であるので、金属労協は、引き続きインダストリオールの広範な活動への積極的な参加により中核組織としての役割を果たすとともに、多くの日系多国籍企業の親会社を組織化している責任を踏まえ、日系企業海外事業体におけるILO中核的労働基準遵守とディーセントワークの確立、健全な労使関係の構築に向けた活動をさらに強力に推進していく必要がある、等と述べた。→詳細

古賀連合会長挨拶(要旨)

 

古賀連合会長

「働く」ということを掘り下げて考えると、①時間と能力を与え、その対価として賃金を得て生活をしていく。②働くことを通じて、喜びや苦しみを噛みしめながら自分自身が成長していく。③社会の一員として社会的責任を果たしていく。④人と人とのつながりを強めていく――といった側面がある。

 このような話をある大学で講演したところ、1人の学生から「働くことを通じて、社会のルールを体得していくのも働くことの意義だと思う」という感想を聞き、感銘を受けたところである。しかし今、さまざまな局面で、常識と思えるルールが壊されようとしている。そのことに私たちは、大きな警鐘を鳴らさなければならない。

 環境変化による様々な事象を市場の効率化や自己責任だけで解決しようとすれば、その社会は、排除・孤立・不信に陥っていく。そうではなく、共に支え合うという人間の本質に立脚し、包摂・連帯・信頼の社会を作っていくことが労働運動の大きな役割である。

 現政権による一部の富や力のある者を重視したトリクルダウンの政策は、成熟社会では通用しない。トリクルダウン政策とともに、ボトムアップ型の政策を打ち出していくことが極めて重要な局面にある。非正規労働者の処遇改善やワーキングプア対策をはじめ、底上げを図ることで健全な経済成長に導くべきである。一層の組織拡大に取り組み、発信力・発言力を強めながら一歩ずつ前進していきたい。

 とくに若者の雇用・労働をめぐる現実は厳しく、本年6月に開催されたILO総会においても、若者の雇用危機に関する行動の呼びかけが決議されている。地方連合会が組織内外の若者の声をキャッチし、さらに参加を得ていく取り組みが、若者雇用問題の改善のために重要である。若者雇用戦略で提起した地域キャリア教育支援協議会の設置は、具体的施策として注目される。

 2013年度春闘の取り組みにおいては、総がかりの体制をどのように作っていくか、労働組合としての社会的責任にどう応えていくかを念頭に、労働者を代表する社会的存在として、要求の実現に全力を注いでいきたいと考えている。

島田インダストリオール・JAF議長挨拶(要旨)

 

挨拶する島田インダストリオールJAF議長

金属労協JCMは、IMF-JCの時代より50年間にわたり、日本を代表する労働組合として労働条件向上闘争を牽引してきた。今後も引き下がることなく先導して頂きたいと考えている。国際的には、IMFの中心組織として影響力を存分に発揮され、その活動領域の広さに感服している。

 現在、加盟費の統一やGFA(グローバル枠組み協定)、インダストリオールとして一体感のある活動が求められる中、改善に向けた努力が注がれている。今後は、効率と資金の有効活用を考え、インダストリオールとして協力し合い、アジアの労働運動発展のため一層の貢献をしていきたいと考えている。2016年までに日本協議会を設立するための第一歩として、窓口一本化の試行が始まっている。更なるご理解を切に願うものである。

海外来賓紹介・代表挨拶(ライナ インダストリオール書記長)

  平川事務局次長から海外来賓メンバーを紹介した後、海外来賓を代表して、ユルキ・ライナ インダストリオール書記長が大要以下の通り挨拶した。

海外来賓を紹介

海外来賓を紹介する平川事務局次長



海外来賓代表挨拶(ユルキ・ライナ インダストリオール書記長)

 

ユルキ・ライナ インダスオリオール書記長

まず、本年5月のIMF-JC初代事務局長 瀬戸一郎氏の訃報に接し哀悼の意を表したい。私たちは、五大陸すべての労働者の力を結集することで、すべての労働者と家族の生活改善を目指す戦いに成功を収めることができる。そのためには組合員数を拡大し、関連産業を支配する多国籍企業に対抗できる労働組合を構築することが求められる。

 不安定雇用をなくす努力も重要である。今年も、10月7日「ディーセントワーク世界行動デー」へ積極的にご参加頂きたい。女性参画の努力も引き続き推進していく。安倍政権がホワイトカラー・エグゼンプションの導入を検討している中、すべての労働者がディーセントな労働条件を確保するために協力していく必要がある。

 最後に、退任される西原議長、若松事務局長の温かい人柄、真摯に取り組む姿勢が多くの成果につながったと感じている。これまでのインダストリオールの組織基盤確立への多大なご尽力に心から感謝申し上げたい。→詳細

