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第159号インダストリオール・ウエブサイトニュース(2023年9月22日)

タイの組合、政府にILO第87号・第98号条約の批准を要求

2023-04-13

【JCM記事要約】

  • タイのインダストリオール加盟組織は、タイ政府に対しILO第87号条約およびILO第98号条約の批准を要求している。現行の労使関係法(LRA)と国営企業労使関係法(SELRA)には結社の自由と団体交渉の原則を侵害する多くの反組合的な方針が盛り込まれており、労働者の権利の行使が難しい状況である。
  • 政府は、LRAとSELRAの修正によりILO第87号条約および第98号条約批准へ繋がると述べている。インダストリオール・東南アジア地域事務所の岩井所長は、政府は戒厳令や経済危機の場合にスト権を制限する非民主的な条項を廃止しなければならない、と主張している。

2023年4月13日:タイの組合は政府に対し、国際的に認知された労働基準の実施を求めている。しかしタイ政府は、国内労働法を修正して国家安全保障上の懸念に対処するまで、両条約を批准することはできないと主張している。


インダストリオール加盟組織のタイ産業労働組合総連合(CILT)とPTTパブリックカンパニーリミテッド国営企業従業員組合(PTTLU)は長い間、結社の自由と団結権の保護に関するILO第87号条約と、団結権・団体交渉権に関するILO第98号条約の批准を求めて運動してきた。

「タイ政府は、自ら選んだ組合を結成し、それに加入する労働者の権利を保護する国際義務を負っている。CILTは政府に、ILO第87号条約および第98号条約を批准し、タイの労働者の結社の自由と団体交渉権を保護するよう強く促す」とアプソーン・クリサナスミットPTTLU議長は述べた。

タイでは法的・制度的障壁により、労働者の権利を行使する能力が制限されている。ILO第87号条約および第98号条約に基づいて権利を行使しようとする労働者に対する差別やハラスメント、報復からの保護もほとんどない。

この国では政情不安が続いており、何度かの軍事クーデターで、国家安全保障の維持を目的に労働法が弱められた。

民間部門従業員を対象とする1975年労使関係法(LRA)と公共部門職員を対象とする国営企業労使関係法(SELRA)には依然、結社の自由と団体交渉の原則を侵害する多くの反組合的な方針が盛り込まれている。

タイの労働者の組織率は2%に満たず、現行法では使用者が組合活動を妨害しても処罰されない。

「政府は組合の勧告に基づいて法案を修正し、可能な限り早くLRAとSELRAの修正案を可決すべきだ」とプラシット・プラソップスック・タイ産業労働組合総連合(CILT)会長は述べた。

インダストリオール・グローバルユニオンは2015年、ILO結社の自由委員会(CFA)に提訴し、タイの使用者が労働者の団結権、団体交渉権および争議行為実施権を繰り返し侵害している実態を示す証拠を提出した。

政府は2020年10月、LRAとSELRAの修正手続きを進めているところであり、この修正はILO第98号条約批准への道を開くだろうと述べた。政府は第87号条約の批准も検討していた。

アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL−CIO)も米通商代表に提訴し、米国政府が一般特恵制度(GSP)を撤回するよう要求した。この提訴により、2019年にタイ製品573品目のGSPが停止されるに至った。

2022年、タイ政府はLRA修正案法案を発表し、結社の自由の拡大を約束した。それを受けて、CILT、PTTLUならびにタイ労働者連帯委員会(TLSC)は、修正の一部を支持したが、継続的な違反に取り組むには不十分であると主張して、いくつかの修正には同意しなかった。

「タイは非武装化・民主化プロセスを進め、選出された文民政府指導者が常に政治権力を握るようにしなければならない。労働組合の基本的自由が保護されれば、民主的空間の拡大によって組合の影響力が強まる。戒厳令や経済危機の場合にスト権を制限する非民主的な条項を廃止しなければならない」と岩井伸哉インダストリオール地域事務所所長は述べた。

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