第50回協議委員会 加藤議長挨拶

挨拶をする加藤議長 2008年闘争JC共闘の強化で、
賃金改善の流れをさらに加速させよう
ワークライフバランスの実現へ
長時間労働の削減と
時間外割増率の引き上げを

○はじめに
・この協議委員会は2008年闘争に向け、マクロ環境、金属各産業のおかれた状況、連合の考え方を確認し、金属部門の役割、JC共闘の意義について共通認識を作り上げ、取り組み内容を決定する場である。

・小泉、安倍政権の6年間で勤労者の家計は疲弊し、分配は企業側に偏ったままである。この是正に向け、政治の課題も多いが、労働組合としてこの春の取り組みで強い意志を示しこれを実現していくことが重要である。皆さんの積極的参加で方針の補強をお願いしたい。


○大会以降の情勢と活動

・政治動向
本年7月の参議院議員選挙で与野党が逆転し、民主党が第一党となった。民主党の掲げる生活者第一の政策が分かり易くなると期待した。ところが安倍総理が政権を投げ出し、福田総理へ代わった。その後、大連立問題が浮上し、政策論議見えにくくなってきた。 
 そうした中、防衛省の贈収賄事件が発覚した。小泉・安倍政権では盛んに改革を標榜してきたが、しかし体質は不変だった。やはり政権交代が必要である。そのためにも一日も早い解散総選挙が必要である。衆議院での民主党過半数めざし、連合も11月21日に中執で選挙方針を確認した。「常在戦場」の気持ちで事に当たる必要がある。


・国際活動
本年9月には中華全国総工会と交流、10月はIMFアジア太平洋地域調整会議を実施した。11月にはIMF執行委員会、中央委員会をブラジルで開催したが、IMF(国際金属労連)の運動自体大きな曲がり角に来ていると感じている。
再来年のIMF世界大会で会長、書記長が交代する予定である。それに向け現在のIMF本部の中央集権的運営をより透明で民主的なものに変えていく必要があると考えている。IMF執行委員会で2009年の世界大会に向け、組織や活動のありかたを検討するための作業委員会の設置が確認された。
一方、地域でも、IMF東アジアサブリージョンと東南アジアサブリージョンの統合を確認するなど改革が進んでいる。
また、IMFとして、繊維や資源エネルギーの国際組織との協力や、統合の模索も議論され始めた。
グローバル化が進展する中、国際連帯は重要な課題である。皆さんとも相談しながら的確に対処していきたい。


・10月11,12日と連合大会
連合は非正規労働者の問題に正面から取り組むなど格差社会の是正に向け積極的な方針を掲げ木、古賀体制の二期目がスタートした。金属労協としても、金属部門として支えていく。

・後ほど役員選考委員会報告あるが、團野事務局長を連合の副事務局長として送り出すことを決断した。連合の理解を得て国際分野などは当分手伝ってもらうが、来年の改選までの間、事務局長代行を置くこととし若松事務局次長にお願いすることになった。ご理解をお願いしたい。

・一昨日の連合中央委員会で、連合は2008年闘争の方針を確認した。その場で高木会長は連合として当面の課題の一つとして「地球環境問題」を挙げられた。JCとしても環境問題は重要政策の柱である。一昨日経団連、社会経済生産性本部との連盟で「サマータイム」の実施を促す要請を甘利大臣に行った。今後もフォローしていきたい。


○2008年闘争に臨むに当たり
・2007年闘争では2006年に引き続きJC全体で賃金改善に取り組んだ。特に格差是正や底上げを意識し、中堅中小組合の取り組みを前面に出し連合中小共闘との相乗効果を狙った。結果、全体として前年以上の結果を引き出し、全体の流れを作り出す役割を果たすことができた。

・連合も中小共闘4年目、パート共闘2年目で着実な成果をあげている。以降、最低賃金法の見直しなどの機運も受け最低賃金の二桁引き上げを実現している。また、非正規労働問題にも積極姿勢を示し、底上げの流れを作りつつある。しかし労働分配率は反転しておらず、危機感が強い。

・2008年に向けて、景気は相変わらず緩やかに拡大、金属各産業も全体として好調を維持している。しかし拡大と言っても外需が中心である。原油高、アメリカのサブプライム問題の影響が予想外に尾を引いていることなどから不透明感があることも事実である。

