金属労協 2021年度 運動方針(案)

T.運動方針策定にあたって

 第58回定期大会で確認したとおり、2021年度は1年の運動期間とし、2022年度から通常の2年の運動期間となる。
 2021年度運動方針は、現在の状況を勘案し、第58回定期大会で提案した活動方針をベースとして、活動項目の見直し(統合、削除、追加)を行い、それぞれについて背景・課題・具体的活動を記載する。
 また、これと並行して、3年後の金属労協のあるべき姿の方向性を、組織・財政検討プロジェクトの答申も加味しながら提案する。これによって、2023年度までの3年間を、3年後のあるべき姿実現のための準備期間とし、最初の1年である2021年度については、提起されたあるべき姿の方向性を、具体的な形にするため、金属労協全体で準備を行う1年と位置付ける。
 第60回定期大会(2021年9月)では、2021年度の1年間で準備した具体的な改革内容を実現することを含め、2022〜2023年度運動方針として提起する。

U.情勢分析

(1)経済情勢

@国際経済情勢

 世界経済は、2018年半ばぐらいから、米中新冷戦の影響で鈍化傾向となっていたところ、2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症が世界的に大流行し、大きな打撃を受けている。
 米国は、2019年の実質GDP成長率が2.3%であったが、2020年1〜3月期は前期比年率マイナス4.8%と11年ぶりの大幅マイナスとなった。こうした中、FRBは2020年3月に利下げを実施したほか、実質ゼロ金利政策、量的金融緩和政策を復活させた。4月半ば以降、経済活動は再開に向かっているものの、感染症予防の継続や旅行、観光需要の回復が遅れることなどにより、景気回復は緩やかなペースになると見られている。
 ユーロ圏は、2019年の実質GDP成長率が1.9%であったが、2020年3月半ば以降、各国で厳格な移動禁止措置が実施されたため、1〜3月期は前期比年率でマイナス14.2%と統計開始以来で最大のマイナス成長となった。4月半ば以降、経済活動は再開に向かっており、景気は4〜6月期を底に緩やかに回復していくと見られている。英国は、2020年1〜3月期の実質GDP成長率が、前期比年率でマイナス7.7%となった。
 中国は、2020年1〜3月期、実質GDP成長率が前期比年率でマイナス6.8%と統計を開始した1992年以降で初めてマイナス成長を記録した。2月から経済活動が再開されているが、回復は緩やかなものとなっている。

A国内経済情勢

 2019年度のわが国の実質GDP成長率は、消費税率の引き上げ、大規模自然災害などに加え、新型コロナウイルス感染拡大により0.0%に鈍化した。しかし、政府が緊急事態宣言を発出したのは2020年4月のため、本格的に経済に影響が出るのは2020年度と見られている。2020年度の実質GDP成長率予測は、2020年7月時点で政府見込みがマイナス4.5%、7月の民間調査機関の予測の平均ではマイナス5.4%となっている。
 鉱工業出荷は、2020年4月に大きく落ち込んだものの、5月に底を打っている。設備投資の先行指標である機械受注統計(船舶・電力を除く民需)は、2019年7〜9月期以降、前年比マイナスで推移している。
 経済活動の動向を敏感に観察できる人々に対するアンケート調査である「景気ウォッチャー調査」は、2020年2月以降大きく低下したが、4月に底を打っている。
 輸出金額は、2019年はアジア向けで1割弱減少したことで、全体では前年比マイナス5.6%となった。2020年4月以降は、新型コロナウイルス禍により米国とEU向けの減少幅が大きく、2割台の大幅な減少となっている。

 消費者物価上昇率は、2020年以降はゼロ%台前半の上昇率に止まっているものの、プラス基調を維持している。
 完全失業率は、2020年1月以降、2%前半から後半へとやや悪化しているが、低水準を維持している。有効求人倍率は、低下傾向となっているが、2020年6月は1.11倍と引き続き求職よりも求人の多い状況となっている。しかしながら、金属産業の新規求人数は、2019年後半から大幅な減少が続いている。

(2)政治情勢

@国際政治情勢

 2020年1月、英国はEUから離脱し、同年12月末までの移行期間に入った。英・EU間の将来関係に関する交渉が続いているが、合意の見通しは立っていない。
 2020年6月、中国では、香港における反体制活動を禁じる「香港国家安全維持法」が成立した。香港の高度な自治を保障する「一国二制度」の根幹を揺るがすものであり、日米欧は対中批判の姿勢を強めている。
 2020年2月、米中経済・貿易協定の第1弾が発効した。しかし、米国が実施してきた対中追加関税は大部分が維持され、米国が求めている中国の産業政策、補助金制度の見直しについては合意に達しておらず、対立の根本的な解消は見込めていない。

