広報ニュース

第162号インダストリオール・ウェブサイトニュース

組織化は成長しているバッテリー産業の鍵

2023-10-06

2023年10月6日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、10月5-6日にハンガリーのブダペストで初のバッテリーサプライチェーン合同会合を開催した。この合同グローバル会合は、参加者によって有意義な成功体験とみなされた。両組織は、今後さらなる国際協力を模索し、バッテリーサプライチェーンの労働者組織化にあたって加盟組織を支援するために将来の活動を立案していく。


バッテリーサプライチェーンは、気候変動への取り組み、電気自動車(EV)への需要の増加、それに伴う雇用と技能の大規模な移行に支えられて成長し、急速に拡大している。ヨーロッパだけで、今後数年間に80万人の新しいバッテリー関連雇用が創出されるだろう。

世界的には、2030年ごろにバッテリーバリューチェーンで合計1,000万人(過半数が新興国)の雇用創出が予想される。この部門の大部分の労働者(移民労働者を含む)は、新たに採用されて訓練を受けている。消滅しつつある既存の雇用から移ってきて、再訓練を受けて技能を向上させた労働者もいる。

あらゆる地域、あらゆる部門が、鉱業、精製から生産、組立に至るバッテリーサプライチェーンのさまざまな部分を構成している。主な原料(コバルト、リチウム、銅、ニッケル)をめぐる闘いは、人権侵害や受け入れがたい環境的結果(児童労働、先住民の居住環境の破壊、環境破壊、水不足など)を招いている。

自動車産業は組合組織率が比較的高いが、サプライチェーンでは組織率が低下しており、労働者の権利侵害が増加している。バッテリーサプライチェーンでは、多くの労働者が組織化されていなかったり、適正な雇用から不安定雇用に追い込まれたりしている。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、バッテリーサプライチェーン全体で労働者を代表している。これは包括的、部門横断的かつ持続可能なサプライチェーン戦略を立て、デュー・ディリジェンス・プロセスの効果、労働者の権利と人権の行使、適正な労働条件の促進を改善するチャンスをもたらす。

今後数年間に、インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は以下に焦点を当てる。

  • 組合同盟:サプライチェーンの組合をまとめ、労働者を組織化して労働者の基本的権利とディーセント・ワークを促進する(例:ヨーロッパ、北米およびアジア太平洋のバッテリー-EV製造業、欧州バッテリー組織化プロジェクト、アルゼンチン-ボリビア-チリのリチウム・トライアングル、インドネシアのバッテリーサプライチェーン、サハラ以南アフリカの鉱業ネットワーク)
  • 公正な移行:持続可能な産業政策と十分に資金を供給されたサプライチェーン戦略を開発し、労働者中心の雇用調整プログラムを提供し、影響を受ける雇用を組織化された適正な雇用と置き換え、南北・南南協力を強化する(例:欧州バッテリー同盟、製造労働者のための公正な移行に関するIA-IAE合同プログラム、公正な移行実践ガイドの実施に関するパイロットプロジェクト)
  • 人権デュー・ディリジェンス:組合が利用しやすい法的メカニズムを用いて、バッテリーサプライチェーンの多国籍企業に責任を負わせることができるようにする(例:ILO中核的条約、ヨーロッパのデュー・ディリジェンス法、IRMA基準、GBAバッテリーパスポート)
  • 強力な(部門別)団体交渉のための社会的対話:労働者の力の構築によって、急成長しているサプライチェーン全体で労働条件と賃金水準、安全衛生を改善する(例:労働組合の力の構築における協力深化に関するIAE-IAG声明の実施、欧州最低賃金指令)
  • 効果的な労働者の情報・協議・参加:組合と企業、政府、主要利害関係者が、労働者の利益を考慮する国家政策の策定に関与できるようにする
  • ジェンダー平等:ジェンダーに対応した戦略の立案によって、女性が給料の高い仕事の相応の割合を占めるようにし、同一価値労働同一賃金を実現し、バッテリー関連職場で暴力やハラスメントを撤廃する
  • バッテリープラットフォーム:組合と主要利害関係者を結びつけ、情報交換、HRDD実施の支援、サプライチェーンにおける労働者の力の構築を行う(例:IRMA、ドライブサステナビリティー、グローバル・バッテリー・アライアンス、グッドエレクトロニクス・ネットワーク、SOMOなど)

「この産業は急速に成長しており、組合がどうやって遅れずについていき、労働者を組織化していくかについて戦略を練る必要がある。労働者を組織化して連帯を構築する実用的な方法を見つける必要がある。政策手段も必要であり、労働者が保護されるようにする必要がある」と松﨑寛インダストリオール書記次長は言う。

「組織化する必要があり、私たちが産業で力を持てるようにする必要がある。私たちは交渉のテーブルに着く必要があり、議論に参加する必要がある。政治家や多国籍企業が決定を下してしまってから、最後に組合が加わるわけにはいかない。最初からプロセスの一部になる必要がある」とジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ共同書記長代理は述べた。

« 前のニュース  次のニュース »