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第95号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年9月30日)

南アジアで持続可能な船舶解撤に向けて前進

2019-09-04

南アジアで船舶解撤労働者を代表するインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、8月末にネパールのカトマンズで会合を開き、世界で最も死亡率が高い部類に入るこの仕事でさらに多くの命が失われている中で、安全性の向上と組合の強化に取り組んだ。

8月31日にバングラデシュ・シタクンドの船舶解撤場で労働者2人が死亡、13人が負傷し、南アジア地域の船舶解撤で基本的な安全対策を実施する必要があることをはっきりと思い出させた。

8月26~28日にオランダの加盟組織FNVのヨープ・バン・オードとマーティン・バン・デ・ブーフトが労働安全衛生に関するトレーナー訓練ワークショップを実施し、バングラデシュ、インドおよびパキスタンの組合から組合活動家16人が参加した。

この訓練では、コミュニケーション、監視、組織、個人用保護具の適切な使用、騒音公害からの保護、事故防止、ワイヤーロープや工具、シャックルの安全な使用など、労働安全衛生のさまざまな側面を取り上げた。

参加者は優良事例を共有し、安全性の問題について率直に語り、安全性向上方法に関して同僚を最もうまく訓練する方法をめぐり議論することができた。

8月29~30日に開かれた後続の地域プロジェクト会合では、より広い世界状況に照らして船舶解撤産業を評価し、進行中の組合組織化活動を調べ、適切な加盟費徴収制度によって持続可能な組合を構築する手段について討議した。

南アジアのインダストリオール船舶解撤部門
加盟組織がネパールで会合

労働組合員は、安全性に改めて焦点を当てるとともに、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准を各国に求めるキャンペーンを強化する必要があると強調した。

国際海事機関の香港条約の発効には、世界の商船船腹量の40%を占める15カ国による批准が必要である。今までのところ、商船船腹量の29.42%を占める13カ国が批准している。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように強調した。
「インドとバングラデシュまたはパキスタンに条約を批准させれば、条約発効に向けて大きく前進する」

会合では、プラスチック・リサイクル処理場や鉄鋼再圧延工場などの活動に従事する、川下の労働者の組織化についても討議した。

川下の船舶解撤産業で働く女性の劣悪な条件
について議論するSEWA組合員

参加者は、南アジア船舶解撤プラットフォームを設置し、労働者および同じ考えを持った組織が一致協力して地域の船舶解撤産業で労働条件を改善できるようにすることも決議した。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「船舶解撤は依然、世界で最も危険な産業の1つだ。船舶解撤労働者に、命を危険にさらしながら億万長者の船主の汚い仕事をさせることはできない。インダストリオールとFNVの連帯努力は、解撤場の安全性を高める労働者の能力を強化する」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「加盟組織は、船舶解撤とその川下産業で非常に重要な安全性の問題に対応するために、組合機構の強化を目指して取り組んでいる」

インダストリオール加盟組織のバングラデシュ金属労働者連盟(BMF)、バングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労働者連盟(BMCGTWF)、パキスタンの全国労働組合連盟(NTUF)、インド鉄鋼・金属・機械労連(SMEFI)および女性自営労働者連合(SEWA)が、FNVの連帯支援でインダストリオールが開催した会合に参加した。

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