2.一般経過報告など報告事項を確認

 井出智則議事運営委員長(基幹労連)からこの後の議事日程について提案があり、これを確認した。ここで、海外来賓の方々は退席、全員の拍手でお送りした。この後、議事に入り報告事項から開始した。

 報告事項として最初に、この1年間の金属労協活動の「一般経過報告」を遠藤事務局次長(組織総務局長)から報告、引き続き、「闘争経過報告」(井上事務局次長報告)、「2014年度会計決算報告」(井上次長報告)、2014年度会計監査報告(川瀬良彦会計監査が報告)について報告、それぞれ全会一致の拍手で確認した。ここで、昼食休憩に入った。

議事日程を提案する井出議事運営委員長(基幹労連)

一般経過報告を行う遠藤次長

.闘争経過報告並びに会計報告を行う井上事務局次長

会計監査報告を行う川瀬会計監査

 

3.審議事項

2015-16年度運動方針を審議・決定

運動方針を提案する若松事務局長

 午後から審議事項から再開した。ここからは柏原大会議長が担当した。審議事項に入り、第1号議案として、「2015-16年度運動方針」について、若松英幸金属労協事務局長が提案に立ち、取り巻く政治・経済・産業状況や雇用・労働環境などを説明した後、2015-16年度運動方針を提案した。加盟5産別から原案賛成の立場で意見・要望が述べられた。
これらの産別からの意見・要望に対して、若松事務局長が本部答弁を行った。→産別意見要望及び本部答弁(要約)
この後、代議員の満場一致の拍手で「2015-16年度運動方針」を決定した。2015-16年度運動方針

→2015-16年度運動方針 国内外の情勢

産別意見要望_森下代議員(基幹労連)

産別意見要望_佐藤代議員(全電線)

産別意見要望_宮本代議員(JAM)

産別意見要望_松原代議員(電機連合)

産別意見要望_佐藤代議員(自動車総連)

 

 

2014年度一般会計剰余金処分、2015年度会計予算

第2議案「2014年度一般会計剰余金処分の件」、第3号議案「2015年度会計予算」について、井上事務局次長から提案を行い、満場一致の拍手で承認した。

役員の改選の件~新議長に相原康伸氏(自動車総連会長)、新事務局長に浅沼弘一氏(電機連合)を選出

新役員を代表して挨拶する相原康伸新議長

第4号議案「役員の改選の件」について宮本礼一役員選考委員長(JAM)から経過説明と提案があった。女性4名を含む14名体制での常任幹事をはじめ、相原康伸新議長・浅沼弘一新事務局長を軸とする2015-16年度役員を全会一致で承認した。この後、議長団から新役員の紹介があり、新役員を代表して相原新議長が挨拶した。→2015-16年度役員一覧

 

2015-16年度役員を選出

役員選考委員会の設置、顧問および政治顧問の委嘱

続いて第5号議案「役員選考委員会設置の件」、第6号議案「顧問および政治顧問委嘱の件」について、若松事務局長から提案し、全会一致の拍手で承認した。
2015-16年度金属労協顧問氏名

退任役員への表彰状の贈呈と退任挨拶

最後に、今回の大会をもって退任される9名の方々に、相原新議長から表彰状が授与された。退任された役員氏名は以下の通り。

   西原浩一郎 議長    自動車総連 2008年9月から3期6年。

   澤田 和男 副議長   基幹労連  2013年9月1年副議長として国際委員長を担当。

   若松 英幸 事務局長  電機連合  2002年9月から6期12年、その間、2008年9月から3期6年事務局長職。

   平川 秀行 事務局次長 自動車総連 2012年9月から1期2年事務局次長として国際局長を担当。

   堀  秀成 常任幹事  自動車総連 2012年9月から1期2年。

   岡本 昌史 常任幹事  電機連合  2012年9月から1期2年。

   市川 雅朗 常任幹事  全電線   2010年9月から2期4年。

   阿曽 正之 常任幹事  全電線   2013年9月から1年。

   川瀬 良彦 会計監査  全電線   2010年9月から2期4年。

 退任役員9名を代表して、西原議長、澤田副議長、若松事務局長、平川事務局次長の4名の方から退任挨拶を受けた。最後  に9名の退任役員の方々の今後の活躍を祈って、満場の拍手を送った。

退任役員の方々

表彰される西原前議長

 

  全ての議事を修了し、大会各種役員および書記の解任を行い、柏原博大会議長から議長団降壇の挨拶を行い、司会の平川事務局次長が閉会の辞を述べ、午後3時30分に閉会した。

 終了後、結成50周年記念講演及び記念レセプションを同ホテル内で開催した。