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第72号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2017年10月31日)

インドのタタ・スチール子会社で警察が労働者を攻撃

2017-10-11

工場前で抗議中の労働者を制圧しようとしている警察隊

 9月22日の夜、タタ・スチール子会社のタヨ・ロールズで労働者とその家族(子どもを含む)が、同社の閉鎖に平和的に抗議し、代わりの雇用か適切な補償を要求していた際、警察に激しい暴行を受けた。

 労働者と家族はジャムシェドプールのタタ鉄鋼工場のゲート前で抗議していたとき、警察官の一団に襲われ、警察は放水銃も使用した。この攻撃で約40人のデモ参加者が負傷した。

 警察は捏造された容疑で多くの労働者を告訴するという挙にも出た。

 抗議している労働者の要求は以下のとおり。

  • 未払賃金の支払い
  • 他のタタ関連会社で働くことのできる代替雇用
  • 代わりの雇用を提供できない場合は、労働者に基本給100カ月分の補償と生計費調整手当(実質賃金目減り補償手当)を支給してもよい。これは数年前、同じ企業グループ傘下のティンプレート・カンパニー・オブ・インディア・リミテッド(TCIL)の一部門が閉鎖されたときに支給されたのと同じ金額である。

 インダストリオール・グローバルユニオンのアプールヴァ・カイワール地域事務所所長は言う。
 「警察が労働者を攻撃するなどまったく容認できない。インダストリオールは経営側に、問題解決に向けて交渉に入るよう求める。経営側は、抗議中の労働者に対する警察への告発を取り下げるためにも緊急の措置を取り、労働者とその家族の利益を保護すべきだ」

 2016年9月、タタ・スチール子会社のタヨ・ロールズ(TAYO)が閉鎖申請を提出し、政府に施設閉鎖の許可を求めた。同社は当時、399人前後の常用労働者と約700人の契約労働者を雇用していた。

 同時に会社側は、雇用終了への自発的同意の報酬として、労働者に自発的離職制度(VSS)を提示した。多くの労働者がVSSを受け入れたが、約284人の正規労働者は拒否し、VSSを通して当初提示された基本給18カ月分の補償と実質賃金目減り補償手当は不十分だと主張した。

 労働者は閉鎖に抗議し、労働・雇用・訓練省に陳情書を提出、政府に閉鎖申請の却下を求めた。労働側は、①役員の腐敗した慣行のせいで会社が損失を出した、②同社を復活させて労働者全員に雇用を提供すべきだと主張した。同社はタタ・スチールの子会社なので、他の工場で労働者に代わりの雇用を提供する能力がある。

 ジャールカンド州労働省長官は2016年10月27日、閉鎖申請を却下する命令を出した。

 同社は2016年10月に賃金の支払いを停止した。政府が閉鎖申請を拒絶したので、労働者は会社側に対し、賃金支払法に従って賃金を払い続けるよう要求している。

 労働者は過去11カ月間、賃金を支給されていない。2017年6月、労働側は労働裁判所に提訴し、会社に賃金の支払いを指示するよう求めた。この事案は審理中である。

 一方、会社側は閉鎖をめぐって高等裁判所に上訴し、こちらも現在係争中である。

 タヨ従業員組合のラケシュワール・パンデイは言う。
 「平和的なデモ参加者に対する警察の攻撃を非難する。この問題はさまざまなレベルで係争中だ。しかし、あのような乱暴な行為はタタ経営陣や政府にあるまじきものだ。タタ経営陣は民主的な手段で問題を解決するために、前向きに取り組まなければならない」

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