A国内政治情勢

 2020年10月、消費税率が8%から10%に引き上げられ、同時に食品などに軽減税率が導入された。
 2020年1月、日米貿易協定が発効した。自動車・自動車部品の関税撤廃については協定の枠外で交渉されることとなった。
 新型コロナウイルス感染拡大に対する政府の対応、検察官の定年延長、2019年参議院選挙での買収問題などにより、内閣不支持率が支持率を上回る状況で推移している。
 2020年7月に策定された骨太方針では、ポストコロナの「新たな日常」として、テレワークの加速・定着、副業・兼業の促進、フリーランスの適正な拡大などが打ち出された。最低賃金については、「より早期に全国加重平均1000円になることを目指すとの方針を堅持する」としつつも、2020年度は「中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況を考慮し、検討を進める」としている。

(3)新型コロナウイルス感染症による影響

 2020年1月の国内感染確認以降感染が拡大し、4月7日には外出自粛要請を含む緊急事態宣言が政府から発出された。その後、感染拡大のペースが緩やかになってきたことを受け、5月14日に39県で、25日には全国で緊急事態宣言が解除された。しかしながら、それ以降も首都圏など大都市部を中心に感染者の減少には至っておらず、終息に向けた見通しは立っていない状況である。
 政府は、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として第1次補正予算を4月に、続いて第2次補正予算を6月に成立させた。第1次補正予算は約25兆円の予算規模となっており、PCR検査機器整備やマスクの配布、ワクチン・治療薬の研究開発、雇用調整助成金の助成率の引き上げ、一律ひとりあたり10万円の特別定額給付金、中小・小規模事業者に対する持続化給付金などの内容となっている。第2次補正予算は約31兆円と過去最大の予算規模となっており、企業の資金繰り対応の強化、検査体制のさらなる拡充、雇用調整助成金の助成金額の上限引き上げ、家賃支援給付金の創設、持続化給付金の対応強化などの内容となっている。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、経済活動は大幅に縮小しており、金属産業においても、部品供給途絶による生産停止や海外需要の激減による稼働率の低下などにより、雇用、経済への影響が顕著となっている。
 2020年3月には、東京オリンピック・パラリンピックの1年程度延期が発表された。関連産業を中心に、景気回復の足かせとなることが懸念される。

V.具体的な運動方針

1.2021年度の運動方針

金属労協に求められる3つの役割

 2019〜2020年度運動方針で提起した金属労協に求められる3つの役割(活動の3本柱)を念頭に、2021年度の具体的運動方針を提起する。3つの役割は次のとおりある。

国際活動と国内活動の相互連携

 海外における労働条件改善の実情や、デジタルトランスフォーメーション(デジタル革命、DX)をはじめとする産業の最新動向を、友誼組織との情報交流やインダストリオールにおける諸会議における議論を通じて取得し、国内の労働条件や政策・制度などの活動に生かす。逆に、日本における様々な取り組みや、労使で徹底的に議論する日本の建設的労使関係を海外の組織に向けて情報発信する。

産別を越える「場」の提供

 民間・ものづくり・金属の枠組みのもとに産別の枠を越えて集い、課題意識や具体的な取り組みなどを共有できる、結び目としての「場」を提供する。

産別共通課題への取り組み

 産別それぞれが個別に取り組むよりも、協議会としてひとつで取り組むことにより、より効率的で高い成果の出ることが期待される課題について、産別と協力しながら解決を図る。

デジタル革命への対応

 2019〜2020年度運動方針において、デジタル革命への対応方針を提起した。この方針にもとづき、さらに具体的な活動につなげていく。提起した対応方針は次の3つの項目である。

  • デジタル革命を好機ととらえ、積極的に推進する立場を明確にし、生産性の向上や働き方の改革につなげる。
  • すべての人が仕事の変革に対応できるよう、教育・訓練や人材の適切な再配置などの、公正な移行(Just Transition)を前提とする。
  • 職場から企業、産業、国のレベルに至るまでの労働組合と経営や政府との対話を行う。同時に、働く側についても意識の改革を図る。

インターネットツールの積極的活用

  • 2020年闘争の集中回答日における回答状況の速報や記者会見にWeb会議システムや動画配信を活用し、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、例年と遜色ない情報発信を行うことが出来た。
  • インターネットツール活用の可用性を経験することが出来たことから、今後、この基盤を金属労協の活動に最大限活用する。昨年度、4月以降の機関会議や各種委員会は中止や延期をすることなくWeb会議で開催し、会議室に会しての会議と概ね遜色のない情報交換や議論が行われた。今後、新型コロナウイルス感染症が終息に向かった後においては、以前と同様の会議室に会しての会議運営を基本とするものの、遠隔地からの参加など、参加が難しい参加者についてはWeb会議システムによる参加を併用する、いわゆるハイブリッドな開催形態も取り入れていきたい。
  • 海外の労働組合との連携についても、これまでの二国間交流などの顔を合わせる交流に加えて、より密な連携を図るため、Web会議システムを活用していきたい。
  • 研修会や勉強会について、昨年度IGメタル本部からデジタル化に関するIGメタルの取り組みについて説明を受けるためWeb会議システムを利用し、海外の状況を人の移動を伴うことなく、適時に知ることが出来た。この経験から、講師のみならず参加者も移動する必要がないことから、参加者のいる場所や講師依頼の柔軟性が拡大し、さらに財政面でも効果的であるため、海外からにとどまらず、あらゆるケースに対して、ウェビナー(Webinar、Web+Seminar、Webを活用したセミナー)を積極的に活用していくこととしたい。

