広報ニュース

第51号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年4月18~29日)

ICT電機・電子労組が「インダストリー4.0」の課題に集中

2016-04-18

 

インダストリ4.0などについて論議したICT・電機電子部会運営委員会(東京・府中市)

インダストリ4.0などについて論議したICT・電機電子部会運営委員会(東京・府中市)

4月6~7日に東京でインダストリオール・グローバルユニオンの情報通信技術(ICT)電機・電子運営委員会が開かれ、参加した組合代表からは、「インダストリー4.0の課題に取り組むには強力で持続可能な産業政策が必要だ」等の意見が出された。

 フランス、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの15組合の代表41人が参加して、日本の東京都府中市でインダストリオール・グローバルユニオンICT電機・電子運営委員会を開いた。

 会合で討議した中心的問題は以下のとおり。

  • ICT電機・電子産業における世界的傾向と部門別活動
  • 組織化と組合の力の強化
  • 不安定雇用との闘いとサプライチェーン戦略の構築
  • 労働組合ネットワークの創出と開発
  • 将来の製造業と持続可能な雇用の促進
  • アクション・プランのフォローアップと将来の活動

 ICT電機・電子部門では、世界中で急速に事業を拡大している多国籍企業上位20社中11社が、結社の自由(ILO第87号条約)と団体交渉権(ILO第98号条約)が遵守されていない国の企業である。それらの企業では組合の存在感がまったくないと言っていいほど弱く、労働者には経営側に立ち向かう力がない。これが1つの理由で、この部門では世界中で未組織労働者が増え続けており、複雑なサプライチェーン・システムにおいて不安定雇用が拡大している。

 この部門は、産業の再編成や将来の製造業といった大きな課題にも直面している。活発な合併・買収と新しい産業革命(インダストリー4.0とも呼ばれる)が、雇用量と労使関係に大きな影響を及ぼしている(セクション1、インダストリオール、松崎寛を参照)。

 

議長を務める有野部会長(電機連合委員長・右側)

議長を務める有野部会長(電機連合委員長・右側)

有野正治ICT・電機・電子部会共同部会長(JCM副議長/電機連合中央執行委員長)は次のように主張した。「多国籍企業にサプライチェーン全体で労働組合権と適正な労働条件を確保させる活動を強化する必要がある。同時に、インダストリー4.0の課題に取り組むために強力で持続可能な産業政策が必要だ。先進国・発展途上国間の連帯活動を促進し、将来の製造業のために持続可能な雇用と環境を達成しなければならない」

 プリハナニ・ボエナディ共同部会長は次のようにコメントした。「私たちは労働市場と工業技術の両方で厳しい国際競争にさらされている。この部門のグローバル資本は実に柔軟に行動し、低賃金と労働法の規制緩和を促進している国々に移転している。労働者の間で統一ネットワークを構築し、これらの問題に対する悪影響を抑える解決策を見つける必要がある」

 欧州委員会が支援する5カ年組織化プロジェクトが3年目に入っている。2014年と2015年には、インドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムのインダストリオール加盟組織の労働組合員1,200人以上(うち40%が女性)が組織化訓練を受けた。このプロジェクト通じて、組合は組織化の能力を強化し、特にインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンで組合員獲得に大きな成果を上げた。

 特にサプライチェーン全体で多国籍企業が企業責任を果たしていないため、この部門では労働安全衛生が争点となっている。この会合では、化学薬品への度重なる曝露に起因すると思われるマレーシアのリンパ腫の事例が報告された。運営委員会は、この事例を調査することで合意した。職場にあるすべての物質に関する情報への完全なアクセス、労働者を保護するための公正なメカニズムなど、労働安全衛生に関する基本的権利を促進していく。

 参加者はインダストリー4.0の将来の影響についても活発に議論した。モノのインターネット(IoT)、3D印刷、仮想・拡張現実、ビッグデータ、コボット(人間と協力して働くロボット)による生産のデジタル化などの新技術が発展しており、急速に職場に浸透している。

 ヨーロッパでは、これらの技術によって今後数年間に労働者100万人の雇用(ことによると雇用の最大54%)が変化する可能性があると推定されている。会合での議論から、新しい熟練雇用が創出されるであろうが、低熟練雇用や労働集約的雇用はたちまち姿を消す恐れがあることは一目瞭然だった。参加者は、組合はこの問題に関する強力な産業政策を必要としており、ディーセント・ワークに基づく持続可能な未来に向けて、政府・経営側との政労使対話を推進しなければならないと結論づけた。

 同運営委員会は議論の結果に基づき、2015年の同世界会議で採択された部門アクション・プランをフォローアップするために強化すべき項目(サプライチェーン戦略、労働組合ネットワーク、労働安全衛生、持続可能な産業政策など)について合意した(セクション6、インダストリオール、松崎寛を参照)。

 運営会議の終わりに、エネルギー、輸送、放送・通信、水・環境向けのシステムやコンポーネントを生産している東芝府中工場を視察した。代表団は現地の組合幹部および経営陣と会談し、水素エネルギー研究開発センターも訪問、究極のクリーンエネルギーシステムとみなされる、二酸化炭素を排出しない水素燃料電池システムについて学んだ。

« 前のニュース  次のニュース »