2012年闘争推進集会 パネルディスカッション発言要旨
2012年闘争における各産別の取り組み
〜5産別書記長・事務局長によるパネルディスカッション〜


2012闘争推進集会でのパネルディスカッション

自動車総連:相原康伸事務局長

l   自動車産業では、2011年度の四輪車の生産台数が3年連続で1,000万台を下回る見通しである。2011年の四輪車の販売台数は、34年ぶりの低水準となり、3年連続で500万台割れとなった。中間決算では、11社の自動車メーカーのうち、9社が経常利益ベースで前年割れであり、2社が年間見込みを示すことができていない。

l   非正規労働者を含めて、産業全体として人材力や職場力をいかに高めていけるかが産業労使の基本。交渉環境の厳しさは昨年を上回るが、賃金カーブ維持を至上命題として取り組む。最低賃金協定は154,000円以上。一時金については、昨年1年の汗、職場の努力を踏まえれば、今年の要求は重い。国内生産を維持し、競争力を高め、競争に打ち勝つことを考えれば、石に齧り付いてもとの思いで取り組む。非正規労働者については、コンプライアンスの徹底、正社員への登用などに取り組む。2012年闘争を契機に、一人でも多く組合員に迎え入れることを考えている。

 電機連合:浅沼弘一書記長

l   中闘組合の12社の売上高合計は41.2兆円の見通しであり、前年比で微増だが、利益は大きく下降している。この数字にはタイの洪水の影響は入っておらず、2月初旬に出される第3四半期の数字が心配である。12月の中執では、緊急雇用対策本部を設置した。

l   賃金については、賃金体系を維持した上で、賃金水準の検証と分析を行い、賃金の低下や歪みなど必要があれば要求・協議を行う。最低賃金協定は1,000円の引き上げを要求し、155000円とする。エイジフリー社会を展望した雇用延長の実現をめざすとして、希望者全員を基本とすることや、賃金水準は最低賃金協定を上回った上で、均等均衡の観点に立った改善を行う。両立支援策として、育児の短時間勤務を3年間3月末まで、介護の短時間勤務を3年、育児・介護による退職者のための再雇用制度の導入に取り組む。

 JAM:宮本礼一書記長

l   JAMの加盟単組を対象とした景況調査では、2011年は震災があったが、傘下組合はリーマン・ショック後の落ち込みからはようやく立ち直った。雇用調整も新規提案が減少している。業績も前期から回復傾向が見られる。一方、一時休業を実施している単組は115単組、賃金カットを継続中の組合は54単組あり、まだら模様となっている。

l   11人の人材に投資し、職業能力を高めることが付加価値を高めることになる。提案型サプライヤーとなるためにも人への投資が必要であることを念頭に取り組む。賃金構造維持分を確保した上で、賃金改善分、是正分を確保する。JAMの賃金分析では2000年のピークから平均で7,500円賃金水準が下がっていることから、5年程度かけて、年1,500円以上の原資を求めていく。賃金テータを持っていないところでは、4,500円を平均要求として取り組む。その他、最低賃金協定、一時金、非正規労働者の処遇、60歳以降の所得確保等に取り組む。

 基幹労連:工藤智司事務局長

l   業績は、いずれの産業も増収減益となっている。鉄鋼部門については、通期売上高では鉄鋼メーカー大手5社で4%増、経常利益では17%減。造船部門は、手持ち仕事が2年半でなくなる見通しで厳しいと指摘。非鉄については、大手6社の2011年度売上高は大手6社では前年比で増加しているが、経常利益では減益となっている。

l   産別本部を中心に、産業空洞化防止のため、産業政策と労働政策をセットで取り組む。業種別組合では、全体の底上げが必要な中、連合の1%の方針を踏まえて、3,000円を目安に賃金改善に取り組む。中身は、各業種がそれぞれ考えていく。総合部門は、グループ、関連の支援を強化し、産業課題の解決、国内活性化の観点から企業連・単組ごとに取り組む内容を決定する。働く人すべての処遇改善をしなければ経済は良くならないという観点から、非正規労働者の労災付加補償を正社員と同等とすること、パート法の運用をきちんとすることなどに取り組む。

 全電線:中條弘之書記長

l   銅電線は、3年連続で出荷量の目安である70万トンを割り込む。主要な組合企業8社の中間決算をみると、経常利益では6社減益となっている。全体でみると震災時のサプライチェーンの寸断や事業所の直接の被災などから昨年に増して交渉環境は厳しい。

l   賃金構造維持分の確保をした上で、条件の整う単組は賃金改善に取り組む。大手、中小の格差が拡大しており、是正に向けて取り組む。最低賃金協定は、JCの方針に沿って取り組む。一時金は、20092010年に半期回答など緊急対応があったが、年間一時金の確保にしっかり取り組んでいく。年休取得率はJC平均を下回っており、問題把握を進めて前進させたい。