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依然不利な女性の立場――報告書で明らかに


国際女性デーにあたり、2つの最新報告書が発表された。それによると、女性は雇用・教育機会が拡大しているにもかかわらず、職場では有給雇用へのアクセスと賃金平等の両面で今なお不利な立場に置かれている。


全世界:国際労働組合総連合(ITUC)が委託した報告書『世界の男女賃金格差』によると、世界の男女賃金格差は16%に達する。つまり、平均して女性は男性よりも賃金が16%少ないということである。63カ国の公式統計を分析した結果、格差が徐々に縮小している国もあるが、変化が見られない国や、逆に差が広がっている国もあることが明らかになった。

実際には、男女賃金格差は報告された数字以上に大きい可能性が高い。というのも、何億人ものインフォーマル労働者の所得に関する情報がなく、全国統計の収集方法がまちまちであるため、情報に大きな不備があるからである。

この報告書は明らかに、労働組合による団体交渉が男女の賃金平等を促進することを示している。「数十年前から差別禁止法が施行され、企業の言葉に変化が見られるにもかかわらず、ニューヨークでも上海でも、女性の給料袋は今なお男性よりはるかに薄い。世界中の労働者にとって明るいニュースは、この報告書のデータが裏づけているように、労働組合が賃金格差の縮小に成功していることだ。団体交渉を通して、男女がより有利かつ平等な賃金を得るようになっている」と、シャラン・バーロウITUC会長は述べた。

ILOも報告書『世界の雇用情勢女性編2008年版』を発行した。この報告書によれば、有給雇用に就く女性はますます増えているが、女性の仕事は賃金が低く不安定である可能性が高く、社会的保護や基本的な権利も与えられていない。

この報告書は、男女平等を促進するうえで女性のために一定水準の生産的な雇用機会を確保することが重要である点を指摘し、経済成長を達成するには、女性の就業率を高めるとともに、部門別・雇用形態別分布における男女差を縮小しなければならないことを明確に示している。報告書は、ほとんどの地域が女性の完全な経済統合を達成し、開拓されていない経済開発可能性を実現するのはまだずっと先の話だ、と結論づけている。

ITUC:『世界の男女賃金格差』
http://www.ituc-csi.org/spip.php?article1880
ILO:『世界の雇用情勢女性編』
http://www.ilo.org/global/lang--en/docName--WCMS_091225/index.htm


[2008年3月7日]