第51回協議委員会 高木連合会長来賓挨拶

金属労協として扇の要の役割発揮を
挨拶をする木会長


2009年春季生活闘争について
先日開催した連合第54回中央委員会での2009年春季生活闘争の闘争方針の決定に関して、新聞各紙は「8年ぶりのベア要求」と報じたが、これはあながち特段の取り組みではない。
物価上昇によって目減りした賃金をきちんと補強する。そうした物価に対する措置は、論理的にいえば当たり前のことである。各構成組織、地方連合会で来年1月に会合を持ち要求案を詰めることとなっている。
一方、足下の経済状況が急速に悪化する中、「経営か賃金か」といった報道も一部でなされているが、このような二者択一的な議論には若干違和感を覚える。ひとつの結論として、「賃金を守らないと雇用も守れない」とあえて述べておきたい。賃金こそが需要、ひいては経済を支える基盤である。
09年の交渉に向けての体制作りとして、連合として5部門で共闘連絡会議を設置して交渉を推進する案を打ち出している。共闘の経験がある金属労協(IMF-JC)としては、「扇の要」として、全体の議論を牽引する役割が今まで以上に求められている。ぜひこれまで以上に役割を発揮いただきたい。

世界的な金融危機への対応について
本年11月13-16日、米国の首都ワシントンで開催されたG20金融サミットに並行して、同地でITUC主催の労組サミット会議が召集され、連合も要請に応じて参加した。現地でIMF(国際通貨基金)と世銀といった「ブレトンウッズ機関」や各国の労働組合と協議したほか、労組としての意見をサミットに反映すべく麻生総理とも会談する機会を持った。
今回の危機は金融危機であるが、それ以上に「製造業がだめな経済はだめ」という印象を強く受けた。米国は1980年代に製造業を縮小、海外移転を進めた結果、必然的に金融資本主義に傾くようになった。それが嵩じたカジノ資本主義が、ここにきて行き詰っている。そうした状況をみて、やはり「ものづくり」こそが経済の基盤である、という確信を新たにしている。
その米国では今まさにビッグ3の救援策が議論されている。米国にとって自動車産業は特別思い入れの強い産業であるが、「果たして米国で自動車産業は成り立つのか」という議論も出ている。次期大統領が決定したバラク・オバマ氏はビッグ3救済に意欲を見せているが、IMF(国際通貨基金)の関係者はビッグ3の単独再建は難しいとみている。「大幅な規模縮小をしない限り単独再生は無理、米国の軍需産業と一緒にしなければ無理では」という発言が大変印象に残った。
国内に話題を戻すが、連合として、麻生総理と4日会談をする予定である。定額給付金の撤回を提案すると同時に、代案として定率減税の復活と低所得者に対する現金給付などを提案したいと考えている。