新型コロナウイルス感染症への対応

  • 昨年度、金属労協として、政党(国民民主党、自民党、公明党)への要請を行ったが、ひきつづき、金属労協の立場から必要に応じて要請などの対応を行う。
  • 新型コロナウイルス感染症が終息するまでは、産業や経済の動向を注視しながら、雇用の維持と企業の存続に向け、政党や政府、経営者団体との協議を行うこととする。また、バリューチェーンがグローバルに展開されている現状から、多くの日系企業が進出するアジアを中心とする各国の労働組合と連携をとり、企業や産業の動向を共有し、紛争の発生が危惧される場合には、国内の労働組合と連携をとりながら解決に向けた支援を行う。そのためにも、MNCネットワークの構築を推進する。
  • 職場においては、製造現場における感染拡大防止のための安全衛生対策や、事務職場における在宅勤務などのテレワークや時差出勤などの勤務対策が行われている。このような状況から起こる産業に共通する課題について情報共有し、必要な対応を行う。
  • 新型コロナウイルス感染症の終息後、産業や企業、職場のすべてが以前と同様の状態に戻るとは限らない。特に職場における働き方や評価管理方法などにおいて、これを契機として変革がすすむことが考えられる。また、グローバルサプライチェーンの観点からは、当面のリスク対応のための製造拠点の再配置のみならず、中長期的な見通しによる生産マップの見直しがこれを契機にすすむことが危惧され、現地企業の雇用に影響を与えることが懸念される。先行する事例を共有するなど、今後考えられうる変化に素早く対応できるよう、金属労協として準備を行う。
  • 新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、危機管理に対する労働組合の関与という観点から、職場・企業労使、産別・産業労使などあらゆるレベルでの労働組合の役割が再認識されている。今回のウイルス感染によるパンデミック化のケースにとどまらず、あらゆる危機に対する労使の対応のありかたについて議論を行うことが必要である。

グローバルな金属労働運動の推進

(1)国内活動と連携する国際活動の充実
活動の背景

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響でインダストリオール第3回世界大会は延期されたが、次回開催を見据え、グローバルな労働運動においてポストコロナの世界も踏まえた具体的活動を進めていく必要がある。
 JCMは各国の労働組合と連帯して、これまで情報共有を進め、活動を推進してきたが、従来の定期協議や交流の場にとどまらず、日常においても密接に定期的な連携を求めることが、さまざまな時代の変化の中で重要視されてきている。特に、アジア太平洋地域のリーダーとしての日本に対する期待に応えることは、日本の金属産業の生き残りをかける上でも今後一層不可欠な観点となる。
 グローバルレベルでの労働CSRへの取り組みに対しては、企業としての対応への期待が高まりを見せる中、労働組合としても実効性をもった取り組みにつながるよう質の高い活動が求められる。
 海外における日系の現地事業体における労使紛争も引き続き発生し、大手企業のみならず、地方・地場企業の海外への事業展開の進展に伴い、日本国内に労使関係の素地のない企業における労使紛争も目立ち、サプライチェーン上での親会社へ責任を問われるケースも頻発している。

