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第160号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年9月22日)

バングラデシュで香港条約円卓会議

2023-08-30

2023年8月30日:インダストリオールは8月30日にバングラデシュで円卓会議を開催、政府と船舶解撤場使用者、現地組合が集まり、バングラデシュによる香港条約批准後の方針を計画した。


2023年6月にバングラデシュとリベリアが船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)を批准し、2025年6月の発効要件を満たした。それ以降、不適合の解撤場での船舶解体は国際法違反になる。

今回の批准は、船舶解撤の浄化を求めて2010年から運動してきたインダストリオールにとって大勝利である。南アジアの船舶解撤場は、労働者の死亡と環境破壊で極めて評判が悪い。香港条約は、船舶リサイクルの許容基準の義務化によって現状に対処する。

バングラデシュの解撤場は、SENSRECという国際海事機構(IMO)プロジェクトの支援を受けて、新しい国際基準を満たすために大改修を進めている。

松﨑寛インダストリオール書記次長は次のように述べた。

「バングラデシュは物理的インフラを整備すると同時に、社会的インフラも整理する必要がある。社会的対話を通じて、持続可能な船舶リサイクルへの公正な移行を達成する必要がある。実際には、これは解撤場所有者が組合を承認し、労働協約を取り決め、合同安全衛生委員会を設置し、政府・組合との対話に参加する必要があることを意味する」

円卓会議には、バングラデシュの工業、労働、雇用、環境各省ならびに地区政府の代表が出席した。使用者代表はバングラデシュ船舶解撤リサイクル協会(BSBRA)、組合代表は部門のインダストリオール加盟組織2団体、すなわちバングラデシュ金属労働者連盟(BMF)とバングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連(BMCGTWF)だった。

批准の推進に尽力した工業省のモハメッド・モミヌール・ラシッドが、船舶解撤はバングラデシュにとって悪い評判を生んでいると述べた。バングラデシュが条約を批准したのは、この産業を変革し、労働者の命と環境を保護し、より良い未来を構築する歴史的責任があると感じたからである。

BSBRA代表でPHP解撤場の最高経営責任者を務めるモハメド・ザフリル・イスラムが、批准によってバングラデシュが世界的リーダーになったので嬉しいと述べた。労使間の不信をなくし、橋渡しをする必要がある。使用者は、組合が自社の事業に利益を与え得ることを理解する必要がある。

労使双方が、解撤場の改良に伴う機械化は失業を招くとの懸念を示した。会合では、この産業に劇的な変化の時代を乗り越えさせるために、社会的対話プロセスによる公正な移行が重要であることについて議論した。

参加者は各グループが直面している課題をめぐって率直に討議し、現地組合が低賃金と反組合活動、救急車サービスの欠如といった問題を提起。出席者たちは、ILOが一連の社会的対話ワークショップを促進しているインドの例に検討を加えた。

組合代表団は8月29日、バングラデシュで初めて香港条約の遵守を達成したシップリサイクリング施設のPHPを訪問した。この解撤場の労働者は質の高い保護具(PPE)を支給されており、船は承認された計画に従って手際よくリサイクルされている。PHPの現場には、アスベストや石油、船底の汚水などの廃棄物を安全に処理するための施設がある。職場に診療所があり、労働者は定期健診を受けている。バングラデシュには現在、香港条約に準拠した解撤場が4つあり、年内にさらにいくつかの現場が要件を満たすと予想される。すべての解撤場が2025年6月までにこの基準を満たす必要がある。

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