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第60号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年12月12日)

造船・船舶解撤労組が労働者の安全と雇用に焦点

2016-11-28

 

造船・船舶解撤部門の18組合から60人以上の代表がウェスタン・オーストラリア州で会合

造船・船舶解撤部門の18組合から60人以上の代表がウェスタン・オーストラリア州で会合

2016年11月7~8日にインダストリオール・グローバルユニオン造船アクション・グループ会合が開かれ、18組合から60人以上の参加者がウェスタン・オーストラリア州マンドゥラーに集まった。

   オーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、チリ、デンマーク、フランス、インド、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、シンガポール、イギリス、アメリカの組合から62人が参加し、以下の主要問題に取り組んだ。

  • 造船・船舶解撤産業の世界的傾向
  • 労働安全衛生(OHS)、組織化、不安定雇用との闘い
  • 持続可能な産業政策
  • 労働組合ネットワークの開発と連帯の強化
  • 将来の活動と後続の行動計画

  オーストラリアの加盟組織AMWUのアンドリュー・デットマー全国会長がホスト組合として参加者全員を歓迎し、ガーレット氏が伝統的なオーストラリア先住民の挨拶をした。デットマー会長は、特に船舶解撤労働者が日常的にアスベストにさらされているため、すべての形態のアスベストを禁止して職場から除去するまで運動することが重要だと主張した。

    V・V・ラネー副部会長が、11月1日にパキスタン・ガダニの船舶解撤場で発生した恐ろしい産業殺人に遺憾の意を表明し、代議員全員がこの災害の犠牲者に黙祷をささげた。ラネー副部会長は、船舶解撤産業の容認できない安全衛生条件と闘うために、行動を強化する必要があると指摘した。

    アイリーン・ヨー共同部会長が、石油・ガス価格の低迷でオフショア造船業が甚大な損害を被っていると報告し、この部門で持続可能な雇用を確保するために取り組まなければならないと述べた。

   工藤智司共同部会長がスカイプで発言し、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准を求めるキャンペーンで世界的行動を強化するとともに、インダストリー4.0などの持続可能な産業政策を促進することが不可欠だと述べた。

   世界経済の減速に伴い、造船業は深刻な過剰設備に直面している。ここ数年、ほとんどすべての造船所で新規注文が激減しており、現行レベルの造船能力と雇用を維持できない状況にある。この過剰設備は市場を歪める慣行も招いており、最も効率的な造船業においてさえ大きな構造的問題を生み出しかねない。例えば、中国政府による国内造船所への補助金は、世界中の造船所に損害を与えていると考えられている。

   会合では、ブラジル、ノルウェー、韓国の造船労働者がここ数年大量のレイオフに直面している現状が報告された。韓国では、KMWUとその他7組合が団結して造船業労働組合連帯組織SITUを結成、使用者と政府による機構改革と闘い、雇用の確保を要求するとともに労働者の技能を維持しようとしている。

   この再編プロセスは海軍部門でも見られる。政府は海軍産業のコストを削減したり、労働集約的雇用の外部委託を試みたりしている。オーストラリアでは、AMWUが主導するDesign, Build, Maintain our Ships HereやSUBS=JOBSといったキャンペーンが、造船業の雇用を守るうえで効果を上げている。

    一方、船舶解撤産業は今後25年間に成長し続け、雇用は徐々に増加するだろう。南アジア(インド、バングラデシュ、パキスタン)では、基準と安全衛生を早急に改善する必要がある。この地域には世界の船舶解撤の76%以上が集中しており、危険な労働条件と不十分な環境保護が目立つ。

   バングラデシュとパキスタンの船舶解撤場では重大事故が相次いでいる。労働者の安全に最終的に責任を負う船舶解撤業者と船主は、これらの事故の犠牲者への補償金をまったくと言っていいほど払っていない。船舶解撤労働者のための公正な補償制度と適切な労働安全衛生が緊急に必要とされている。アクション・グループは、人の健康、安全および環境に対する不要なリスクの回避に役立つであろう香港条約の批准に関する世界的行動へのコミットメントを再確認した。

   労働組合ネットワークの結成も、グローバル・レベルで多国籍企業に対する組合の交渉力を高めるための主要戦略である。BAE労働組合ネットワークは2014年の発足以来発展している。フランスとオーストラリアの組合は、両国間の潜水艦契約に関しても協力を開始し、地球の両側の労働者が有利な契約を勝ち取れるようにしようと取り組んでいる。

   アクション・グループは、持続可能な産業開発に関する独自のビジョンを立案・実施する加盟組織の能力を強化する方法についても討議した。

   参加者は、2014年の世界会議で採択されたアクション・プランを絶えず改良し、2016~2018年に以下の活動に焦点を合わせることを約束した。

  • 労働安全衛生に関する活動を強化し、あらゆるレベルでより安全な職場を要求する。
  • 造船・船舶解撤産業の傾向と連帯行動に焦点を合わせる。
  • 強力な労働組合ネットワークの構築プロセスを開発・促進する。
  • すべての利害関係者と連携し、各国が船舶解撤労働者の安全と雇用を確保するために香港条約を迅速に批准するよう要求する。
  • 組合活動の全レベルで女性参画を拡大する。
  • 持続可能な産業政策を達成するために他の関連部門との共同作業を開発する。

   アクション・グループは、アスベスト禁止決議への支持も確認した。この決議は、SEABANの後援により11月初めにインドネシア・ジャカルタで開かれた組合とNGO、アスベスト関連団体の会合で採択されたものである。

   参加者は11月8日午後、ウェスタン・オーストラリア州ヘンダーソンにあるBAEシステムズの造船所を訪問した。同社は主にオーストラリア国防軍(ADF)の仕事を請け負っており、オーストラリアで3,500人の労働者を雇用している。参加者は造船所の活動と労使関係について学んだ。

 

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