第51回協議委員会 産別からの意見・要望



総力結集し、組合員の生活守り、目指すべき社会実現へ取り組む

神原協議委員(自動車総連)
神原協議委員(自動車総連)
自動車産業を取り巻く環境
自動車産業は、金融危機による世界同時不況とも言われる中で、国内、北米をはじめとする世界的な販売の減速、円の独歩高、ガソリンや原材料価格の上昇などの影響により、これまでに経験したことがない極めて厳しい環境下に置かれている。
08年10月後半から11月にかけて公表された自動車メーカーの中間決算、および通期の決算見通しを見ると、総じて前年に比べ大幅な減収減益であり、その厳しさを示すものとなっている。
また、国内外の販売低迷に伴う生産台数の減少に対応するため、各社においては生産体制を昼夜の2直生産から昼勤のみの1直生産に変更したり、稼働日振り替えや非稼働日の設定、工場間応援など、ありとあらゆる稼働対応を行っている。その結果、職場の組合員にも大きな負担・変化が生じている。
 しかしながら、それでもなお、日々の市場動向に減産調整が追いつかないため、経営の判断として、やむを得ず、同じ職場で働いていた非正規労働者の契約期間満了後の契約延長を行わないなど、非正規労働者の雇用にも大きな影響が表れている。
こうした状況について職場の組合員からも、同じ働く仲間として大変つらいとの率直な声も届いている。足元で生じている非正規労働者への対応については、労働組合としてこれまでも、経営側への働きかけなどを行ってきているが、各労連・単組とともに、労働組合としてやるべきことをより強化していくことを中央執行委員会でも確認したところである。
産業・企業を取り巻く環境が、昨年とは様変わりの状況の中、2009年の賃金引上げ方針について、産別としての方向性を見出すべく、何度も厳しい議論を積み重ねているところである。

要求基準の考え方
次に、賃金引上げ方針の構築に向けた自動車総連としての基本的な考え方を申し上げたい。
1点目は、賃金引上げを通じ、危機的な状況にある日本経済の悪化に歯止めをかけ、内需主導の経済への転換を図ることが、労働組合としての社会的役割・使命であること。 2点目は、組合員の生活を守るという観点から、物価に対するこれまでの考え方を大切にし、物価上昇を踏まえた要求とすること。
3点目は、自動車総連全体が一つになって取り組めるとともに、各組合の要求の下支えとなる要求基準とすること。 2009年の取り組みを検討する過程で重視した観点は、以上の3点である。
具体的な要求基準については、目指すべき内需主導の経済への転換を図ることを重視するとともに、生産性の向上、格差・体系の是正、物価動向、産業情勢など、様々な観点を総合的に勘案して設定していく。 いずれにしても、こうした観点を踏まえ、産別内で議論を深め、09年1月の中央委員会での方針決定に向けて、具体的な要求基準を詰めていきたい。

さいごに
取り巻く環境が厳しい今だからこそ、労働組合としての社会的な役割・使命を果たすことが強く求められている。自動車総連としても、総力を結集し、組合員の生活を守り、目指す産業・社会の実現に向けて、強い決意で取り組みを推進していきたい。

法改正に基づくワークライフバランスの実現に向けJCとして具体的対応を

伊藤協議委員(基幹労連)
伊藤協議委員(基幹労連)
◆2年サイクルの取り組みの完結へ全力
ご承知のとおり、基幹労連は2006年闘争より2年サイクルの取り組みを実施しており、08年闘争が主要な労働条件全般について取り組む「基本年度」であったことに対して、09年闘争は「個別年度」の位置づけのもと、年間一時金と産別基準への到達を含めた格差改善を中心とした取り組みとしている。そのもとで、09年の取り組みでは、08年闘争で得た賃金改善や様々な労働諸条件改善の実績をベースに、その成果を組織全体のものとし、業種別組合の労働条件の底上げをはかることで2年サイクルを完結させていきたいと考えている。
◆世界的な金融危機への対応
さて、今次闘争においては、JCや連合が情勢分析しているとおり、我々は100年に1度と言われる世界的な金融危機のさなかにあり、その影響を慎重に見極めざるを得ない状況にある。例年であれば、この時期には産別要求の素案ができる段階ではあるが、産業・企業の状況が「晴れのち大雨、視界不良」という中、現場では生産量の大幅な削減や雇用をも懸念する声も出始めており、これまでの数年間とは明らかに状況が異なる中で、まずは危機管理に万全を期すことが必要であると考えている。
 こうした背景を意識しつつ、冷静にギリギリまで引き付けて取り組み内容を検討していくこととしているが、基幹労連に関わる産業・業種は、過去の長いトンネルをくぐり抜け、強靭な体質を作り上げてきたことは事実であり、また人材の確保・育成は引き続きの課題でもある。そうした観点からすれば、職場におけるやりがいや働き甲斐のさらなる向上は、産業・企業の将来的な発展に向けた好循環の持続という面でも不可欠であり、雇用と生活の防衛を最低限の取り組みとしつつ、職場の思いを精力的に主張していきたい。

