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第162号インダストリオール・ウェブサイトニュース

韓国の組合、国連で政府に異議申し立て

2023-10-24

2023年10月24日:インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の韓国金属労組を含む韓国の労働組合と市民社会組織は、先週ジュネーブの「壊れた椅子」でデモを行ったのち、国連人権委員会に文書を提出した。


韓国政府は、各国に市民的および政治的権利の尊重を義務づける多国間条約である「市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」に基づいて異議を申し立てられている。組合は韓国の第5次定期報告に関する第139回人権委員会に文書を提出し、限定的な労働法、スト権に対する制限、多数の結社の自由の侵害は条約に基づく韓国の義務に反すると主張した。

2015年に実施された韓国の第4次レビューでは、結社の自由に「不合理な制約」が課せられていることを確認し、韓国政府に平和的集会の権利の確保を勧告した。しかし政府は、自国の法的枠組みをICCPR第21条および第22条ならびにILO第87号条約および第98号条約に正式に記される国際労働基準に従わせるために、ほとんど何もしていない。

理論的には、韓国の労働者には憲法に定める団結権、団体交渉権および集団行動権がある。だが実際には、労働組合・労使関係調整法(TULRAA)の条項は労働者の権利を厳しく制限している。同法は労働者が合法的なストライキ行動を取ることをほとんど不可能にしており、労働者は法律に違反すれば企業から損害賠償を、国家からストの警備費用を請求される可能性がある。

鉄鋼や造船といった部門では、労働者の70〜80%が下請契約で、同法による「使用者」の定義では下請労働者は元請使用者と交渉することができない。例えば、大宇造船(DSME)には1つの造船所に100社を超える下請会社が入っている。2022年にパンデミック下でDSMEが導入した30%の賃金カットを撤回させるために労働者がストに入ったとき、同社は交渉を拒否し、自社は紛争の当事者ではないと述べた。しかし、DSMEが賃金を設定していたため、下請会社は労働者の要求に取り組むことができなかった。

スト中の労働者は激しく攻撃され、51日に及ぶストが終わったあと、組合指導者は生産目標未達を理由に3230万ユーロの損害賠償訴訟を起こされた。

韓国では現在、およそ30人の労働組合員が組合活動を理由に収監されている。

組合代表団はITUCの法律専門家の支援を受け、人権委員会に文書(リンク)を提出した。組合側は、暴力的な弾圧と悪意のある訴訟を何件か証拠として挙げ、人権委員会に対し、韓国政府に反組合的活動の中止ならびに自国の法的枠組みと国際労働基準との調和を求めるよう依頼した。

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は次のように述べた。

「韓国政府は労働者の団結権と平和的集会の権利、スト権を侵害している。労働組合員は組合活動を実施したために暴行され、告訴され、投獄されている。インダストリオールは、国連人権委員会が韓国に責任を負わせることを要求する行動において、同志と連帯している。韓国はICCPRの当事者であり、自らの義務を守らなければならない」

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