経過と課題
  • JCMは、インダストリオール副会長・アジア太平洋地域共同議長、および二つの産業別部会長を擁する組織として、加盟産別と連携して、機関会議やアジア太平洋地域活動への参画を進めてきた。また、インダストリオール日本加盟組織協議会の中核組織としてインダストリオール・JAF、UAゼンセンと連携して日本国内での活動を推進してきた。
  • 特に、第3回世界大会に向けては、各国加盟組織との間での意見交換を精力的に進め、アジア太平洋地域のリーダー役として組織をまとめ、地域活動の活性化を進めてきた。また、インダストリオール本部役員体制および持続可能な組織・財政・規約、アクション・プラン策定といった議論にも主体的に参画し、あるべき方向性にリードしてきた。
  • ドイツ・IGメタルとは大会への参画も含めて取り巻く環境が変化する中でも日常的な交流・情報交換を継続した。また、日韓金属労組定期協議に向けた調整、中国金属工会との定期交流の実施を通じて、課題の共有とともに、両国間の理解を深めた。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、タイ、インドネシアでのワークショップが開催延期となる中で、現地労組とのWeb会議システムを活用した情報交換や交流を、タイ、インドネシアはもとより、ドイツ、北欧、米国、オーストラリア、インド、韓国等とも実施した。
  • MNC(多国籍企業)労働組合ネットワーク構築活動においては、現地労組と日本の労組とのネットワーク構築の支援を推進してきた。
  • 個別の労使紛争は依然として頻発しており、新型コロナウイルス感染症の影響による企業業績の悪化を発端とする新たな紛争案件への対応も出てきており、産別・企連・単組と連携して対応してきた。
具体的な活動
  • インダストリオール第3回世界大会に向けて、主要加盟組織との連携を強化して、議論への主体的な参画を継続する。
  • アジア太平洋地域における金属セクター間の連携について、世界大会後の新体制を踏まえた今後のあり方の検討を進め、関係組織間での意見交換を実施する。
  • 連合国際局や国際労働財団(JILAF)、ILO駐日事務所との連携を継続し、懇談を実施する。また、関係府省、経営者団体、在日大使館との懇談の機会や必要に応じたNGOとの接触も求めていく。
  • MNC労組ネットワークの構築を推進すべく、必要となる基礎情報の共有や産別を通じた活動の支援を継続する。インダストリオールが主導するGFA(グローバル枠組み協定)締結に向けては、労働CSRへの対応の観点の重要性を追求する労使への理解活動とともに、国内外における中核的労働基準の確立に向けた実効性のある取り組みの検討をインダストリオール本部の動きを見据えながら進める。
  • 労使紛争への支援要請に対しては、現地労使での対話の促進による早期解決を当該産別を通じて支援し、中核的労働基準の遵守につなげる。
  • 徹底的な話し合いをもとにした建設的な労使関係の構築の重要性を現地労使に理解させていくべく、タイ・インドネシアでの「建設的労使関係構築に向けた労使ワークショップ」を現地組織と連携しながら企画を推進し、活動の評価を行いながら、継続的な開催を実現する。
  • 海外労組との定期交流は継続的に実施することを前提に、取り巻く環境を踏まえたWeb会議システム活用等、手段を問わずに積極的な交流を推進する。
(2)国際労働運動に関する情報収集と共有
活動の背景

 国際労働運動の充実した推進においては、常にアンテナを高く張り、ネットワークを活用しながら情報収集を進めることが活動の基本となる。あわせて、金属労協結成以来脈々と蓄積されてきた国際労働運動に関する情報の可視化と時代の変化に応じた活用に資する共有のあり方がこれからの国際労働運動推進において重要視されている。

経過と課題
  • 「海外での建設的な労使関係構築国内労使セミナー」を100周年を迎えたILOと初の共催で開催し好評を得た。また、新型コロナウイルス感染症の影響に鑑みて、Web会議形式でのセミナー(ウェビナー)としても開催、時宜をとらえたテーマで継続的な労使への理解を促進させた。
  • JCMペディアを国際委員会メンバー中心に開放し、運用を開始した。従来の蓄積された情報とともに、海外各国における新型コロナウイルス感染症への対応状況などトピックの掲載も試みた。
  • インダストリオールウェブサイトニュースについても、必要な記事について、タイムリーな掲載を進めた。
  • アジア太平洋地域をはじめとして主体的参画を進め、迅速かつ適切な情報収集を実現すべく、インダストリオール東南アジア地域事務所へ人材を輩出し、インダストリオール本部においてもJCMから書記次長を輩出するべく関係労組との調整作業を進めた。
具体的な活動
  • 「海外での建設的な労使関係構築国内労使セミナー」は開催効果を最大限高める提供方法を検討しながら、労使への建設的労使関係構築の重要性の理解促進と情報共有を進めるべく、JCMならではの付加価値をもたらす形で継続的に開催する。
  • インダストリオール本部・地域事務所へ派遣したメンバーとの定期的な情報交換を実施し、インダストリオールはじめ国際労働運動の最新状況の共有を戦略的に行う。
  • 海外労組との交流も含めて得られた情報を、運用開始したJCMペディアの積極活用により共有を促進し、産別の国際労働運動推進の支援につなげる。

