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驚くべき事実:労働市場の規制緩和は開発促進手段ではない!


数年にわたって労働組合から激しい批判を受けた末、世界銀行はようやく同行スタッフに対し、労働者保護水準が最も低い国々に高い格付けを与える主要出版物『Doing Business』の労働指標の利用をやめるよう指示した。


全世界:数年にわたって労働組合から激しい批判を受けた末、世界銀行はようやく同行スタッフに対し、労働者保護水準が最も低い国々に高い格付けを与える主要出版物『Doing Business』の労働指標の利用をやめるよう指示した。これらの指標は発展途上国に対し、開発手段として、また融資や交付金の受給条件として、労働市場の大幅な規制緩和の採用を強要するために利用されている。

全世界的危機の折から、金融機関は南北両方のすべての国々の労働者に最も深刻な打撃を与えている現下の問題を生んだ一因として厳しく批判されており、世界銀行は重要な措置を講じようとしている。この措置は、世銀の政策勧告に迅速かつ効果的に具体的な形で盛り込まれれば、発展途上国の雇用政策にプラスの効果を与える重要な変化をもたらす可能性がある。

4月27日に発表された世界銀行の公式声明は、「社会的弱者を堪え難いリスクから保護するソーシャル・セーフティーネットや、企業だけでなく労働者・家族の権利保護」といった「開発目標」の重要性を強調している。

世銀はソーシャル・セーフティーネット、「失業保険や社会保障のような給付の受給権の問題」に関する作業も拡大している。

『Doing Business』指標に関して、世銀はアニュアル・レポートで「うまく立案された労働者保護が社会全体にとって有益であることを認識し、関連ILO条約の文言と精神に従う労働者保護政策を高く評価するために、有期契約労働者や解雇手当基準、義務的な休息日・夜間労働・休日および最低賃金水準に関する規定の」評価方法を調整する。

さらに、「ガイダンス・ノートを発行し、これらの指標が世界銀行の政策を表すものではなく、政策的助言の基礎として、あるいは被援助国向けの開発戦略や援助プログラムを概説または評価する国別プログラム文書において、利用してはならないことを明確にする。このノートでは、従業員の権利を保護する適切な措置に基づいてフォーマル・セクターの雇用増加を促進し、企業から労働者・低所得世帯へのリスク転嫁を防ぐ規制アプローチの重要性を強調する。……当行は、国際規格設定機関としてのILO、労働組合、企業、研究者および法律専門家の代表から成るワーキンググループを結成する。……その目的は、フォーマル・セクターで将来の危機に耐え得る十分な保護を提供し、堅固な雇用の創出を支援する規制の導入を視野に入れて、労働者雇用指標(EWI)改正や新しい労働者保護指標の設定……労働市場・雇用保護問題について助言することである。新しい労働者保護指標(WPI)の立案にあたっては……ある国が、失業の場合も含めて労働者の適切な保護を確保するために、どのように中核的労働基準を遵守し、政府の法律・規則その他の文書を利用しているかといった問題を取り上げることができるだろう」。

IMFは他のグローバル・ユニオンとともに、これらの喜ばしい展開が実行に移されるかどうか積極的に監視していく。

[2009年4月29日]