◆ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて
最後に、ワーク・ライフ・バランスの実現に関しての要望を申し上げたい。「仕事と生活の調和」の実現は働く者としての悲願であるが、足元の状況を見れば、基幹労連調査では、2007年度の総実労働時間の平均が2,100時間を超える実態にあるとともに、年休取得率も6割程度となっている。ワーク・ライフ・バランスの実現とそのための長時間労働是正に向けて、我々は08年春闘で労使検討の場を設置しており、目下各労使で様々な工夫の下に長時間労働是正の具体的な方策について話し合いが行われているところである。
一方、景気回復という観点からは、外需依存のわが国の経済構造を内需型にシフトしていくことも重要な課題であり、かつてわが国が貿易摩擦に喘いでいた際に「新前川レポート」でも提唱された通り、労働時間短縮は内需を高めることに有効な手立てとなりうるものと考える。こうした面からも、長時間労働の是正はわが国経済にとって喫緊の課題である認識している。
そうした中、先日、労働基準法の改正が衆議院で可決し、ワーク・ライフ・バランスの取り組みは具体的な形として新たな一歩を踏み出した。
そこで、要望の1点目は、JCとしてすべての勤労者の立場から、法改正に基づくワーク・ライフ・バランスの実現に向け、まずは法の順守はもとより、労使の努力義務としている45〜60時間の対応も含め、労働時間削減に向けた主張点の補強や世論形成に向けた議論をお願いしたい。2点目は、改正法案は規模300名以下の企業を対象外として、生活や労働の価値に差をつけるような内容となっており、到底認められるものではない。300名以下の企業も適用から除外されることのないよう、JC全体として働く者の労働の価値を高める取り組みを展開することも併せて要請する。

◆JC共闘について
これまで、JCが世の中の賃金相場をリードしてきました。時代の変化とともに共闘の姿が変わっても、JCが世の中に与える影響、役割は変わらないし、変わってはいけないと思います。JCが世の中をひっぱる責任は重く、基幹労連もその一員として責任を果たしていきたいと考えます。JC5単産で、高らかに力強い言葉をかけあい、全体を盛り上げていこうではありませんか。
基幹労連としても、働く者の安定・安心・信頼の確立に向けて、精一杯の取り組みを展開することを誓い、意見表明とする。

他の共闘連絡会の手本となるべくJC共闘の一層の相乗効果発揮を

石村協議委員(電機連合)
石村協議委員(電機連合)
取り巻く環境と賃金改善への取り組みについて
まず、賃金改善の取り組みについて述べたい。米国発の金融・経済危機が、世界同時不況を招き実体経済に大きな打撃を与えている。特にグローバル化を進め、海外売上高比率の高い日本の製造業にとっては、原油・原材料価格の急激な上昇、円高の進行などにより、2008年度の業績低下傾向が拡大している。そのような経済環境の影響もあり、2009年3月期の電機産業の企業業績は減収・大幅減益となることが予測されている。しかも今回の金融危機の影響が本格的に出てくるのは、これからという見方もされており、2009年闘争を取り巻く環境は、日増しに厳しさを増している。
一方、消費者物価指数は、一時と比べると落ち着きを取り戻しつつあるものの2008年度平均の上昇率は、政府は1.7%(2008年7月)、日銀は1.6%(2008年10月)と予測している。その中でも、食料品やエネルギー価格など生活必需品に関係する基礎的支出項目は3.4%(2008年9月)となっており、実質生活の維持が厳しい状況となっている。
電機連合として、現下の日本経済、労働者の生活実態いわゆる物価上昇分、企業業績、雇用情勢など、これらを総合的に勘案して、金属労協(IMF-JC)の方針に沿う要求を決定していく。
交渉はこれまで経験したことのない厳しいものとなることが想定されるが、これからの日本経済をどうしていくのかというマクロの視点で、2009闘争の成果を最大の景気対策とすべく、産別の役割をしっかり果たしていかなければならないと考えている。