社会的波及効果を目指した賃金・労働諸条件の改善

(3)春季生活闘争における賃金・労働諸条件の改善
活動の背景
  • 第3次賃金・労働政策の下で、「雇用の安定を基盤とした多様な人材の活躍推進」「『同一価値労働同一賃金』を基本とした均等・均衡待遇の実現」「ワーク・ライフ・バランスの実現」の3つを柱に、実現に向けて取り組んでいる。
  • 米中新冷戦の下で貿易が縮小傾向となっていたことに加え、新型コロナウイルス感染拡大は国内外の経済・社会に激甚といえる打撃をもたらしている。金属産業においても、2020年度は多くの企業が業績見通しの発表を見送るなど、先行きが見通せない状況にあり、さらに加えて一時帰休が実施されるなど、雇用にも影響が出てきている。
  • 新型コロナウイルス感染症が落ち着きをみせた段階で、経済の迅速な正常化に向け金属産業がけん引役を担えるよう、産業・企業基盤を維持しなければならない。また中期的には、生産年齢人口が減少を続ける中で、人材確保は引き続き重要課題となっている。
経過と課題
  • 2014年闘争以降、JC共闘全体として賃上げを獲得してきたが、2020年闘争では、賃上げ獲得組合の比率は5割程度にとどまった。中小労組は、4年連続で大手労組を上回る賃上げを獲得する一方、賃上げ獲得率は5割を下回り、二極化が顕著となっている。
  • 国内外の経済情勢、金属産業の業績に相当な厳しさが予想される中、金属産業の基盤である雇用とサプライチェーンを維持し、産業・企業の魅力を高める観点から、2021年闘争をどのように取り組むかが課題となっている。
  • 新たな感染症の流行に備えた働き方の見直しや感染症に対応した職場環境の整備についても、対応が必要となっている。在宅勤務など緊急対応を恒久的な制度としていく動きがあるが、生産性向上や労働時間管理、安全衛生、両立支援など多くの課題について、検討を深める必要がある。
  • 連合金属共闘連絡会議と金属労協の共催で集中回答日の記者会見を実施するなど、具体的取り組みを前進させた。
具体的な活動
  • 企業の競争力の源泉は、働く者の技術・技能、知恵とノウハウ、創意工夫、創造性といった「現場力」にある。働く者の生活の安定はもとより、企業の持続的な発展という観点からも、全力で雇用を維持していく。
  • 金属産業の強みであるバリューチェーン全体の総合力を高めるため、金属産業全体の賃金の底上げ・格差是正の実現に向けて、企業内最低賃金協定の締結拡大と水準引き上げ、特定最低賃金の金額改正と新設、規模間格差の是正等について、継続して取り組む。
  • 経済・産業情勢、雇用環境は、回復の見通しが立たない極めて厳しい状況が続いており、2021年闘争は近年にない厳しい環境下での闘争となることが予想されることから、国内外の景気動向や物価の動向、産業動向、雇用動向、賃金水準の動向などを十分に精査し、雇用と生活の安心・安定の確保および産業・企業の持続的な発展を支える観点から、幅広い視点で課題を整理して取り組む。
  • 賃金の底上げ・格差是正、適正な労働時間の実現を前進させるため、個別賃金水準の実態調査と労働時間の実態調査を継続する。各種調査・集計に関して、産別との調整・連携を図るため、担当者レベルの会議を開催する。
  • 労働諸条件の改善に向けて、統一取り組み項目の設定など、項目を重点化しつつ、共闘効果を高めるように検討する。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大等に対応した働き方の見直しや、職場環境整備等について、情報交換を密にして取り組む。
  • JC共闘の一層の強化を図り、金属労協のあるべき姿の検討材料とするため、JC共闘の歴史的経過と理論を振り返り、整理する。
  • 連合金属共闘連絡会議を実質的に担う組織として、連合本部との連携を深め、さらに取り組みを前進させる。
協議委員会で議論する項目
  • 賃上げ、賃金の底上げ・格差是正、企業内最低賃金協定
  • 年間総実労働時間の短縮など、「良質な雇用」の確立に資する働き方の見直し
  • 60歳以降の賃金・労働諸条件改善
  • 男女共同参画、障がい者雇用など、ダイバーシティへの対応
  • 非正規雇用で働く労働者の雇用の安定と賃金・労働諸条件の改善
(4)金属産業にふさわしい特定最低賃金の実現
活動の背景
  • 「同一価値労働同一賃金」を基本とした均等・均衡待遇確立や、産業内の公正競争確保とバリューチェーン全体の健全な発展を図るため、特定最低賃金を通じて、企業内最低賃金協定の水準を産業全体に波及させることが必要となっている。
  • 金属産業の各産別が連携して申出要件を確保し、地方最低賃金審議会への対応を図る必要がある。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、使用者側は、2020年度の地域別最低賃金について、引き上げの凍結を求めており、特定最低賃金についても、使用者側の抵抗により、地域の審議が難航することが予想される。
経過と課題
  • 初任給や地域別最低賃金の上昇を踏まえ、賃金の底上げ・格差是正や人材確保の観点から、特定最低賃金を金属産業の労働の価値にふさわしい水準に引き上げる必要がある。
  • 地域別最低賃金の大幅な引き上げや使用者側の特定最低賃金廃止論により、地域別最低賃金と特定最低賃金が接近・逆転するケースが出てきており、今後さらに拡大することが懸念される。地域別最低賃金をいったん下回った地域では、使用者側の反対により、 特定最低賃金の金額改正ができない事態が生じている。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、従来以上に審議の難航が予想されることから、地方最低賃金審議会委員・専門部会委員、産別地方組織、地方連合会等が緊密に連携を図り、審議の円滑化に向けて、公益側、使用者側、労働局への事前の働きかけを着実に実施する必要がある。
具体的な活動
  • 企業内最低賃金協定の締結拡大に取り組むとともに、高卒初任給準拠を基本に、中期的目標である月額177,000円に向けて、企業内最低賃金協定の水準引き上げのため、交渉に活用できる教宣資料を作成する。
  • 産別本部の最低賃金担当者による「最低賃金意見交換会」を適宜開催し、産別間の情報共有と地域の取り組みを支援する方針の立案、教宣資料の作成を行う。
  • 情勢の変化に応じて、地域の取り組みを支援するため、産別や連合と連携し、地方最低賃金審議会委員・専門部会委員に対して、タイムリーに「確認事項」を発信し、方針の徹底と情報共有を図る。
  • 地方最低賃金審議会の公益側委員、経営者団体の使用者側委員、都道府県労働局への働きかけを強化するため、地方連合会との連携を強化し、金属部門連絡会を活用した情報交換を進める。
  • 地域における特定最低賃金の取り組み事例を収集し、組織内の情報共有を図る。
  • 特定最低賃金の中期的な課題については、継続的に検討を進める。
  • 具体的な取り組みについては、状況の変化に的確に対応し、「特定最低賃金の取り組み方針」「特定最低賃金の金額改正・新設に臨む確認事項」として示す。

