金属労協第53回協議委員会
働くことを軸とする安心社会の構築へ
南雲 弘行
連合事務局長 南雲 弘行
 第53回大会の開催につき心からお祝い申し上げる。 冒頭に、今年12月末に退職する鎌田IMF書記次長に対し心から敬意を表したい。過去35年にわたりIMF本部においてご尽力いただいた。今後ともご指導をお願いしたい。

 連合20周年の節目の年を振り返って
 今年は連合20周年にあたる節目の年。また、鳩山総理の辞任、参院選後のねじれ国会など、政局に翻弄された年でもあった。
 ただ、これからはさまざまな潮流に翻弄されるだけではなく、労組として新たな潮流を作りだしていく積極性が期待されている。
 2008年に始まった世界同時不況は、単なる景気循環によるものではなく、行き過ぎた市場原理主義・競争社会から「共生・共存」の社会への転換を画する分水嶺であった。
 日本もいま、まさにそうした大きな構造転換に直面している。目下、喫緊の課題は雇用の維持・創出。従来の産業において雇用を下支えすると同時に、農業、環境、福祉といった新成長分野における雇用創出が期待されている。
 さらに、労働人口が減少するなか、一人ひとりの労働の価値を高める必要がある。だれもが意欲をもって働けるよう、労働の尊厳を回復しなければならない 。ディーセント・ワーク(Decent Work)――これは世界のメッセージである。
連合は「働くことを軸とする安心社会」を理想に掲げている。すなわち、だれもが多様な形で働くことを通じて、自立・自己実現できる参画型社会である。これからも「連帯、公正、規律、育成、包摂」の5つをキーワードにその実現に取り組んでいきたい。

 2011年闘争のテーマ
 今年12月の中央委員会では、「労働条件の復元」「格差是正」を実現する観点から、「全労働者を対象とした適正な配分」などを2011年闘争のテーマとすることで一致した。マクロ的観点から1%を目安に労働者への配分を求めるなど、配分のひずみを解消し、労働条件の改善を図る。具体的には、すべての労働者の生活を守る観点から、企業課税とのバランスがとれた全体的な賃金体制の見直しをしていく。また、パート闘争を軸とした非正規労働者の部会も設置。産別を通じて意見を集約することとなった。
 今年の闘争は大変厳しいものになる。みなさんの最大限の努力に期待したい。