・そのような中で、社会保障中心に将来不安が強い。また、物価下落の中でも生活関連物価は上がっており、税など負担増に苦しむ家計は大きく痛んでいる。非正規労働の増加にも歯止めはかからず、これらが内需を停滞させている要因である。

・一方働き方の面での劣化も大きな問題である。正規社員の労働時間は限界まで来ている。政府も経営諸団体もワークライフバランスを唱えているが総論と各論は大きく乖離している。労働組合としてとりわけこの長時間労働の削減に力を注ぐ必要。連合はそのための時間外割増率改定の取り組みを強く推進している。JCとしてもこれに参加する方向で議論してきた。

・バブル崩壊以降金属産業労働者の労働条件は相対的に低下を続けている。日本経済の屋台骨を支える産業に働くものとして、経営側に「人材への投資」の必要性を強く訴え、まずは自らの賃金の引き上げ実現を果たしていく。

・基幹産業として全体を引っ張っていくことは金属部門の役割である。自らの改善が全体の引上げにつながる。連合は分配率の反転に強い決意を持って臨むよう訴えている。JC各産別としては併せて内需主導の景気拡大への転換も強く意識し2008年闘争に臨む必要がある。JC共闘を強化し昨年より力強い取り組みにしていきたい。

・さらに非正規労働者の底上げを図る意味で、企業内最低賃金の締結、自社に関る非正規社員の処遇改善や正社員化なども労使協議のテーブルに載せて欲しい。



○2008年闘争のポイント
2008年の取り組み項目で特に強調しておきたい点は次の点である。
・賃金引上げについては
@一昨年から復活した賃金改善の流れをさらに加速していく。
A「おおくくり職種別賃金」の形成を意識し、絶対水準を重視する。
B各産別にて「賃金格差」「労働条件としての課題」を踏まえ「賃金改善」分を設定。その際、昨年水準もしくはそれを上回ることを念頭に、JC共闘を強く意識した要求設定をしていく。


・中堅中小の取り組み
@連合の中小共闘も意識しつつ、昨年同様中堅・中小の相場形成につながる取り組みを行う。積極的な情報開示を行っていく。

・非正規労働者の労働条件、処遇改善に向けて
@非正規労働者の底上げに結び付けるべく企業内最低賃金協定締結組合の増加に全力を傾注する。
A非正規労働者の受け入れに関する労使協議の強化を行う。
B可能な組織は正社員化に向けた労使協議、組織化、労働条件、処遇改善などの協議などを実施する。


・ワークライフバランスの実現に向けた労働時間短縮、時間外割増率の引き上げ
@36協定の特別条項の厳格な運用はもちろん年次有給休暇の取得促進、休日増、一日の所定労働時間の削減などによって総労働時間1800時間台の実現を図る。
A所定外労働時間の削減に向け所定外労働割増率の引き上げに取り組む。
割増率引上げは、連合として国会での法制定のあと押しの意味で社会運動として取り組み、2008年では割増率につき共闘組織を立ち上げる。各組合は積極的に共闘に参加し要求実現を果たしていきたい。また、諸事情で共闘参加できない組合も割増率引上げの流れを作る努力をしていく。


○最後に
・わが国の労働分配率が低下している要因は付加価値の増加に見合った賃金への配分が行われていないこと、賃金の低い非正規社員が増加していることが二大要因である。

・そしてそのことが格差拡大、外需依存の経済成長、デフレ下での経済成長、といういびつな経済に直結している。

・欧米諸国は2〜3%の物価上昇を伴いながら経済拡大を遂げている。デフレから脱却できていないのは先進国の中で日本だけである。そしてそのしわ寄せは勤労者にもっぱら押し付けられている。労働組合として忸怩たる思いである。

・一部報道で今年は経団連も経労委報告で「賃上げを容認」と言うような報道がされているが、実際の交渉はそのような甘いものではない。 しかし、経営者も個人消費を何とかしなければの思いは強いはず。そういう意味では2008年闘争はチャンスでもある。

・また経営側も各所で「ワークライフバランス」の重要性を提唱しており、労働時間短縮、そのための時間外割増率の改定についても前進のチャンスである。

・2008年闘争をぜひとも成功に導き、その勢いで衆議院議員選挙にも勝利し、政権交代を勝ち取って働くものの汗が報われる社会を実現しよう。