JC共闘の推進について
2点目はJC共闘についてである。今回、連合では、2009年闘争から共通項が多くまとまることのできる産別の集まりによる共闘連絡会議を設置し、将来的には共闘としてより相乗効果を発揮させる仕組みを構築しようとしている。電機連合は金属・共闘連絡会議に参加するが、他の共闘連絡会議と違い、我々はこれまでの金属労協としての実績がある。そういう意味ではまさしく金属労協が、他のお手本となるべくこれまで以上に相乗効果を発揮しなければならない。各産別の置かれている環境に大きな違いがある下で、JC共闘の相乗効果を上げるためには、一層の結束した取り組みが求められる。2009年闘争で賃金の相場波及効果を高めるためにも、JC本部の指導力発揮を要望する。

内需拡大につながる賃上げへ 単組の交渉の支えとなる共闘を

豊泉協議委員(JAM)
豊泉協議委員(JAM)
共闘体制と闘い方の強化について
今春闘は日本経済を「個人消費を中心とする内需拡大へ転換させること」と「企業の生き残りを模索することの主張がぶつかる」厳しい労使交渉となることが明らかである。それだけに労使の徹底した議論と産別・JC・連合は単組交渉をバックアップし、その支えであることが重要である。
「合成の誤謬」という言葉が日経新聞に掲載された。これは、一人にとって良いことでも全体からすれば良くないこともある。「満員電車への駆け込み乗車」がその例に例えられる。一人ひとりが「駆け込み乗車」を繰り返すことによって目的地への到着が大幅に遅れることになる。この様な「負の連鎖」を起こさないことができるかが今春闘の重要なポイントになると考える。
GDPは財政、投資、内需、外需の4点から成り立っている。これまでも日本経済を牽引してきた投資と外需が下振れする今、内需拡大の必要性は誰もが解っていることである。政府は緊急経済対策を実行し、労働組合は生活防衛として内需拡大につながる賃上げをする。労働組合としての社会的な役割と責任を発揮していくことが必要である。単組は極めて厳しい状況下での交渉となるが、JCの更なる指導性を期待する。
一方で、リーマン・ブラザーズの破綻以降、急激に景気後退が加速し、生産調整や販売不振が日を追うごとに悪化している。得体の知れない「モンスターの出現」という表現もされている。それだけに、単組交渉を孤立させることなく、単組の背中を押し、単組交渉の支えとなる産別、単組、JC、そして連合が一体となった共闘体制と闘い方への工夫が重要であり、JCの指導性に期待したい。
JAMは、明日からの討論集会で方針大綱を議論する。生活防衛と物価上昇に見合うベア要求とするJC・連合方針を見ながら単組と相談したい。JAMは微力ではあるが、金属労協の一員として全力をあげて取り組んで行きたいと考えている。

時間外割り増しについて
JAMは昨年ワークライフバランスの実現、長時間過重労働の削減に向けて、時間外割り増し率に取り組んだ。厳しい中小の実態から、先ずは大手労組が先行してもらいたいとの発言もあったが、結果として、中堅・中小の良いところが先行し、50単組がJAM指針に沿った回答を引き出した。この流れを断ち切ることなく、機会あるごとに交渉していく方針の上に立って、秋の労働協約の取り組みを経て、今春闘を大きな山場としていく準備を進めてきた。労働基準法が国会を通過する今、内容について不満はあるものの、今後の労使交渉の中でしっかりとした成果に繋げていきたいと考えている。


組合員の生活の維持・向上へ JC共闘の一員として最大限努力

門馬協議員(全電線)
門馬協議員(全電線)
経済・情勢認識について
まず、全電線としての経済・情勢認識についてである。
マクロ的な経済状況については、JCが分析している内容と大差はないので割愛するが、電線業界においては世界経済の減速による影響が鮮明になっており、円高や需要減により電線製品などの収益が減少し、大半の企業において減益傾向となっている。
大手の中間期決算結果についても、前年同期と比較し売上高では、5社が増収、4社が減収、経常利益では1社が増益、8社が減益となっている。また、2008年度通期見通しでは、9社すべてが減収・減益予想となるなど、厳しい見方がされている。
これまで好調であった自動車関連部門・エレクトロニクス関連部門については、主要な需要先の回復が見込まれないことや、安定した収益基盤であった電線事業は建設需要の減少により低迷が予想されるなど売上面は先行き不透明な状況となるなか、収益面についても円高や銅価の急落が各社の収益を軒並み圧迫するとみられ電線産業の足下は予断を許さない状況との認識である。