金属産業の新たな成長軌道構築

(5)金属産業の新たな成長軌道構築に向けた産業政策の展開
活動の背景
  • 新型コロナウイルス感染拡大は、国民生活と産業活動に激甚な打撃を与えており、その長期化による産業基盤・企業基盤の弱体化も懸念されている。
  • 欧米諸国と中国の対立はさらに先鋭化しており、わが国は「自由で開かれた」国々の中心として、主導的な役割を果たしていく必要がある。また、デジタル革命の積極的な推進などを通じて、新たな成長軌道を構築していかなければならない。
  • 日系企業において中核的労働基準に関わる労使紛争が多数発生しているが、全世界における中核的労働基準確立に向けて、わが国として責任を果たしていく必要がある。
経過と課題
  • 新型コロナウイルス禍の下での、雇用不安・生活不安の解消、産業・企業基盤の維持に向け、国民民主党、自由民主党に対し要請活動を行った。
  • 「民間・ものづくり・金属」の観点から、マクロ経済、産業、バリューチェーン、環境・エネルギー、国際労働の各政策からなる「2020年政策・制度要求」を策定、要請活動を展開した。
  • 「2020年政策・制度要求」の策定に際し、優先的に取り組むべき項目を明確にするため、重点化と項目の絞り込みを行った。
  • 「政策・制度」の策定時期について、実現力を向上させるため、政治日程や政府の政策決定スケジュールなどを踏まえ、前倒しを検討する必要がある。
  • わが国の基幹産業たる金属産業として、@デジタル革命の積極的な推進、A技術・技能、知恵とノウハウ、創意工夫、創造性といった現場力の一層の強化、Bステークホルダー・従業員重視経営の実現、C新冷戦を踏まえた国内外のバリューチェーン再構築、Dバリューチェーンにおける付加価値の創出と適正な配分、E脱炭素社会の追求、F国内外における中核的労働基準の確立、などに取り組んでいかなければならない。
  • また、将来的に新たな世界的感染が繰り返し発生するリスクに備え、企業活動の維持、生活の安心・安定の確保の両面で、政策・制度の対応や企業の仕組みづくりが不可欠である。
具体的な活動
  • 「2020年政策・制度要求」の実現に向け、対政府要請活動を行うとともに、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、政府・政党に対し適宜、必要な要請活動を実施する。金属産業の業界団体との意見交換・情報交換の実施を検討する。
  • 「2021年政策・制度要求」を策定し、政府・政党に対する要請活動に加え、各方面への情報発信、政策レポートなど理解促進の手段を講じて、その実現を図る。なお、単組も含めた意見集約の方法について検討し、実行するとともに、2022年以降の策定時期を再検討する。
  • デジタル革命に関し、引き続き海外労組との連携や国内の動向の掌握に努め、働く者の立場に立った政策の立案とその実現を図っていく。
(6)地方における金属産業活性化
活動の背景
  • 基幹産業たる金属産業の持続的な発展のためには、生産拠点が実際に存在し、従業員の生活の場でもある地元の活性化が不可欠である。
  • 地方自治体に対しても、「民間・ものづくり・金属」の立場から、政策実現を図っていく必要がある。
経過と課題
  • 地方連合会の政策への盛り込みを主眼とする「地方における政策・制度課題」を策定し、地方組織の利用に供してきた。機関誌「JCM」では、好事例の紹介を行っている。
  • 「地方政策実現に向けた取り組みの進め方」を紹介するなど、わかりやすさ、取り組みやすさの強化を図ってきたが、都道府県ごとの取り組みには差が見られる。
具体的な活動
  • 地方連合会金属部門連絡会など金属産業の都道府県別組織内での理解を深め、実現を図るため、各地域において、秋季もしくは春季に「地方における政策・制度課題」に関する研修会や、諸会議における勉強会の実施について、Web開催も含めて提案する。
  • 地方連合会における「地方における政策・制度課題」の網羅的な検討や、支援する地方議会議員との連携強化を促進する。
  • ものづくり教室については、新たに取り組む地方組織での開催支援を行うとともに、すでに取り組んでいる地方組織に対してもソフトウエアプログラミングの要素をもった工作キットを紹介するなど、内容のさらなる充実を提案する。

