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第68号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2017年6月30日)

ブラジルの造船業危機で5万人が失業

2017-06-07

ローカルコンテント政策の柔軟化に反対して行進し、国内造船業の保護を要求するブラジルの労働者

 ブラジルの政治経済危機は造船業に大きな影響を与えている。多くの造船所で受注が減ったため、5万人の労働者が失業した。

 ブラジル造船業の最盛期は遠い昔の記憶になってしまったようである。国営石油会社ペトロブラスがプレサル油田を発見したあと受注が満杯になり、造船業は8万2,000人の労働者を雇用していたが、そんな時代は去った。

 現在の状況はまったく異なり、5万人の労働者が職を失った。国内40カ所の造船所のうち12カ所が行き詰まり、他の造船所も生産能力以下で活動している。これはブラジルとペトロブラスを混乱に陥れた汚職事件の直接の結果である。

 造船業は新しい事業に多角化し、産業・物流センターを生み出そうとしている。ブラジル海軍の潜水艦開発プログラム(PROSUB)への申し込みを検討している労働者もいる。この訓練プログラムは、当初は海軍技師・技術者32人の小グループが参加していたが、すでに300人以上の労働者を対象とするまでに拡大し、この人数は大幅に増加すると予想される。

 一方、労働者は自分たちの産業と権利を守るために行動を起こしている。石油労連(FUP-CUT)と上部団体の総連合CNQ-CUT(インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織)は、ペトロブラスの民営化に反対して大規模なデモと「Petrobras is Ours」キャンペーンを組織。このキャンペーンは6月8日に大集会と抗議行動を実施した。

 CNM/CUT(インダストリオール傘下)は4月以降、造船業を守るための議会戦線の設置を要求している。これによって造船部門の要求を支援し、造船業の復活に向けて措置を講じるよう政府に働きかけ、雇用と投資、ローカルコンテント政策の維持・保護を求めて闘う。

 CNTM/FS(インダストリオール傘下)も、造船業の失業に関して懸念を表明している。CNTM/FSは、国外への石油掘削用プラットフォームの発注に反対するとともに、国内エンジニアリングへの投資とローカルコンテント政策を支持し、造船業の成長とさらなる雇用の創出を保証する措置の採用を求めている。

 CNM/CUTとCNTM/FSの組合員は2016年11月の金属労働者の全国闘争デーを実施し、全員が同じ側に立っていること、より多くの雇用を求めて闘い、国内産業を守り、労働者の権利を保護するために一致協力していくことを示した。

 2016年と2017年に、ブラジルの主要ナショナルセンターに加盟する全部門の労働者が、自分たちの権利を守り、より多くの雇用を求め、ミシェル・テメル政権の改革に反対するためにデモ行進した。ナショナルセンターは6月5日にサンパウロで会合を開き、今から次のゼネストまでの行動スケジュールに合意した。

 ペトロブラスはブラジルの石油生産の90%を担っており、造船業とブラジル経済の大きな柱の1つである。造船所は意欲的な拡張計画に対応して発展したが、この計画は同社が汚職事件の中心となった2014年に破綻した。

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