春闘への取り組みの留意点
このような状況を踏まえた上での春闘への取り組みである。
まず、取り組むにあたっては三点ほど留意点があると考えている。
ひとつは、今や世界的な金融危機の広がりに伴い、日本経済も含めた実体経済への影響懸念。二つ目は、こうした環境下、電線産業においても銅価格の急落による収益圧迫懸念があるなか、大手を中心に足下の業績が急速に悪化に転じている厳しい産業・企業実態。三点目に連合・JCにおける具体的な取り組み方針に対し産業・企業・組合員実態に即した具体的水準の設定である。組織論議として決定はしていないが、これらを十分に考慮していくなかで多面的な角度から日々状況変化を把握しつつ検討を進めていきたいと考えている。

具体的な取り組み項目について
具体的な取り組み項目では、賃金については、これまで組織内の諸会議において、取り巻く情勢、産業・企業実態やそれぞれの単組動向などの状況把握を行なうなかで検討を行っている。特に「賃金改善」「実質生活維持の観点での、物価上昇に見合う要求」への対応については、JC方針を踏まえながら、今後、十分な組織論議を行うなかで具体的な取り組みを決定していきたいと考えているので、ご指導をお願いしたい。
また、一時金の取り組みについては、生活水準の維持向上を図るための年間賃金の一部として、組合員の生活を守る観点から主張していきたいと考え、これまでの政策を基本に十分な組織論議を加えながら決定していきたいと考えている。
 ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みについては、連合・JCの方針や全電線政策を踏まえ、労働時間短縮において、特にJC他産別と比較しても低位にある時間外労働時間圧縮と年次有給休暇取得促進などの取り組みを強化しながら決定していきたいと考えている。
以上、電線業界の状況と春闘への取り組みを中心に考え方を述べさせて頂いたが、今後についても、組合員生活の維持・向上のためにも全電線として、JC共闘をよりどころに産別として精一杯取り組んで参りたく、JC共闘の一員として、最大限努力することを申し上げ、方針に賛成の意見とする。

●産別意見・要望に対する本部答弁●
内需拡大・生活防衛の観点から 賃金引き上げに全力で取り組む
若松事務局長
若松事務局長
各産別より、産業の実態やJC共闘を補強する力強い下記のご意見をいただいた。
  1. 自動車や電機産業をはじめとした厳しい職場の実態を報告していただき、改めて来闘争に向けた環境の厳しさを実感した。
  2. 外需に頼れない厳しい環境だからこそ、内需拡大が一層必要であり、賃金引き上げによる家計への配分が重要となる。
  3. 物価が上昇する局面では、生活維持の観点からも賃上げが必須である。
  4. 内需拡大(賃上げ)か企業の生き残りか、という厳しい交渉が予想される。こうした時ほど、足並みを揃えた強固な共闘の推進が必要である。労働組合の果たす社会的な責任も担いつつ、JC共闘を推進してほしい。
  5. ワークライフバランスの取り組みは重要であり、中でも、時間外割増率の取り組みについては国会で審議中ということもあって早急な対応を検討願いたい。300名以下の中小企業には当面の間適用しないとのダブルスタンダードについては改善の努力を願いたい。また労使協議の進め方について論議願いたい。
緊急雇用対策と非正規労働者への支援
まずは日を追うごとに厳しくなる経済環境のなかで、緊急雇用対策と非正規労働者への支援が喫緊の課題ととらえる。労使交渉の中では、雇用の厳しさが前面に出てくること思うが、JCとしては09年闘争とは切り分けてタイムリーな対応を取っていきたい。
明後日12/5(金)にJCの政策委員会を開催し、各産別の理解が得られれば、下記項目を中心に、即日厚労省への要請活動を行う予定である。
@失業者に対する住宅支援(ホームレス化への対応など)、A中小企業への迅速な資金注入、Bトライアル雇用やジョブカード制度をはじめとした若年者就業支援の強化、C外国人労働者の「雇い止め」に対する支援策、D農業経営強化・森林整備(京都議定書の森林吸収源対策)などの、環境分野や地方強化策での雇用創出など。

賃金引き上げに全力で取り組む
賃金引き上げは、ご指摘の通り、内需拡大や生活防衛という観点から極めて重要であり、金属労協として09年闘争で全力をあげて取り組みたい。
労基法の割増率については、3年後の見直しを待たずに可能な労使から労使協議を行い、法の先取りを行うこととし、法の見直しにあたっては全体に網がかかるように、連合とも連携しながら取り組んでいきたい。
民間・ものづくり・金属の労働者を代表する組織として、連合共闘を支えるとともに、労働組合としての社会的責任を果たすべく、我々金属労協が交渉の先頭を走る必要がある。
09年闘争は極めて緊張関係のある交渉となることが予想されるが、勤労者の生活・安心の確保のためにも全力で取り組む所存である。従前にも増した、ご協力・ご支援をお願いしたい。