運動を支える組織基盤の強化

(7)将来を見据えた組織強化の取り組み
活動の背景
  • 金属労協が目指す姿に関するこれまでの議論を踏まえ、この1年は、将来に向けて必要な組織の整備と強化を図るための重要な準備期間となる。
  • 地方活動、広報、財政対策など、組織強化に関わる取り組みについて、組織財政検討プロジェクト報告で示された、金属労協の特色と求められる役割に即した新たな取り組みへのシフトが求められている。
経過と課題
  • 地方ブロックにおいては、地方における政策・制度課題、最低賃金などについてブロック内での情報交換と交流などを行ってきた。今後は、金属労協の地方における役割と、地方連合会金属部門連絡会との関係を改めて明確化し、これからの地方活動の具体的あり方について検討する必要がある。
  • 広報活動については、あり方の検討が求められていたが、具体的には進展していない。機関紙・誌、ウェブサイトといったこれまでの広報手段のみならず、金属労協に求められる情報発信全体のあり方についての検討が課題となっている。
  • 財政対策については、単年度収支均衡をめざして取り組み、改善が進みつつあるが、まだ目標には至っていない。また、インダストリオール会費の引き上げが予定されており、さらなる財政健全化策の強化が求められている。
具体的な活動
  • 地方ブロックのおよび各都道府県の活動内容に関する情報交換と共有化をはかるために、地方ブロック代表者会議を随時開催する。また、組織財政検討プロジェクト報告にもとづく、これからの地方活動のあり方について議論する。とりわけ、各都道府県における地方連合会金属部門連絡会の活動との連携について、現状の把握と各都道府県役員からの意見聴取を行う。
  • 組織内外に向けた、金属労協としての効果的な情報発信のあり方について総合的に検討を行う。本年度は機関紙の電子化を進めるが、ウェブサイトへの掲載に加え、産別・単組で活用しやすいような発信方法を工夫する。
  • 組織財政検討プロジェクトの検討内容に基づき、引き続き支出の削減に努める。
(8)国際水準をめざした男女共同参画の推進
活動の背景
  • 男女共同参画推進に向けた諸施策が国内外で実施される状況下、仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関するILO190号条約の採択や、インダストリオールにおける女性参画40%達成に向けた具体的な議論等、グローバルに活発化している。一方、ジェンダーギャップ指数にも表れる日本における男女共同参画は世界的にも遅れを見せており、日本のものづくり産業をリードすべく、国際水準での運動が金属労協に期待される。
経過と課題
  • JCMは、インダストリオールの中核組織として、加盟産別と連携しながら「第3次女性参画中期目標・行動計画」(2018年9月〜2022年8月)に沿って各種活動を推進した。女性参画推進に向けた意識が向上し、活動・実績共に着実に進展した。
  • 男女共同参画推進研修会は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったが、継続的な共同参画推進施策の実施が求められる。
具体的な活動
  • 「第3次男女共同参画推進中期目標・行動計画」に沿って、金属労協全体での活動を着実に推進していく。
  • インダストリオールにおける諸活動、第3回世界大会に向けた議論へ積極的に参画し、活動を推し進める。特に、JCMから初の女性執行委員の誕生に向け、関係各所との調整を進める。
  • 男女共同参画推進連絡会議において、計画の進捗状況をフォローするとともに、今期は男女共同参画推進交流集会実施に向けて検討する。また活動におけるウェビナーの積極活用も検討する。
(9)運動を担う人材育成
活動の背景
  • 次代の運動を担う人材の育成は、労働運動の持続的発展のために不可欠であり、単組や産別においても、人材育成は大きな課題となっている。すでにそれぞれのレベルで、様々な教育活動が行われているが、企業・産別の枠を超えた、視野の広い人材の育成が求められている。
  • さらに、グローバル化とデジタル革命が進展する中で、労働運動に求められる人材の育成はまだ緒に就いたばかりである。国際とデジタル革命に関連する分野では、一歩進んだ取り組みをしている金属労協として、この強みを教育の分野にも活かしていくことが期待されている。
経過と課題
  • 昨年50周年を迎えたリーダーシップコースは、これまで多くの労働組合リーダーを輩出するとともに、企業・産別を超えて人と人とをつなぐ交流の場としても高く評価されている。プログラムも随時改善を加え、充実を図ってきた。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまでの進め方に見直しが求められている。
  • 国際労働運動を担う人材育成を目指した国際労働研修プログラムは、金属労協の強みを活かした活動であり、他に類のないものとして評価が高い。また、Web会議システムを使って、ドイツIGメタルのデジタル革命に関する取り組みをテーマに実施した政策課題研究会も好評を得た。今後は、このように金属労協の強みを活かした、特色ある教育プログラムを開発し、産別の人材育成に資する取り組みを強化する必要がある。
  • 労働経済指標の分析検討や金属産業に影響を与えるタイムリーなテーマに関する研修会を行ってきた。
具体的な活動

