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トルコで「民間労働事務所」の権利拡張に反対

世界銀行・国際通貨基金当局者とトルコ政府との会合の4日前に、グローバル・ユニオンはトルコの労働大臣と会談、臨時労働者を企業に斡旋する幅広い権利を「民間労働事務所」に与える法案に対するアブドゥッラー・ギュル大統領の拒否権発動を支持し、不安定雇用が社会にもたらす危険について警告した。


トルコ:国際労働組合総連合(ITUC)、国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)、国際繊維被服皮革労組同盟(ITGLWF)およびIMFの代表が労働大臣に、「契約・派遣労働や不安定な雇用形態が世界中で激増し、労働者を2種類に分裂させている。すなわち、安定した質の良い雇用に就く労働者と、低賃金の短期雇用に就き、社会的保護もなく、権利を奪われた労働者だ」と報告した。

今日、イスタンブールで記者会見が開かれ、マンフレッド・ワーダICEM書記長が次のように述べた。「全世界で、派遣会社や人材斡旋会社を通して正規雇用から臨時労働・雇用への大規模なシフトが起こっており、すべての労働者と家族、社会に深刻な影響を与えている。従業員・使用者関係は労働法の基礎となっている場合が多いが、この関係が衰退しており、労働者の諸権利の侵害の増加に直結している」

「これは世界銀行・国際通貨基金といった国際金融機関が推進する、国際的な『政策変更』と関係がある。これらの機関は労働の柔軟性を奨励し、それによって各国で労働条件を低下させている」とワーダは付け加えた。「そのような変更は、パートタイムや派遣労働を通して団体交渉を弱体化させようとする使用者側の明白な戦略を反映しており、ICEMは可能な限りの方法でこれに抵抗していく」

ガイ・ライダーITUC書記長は今日、先週グローバル・ユニオンがG20サミットに送ったメッセージを繰り返し、次のように述べた。「不安定な形態の労働の増大と労働市場の規制緩和は、雇用危機の解決策ではない――事実、過去数十年間にわたる労働者の不安感は、景気後退をもたらした重要な要因だった。ここ数十年間に不安定労働と脆弱な金融市場がともに拡大しているのは、偶然の一致ではない」

「不安定な開発ではなく、持続可能な開発を基礎として前進していかなければならない――目標は、金融部門が実体経済の役に立つ持続可能な経済だ。地球が被った損害を安定した質の良い雇用を提供する方法で修復するには、社会的公正と環境維持が必要だ」とライダーは付け加えた。

ニール・カーニーITGLWF書記長は次のように述べた。「派遣雇用や臨時契約は雇用保障を破壊し、その他すべての権利を弱体化させ、臨時労働者の搾取だけでなく、並んで働く正社員の目に余る搾取も助長する」

「トルコでは、ITGLWF加盟組織Teksifがエディルネ・ギイムと激しく闘争している。同社では、長期勤続の常用労働者を削減し、最終的には排除するために、賃金・労働条件の低い派遣型契約に基づいて雇用される労働者が利用されている。組合が労働条件の悪化に抵抗した結果、組合員が大量に解雇された」とカーニーは付け加えた。

「ITGLWF加盟組織はトルコのほかの場所でも、繊維・被服・皮革産業の使用者と日々闘っている。これらの使用者は、労働組合結成や労働者の権利保護を阻止するために、下請契約、未申告労働、短期契約など、あらゆる手段を利用している。この猛攻撃に対する労働者保護を回復するために、政府の措置が緊急に必要とされる」とカーニーは要求した。

ユルキ・ライナIMF書記長がこう述べた。「使用者が人材会社を通した賃労働への依存度を高める中で、常用雇用が浸食されている。一部の工場では、今や労働力の過半数が派遣労働者で占められている」

「金融危機が不安定労働者にさらに打撃を与えた。何十万という不安定労働者が真っ先に雇用を失っている。離職手当や通知期間に対する権利を持たない労働者を解雇することは、使用者にとって、労働力を削減する安上がりで簡単な方法だからだ。この危機は雇用に重大かつ広範な影響を及ぼしている」と同書記長は付け加えた。

「ここトルコでは、IMF加盟組織ビルレシク・メタル・イスが、労働組合加入権を行使したために昨年シンター・メタルに解雇された350人の労働者を支援している。同社は『この解雇は不可欠な金融危機対策だった』と主張しているが、証拠を見る限り、これは組合員を解雇し、労働者が自分たちの雇用を保護するのを妨害するための根拠の弱い口実にすぎない」と同書記長は述べた。

来週、世界中の金属労組が不安定労働に対抗して結集し、他の全国組合や部門別組合とともに10月7日(水)のディーセント・ワーク世界行動デーに加わる。

ICEMはタイとトルコの契約・派遣労働キャンペーンに、ディーセント・ワーク世界行動デーの活動の焦点を合わせる。

「標準以下の不安定な雇用は自律的回復の基礎にならない。だから今日、世界中で組合・組合員が団結し、すべての労働者のために安定した仕事と権利平等を要求する」とユルキ・ライナは述べた。

ITUCは157カ国・地域で1億7,000万人の労働者を代表し、各国に312の加盟組織がある。ICEMは132カ国の労働組合467団体を代表しており、ITGLWFは全世界で110カ国の労働組合217団体を、IMFは100カ国で200を超える労働組合を傘下に収めている。

ディーセント・ワーク世界行動デーに関する詳しい情報については下記サイトを参照: http://www.wddw.org/

不安定労働に対抗するIMFキャンペーンに関する詳しい情報については下記サイトを参照: http://www.imfmetal.org/index.cfm?n=696&l=2

ICEM契約・派遣労働キャンペーンに関する詳しい情報については下記サイトを参照: http://cal.icem.org/

シンター・メタルでの争議に関する詳しい情報については下記サイトを参照: http://www.imfmetal.org/index.cfm?n=692&l=2

[2009年10月2日――アニタ・ガードナー]