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CTUHR、フィリピンの組合指導者殺害事件の捜査を要求

労働組合権・人権センターは、フィリピンで発生した組合指導者殺害事件の「即刻かつ徹底的な」捜査を要求し、政府に他の労働組合員を保護するよう求めている。

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フィリピンフィリピン労働組合権・人権センター(CTUHR)は国家当局に対し、最近起きたシエリト・バッカイ殺害事件の「即刻かつ徹底的な」捜査を要求している。

3月8日、日系鉄鋼・ステンレス鋼製品メーカーの前野技研がカビテ州ダスマリニャスに所有する鉄鋼工場で、前野技研労働者組織(MAGIKWO)の指導者・創設者である31歳のシエリト・バッカイが、帰宅途中に身元不明の男たちに至近距離から撃たれた。警察官が現場に駆けつけたところ、9ミリ弾の空薬莢が1つ落ちており、同じ銃から発射された変形した弾丸1個がバッカイの上着の中に残っていた。バッカイは直ちに近くの病院に搬送されたが、そこで亡くなった。

CTUHRと労働者援助センター(WAC)、カビテ労働者連帯組織(SCW)は、殺害の状況を調べるために合同実情調査団を派遣した。調査団はMAGIKWOと経営側との間で進行中の争議の詳細を確認した。伝えられるところによれば、組合設立以来、経営側は組織化を阻止しようと躍起になっていた。労働者からは、嫌がらせや厳しい懲戒処分が続いていることも報告された。

犯人はおろか利用された車さえ明確に特定できる目撃者がいないため、事件から3週間以上が経過した今も、明確な捜査方針が立っていない。MAGIKWO組合員は実情調査団に「組合加入や組合活動以外にバッカイ殺害の動機があるとは思えない」と慎重に述べた。事件の1週間前、バッカイは経営側から持ちかけられた昇進話を断っていた。その申し出を受け入れれば、組合指導者を続けることができなかったのである。

「この事件もまた労働者の生存権に対する攻撃だ。当局はバッカイ殺害事件を即刻かつ徹底的に捜査し、犯人を投獄しなければならない」とアーマンド・エルナンドCTUHR代表は述べた。

CTUHRはプレスリリースで、この事件の先行きとMAGIKWO組合員への影響について懸念を示した。「威嚇して実質的に組合をつぶすことが、最もありそうな殺害の動機であるように思える。このような事件があったため、MAGIKWO組合員は今、自分たちも殺されるのではないかと戦々恐々としている。私たちは政府に対し、他の労働組合員を保護するとともに、直ちに加害者を法に基づいて裁くよう求めている」とエルナンドは付け加えた。

[2011年4月6日――アレックス・イワーノウ]