 産別共通課題である人材育成について、金属労協全体を通した活動として再検討する。
 また、既存の研修会等の開催に、ウェビナーを活用するとともに、機動的に時宜に応じたテーマによる新たな研修会・勉強会を検討し実施する。
 現在予定されている研修会等は次のとおり。

  • 労働リーダーシップコース
    新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑み、第52回労働リーダーシップコースは、2021年秋に延期する。また、感染症の拡大状況を見ながら、次回開催方法の検討をすすめる。
  • 国際労働研修プログラム
    新型コロナウイルス感染症の影響で開催を見送るが、来期の開催に向けて、企画を推進する。省庁・経営者団体の訪問のみならず、労使コミュニケーションや職場重視の組合活動をテーマに、現地組合役員・組合員と議論するプログラムを盛り込む。
  • 労働情勢検討会
    各種経済指標による経済動向の理解の下、経済情勢への認識を深め、労働運動に活かしていくため、金属労協・産別・単組の賃金・政策担当者を対象に実施する。
  • 政策課題研究会
    金属産業にかかわる時宜にかなった政策・制度課題、労働政策課題について、労働政策委員・政策委員・国際委員等を対象とし、Webの積極的な活用と最新の海外情報の収集も視野に入れ開催する。
  • 男女共同参画推進研修会
    男女共同参画の推進に先進的取り組みを行っている国内外のリーダーによる研修会等の開催を検討する。
(10)あるべき姿に向けた検討の継続
活動の背景
  • 財政状況の悪化を契機として、組織・財政検討プロジェクトを中心に、支出の削減によって財政均衡をめざしてきた。
  • 毎年の財政赤字を財政基金積立金から取り崩すことで、当面の財政対応を行ってきた。
  • 組合費の効果的な活用という面からも、連合運動との関係整理が求められている。
経過と課題
  • 支出削減策の成果により、毎年の財政赤字は大幅に削減されたが、依然均衡には至っておらず、インダストリオール加盟費の上昇も懸念されており、一層の効率的運営が求められる。
  • 財政均衡を目的とする組織改革の議論が行われ、活動の絞り込みの努力が行われたが、組織改革が劇的に進んだとは言えない。
  • 財政均衡を目的とする組織改革から、産業構造や労働環境の変化に対応し、将来に向けて機能しうる価値のある組織構造が求められる。
具体的な活動
  • 組織・財政検討プロジェクトや三役会議などにおいて、金属労協のあるべき姿を具現化する。
  • 具現化したあるべき姿を実現するために必要な組織改革を提起する。
  • 提起する組織改革が、金属労協のみならず産別の組織改革も必要とされる場合、産別を巻き込んだ議論を行う。
  • あるべき姿に向けた組織改革を具体的な次年度の運動方針につなげる。

2.あるべき姿の実現に向けた組織改革の準備 <2022〜2023年運動方針に向けて>

 組織財政検討プロジェクトの最終報告では、2024年度をあるべき姿への組織改革を実現する目標年としている。2022年〜2023年度は、そのための準備を整えるための期間と位置づけ、具体的に何を取り組んでいくかを示す運動方針とする。
 今後の金属労協に求められる役割に基づいて、活動を以下の通り整理し、2021年度中に各構成産別においても議論いただきながら、具体的な進め方についてとりまとめる。

(1)金属労協が主体となり、産別が参画する活動

  • インダストリオールのリード役としての活動
  • 二国間協議をはじめとする各国労組との連携
  • 建設的労使関係構築のための支援活動
  • 国際分野での人材育成
  • 国際労働運動にかかわるデータベースの構築
  • 国際労働関係諸団体との連携

(2)金属労協と産別が共同して進める活動

  • 春季生活闘争におけるJC共闘
  • 産別に共通する労働政策の策定と実現に向けた取り組み
  • 労働経済分析
  • 産別横断的、サプライチェーン全体に関わる産業政策

(3)産別が主体となり、金属労協が協力する活動

  • 産別それぞれに固有な産業政策
  • 産別の特性に沿った賃金・労働政策

(4)連合との連携を強化して取り組む活動

  • 春季生活闘争の推進
  • 総合的な政策・制度要求の策定と実現に向けた取り組み
  • 地方における産業政策などの取り組み