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第90号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年4月26日)

日本の批准でシップリサイクル条約に弾み

2019-04-02

日本がアジアで初めて香港条約を批准し、世界で最も危険な仕事である船舶解撤の浄化を目指すキャンペーンが大きく勢いづいた。

日本は、国連の国際海事機関が作成した船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港条約を世界で10番目に、アジアでは初めて批准した。

この条約の目的は、環境リスクと労働安全衛生リスクを最小限に抑えつつ、古い船舶を処分できるようにすることである。香港条約は、船舶リサイクル計画の策定など適切な安全対策と環境管理を義務づけ、各船舶のリサイクル方法を指定している。リサイクル対象船舶には危険性物質の一覧表を備え、適切に管理して船舶再生利用施設でリスクを取り除けるようにしなければならない。

この措置の狙いは、2016年11月にパキスタンのガダニ船舶解撤場で起こった爆発事故のような災害を防止することである。事故の原因は、燃料タンクから残存燃料を取り除く前に労働者に船の解体開始を強制したことだった。

香港条約は下記の条件を満たして初めて発効する。
1. 15カ国以上が批准
2. 批准国の商船船腹量が世界の40%以上
3. 批准国が過去10年間に合計船腹量の3%以上を再生利用

造船と船舶解撤の両方で労働者を代表しているインダストリオール・グローバルユニオンは、各国による条約の批准と船舶・解撤場所有者による安全な船舶リサイクルの確保を求めて、長期に及ぶキャンペーンを展開してきた。

条約はベルギー、デンマーク、フランス、日本、オランダ、ノルウェー、パナマ、コンゴ共和国、セルビア共和国、トルコによって批准され、これらの国々は世界の商船船腹量の23%を占めている。今年初めにセルビアとオランダが批准し、キャンペーンが勢いづいているという印象がある。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように述べた。
「日本はアジアの主要海洋国として初めて香港条約を批准した。加盟組織の基幹労連とFNVは、日本政府とオランダ政府に条約の批准を働きかけるために多大な努力を払った」
「インダストリオールの香港条約批准キャンペーンは確実に成果を上げている。働きかけを強化し、条約の発効に必要な中核的船舶解撤国であるインド、バングラデシュ、パキスタン、中国にターゲットを絞っていく」

条約はまだ発効していないものの、インダストリオールをはじめとする団体による集中的なロビー活動の結果、一部の船主は安全かつ環境上適正な船舶再生利用はビジネスとして成り立つと判断するようになっている。船主と出資者は、自分の船が事故に巻き込まれたり汚染を引き起こしたりすれば信用を落とすことを認識している。

これらの所有者は、条約に従う解撤場だけで船をリサイクルすることを保証している。この流れを受けて解撤場はコスト面ではなくコンプライアンス面で競争するようになっており、インドでは現在72の解撤場が条約を遵守している

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