2008年闘争シンポジウム 中村労働政策委員長挨拶要旨

取りまく情勢として、経済情勢は、2007年度の実質成長率は2.2%という見通しになっている。2007年度2%成長を達成すると、5年連続で2%成長を達成するということになるが、これは先進国の中では最低の水準であるということに留意しておく必要がある。また懸念材料として、アメリカ経済の先行きの不透明さ、円高ドル安がある。消費者物価はゼロ近辺で推移。原油高等の影響により、秋以降には上昇に転じるとの見通し。失業率は9月になって4%に悪化。有効求人倍率は、1倍を超えている水準だが、正社員の有効求人倍率が極めて悪い(0.59倍)。これは非正規労働者が増えてきているということ。
可処分所得は残念ながら9年連続低下している。労働分配率は59.4%、前年度比マイナス0.5%になった。今年から統計上各会社の役員のボーナスは従業員の所得として算入されることになったにもかかわらず、昨年に比べてマイナス。算入していなければもっと大きなマイナス幅になった。総実労働時間は2041時間、週60時間以上仕事をしている人は、13年前から横ばいの状況が続いている。特に、30代・40代の働き盛りの人の残業時間が極めて多いという実態がある。さらに、過労死も過去最高の水準である。
金属産業各企業の業績は、増収増益傾向になっている。全体として金属産業の業績は改善が続いているといえる。輸出についても大幅な増加が続いている。しかし原材料価格の高騰、米国経済の先行きの不透明さ、為替の動向という懸念材料も出てきた。
金属労協としての2008年闘争の基本的考え方は大きく3点。@日本の基幹産業である金属産業にふさわしい賃金水準を追求するAワーク・ライフ・バランスの実現等を含めた、総合労働条件の改善を目指すB非正規労働者の労働条件の底上げを図る、ということ。このことによって金属産業の魅力を高めるとともに、内需の拡大にも寄与する成果に結びつけるという考え方。
具体的な取り組みについて、金属産業にふさわしい賃金水準の追求については、大くくり職種別賃金水準の形成によって、金属産業にふさわしい賃金水準を求めていこうという考え方で取り組む。これを成し遂げるために、賃金実態の把握と賃金制度の確立を、中堅中小組合を含めてやっていきたい。
ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方に向けての取り組みは、年間総実労働時間短縮のために、時間外労働の削減や所定労働時間1800時間台の実現をめざす取り組みを行なう。そして、時間外割増率の引き上げに取り組むことも明確にした。仕事と家庭の両立支援についても、具体的な取り組み項目を挙げて推進していく。
また、非正規労働者の労働条件改善については、具体的にはJCミニマム運動による賃金の底上げに取り組んでいくとともに、非正規労働者の受け入れに関する労使協議を各単組が確実に行なうといった要求も織り込んでいく。