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第76号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年2月28日)

ILO、造船・船舶修繕実務規程の改訂版を採択

2018-02-01

造船・船舶修繕実務規程に関する会合で、労働安全衛生改善の重要性を訴えた労働者グループ専門家代表(ジュネーブ・ILO本部)
今回の会合で実務規程の改訂版が採択され、2018年3月のILO理事会へ提出される

 世界中の政労使専門家代表が1月22~26日にスイス・ジュネーブのILOに集まり、造船および船舶修繕における安全衛生に関する実務規程を改訂・採択した。

 1974年に現行規程が発表されてからの43年間に、この産業は設計・建造技術の面で劇的に変化した。深刻な設備過剰にも直面しており、この状況は市場を歪める慣行、厳しい価格競争、不安定労働者の増加を引き起こしている。このような事情のもとで、しばしば安全衛生が無視され、造船所での重大事故が数多くインダストリオール・グローバルユニオンに報告されている。

 造船には多様な製造技術・技能の統合が必要とされるため、この産業の国際安全衛生基準は多くの活動や職業を網羅する必要がある。

 インダストリオールは国際労働組合総連合の後援で、6カ国(オーストラリア、チリ、イタリア、オランダ、ノルウェー、シンガポール)からの労働組合専門家の参加を調整した。

 ILOの労働者グループのアプローチは、規程草案は造船・船舶修繕に従事する労働者全員の最低労働安全衛生基準を引き上げ、次のような労働者の権利を確保すべきであるという基本原則に基づいていた。

  • 仕事の危険について――十分かつ完全に――知り、安全に仕事をするために必要な訓練・教育を受ける権利
  • 安全衛生に関する方針やプログラム、手順の策定・実施(リスク評価を含む)への完全参加権および代表権
  • 反響を恐れずに危険な仕事を拒否または中止する権利

 この会合で専門家は、造船・船舶修繕における労働安全衛生改善の重要性を強調した。労働安全衛生の実績が改善されれば、負傷率と死亡者数が減少し、影響を受ける家族や社会に対する関連経済コストも減る。生産性向上や成長、部門の安全性向上とグリーン化にも貢献する。また、労働安全衛生事故に関連する人的被害も減少するだろう。

 「この産業は極めて大きな労働安全衛生上の課題に直面しており、あまりにも頻繁に労働者が命を落としている」とデボラ・バランス労働者グループ代表副議長は述べた。「この実務規程は包括的かつ健全で、今度はその適用を確保することが私たちの共同責任だ」

 松﨑寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は述べた。
 「契約労働者と下請労働者も対象に含めるようになった、この改訂規程を歓迎する。重要なのは、船舶解撤労働者に利用できる内容がたくさんあることだ」

 造船および船舶修繕における安全衛生に関する実務規程の改訂版は、2018年3月の理事会に採択を求めて提出される。

 1月16日に死亡した労働者の冥福を祈って、会合参加者全員が1分間の沈黙を捧げた。この労働者たちは、造船用金属製品を生産するイタリアの薄板工場で、炉の清掃中に毒性ガスを吸入して亡くなった。

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