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第160号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年9月22日)

デュー・ディリジェンス法が労働組合権に与える影響は?

2023-09-13

2023年9月13日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、IGメタルおよびフリードリヒ・エーベルト財団とともに、トルコのイスタンブールで2日間の会議を共催した。この行事は、専門家や組合指導者、ステークホルダーが、特に自動車部門サプライチェーンで、ドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法の影響とトルコの労働者にとっての同法の重要性を検討する場となった。


会議のタイトルは「トルコの労働者・労働組合の基本的権利その2」で、デュー・ディリジェンスに関連して、自動車サプライチェーンとその複雑さを取り巻く問題をめぐり詳細な議論、有益なプレゼンテーション、興味をそそる対話が行われた。また、労働組合はどのようにドイツの新しいサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法を利用し、もうすぐ発表されるEU法に備えることができるかという問題も取り上げた。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、トルコで労働者の権利を求める闘いの時代背景を強調することによって、会議の基調を打ち出した。書記次長は、トルコの労働者が厳しい難題に直面していることを認め、特に複雑に絡み合うグローバル・サプライチェーンにおける基本的権利の保護の重要性を強調した。

ケマル・ウズカン

「人権デュー・ディリジェンス法の効果的な実施を確保するために、組合が戦略的に協力し、計画を立てることが絶対に必要だ」とウズカンは述べた。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長が、人権デュー・ディリジェンス関連法に関するEUレベルの重大局面に光を当て、この法律を労働組合運動のための効果的な手段に進化させる必要があると強調した。

ジュディス・カートン=ダーリング

「この法律が現場の具体的な行動につながるようにするために、内部能力を強化してプロセスを合理化する必要があり、その点を強調することが重要だ」とカートン=ダーリングは述べた。

フリードリヒ・エーベルト財団トルコ事務所のヘンリック・マイヤー所長が、ドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法と、同法がトルコとドイツの取引関係に与える大規模な影響に対する貴重な洞察を提供。この法律は多国籍企業に対して厳しい規制を導入している、と説明した。

「この会議の第1弾では新法について非常に理論的な議論を行ったが、1年後の今、私たちはより実際的な観点から同法に検討を加えている」とマイヤーは述べた。

アウディの企業代表が、サプライチェーンにおいて透明性と説明責任を確保するうえでの苦情処理制度の役割を強調した。DEinternational Servis Hizmetleri A.Ş.最高経営責任者の Ayça Gözmen Yalçınが、多様なステークホルダーにドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法や類似の法律を効果的に伝えるうえでの課題を強調した。

サプライチェーンのデュー・ディリジェンスにおけるリスク分析の重要な役割について討議した。フォードのヘルムート・フィリップが、1万4000社以上のサプライヤーを抱える企業でのリスク分析の複雑さを説明し、優れたリスク分析を確保するために信頼できるアプローチが必要だと強調した。

会議では、独サプライチェーン・デュー・ディリジェンス法の実施を推進するために立案されたプロジェクトに関するプレゼンテーションが行われた。これらのプロジェクトは、このドイツの法律の包括的な目標に従って、責任ある企業行動をめぐる説明責任、透明性および法令遵守の重要性を浮き彫りにしている。

トルコのさまざまな部門のインダストリオール加盟組織とインダストリオール・ヨーロッパ労働組合加盟組織が、このドイツ法に関する期待を共有した。加盟組織は慎重ながらも楽観視しつつ、政治的・経済的利害がもたらす課題を明確にした。

トルコの加盟組織は、労働者の権利擁護という目的に取り組む意思も表明し、たとえ漸進的な進展であっても大きな好ましい変化をもたらすことができるという信念に変わりはないことを示した。

最後に主催者は、ドイツのサプライチェーン・デュー・ディリジェンス法と将来のEU法を、労働者の権利擁護のための強力な手段として最大限に活用するために、防止、能力強化、積極的な関与が必要であることを強調した。

労働者に権利を与えてグローバル・サプライチェーンを強化する集団的努力の必須要素として、ステークホルダー間ならびに労働組合運動内部の信頼関係が重要であることが強調された。

この会議は、労働者の権利、企業の説明責任、絶え間なく進化するサプライチェーンのデュー・ディリジェンス事情に関する差し迫った課題についての見識を集め、これらの課題をめぐる対話の貴重なプラットフォームを提供した。

デュー・ディリジェンス法の効果とトルコの労働者に対するその影響をめぐり、1日半にわたって技術面から徹底的に議論したあと、労働組合代表が集まり、進むべき道についての戦略を練った。

ゲオルク・ロイテルト

「私たちの目的は明確だ――これらの法律の効果的な実施を確保し、全世界で労働者を守るための現実的な対策に転換すること」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は述べた。

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