第7回戦術委員会確認事項
2004年3月17日
全日本金属産業労働組合協議会
(IMF−JC)
金属労協は、集中回答日である本日11時15分より第7回戦術委員会を開催し、現時点での回答に対する見解、ならびにJC共闘の今後の進め方を次のとおり確認した。

.2004年闘争は、日本経済が景気回復基調を強める一方で、産業・企業ごとの業績や企業体力にバラツキが見られる下での取り組みとなった。
 われわれは、競争力の源泉である「人」への投資という観点から、今後とも国際競争力を維持・強化していくためには、組合員の生活安定とその成果の適正配分が不可欠であるとして、総合労働条件の改善を実現すべく取り組みを展開した。
しかしながら経営側は、「コスト競争力の強化が最優先課題」「現行賃金水準の高さも課題」「業績回復途上であり、一時金も慎重な検討が必要」「60歳以降就労は、希望者全員の雇用は困難」など、産業によって違いがあるものの、将来を予知し難い時代にあっては、競争の優位性確保や体質強化が最優先課題であるとして、最終局面まで慎重な姿勢を崩さないなかでの交渉となった。
 こうした経営側の主張に対し、われわれは第4回戦術委員会の最終方針に基づいて、粘り強く取り組みを展開してきた。

.集中回答日である本日12:00現在、金属労協集計対象A組合65組合中、47組合で回答を引き出した。
この回答は、金属労協傘下の各組合が「ものづくり産業」「金属産業」という共通の基盤に立ち、産業・企業の実態を踏まえつつ、各産別の主体的な取り組みの下で総合労働条件改善に粘り強く取り組んだ結果引き出したものであり、金属労協全体として一定の成果を引き出すことができたものと受け止められる。未だ多くの課題があるものの、今後の闘争のあり様を示すものとして、さらに総合労働条件闘争の強化に努めていくこととする。
賃金については、本日回答を引き出したすべての組合で、定昇の実施等によって賃金構造維持分を確保し、現行賃金水準を維持している。賃金構造維持分を確保したことは、日本経済の景気回復基調を着実なものとし、組合員の生活安定を図る取り組みとして、一定の役割を遂行し得たものと考える。また、自動車総連傘下の1組合では、粘り強い交渉の結果、ベアの有額回答を引き出すことができた。引き続きベア獲得に取り組む480組合の交渉に生かしていかなければならない。今後回答引き出しを図る中小労組においても、この成果が波及するよう、積極的に交渉を展開する。基幹労連・鉄鋼部門の中期賃金改善の取り組みは、基本賃金の引き上げが具体的に約束されてはいないものの、今後の労働条件向上に向けた経営側の意思が表明され、労使検討の場が設置されたことは評価できる。
一時金は、一部で昨年水準を下回る組合がでたものの、多くの組合で水準の回復・引き上げを果たすことができた。今後、この成果を中小労組等の取り組みに結びつけるべく共闘を推進していく。しかしながら、企業業績を一時金に反映する傾向が強まることによって水準格差が拡大しており、組合員の生活安定を図るべく、金属労協の最低獲得水準である年間4カ月を確保する取り組みを強めていくこととする。
60歳以降の就労確保については、金属労協全体として公的年金満額支給開始年齢引き上げを踏まえた取り組みを強化しているが、基幹労連では今次闘争において精力的な取り組みを推進した結果、実質的に年金満額支給開始年齢と接続した制度を導入することができた。60歳以降の就労確保が社会的な重要課題となっているなかで前進回答を引き出した意義は大きく、今後さらに中小労組を含めた金属労協全体で制度実現を図るべく、取り組みを強化していく。
次世代育成支援対策推進法への対応については、電機連合等で労使協議の場の設置が確認された。仕事と家庭の両立支援の観点から、勤労者のニーズにあった行動計画策定に取り組む枠組みを確立することができたものと受け止められる。さらに、電機連合では、配偶者出産休暇5日の実現、キャリア開発支援のための労使協議の場の設置をすることができた。これらの取り組みは、「新たな働き方」を支える仕組みづくりの先鞭をつけたものと評価できる。
年間総実労働時間短縮や働き方の改善に向けた取り組みについては、自動車総連、JAM等を中心に取り組みが展開された。労働時間の現状と課題について労使の共通認識を得るとともに、長時間労働の是正や年休取得増などについて、産別・単組の実態を踏まえた前進が図られた。今次闘争における真摯な労使の論議を今後の年間総実労働時間短縮に向けた取り組みに結び付けて行かなければならない。
 JCミニマム運動は、2年目の取り組みとなる。「JCミニマム(35歳)」と企業内最低賃金協定については現在集約中であるが、本日以降回答を引き出す中小労組においても、JCミニマム運動の考え方を徹底し、金属産業で働く勤労者全体の賃金の下支えを図るべく取り組みを強化していく。

.各産別は、上記の総合労働条件改善の成果を踏まえ、JC共闘体制を堅持し、交渉を継続する企業連・単組を支えていく。特に、中小組合については、連合の中核部門としての役割と責任を自覚し、各産別の指導のもと、賃金構造維持分の確保と一時金の年間4カ月確保によって生活の安定を図りつつ、総合労働条件の維持・向上に向け、交渉を展開していくこととする。

.次回第8回戦術委員会は、4月2日(金)10:00から開催する。

以 上