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第155号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年2月1日)

COP27は万人のための公正な移行を実現せよ

2022-11-11

【JCM記事要約】

  • エジプトで開催されているCOP27は4日目を迎えており、公正な移行の資金調達が議論の中心となっている。気候変動の対応に関し結果を出すためには多くの資金が必要であり、地球温暖化の大きな原因となっている多くの排出をするグローバルノースの先進工業国は、公正な移行のための資金を支払うよう求められているが、先進国が消極的であるため十分な資金は調達できていない。
  • COP27では、労働組合は全ての交渉に公正な移行基準を盛り込ませようと取り組んでいる。インダストリオールのダイアナ・エネルギー担当部長は、気候変動の悪影響を受ける人々が解決法を保障され、労働組合として誰も置き去りにすることのないよう、万人のための公正な移行を確保しなければならない、と強調した。

 

COP27開幕からまだ4日だが、ことあるごとに公正な移行という言葉が目や耳に入ってくる。労働組合はCOP27で、政府・使用者は労働者と協議せずに移行を計画するのであれば、労働運動が作ったこの言葉を使ってはならない、ということをはっきりさせている。

パリ協定によって設定された目標に遠く及ばない状況にあるため、今年のCOPには目標達成への多大な圧力がかかっている。地球温暖化が悪化しており、移行の資金調達が議論の中心にある。

気候資金に関する新規合同数値目標(NCQG)は、2024年までに確定させなければならず、グラスゴーで設定された1000億米ドルの気候資金目標に取って代わることになっている。いずれにしても本気で達成するには数兆米ドルを見込まなければならないことは明白である。

地球温暖化の大きな原因となっている排出国であるグローバルノースの先進工業国は、この移行のコストの支払いを求められている。しかし、すぐに腰を上げない先進諸国との協議が遅々として進まないため、十分な資金は到底達成できそうにない。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動関連の科学を評価するための国連機関である。2022年のIPCC報告によると、

  • 気候への影響は全世界で予想以上にひどい。
  • 短期的に気候変動の影響はさらにひどくなる。
  • 気温上昇に伴って急速にリスクが高まり、気候変動が取り返しのつかない影響をもたらす。
  • 不公平、紛争、開発の課題が気候リスクに対する脆弱性を高めている。
  • 適応が重要であり、実行可能な解決策がすでに存在するが、脆弱な地域社会に手を差し伸べるためにもっと多くの支援が必要である。
  • 気候変動の影響の一部はすでにあまりにも深刻であるため適応できず、損失と損害に取り組むために今すぐ緊急行動が必要である。

IPCCは、世界各国が低炭素未来に移行し、1.5℃を超える温暖化を回避するには、全世界ですべての資金源からの年間投資をはるかに増やす必要があるとも推計している。

今年のCOPは、アフリカの気候課題に取り組んで気候資金についての期待に応えなければならないため、「アフリカのCOP」とも呼ばれる。

アフリカは課題を抱えているが、移行は可能である。だが、どのように実行するか。経済は現在、天然資源の開発に基づいている。環境的に持続可能な生産への投資によって、より多くのディーセントな雇用を創出するために、公正な移行に目を向けることが鍵である。

アフリカでは6億人がエネルギーを利用できないため、アクセス改善が鍵である。アフリカで地域社会の福祉を改善するために、エネルギー、農業、輸送の各分野で再生可能技術に焦点を当てる必要がある。

開幕から1週間も経っていないが、労働組合は、全レベルの交渉に公正な移行基準を盛り込ませようと必死で取り組んでいる。閣僚や政府代表を中心に結集することが重要である。組合が力を入れている主な分野は、気候資金調達、損失・損害、対応策、緩和である。

「パリ協定の約束が実施され、気候変動の悪影響を最も大きく受ける人々が真の解決策を保証されるようにしなければならない。労働者は気候やエネルギー、価格危機の代価を払うことができず、私たちは労働組合として、万人のための公正な移行を確保しなければならない。誰も置き去りにすることはできない」とダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・インダストリオール・エネルギー担当部長は述べた。

COP27はエジプトで開催されている。木曜日の朝にデモが行われ、全員が獄中の活動家と連帯して白い服を着た。

英国系エジプト人のアラー・アブドル=ファタは、ほぼ10年前に虚偽情報拡散の罪でエジプト当局によって投獄された。彼は何カ月も前からハンガーストライキに入っており、日曜日、COP27開催中に自分の闘いと同じような権利擁護活動家の闘いに関心を引くために水を飲むのもやめた。

「人権侵害は私たちが取り組むべき仕事であり、私たちの仕事の中心にある。基本的人権・労働権に専念する強力な民主主義国家がなければ、公正な気候目標を達成するための闘いは不可能だ!」とシャラン・バロウITUC書記長は述べた。

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