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シンガポールで60歳以降の賃金差別を撤廃

シンガポールの組合は統一行動により、60歳以降の賃金カットを自発的に廃止させた。

シンガポールシンガポールでは10年以上にわたって、使用者が60歳以上の労働者の給与を10%引き下げることが一般的な慣行となっていた。労働組合が統一戦線を張って、この慣行が侮辱的・差別的であることを使用者に納得させた結果、そのような慣行が急遽廃止されることになった。

金属産業労組(MIWU)と化学産業労組(CIWU)をはじめとする7組合が過去数カ月にわたって交渉し、60歳賃金カット慣行の廃止を取り決めた。これは、この島国の労働分野における重要な進展である。

3万4,000人を超える労働者が今年、60歳になったというだけで賃金をカットされずにすむようになる。この最近の施策は法律に基づくものではなく、リム・スウィーセイ全国労働組合会議(NTUC)書記長とガン・キムヨン・シンガポール労働大臣が使用者に強く公然と要請したことによって実現した。

交渉による合意のいくつかによると、60歳以上の労働者は給与を維持するには業績ベースの指標を満たさなければならないが、そのような要件のない合意もある。MIWUは、すべての労働協約に組み込まれた慣行を廃止した。これは1万1,000人の高齢労働者に利益を与えた。ある組合、シンガポール空港ターミナル・サービス労組は、12月に60歳賃金カット禁止規定を仕上げる予定で、カットされた給与が2010年1月にさかのぼって支払われる。

この慣行の廃止に成功した組合として、そのほかにナットスチール従業員組合、シンガポール銀行従業員組合、DBS銀行職員組合、シンガポール通信会社従業員組合が挙げられる。CIWUが民間企業数十社でこの慣行を廃止した結果、高齢石油化学労働者4,500人が恩恵を受ける。

この慣行は、退職年齢が62歳に引き上げられた1999年に始まった。その後、退職年齢法が修正され、60歳賃金カット慣行が法的に承認された。

ヘン・チーホウNTUC書記次長は、多種多様な産業・部門の多数の企業が組合とともに,逆行的な慣行を見直し、その廃止を決定したことは励みになる、と述べた。

[2010年11月30日――ICEM]