IMFニュースブリーフ

世界自動車会議でアウトソーシングと過剰設備に焦点

プレゼンテーションで傾向と労働組合の課題が概説された。討論の中心はアウトソーシング、中国の自動車産業、直面する課題への労働組合の対応だった。

 

全世界:自動車部門で中国が目覚ましい成長を遂げ、多国籍企業の新規投資が恒常的に発表される中で、6月8日から10日まで、25カ国から200人を超える労働組合活動家が米国ミシガン州ディアボーンに集まって会議を開いている。
 ロン・ゲッテルフィンガー全米自動車労組(UAW)会長兼国際金属労連(IMF)自動車部会長は、開会挨拶で中国を詳細に取り上げた。  「中国における労働者の諸権利の否定がすべての国々の労働者を脅かしていることを、私たちは明確に理解している。今、私たち全員が、非常に多くの中国人労働者が耐え忍んでいる痛ましい低賃金および虐待的な労働条件と闘わなければならない」
 すでにIMFウェブサイトで報告したように、UAWはアメリカ労働総同盟産業別労働組合会議(AFL-CIO)とともに、米国通商法の条項に基づいて中国政府を提訴し、労働者の諸権利の違法な弾圧に関して中国に制裁を加えるよう要求した。
 「この提訴が成功していれば、結果として中国の賃金が引き上げられ、中国の労働者と家族、地域社会だけでなく、他国にも利益を与えていただろう」とゲッテルフィンガー会長は述べた。「人口10億人余の中国で、労働組合に加入して生活水準の改善を求めて交渉する権利を得た場合、いかに大きな購買力を得る可能性があるか、ちょっと想像してみてほしい。この追加的購買力が、世界経済にいかに大きな刺激を与えうるか想像してほしい。残念ながらブッシュ大統領は、中国人労働者の生活水準向上にほとんど関心を示していない。大統領は調査もせずにAFL-CIOの提訴を棄却した」
 ゲッテルフィンガー会長は「IMFは、グローバル経済が勤労世帯のニーズを満たすにはどうすればよいかについて、独自のビジョンを持っている」と強調した。主要な手段の一つは国際枠組み協約(IFA)である。IFAは企業に対し、グローバル事業のすべてにおいて国際労働機関(ILO)の中核的労働基準を承認し、ディーセントな賃金と安全な労働条件の提供を義務づける。
 ユルゲン・ペータースIMF会長は「自動車産業の歴史におけるこの独特な展開は、電光石火の速さで起こっており、私たちは一連の複雑な課題に直面している。経済的視点から見た最大のリスクは、企業グループがレミングのように一斉に過剰設備の落とし穴にはまり込んでいくであろうことだ」
 ペータース会長は労働組合の課題と対応に触れて、「国家に管理される中国の公認組合は、現在までのところ、国際的に承認された労働者・労働組合の権利の導入・実施を求めて闘うことを怠っている」と述べた。
 「中国の組合は、これらの権利の否定を積極的に支持さえしている。しかし私が間違っていなければ、今、慎重な雪解けの兆しがいくつか見られ始めている。私はIMFが中国とその経済・民主主義・労働組合の発展の主題に本格的に取り組むことを大いに支持する」
 さらにペータース会長は、この問題を詳細に評価して措置を提案するために中国ワーキング・グループを設置するという先ごろのIMF執行委員会決定に触れ、この決定を歓迎した。
 ペータース会長は代議員たちに、2000年1月にドイツのウォルフスブルクで開かれた前回の世界自動車協議会が、自動車会社とのIFA締結について合意したことを思い出させた。
 「過去4年間に、これらの目標の達成へ向けて少し前進した。少なくとも、4本の国際枠組み協約を締結させることができた。やるべきことはまだ山積している。しかし、私たちは非常に有望なスタートを切った」
 プレゼンテーションとパネル・ディスカッションでは、「貿易自由化と自動車産業再編成」や「自動車産業をグローバル化するための労働組合手段」といった問題を取り上げた。
 世界自動車協議会は最後に結語を採択し、IMFと加盟組織に対し、産業全体の能力を強化して労働組合が直面する課題に対応するよう要求した。
 スピーチや出版物、結語へのリンクなどの追加情報については、IMFウェブサイトの世界自動車協議会資料ページを参照のこと。
[2004年6月9日]